トップ
>
唯今
>
ただいま
ふりがな文庫
“
唯今
(
ただいま
)” の例文
「あれ、
貴方
(
あなた
)
……お
手拭
(
てぬぐい
)
をと思いましたけれど、
唯今
(
ただいま
)
お湯へ入りました、私のだものですから。——それに濡れてはおりますし……」
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
なにしろ
唯今
(
ただいま
)
のところでは恐怖と戦慄があるばかりで、怖ろしい物が常に自分のうしろに付きまとっているように思われてなりません。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
愚なる者の癖に人がましき事申上候やうにて、誠に
御恥
(
おんはづかし
)
う
存候
(
ぞんじさふら
)
へども、何とも何とも
心得難
(
こころえがた
)
く
存上候
(
ぞんじあげさふらふ
)
は、
御前様
(
おんまへさま
)
唯今
(
ただいま
)
の御身分に
御座候
(
ござさふらふ
)
。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「そういう
料簡
(
りょうけん
)
ではお相手が勤まらん。
明日
(
あす
)
とはいわぬ、今日
唯今
(
ただいま
)
、帰りなさい。さあ。帰りなさい。自分の家へ帰りなさい」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ソレカラ
唯今
(
ただいま
)
申す通り
実父
(
じっぷ
)
同様の緒方先生が
立会
(
たちあい
)
で、内藤数馬先生の執匙で有らん限りの療治をして貰いましたが、私の病気も中々軽くない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
甲野はこの声を聞いた時、澄み渡った鏡に向ったまま、始めてにやりと冷笑を
洩
(
も
)
らした。それからさも驚いたように「はい
唯今
(
ただいま
)
」と返事をした。
玄鶴山房
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして坂上でちょっと馬を止めて「
唯今
(
ただいま
)
六郷川
(
ろくごうがわ
)
を挟んで
彼我
(
ひが
)
交戦中であるが、
何時
(
いつ
)
あの線が破れるかもしれないから、皆さんその準備を願います」
流言蜚語
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
賓頭盧尊者
(
びんずるそんじゃ
)
の像がどれだけ尊いものか存ぜずにいたしたことと見えます。
唯今
(
ただいま
)
では厨で僧どもの食器を洗わせております
寒山拾得
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それに
唯今
(
ただいま
)
では、既に夫人があることを告白してしまいましたので、彼女の無実は明白になりました。第三は三千子に取っては恋敵の小間使小松です。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
唯今
(
ただいま
)
、御表におきまして、赤穂の城主浅野内匠頭事、意趣あって、高家の吉良上野介に対して刃傷に及びました。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
唯今
(
ただいま
)
」と校長が
起
(
た
)
とうとした時、梅子は急に細川の顔を見上げた、そして涙がはらはらとその
膝
(
ひざ
)
にこぼれた。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「
唯今
(
ただいま
)
午後七時三十分、米国空軍の主力は、伊豆七島の南端、三宅島の上空を通過いたして居ります
旨
(
むね
)
、同島の防空監視哨から報告がございました。以上」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
唯今
(
ただいま
)
はもう就寝にございますゆえ、誰も
蔀
(
しとみ
)
のそばには出てはおられませぬ。いまのうちに早く。」
花桐
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
、どんなに後悔して居ることか——、
唯今
(
ただいま
)
、店先で見られた絵姿をたよりに、万に一つ拙者の手で探し当てたなら、
直
(
す
)
ぐ様知らせてくれるようにとくれぐれも
仰
(
おっ
)
しゃったが
裸身の女仙
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
貴方の都合に依ツて、假に
與
(
あた
)
へられた目的、目的に
附隨
(
ふずゐ
)
する資格、其は
改
(
あらた
)
めて
唯今
(
ただいま
)
返上
(
へんじやう
)
する。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
唯
(
ただ
)
そのものゝやうに懐かしく、恋しきにも珍らしきにも涙のみこぼれて、この虫がやうに、よし
異物
(
こともの
)
なりとも声かたち同じかるべき人の、
唯今
(
ただいま
)
こゝに立出で来たらばいかならん。
あきあはせ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
大磯
(
おおいそ
)
箱根
(
はこね
)
や湯河原を流れ渡って、
唯今
(
ただいま
)
では熱海の
松
(
まつ
)
の
家
(
や
)
に巣を食って居ります。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すると此時
