小首こくび)” の例文
番頭ばんとうはその帽子を手に取って、小首こくびを傾げて眺めました。自分の店にあるのだが、どうも見馴みなれないすてきな帽子なんです。
不思議な帽子 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
広子は小首こくびを傾けながら、時々返事をする代りに静かな点頭てんとうを送っていた。が、内心はこの間も絶えず二つの問題を解決しようとあせっていた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その擧動ふるまひのあまりに奇怪きくわいなのでわたくしおもはず小首こくびかたむけたが、此時このとき何故なにゆゑともれず偶然ぐうぜんにもむねうかんでひとつの物語ものがたりがある。
前つぼのかた草履ぞうりさきすなって、一目散もくさんした伝吉でんきちは、提灯屋ちょうちんやかどまでると、ふと立停たちどまって小首こくびかしげた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
按摩あんまいはまへにフトまつて、少時しばらく小首こくびかたむけたが、すぐにふんどしつゑをさした。手唾てつばをかけて、ヤ、えい、としはじめ、ヨイシヨ、アリヤ/\/\、ザブーンところがす。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小首こくびをかたむけ、ひたいに手をあてて考えてみたり、れいの紙きれを見つめて、口の中で何かブツブツつぶやいたりしていましたが、とつぜん、「アッ、そうだ。」と
大金塊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そのうちに、彼の表情に、困惑こんわくの色が浮んできた。小首こくびをかしげると、うめくようなこえで
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
のきにつり忍艸しのぶ、これは正太しようたうま買物かひものえぬ、理由わけしらぬひと小首こくびやかたぶけん。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
前座敷の間食卓ビュッフェーにかよふ足やうやう繁くなりたるをりしも、わが前をとほり過ぐるやうにして、小首こくびかたぶけたる顔こなたへふり向け、なかば開けるまひおうぎおとがいのわたりを持たせて
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
乞ふに内にては大聲おほごゑあげどうれと云て立出る長庵を見るよりはやく千太郎是は/\伯父樣をぢさま此間このあひだは御出下され段々だん/\の御世話忝けなし偖御約束の通り今日參上さんじやう致せしと云ふに長庵いと不審いぶかしげに小首こくび
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お千代は小首こくびかたむけ、それからまぶたを軽く閉じ、指を折って年を数えた。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
と医者は小首こくびかしげた。そして
葛根湯 (新字新仮名) / 橘外男(著)
と滿は小首こくびかしげて云ふ。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
しかめうだぞ、今月こんげつ航海表かうかいへうによると、今頃いまごろこの航路かうろ本船ほんせんあとふて進航しんかうしてふねはづだが。』と小首こくびかたむけたがたちまちカラ/\とわらつて
ぶつぶつひとりつぶやきながら、小首こくびかしげてあるいてまつろうは、いきなりぽんと一つかたをたたかれて、はッとした。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
しかしその金高きんだかを申しますと、甚内は小首こくびを傾けながら、今夜の内にはむずかしいが、三日も待てば調達しようと、無造作むぞうさに引き受けたのでございます。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
無理むりこらへてうしろを振返ふりかへつてようといふ元氣げんきもないが、むず/\するのでかんがへるやうに、小首こくびをふつて、うながところあるごとく、はれぼつたいで、巡査じゆんさ見上みあげた。
迷子 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「ウン、そうにきまっているさ。だが、その黒い影みたいなやつって、いったい何者だろうね。スパイにはちがいないんだけれど。」と、大野君が、小首こくびをかしげました。
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
遣はすすぢなけれど貴殿名差とあれば何用とも計れず兎角御逢めさる方しかるべし併し目の寄る所へ玉とか申し越前守は大器量人だいきりやうじんなりされば使者の平石とやらんも一くせあるべし貴殿應對は氣遣ひなりと小首こくび
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
後を見送ったサービス係は、長大息ちょうたいそくと共に小首こくびをかしげ
『たゞ天命てんめいと、大佐閣下たいさかくかとに、吾等われら運命うんめいゆだぬるのみです。』とこたへると、大佐たいさ暫時しばし小首こくびかたむけたが
小林君は、小首こくびをかしげました。あれがにせものだったとは、どうにも考えられないのです。
超人ニコラ (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
出しまてども一度の返事へんじもなし何處どこうして居なさるやらとてもあはれぬ者ならばいつそ死んだがましならめと打しほれしがかほふりあげ伯父樣どうぞ三河町とやらへいつて樣子を尋ねて下されとたのめば長庵小首こくび
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
八五ろう得意とくいそうに小首こくびをかしげて、枝折戸しおりどほうゆびさした。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
検事は、しきりに小首こくびをかしげている。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
老爺ぢゞい小首こくびかたむけた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
明智たんていのぶかが、小首こくびをかしげて、いいました。
ふしぎな人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)