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可也
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かなり
ふりがな文庫
“
可也
(
かなり
)” の例文
可也
(
かなり
)
皮肉な出来事であつたからで、気の小さい、
極
(
きま
)
り
悪
(
わる
)
がり屋の彼は、
何
(
ど
)
うかして
甘
(
うま
)
くそれを切りぬけようと、
頭脳
(
あたま
)
を悩ましてゐた。
花が咲く
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
そこは、帝都のあっちこっちを見下ろすに、
可也
(
かなり
)
いい場所だった。眺めると、帝都の
彼方此方
(
かなたこなた
)
には、三四ヶ所の火の手が上っていた。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
可也
(
かなり
)
難しい、全部拾って見ても、南無阿弥陀仏の六字と読点だけしかない。この七つの記号を以て、どういう文句が綴れるだろう。
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
夫でも全寮で
可也
(
かなり
)
名物男に近かつた久米や自分がやつて居るので、喝采するものも可なりあつたが、狂言その物はマルで出鱈目であつた。
学生時代の久米正雄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
一度も?——若し一度でも通つたとすれば、それは僕の小学時代に
業平橋
(
なりひらばし
)
かどこかにあつた或
可也
(
かなり
)
大きい寺へ葬式に行つた時だけである。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
宿の
内儀
(
かみさん
)
は既う四十位の、亡夫は道廳で
可也
(
かなり
)
な役を勤めた人といふだけに、品のある、氣の
確乎
(
しつかり
)
した、言葉に西國の訛りのある人であつた。
札幌
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
是
(
ここ
)
に
於
(
おい
)
て、
孫子
(
そんし
)
、
使
(
つかひ
)
をして
王
(
わう
)
に
報
(
はう
)
ぜしめて
曰
(
いは
)
く、『
兵
(
へい
)
既
(
すで
)
に
整齊
(
せいせい
)
す、
王
(
わう
)
試
(
こころ
)
みに
下
(
くだ
)
りて
之
(
これ
)
を
觀
(
み
)
る
可
(
べ
)
し。
唯
(
た
)
だ
王
(
わう
)
の
之
(
これ
)
を
用
(
もち
)
ひんと
欲
(
ほつ
)
する
所
(
ところ
)
、
水火
(
すゐくわ
)
に
赴
(
おもむ
)
くと
雖
(
いへど
)
も
猶
(
な
)
ほ
可也
(
かなり
)
』
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
私達の遊びごっこは、戦争ごっこが一番盛んで、
可也
(
かなり
)
にこっぴどく殴り合った。月のある夜なんか、
沢山
(
たくさん
)
の子供が、語らいあって、村
端
(
はず
)
れの鎮守を中心にして、「陣地」の奪い合いをやったものだ。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
これに対して米軍の駆逐艦隊は
可也
(
かなり
)
高い
波浪
(
はろう
)
にひるんだものか、それとも長い航洋に疲れを見せたものか、ずっと
側面
(
そくめん
)
に引返して行った。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
宿の
内儀
(
かみさん
)
は
既
(
も
)
う四十位の、亡夫は道庁で
可也
(
かなり
)
な役を勤めた人といふだけに、品のある、気の
確乎
(
しつかり
)
した、言葉に西国の訛りのある人であつた。
札幌
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
やっと僕の家へ帰った
後
(
のち
)
、僕は妻子や催眠薬の力により、二三日は
可也
(
かなり
)
平和に暮らした。僕の二階は松林の上にかすかに海を覗かせていた。
歯車
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私が陳述した所の、母親が初代の留守中に、彼女の机や手文庫を、ソッと検べていたなどと云う事も、
可也
(
かなり
)
悪い心証を与えた様子であった。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
矢張
(
やっぱり
)
こんなような町?」お島は汽車が
可也
(
かなり
)
大きなある停車場へ乗込んだとき、窓から顔を出して、壮太郎にささやいた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
頁を繰ってゆくうちに、毛筆で書いてある
可也
(
かなり
)
大きい字がボーッと融け崩れ始めて、僕はあまりの睡さにとうとう
怺
(
こら
)
えられなくなった。……
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
やつと僕の家へ帰つた後、僕は妻子や催眠薬の力により、二三日は
可也
(
かなり
)
平和に暮らした。僕の二階は松林の上にかすかに海を
覗
(
のぞ
)
かせてゐた。
歯車
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「わたくし、大江春泥という名前は
可也
(
かなり
)
以前から存じて居りましたけれど、それが平田一郎の筆名でしょうとは、ちっとも存じませんでした」
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
威嚇
(
いかく
)
の
辞
(
ことば
)
