同士どうし)” の例文
為義ためよしはもう七十の上を出た年寄としよりのことでもあり、天子てんしさま同士どうしのおあらそいでは、どちらのお身方みかたをしてもぐあいがわるいとおもって
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
つまり従妹いとこ同士どうしで、どっちも容貌きりょうは良くも無し、悪くも無し、まあ十人並というところでしょうが、お由の方が年上だけにませていて、男好きのする風でした
半七捕物帳:55 かむろ蛇 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「でも、駈落かけおちをしたおかげで、無事ぶじ生命いのちたすかつたんです。おもつた同士どうしは、道行みちゆきにかぎるのねえ。」
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひげへても友達ともだち同士どうしあひだ無邪氣むじやきなもので、いろ/\のはなしあひだには、むかしとも山野さんや獵暮かりくらして、あやまつ農家ひやくしやうや家鴨あひる射殺ゐころして、から出逢であつたはなしや、春季はる大運動會だいうんどうくわい
そうでしょう、みちがあるおかげで、方々ほうぼう土地とちに出来る品物しなものがどんどんわたしたちのところへはこばれて来ますし、おともだち同士どうしらくったりたりすることが出来ます。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
かうむりたるかなさけなきは九郎兵衞殿如何なる前世のかたき同士どうし現在げんざいを分し伯父をひの中で有ながら娘や婿むこかたきなりと後家のお深にくるめられ解死人げしにん願ひは何事ぞと姑くは人をもうらみ身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わからなくてもたたかわねばならぬ、自分ひとりではない、ここに三人がいる、船底ふなぞこにはさらに十一人の少年がいる、同士どうしのためにはけっして心配そうな顔を見せてはならぬのだ。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「えゝ、毎日まいんち同士どうしにたべちやんだがなあにせえ丈夫ぢやうぶなら粗剛こうえつたつてかまやしねえが」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
石見守長安いわみのかみながやす家中かちゅうで、うらぎり者が起ったか、でなければ、仲間同士どうし争闘そうとうか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
インドにおいては、地理ちり歴史れきし關係くわんけいから、北部ほくぶ南部なんぶとでは根本こんぽんから言語げんごがちがふので、インドじん同士どうし英語えいごもつ會話くわいわこゝろみてゐるのをてインドが到底たうてい獨立どくりつざるゆゑんをさとつた。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
となり同士どうしだから、時々ときどきくちをききなかで、ことに一昨日おとといは、わたし丹精たんせいしたぼたんのはないたものですから、それを一鉢ひとはちわけてつてつてやり、にわでちよつとのうち、立話たちばなしをしたくらいです。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
そのときからからすとふくろうとは、かたき同士どうしになりました。そしてふくろうはからすのしかえしをこわがって、昼間ひるまはけっして姿すがたせません。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
兩親りやうしんあに意見いけんなどは、あしかぜほどもみないで、朋輩ほうばい同士どうしには、何事なにごとにも、きにの、おれおれががついて𢌞まはつて、あゝ、ならばな、と口癖くちぐせのやうにふ。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そこでおよめさん同士どうしみんなで楽器がっきわせてあそぼうといいしました。そしてはちかつぎには、いちばんむずかしいやまとごとをひかせることにしました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
御山おやまへ花を取りに、と返事すると、ふんそれならばし、小父おじ同士どうしに行ってるべい。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
天守てんしゆにも主人あるじがあれば双六巌すごろくいはにもぬしまう……どちらも膚合はだあひおな魔物まものが、はえはなし親類附合しんるゐつきあひやうもれぬだ。魔界まかいまた魔界まかい同士どうしはなしかたもあらうとおもふ、うだね、御坊ごばう
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)