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四肢
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しし
ふりがな文庫
“
四肢
(
しし
)” の例文
もしその
間
(
あいだ
)
に
身体
(
からだ
)
の楽に出来る日曜が来たなら、ぐたりと疲れ切った
四肢
(
しし
)
を畳の上に横たえて半日の安息を
貪
(
むさぼ
)
るに過ぎなかったろう。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
立ち昇る白煙の下を、猛獣は
剥製
(
はくせい
)
の
豹
(
ひょう
)
のようにピンと
四肢
(
しし
)
を伸ばして、一転、二転、三転し、
遂
(
つい
)
に長々と伸びたまま動かなくなった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
貝塚の中よりは用に堪えざる土噐の破片出で、又折れ碎けたる石噐出づ。
獸類
(
じうるい
)
の
遺骨
(
いこつ
)
四肢
(
しし
)
所
(
ところ
)
を
異
(
こと
)
にし二枚貝は百中の九十九迄
離
(
はな
)
れたり。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
後に妙子はこの時のいきさつを
櫛田
(
くしだ
)
医師に語ったが、櫛田医師の説では、耳の手術から黴菌が這入って
四肢
(
しし
)
を侵すと云うようなことは
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
女は兼好と枕をならべて、初めのうちは一つの
姿態
(
しな
)
をもっていたが、やがてすっかり安心感を
四肢
(
しし
)
にたるませて寝息に入った。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
樹木の枝は彼の
四肢
(
しし
)
であり、指先きである。役にも立たぬ雑草は彼の妄想でもあろう。そういう感じは年老いた今日までもまだ変っていない。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
四肢
(
しし
)
のずきずきする鈍痛と、頭の怖ろしい重さとを感じながら、それでも完全に意識を取り戻して眼ざめることがあった。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
遂に望みを達し得ざるのみならず、舎弟は
四肢
(
しし
)
凍傷
(
とうしょう
)
に
罹
(
かか
)
り、
爪
(
つめ
)
皆
(
みな
)
剥落
(
はくらく
)
して久しくこれに悩み、
後
(
の
)
ち大学の通学に、車に
頼
(
よ
)
りたるほどなりしという。
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
その冷却した透明な波の上に、少しも腐蝕する事なき
四肢
(
しし
)
を形ちよくそろへた老婆の屍体は、
仰臥
(
ぎやうぐわ
)
の姿で唯だ一人不定の方向へとただよつてゐた。
アリア人の孤独
(新字旧仮名)
/
松永延造
(著)
千鳥もそれに力を得たか、騒ぐのをやめてシャーッと噴泉の栓をひねって、しなやかに伸びた
四肢
(
しし
)
を洗いはじめた。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この怪人は
四肢
(
しし
)
に指がなかったともあるが、天を
指
(
さ
)
したというからは甚だ信じがたい事であった。それからまた三十年余り、寛永十九年の春であった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
人間像というよりも人間塔——いのちの火の生動している塔であった。胸にも胴体にも
四肢
(
しし
)
にも写実的なふくらみというものはない。筋肉もむろんない。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
軍靴の
鋲
(
びょう
)
が階段に触れる音が、けだるい
四肢
(
しし
)
の
節々
(
ふしぶし
)
に
幽
(
かす
)
かに響いて来る、跫音はそのまま遠ざかるらしかった。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
そっと羽織のすそを持って静かにかかげて見ると、かわいらしい子ねずみが
四肢
(
しし
)
を伸ばして、ちょうどはり付けでもしたように羽織の裏にしがみついている。
ねずみと猫
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
五内
(
ごない
)
渾
(
すべ
)
て燃え、
四肢
(
しし
)
直
(
ただち
)
に氷らんと覚えて、名状すべからざる感情と
煩悶
(
はんもん
)
とは新に
来
(
きた
)
りて彼を襲へるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
柄は大きくありませんがキリリと締った鉄のような
四肢
(
しし
)
と、よく発達した胸を持つ男で、なるほどこれなら、一本の竹の上で千変万化の軽業を見せてくれるでしょう。
銭形平次捕物控:118 吹矢の紅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
わしの力はわしの
四肢
(
しし
)
からもう失せたのにわしの根はいつまでも死にきらないのか。運命はあくまでもわしを
責
(
せ
)
めさいなもうとするのか。わしは死にたい。死にたい。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
ぐったりとした
四肢
(
しし
)
の疲れのように田舎路は
仄暗
(