と誘惑の手から
脱
(
のが
)
れて、絶望と憤怒に男をいら
立
(
だた
)
せながら、
旧
(
もと
)
の道へ
駈出
(
かけだ
)
すまでに、お島は
可也
(
かなり
)
悶踠
(
もが
)
き争った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
汝
須
(
すべか
)
らく汝の自負に傲慢なれ、不遜なれ、大水の声をあげて汝みづからの為に讃美し、謳歌して
可也
(
かなり
)
。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そして部屋の外には、
可也
(
かなり
)
広いアスファルト路面の廊下が、どこまでも続いていて、なにが通るのか、
軌道
(
レール
)
が敷いてあった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
僕はプロレタリアの戦士諸君の芸術を武器に選んでゐるのに
可也
(
かなり
)
興味を持つて眺めてゐる。諸君はいつもこの武器を自由自在に
揮
(
ふる
)
ふであらう。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私はあの時、その植物を用いる時は、どんなにやすやすと、少しの苦痛もなく堕胎を行うことが出来るかについて、
可也
(
かなり
)
誇張的な説明をした筈である。
毒草
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
千駄木
(
せんだぎ
)
の
奥
(
おく
)
の
此
(
こ
)
の
私
(
わたし
)
の
家
(
いへ
)
から
番町
(
ばんちやう
)
までゞは、
可也
(
かなり
)
遠
(
とほ
)
いのであるが、
出
(
で
)
てからもう
彼此
(
かれこれ
)
一
時間
(
じかん
)
も
経
(
た
)
つから、
今頃
(
いまごろ
)
は
父
(
ちゝ
)
と
母
(
はゝ
)
とに
右
(
みぎ
)
と
左
(
ひだり
)
から
笑顔
(
ゑがほ
)
を
見
(
み
)
せられて
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
二三年も前から眼病を
患
(
わづら
)
つてゐた新家の御新造の妹なさうで、盛岡でも
可也
(
かなり
)
な金物屋だつたが、
怎
(
どう
)
した破目かで破産して、夫といふ人が首を縊つて死んで了つた爲め、新家の家の家政を手傳ひ旁々
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
すると向うからお嬢さんが
一人
(
ひとり
)
、
生
(
い
)
け
垣
(
がき
)
に沿うて歩いて来た。白地の
絣
(
かすり
)
に赤い帯をしめた、
可也
(
かなり
)
背
(
せい
)
の高いお嬢さんだつた。
O君の新秋
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし犯人が若い女の方だとすると、煙草は
可也
(
かなり
)
重要な証拠になると思う。金が
目醒
(
めざ
)
めている間には、あんなに煙草を撒き散すことは出来ない。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
青柳と云うその男は、その町の開業医として
可也
(
かなり
)
に顔が売れていたが、或私立学校を卒業したというその弟をも、お島はちょいちょい見かけて知っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そこで、その紳士泥坊は、五万円隠匿の
廉
(
かど
)
によって、窃盗犯としては
可也
(
かなり
)
重い懲役に処せられたのである。
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「ああ礼金のことですね。あれは弁理士会の規則があって、最低料金が定められています。私のところは他の特許事務所よりも
可也
(
かなり
)
たかいのです。」
名士訪問記:――佐野昌一氏訪問記――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
可也
(
かなり
)
な締りやであつたから、倉敷を出して質屋へあづけてある衣類なども少くなかつたし、今少し稼ぎためようと云ふ気もあつたので、楼主と特別の約束で
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
その顔は
可也
(
かなり
)
長い
間
(
あひだ
)
、彼の心に残つてゐた。が、
年月
(
としつき
)
の流れるのにつれ、いつかすつかり消えてしまつた。
鬼ごつこ
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
見ると、
金
(
きん
)
金具のついた、
可也
(
かなり
)
上等の二つ折り紙入れです。それがかさ高くふくらんでいるのです。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
避暑客の込合ふ季節なので、停車場は
可也
(
かなり
)
雑沓
(
ざつたふ
)
してゐたが、さうして独りで旅をする気持は可也心細かつた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
けれども
谷中
(
やなか
)
へは中々来ない。
可也
(
かなり
)
長い葬列はいつも秋晴れの東京の町をしずしずと練っているのである。
点鬼簿
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
なに馬鹿馬鹿しい程
雑作
(
ぞうさ
)
もない方法だったのですが、それを実行する土地を探すのには
可也
(
かなり
)
手間どりました。ただ最初から中央線の沿線ということ丈けは見当をつけていました。
赤い部屋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
可也
(
かなり
)
やったつもりだったが、どうしても出なかったのだった。