忽
(
たちま
)
ち
室
(
へや
)
の
扉
(
と
)
がスーと明いて、入って来たのは此家の老
家扶
(
かふ
)
で、恭しく伯爵の前に頭を下げ、「殿様に申上げます
唯今
(
ただいま
)
之れなる品物が、
倫敦
(
ロンドン
)
の
玉村
(
たまむら
)
侯爵家より到着致して御座います」
黄金の腕環:流星奇談
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
「
唯今
(
ただいま
)
すぐに申しつけます」と、若い婦人は次の間へ急いで行った。
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
現在別に
御
(
お
)
わるいところがないのなら、無論近い将来にもさして病難があるとは思われません。現在は
唯今
(
ただいま
)
も申上げたように
波瀾
(
はらん
)
のあった後むしろ無事で、いくらか沈滞というような形もあります。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「しばらくどうぞ。
唯今
(
ただいま
)
すぐ博士がみえますから」
骸骨島の大冒険
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
唯今
(
ただいま
)
、
母様
(
かあさん
)
、こんな遅くまでよくまあお仕事。」
月夜
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「
唯今
(
ただいま
)
はどうも、失礼をいたしまして……」
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「
唯今
(
ただいま
)
ちょいとお
詣
(
まい
)
りに。——」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
その危険な事は、
硝子壺
(
がらすつぼ
)
も真鍮壺も決して差別はありません。と申すが、
唯今
(
ただいま
)
もお話しました通り、火が消えないからであります。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
唯今
(
ただいま
)
お話し申した婆さんが借りていた時、すなわち三十年前から四十年前のあいだだそうですが、すでにそのころから怪しいことがあったといいます。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
男
(
をとこ
)
は、——いえ、
太刀
(
たち
)
も
帶
(
お
)
びて
居
(
を
)
れば、
弓矢
(
ゆみや
)
も
携
(
たづさ
)
へて
居
(
を
)
りました。
殊
(
こと
)
に
黒
(
くろ
)
い
塗
(
ぬ
)
り
箙
(
えびら
)
へ、二十あまり
征矢
(
そや
)
をさしたのは、
唯今
(
ただいま
)
でもはつきり
覺
(
おぼ
)
えて
居
(
を
)
ります。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
現に
唯今
(
ただいま
)
でも僕の配下のものが一人その方の捜索にかかり切っている様な訳ですが、まだ何の吉報もありません。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
貴方様は京浜国道で、自動車を電柱に衝突なさいまして、
御頓死
(
ごとんし
)
遊ばしましたのですぞ。貴方様は
幽界
(
ゆうかい
)
にお入りになって、
唯今
(
ただいま
)
から
幻影
(
げんえい
)
を御覧になっています。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「それはご苦労でした。したが
唯今
(
ただいま
)
、殿下には、おん
鞠場
(
まりば
)
へ出て、
公卿輩
(
くげばら
)
を相手に、蹴まりに興じておられますゆえ、しばらく、その辺でお待ちくださらぬか」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
旧
(
もと
)
は農商務省に勤めてをりましたが、
唯今
(
ただいま
)
では地所や
家作
(
かさく
)
などで暮してゐるやうでございます。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
唯今
(
ただいま
)
御指図
(
おさしず
)
の通り早々帰国しますが、御隠居様に御伝言は
御在
(
ござい
)
ませんか、
何
(
いず
)
れ帰れば
御目
(
おめ
)
に掛ります、又何か
御品
(
おしな
)
があれば何でも
持
(
もっ
)
て帰りますと
云
(
いっ
)
て、
一
(
ひ
)
ト
先
(
ま
)
ず別れて
翌朝
(
よくあさ
)
又
行
(
いっ
)
て見ると
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
唯今
(
ただいま
)
、世話人の方からお願い申上げたように、これから皆さんのお手拭を
銭形平次捕物控:017 赤い紐
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
川島君は砲弾の破片に撃たれたのです。私もその時、小銃弾に帽子を撃ち落されましたが、幸いに無事でした。その弾丸がもう
一寸
(
いっすん
)
と下がっていたら、
唯今
(
ただいま
)
こんなお話をしてはいられますまい。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「はい、
唯今
(
ただいま
)
