弱々よわ/\)” の例文
さうして、もしこの冒險ばうけん成功せいこうすれば、いま不安ふあん不定ふてい弱々よわ/\しい自分じぶんすくこと出來できはしまいかと、果敢はかないのぞみいだいたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ずぶぬれの、一所いつしよつゝんだくさに、弱々よわ/\つて、のまゝ縋着すがりついたのもあつたから、手巾ハンケチそれなりに土手どててておこした。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼女かのぢよくちかたは、すこ内気うちきすぎるほど弱々よわ/\しかつた。そしてそれについて、べつにはつきりした返事へんじあたへなかつたが、わざと遠慮ゑんりよしてゐるやうにもえた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
折要歩せつえうほは、そつ拔足ぬきあしするがごとく、歩行あゆむわざなやむをふ、ざつ癪持しやくもち姿すがたなり。齲齒笑うしせうおもはせぶりにて、微笑ほゝゑときつね齲齒むしばいたみに弱々よわ/\打顰うちひそいろまじへたるをふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かるすその、すら/\と蹴出けだしにかへるとおないろ洋傘かうもりを、日中ひなかあたるのに、かざしはしないで、片影かたかげ土手どていて、しと/\とつたは、るさへ帶腰おびごし弱々よわ/\しいので
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
山家やまがものには肖合にあはぬ、みやこにもまれ器量きりやうはいふにおよばぬが弱々よわ/\しさうな風采ふうぢや、せなかながうちにもはツ/\と内証ないしよう呼吸いきがはづむから、ことはらう/\とおもひながら、れい恍惚うつとり
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なかはさまれたのは、弱々よわ/\と、くびしろい、かみい、中年増ちうどしまおもをんなで、りやうかたがげつそりせて、えり引合ひきあはせたそでかげが——せたむねさう乳房ちぶさまでとほるか、と薄暗うすぐらく、すそをかけて
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これが角屋敷かどやしきで、折曲をれまがると灰色はひいろをしたみち一筋ひとすぢ電柱でんちういちじるしくかたむいたのが、まへうしろへ、別々べつ/\かしらつて奧深おくぶかつてる、鋼線はりがねまたなかだるみをして、ひさしよりもひくところを、弱々よわ/\と、なゝめに
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
淺黄あさぎ角絞つのしぼり手絡てがらゆるおほきくかけたが、病氣びやうきであらう、弱々よわ/\とした後姿うしろすがた
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
やつれた姿すがた弱々よわ/\かたつた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)