ほのぐら
)
くなってゆくのだが、ふと眼を
藁葺屋根
(
わらぶきやね
)
の上にやると、大きな
榎
(
えのき
)
の梢が一ところ真昼のように明るい光線を
湛
(
たた
)
えている。
苦しく美しき夏
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
犬はグウグウと腹の方でうなっていたが、
四肢
(
しし
)
が見ているうちに、力がこもってゆくのが分った。
人を殺す犬
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
ポルフィーリイが仔犬を床の上へおろすと、そいつは
四肢
(
しし
)
をふんばって
地面
(
した
)
を嗅ぎまわした。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
その目は閉じ、髪は赤い絵の具を含んだままかわいてる
刷毛
(
はけ
)
のようになって額にこびりつき、両手は死んだようにだらりとたれ、
四肢
(
しし
)
は冷たく、
脣
(
くちびる
)
のすみには血が凝結していた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
のびのびとした
四肢
(
しし
)
や胴体のあざやかさ、さながら画に見るがよう、球が手をはなれた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
露の散る草やぶを踏みわけて、
匐
(
は
)
うように斜面をのぼった。
蔓
(
つる
)
につかまり根木に抱きついた。
趾
(
ゆび
)
をさか立てて足を喰いとめた。手と足と——文字通り
四肢
(
しし
)
をつかってあがって行った。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
何とはなしに無気味さを覚えて寝返りを打つとたんに、ああ、またあれが来る、という予感に襲われて太田はすっかり青ざめ、恐怖のために
四肢
(
しし
)
がわなわなとふるえてくるのであった。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
而して往復途中の出来事はよく/\頭に残ると見えて、帰ったあとで
樫
(
かし
)
の木の下にぐったり寝ながら、夢中で走るかの様に
四肢
(
しし
)
を動かしたり、夢中で牙をむき出しふアッと云ったりする。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ここに始めて精神の興奮絶頂に達し猛然たる勇気は
四肢
(
しし
)
の
節々
(
ふしぶし
)
に振動した。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
次第に牛は大きくなっても、はじめからかつぎ慣れているものだから何の
仔細
(
しさい
)
もなく
四肢
(
しし
)
をつかまえて眼より高く差し上げ、いよいよ牛は大きくなり、才兵衛九つになった
頃
(
ころ
)
には、その牛も
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
恰
(
あだか
)
も
四肢
(
しし
)
を以て
匍匐
(
ほうふく
)
する所の四足獣に
化
(
くわ
)
し
去
(
さ
)
りたるの
想
(
おも
)
ひなし、
悠然
(
いうぜん
)
坦途
(
たんと
)
を
歩
(
あゆ
)
むが如く、行々山水の
絶佳
(
ぜつくわ
)
を
賞
(
しやう
)
し、或は
耶馬渓
(
やまけい
)
も
及
(
およ
)
ばざるの
佳境
(
かけう
)
を
過
(
す
)
ぎ、或は
妙義山
(
めうぎざん
)
も三舎を
避
(
さ
)
くるの
険所
(
けんしよ
)
を
踏
(
ふ
)
み
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
血とあぶら汗と
淋巴液
(
リンパえき
)
とにまみれた
四肢
(
しし
)
をばたつかせ
原爆詩集
(新字新仮名)
/
峠三吉
(著)
すると、その時まで、まるで眠っているか死んでいるとしか思えなかった大熊が、仰臥のままモガモガと、
四肢
(
しし
)
を動かしはじめた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
姉は幸子より又一層
上背
(
うわぜい
)
があり、小柄な義兄と並んで歩くと姉の方が高く見えるくらいであったが、それだけに
四肢
(
しし
)
の肉づきもゆたかで
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
人間か猿か、甚だあいまいな一個の小動物が、木の枝に
四肢
(
しし
)
をささえて、天地のあいだに、
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
なその姿態と愛嬌を示しているのである。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
第二に
鈍液
(
どんえき
)
と名づくるのがある。これが逆かさに上ると神経が
鈍
(
にぶ
)
くなる。次には
憂液
(
ゆうえき
)
、これは人間を陰気にする。最後が
血液
(
けつえき
)
、これは
四肢
(
しし
)
を
壮
(
さか
)
んにする。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
だが、
四肢
(
しし
)
はくたくたになり、首の骨はぐらぐらになっているので、気の方は一足おさきに、相当しゃんとしながら、からだはいうことをきかないのであった。
地底戦車の怪人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
建物疎開に行って遭難したのに、
奇蹟
(
きせき
)