キド効果
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
僕が講演旅行へ出かけたのは今度
里見弴
(
さとみとん
)
君と北海道へ行つたのが始めてだ。入場料をとらない聴衆は自然
雑駁
(
ざつぱく
)
になりがちだから、それだけでも
可也
(
かなり
)
しやべり
悪
(
にく
)
い。
講演軍記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
察していたか知らない。敏感なお前は定めし
可也
(
かなり
)
深い所まで想像を
廻
(
めぐ
)
らしてもいただろう。だが、流石のお前も、私の計画なり理想なりが、これ程根強いものとは、まさか知らなかっただろうね
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
お産の前後、磯村は二三度、自身彼女に金を届けたり、
為替
(
かはせ
)
を組んだりした。それは磯村に取つては
可也
(
かなり
)
骨の折れる仕事であつた。そして子供の顔を見た彼女の慾望が、段々大きくなつて行つた。
花が咲く
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
その故に他の作家、殊に本来密を喜ぶ作家が、
妄
(
みだり
)
に菊池の小説作法を
踏襲
(
たふしふ
)
したら、
勢
(
いきほひ
)
雑俗の
病
(
へい
)
に
陥
(
おちい
)
らざるを得ぬ。自分なぞは気質の上では、
可也
(
かなり
)
菊池と
隔
(
へだた
)
つてゐる。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
書斎の椅子に
凭
(
もた
)
れて、何心なく
其日
(
そのひ
)
とどいた郵便物を調べていた平田氏は、沢山の封書やはがきの中に混って、一通の、
可也
(
かなり
)
みだれてはいたが、確かに見覚えのある手蹟で書かれた手紙を発見して
幽霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
さうして、太鼓に腰を支へられながら「これは失礼」と声をかけた。君はその時、私がどんな心もちだつたと思ふ? 私は、この接触から来る
可也
(
かなり
)
強い刺戟を予想してゐた。
世之助の話
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
博士夫妻の部屋とは
可也
(
かなり
)
隔っていることや、当夜は召使共は、それは二人の女であったが、熟睡していて朝の騒ぎで始めて目を覚し、夜中の出来事は少しも知らなかったということや、当の博士が
一枚の切符
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
僕自身も「姿」とか「形」とか云ふ意味に「ものごし」と云ふ言葉を使ひ、
凄
(
すさ
)
まじい火災の形容に「
大紅蓮
(
だいぐれん
)
」と云ふ言葉を使つた。僕等の
語彙
(
ごゐ
)
はこの通り
可也
(
かなり
)
混乱を生じてゐる。
続文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼はソッと懐中電燈を
点
(
とも
)
して、
検
(
しら
)
べて見ますと、それは
可也
(
かなり
)
大きな木の節で、半分以上まわりの板から離れているのですが、あとの半分で、やっとつながり、危く節穴になるのを免れたものでした。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
けれども含芳の顔を見た時、理智的には彼女の心もちを
可也
(
かなり
)
はっきりと了解した。彼女は
耳環
(
みみわ
)
を震わせながら、テエブルのかげになった膝の上に
手巾
(
ハンケチ
)
を結んだり解いたりしていた。
湖南の扇
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この辺の心理は
可也
(
かなり
)
不思議なものだが、併し、昔の物の本などによく例がある、つまり、それは、
何人
(
なんぴと
)
とも分らぬ男との、
夜毎
(
よごと
)
の
逢瀬
(
おうせ
)
は、恐らく、彼女にとって、一つのお
伽噺
(
とぎばなし
)
であったのであろうか。
一人二役
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
我々は一しよに大学前の
一白舎
(
いつぱくしや
)
の二階へ行つて、
曹達水
(
ソオダすゐ
)
に二十銭の弁当を食つた。食ひながらいろんな事を弁じ合つた。自分と成瀬との間には、
可也
(
かなり
)
懸隔
(
かけへだ
)
てのない友情が通つてゐた。
あの頃の自分の事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
可也
(
かなり
)
遠方へ
使
(
つかい
)
に出されたというではないか。
灰神楽
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
上り列車に間に合ふかどうかは
可也
(
かなり
)
怪しいのに違ひなかつた。自動車には丁度僕の外に或理髪店の主人も乗り合せてゐた。彼は
棗
(
なつめ
)
のやうにまるまると肥つた、短い
顋髯
(
あごひげ
)
の持ち主だつた。
歯車
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
上り列車に間に合うかどうかは
可也
(
かなり
)
怪しいのに違いなかった。自動車には丁度僕の外に或理髪店の主人も乗り合せていた。彼は
棗
(
なつめ
)
のようにまるまると肥った、短い
顋髯
(
あごひげ
)
の持ち主だった。
歯車
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
可
常用漢字
小5
部首:⼝
5画
也
漢検準1級
部首:⼄
3画
“可”で始まる語句
可
可笑
可愛
可憐
可哀
可恐
可厭
可怪
可成
可惜