」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
唯今
(
ただいま
)
の
狂人
(
きちがい
)
が、酒に酔って
打倒
(
ぶったお
)
れておりましたのは……はい、あれは嘉吉と申しまして、
私等
(
わしら
)
秋谷在の、いけずな野郎でござりましての。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何時
(
いつ
)
ぞやわたしが
捉
(
とら
)
へ
損
(
そん
)
じた
時
(
とき
)
にも、やはりこの
紺
(
こん
)
の
水干
(
すいかん
)
に、
打出
(
うちだ
)
しの
太刀
(
たち
)
を
佩
(
は
)
いて
居
(
を
)
りました。
唯今
(
ただいま
)
はその
外
(
ほか
)
にも
御覽
(
ごらん
)
の
通
(
とほ
)
り、
弓矢
(
ゆみや
)
の
類
(
るゐ
)
さへ
携
(
たずさ
)
へて
居
(
を
)
ります。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
唯今
(
ただいま
)
絆創膏
(
ばんそうこう
)
を差上げます。何しろ皆書生でございますから随分乱暴でございませう。
故々
(
わざわざ
)
御招
(
おまねき
)
申しまして
甚
(
はなは
)
だ恐入りました。もう
彼地
(
あつち
)
へは御出陣にならんが
宜
(
よろし
)
うございます。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
心にかかって、お屋敷まで駈けて参りましたが、
唯今
(
ただいま
)
、主税殿のおはなしでは、江戸表において、殿様御刃傷との御注進にござります由、やはり虫の知らせでございました。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ハーイ、
唯今
(
ただいま
)
」とそれには答え、それから帆村の方に向き、低い声で言った。
麻雀殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ハイ、ハイ、
唯今
(
ただいま
)
参ります。あまり月が良いので」
奇談クラブ〔戦後版〕:05 代作恋文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「おやおや
唯今
(
ただいま
)
内の人におことづけをなさいました、蝶吉
姐
(
ねえ
)
さんに酌をして欲しいと仰有いますのは、ちょいとお前さんかい。」
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
吾々は、故浅野内匠頭が浪人共でござるが、
唯今
(
ただいま
)
、亡君の
讐
(
あだ
)
を討って、吉良殿の屋敷から引き揚げて来たところでござります。恐れ入るが、
暫時
(
ざんじ
)
、休息のため、御寺内を拝借したい。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ええ、あったどころじゃないです。
唯今
(
ただいま
)
総監閣下が
殺害
(
さつがい
)
されました」
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
重吉は外套や帽子をとると、必ずこの「離れ」へ顔を出し、「
唯今
(
ただいま
)
」とか「きょうは如何ですか」とか言葉をかけるのを常としていた。しかし「離れ」の
閾
(
しきい
)
の内へは滅多に足も入れたことはなかった。
玄鶴山房
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「しますると、お気に入りますかどうでございましょうか。ちとその古びておりますので。
他
(
ほか
)
には
唯今
(
ただいま
)
どうも、へい、へい。」
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
又アメリカ主義に
患
(
わずら
)
わされて西太平洋の鬼となった米軍の空襲勇士たちのために、前に聞かせて頂いた空襲葬送曲を、
唯今
(
ただいま
)
放送を以て、遠く米国本土にまで、お返ししようと思うのでございます。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「同役(といつも云う、
士
(
さむらい
)
の
果
(
はて
)
か、
仲間
(
ちゅうげん
)
の上りらしい。)は番でござりまして、
唯今
(
ただいま
)
水瓶
(
みずがめ
)
へ水を
汲込
(
くみこ
)
んでおりまするが。」
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
皆さん。お静かに願い上げます。
唯今
(
ただいま
)
女優が一人、急病で
亡
(
な
)
くなりました。しかしもう事は済みましたから、御安心の上、お
仕舞
(
しまい
)
までごゆるりと御見物願います。では直ちに第六景、『奈良井遊廓』の幕を
間諜座事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
御覧の
通
(
とおり
)
、花を売りますものでござんす。二日置き、三日
置
(
おき
)
に参って、お山の花を頂いては、里へ持って出て
商
(
あきな
)
います、
丁
(
ちょう
)
ど
唯今
(
ただいま
)
が
種々
(
いろいろ
)
な
花盛
(
はなざかり
)
。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
唯
常用漢字
中学
部首:⼝
11画
今
常用漢字
小2
部首:⼈
4画
“唯今”で始まる語句
唯今頃