的に命拾いをした中学生の甥は、その後毛髪がすっかり抜け落ち次第に元気を失っていた。そして、
四肢
(
しし
)
には小さな
斑点
(
はんてん
)
が出来だした。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
役者の頭や
四肢
(
しし
)
の別々な演技がモンタージュ的に結合されるというふうに解釈した。
映画芸術
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
自分の
四肢
(
しし
)
は
凛
(
りん
)
として振動するのである。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
恩田は
皺
(
しわ
)
くちゃになった黒い洋服を着ていたが、それが彼の
精悍
(
せいかん
)
な
痩
(
や
)
せた
四肢
(
しし
)
にピッタリくっついて、そのまま一匹の巨大な
黒豹
(
くろひょう
)
であった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
また四国の長曾我部などが、ここ次々と、家康の手足を斬り取る仕事のように進められていても、家康は甘んじて、その
四肢
(
しし
)
をもぎ取られるのに
委
(
まか
)
せている。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
するようになってから常に春琴の
皮膚
(
ひふ
)
が世にも
滑
(
なめら
)
かで
四肢
(
しし
)
が
柔軟
(
じゅうなん
)
であったことを左右の人に
誇
(
ほこ
)
って
已
(
や
)
まずそればかりが唯一の老いの
繰
(
く
)
り
言
(
ごと
)
であったしばしば
掌
(
てのひら
)
を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかし着物の
柄
(
がら
)
や、
四肢
(
しし
)
の発達ぶりから考えますと、まず二十五歳前後というところでしょうナ
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼はその時から、苦しがる少女に附添って面倒をみる。ふくふくに
腫
(
は
)
れ上った
四肢
(
しし
)
を
支
(
ささ
)
えてやると、少女の
躯
(
からだ
)
とも思えぬほど無気味だが、水を欲しがる
唇
(
くちびる
)
は
嬰児
(
えいじ
)
のように哀れだ。
火の唇
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
固
(
もと
)
より
洪水
(
こうずゐ
)
飢饉
(
ききん
)
と日を同じうして論ずべきにあらねど、良心は不断の主権者にあらず、
四肢
(
しし
)
必ずしも吾意思の欲する所に従はず、一朝の変
俄然
(
がぜん
)
として己霊の光輝を失して、
奈落
(
ならく
)
に陥落し
人生
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
燃えるだけのものを、弁円は今、五臓から
四肢
(
しし
)
全体に燃やしきっていた。毛の一すじまで、針のごとくさせて汗をふき、内面の毒炎を、湯気のように立てていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こう云う難所は
四肢
(
しし
)
を使って進むので、足の強弱の問題でなく、全身の運動の
巧拙
(
こうせつ
)
に関する。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
近代の女性は、スポーツと洋装とのお蔭で、背も高くなり、
四肢
(
しし
)
も豊かに発達し、まるで外国婦人に劣らぬ優秀な体格の持ち主になったという話だったが、それにしてもこの健康さはどうだ。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
又十郎は若い柔軟な
四肢
(
しし
)
をすっくと伸ばした。父の木剣も正眼である。相構えになって父を見る。
柳生月影抄
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしこの女を「
四肢
(
しし
)
と毛なみの美しい
獣
(
けもの
)
」として卑しみ去ろうとする意志の下には、その獣身に
喇嘛
(
らま
)
教の仏像の
菩薩
(
ぼさつ
)
に見るような歓喜が
溢
(
あふ
)
れているところをなかなか捨て難く思う心が
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
いや、もっと忘れかねたのは、遊女宿の一間に、置きのこして来た寝ぎたない黒髪と、容易にどうにでもなる
四肢
(
しし
)
をもった肉塊だった。それが美人か、
醜女
(
しゅうじょ
)
かなどは、問題ではない。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
部分的に面影を残している
四肢
(
しし
)
の肉づきや肌の色合で分ったが、長い髪の毛は皮膚ぐるみ
鬘
(
かつら
)
のように
頭蓋
(
ずがい
)
から脱落し、顔は押し
潰
(
つぶ
)
されたとも膨れ上ったとも見える一塊の肉のかたまりになり
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
“四肢”の意味
《名詞》
四 肢(しし)
両手と両足。
(出典:Wiktionary)
“四肢(四肢動物)”の解説
四肢動物(ししどうぶつ、Tetrapoda)は、肉鰭類に属する脊椎動物の一群である。四肢類(ししるい)、四足類(しそくるい)、四足動物(しそくどうぶつ)ともいう。
(出典:Wikipedia)
四
常用漢字
小1
部首:⼞
5画
肢
常用漢字
中学
部首:⾁
8画
“四肢”で始まる語句
四肢胸腰