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勃然
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ぼつぜん
ふりがな文庫
“
勃然
(
ぼつぜん
)” の例文
憮然
(
ぶぜん
)
として痛嘆する孔明の呟きを聞くと、
馬謖
(
ばしょく
)
は日頃の馴れた心を
勃然
(
ぼつぜん
)
と呼び起して、その面にかっと血の色をみなぎらして叫んだ。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
勃然
(
ぼつぜん
)
と平八の胸の中へ、怒りの燃えたのは無理ではなかろう。「よし、こうなれば意地ずくだ。どんなことをしても捉えてみせる!」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
これ即ち明治大帝の大なるゆえんで、東洋諸国から日本が全く軽蔑されず、独立して
勃然
(
ぼつぜん
)
と帝国の新運命を開くに至ったゆえんである。
吾人の文明運動
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
言葉は柔かいが、平次の胸の中には、
勃然
(
ぼつぜん
)
として、命がけの決心が
定
(
きま
)
ったようです。後ろ指をさされるような心持で、そのまま外へ——。
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
反絵の顔は
勃然
(
ぼつぜん
)
として
朱
(
しゅ
)
を浮べると、彼の
拳
(
こぶし
)
は反耶の
角髪
(
みずら
)
を打って鳴っていた。反耶は頭をかかえて倒れながら宿禰を呼んだ。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
▼ もっと見る
勃然
(
ぼつぜん
)
としてその
深奥
(
しんおう
)
にして
窺知
(
きち
)
すべからざる、巧妙なる、美妙なる、奇妙なる、霊妙なる、麗質を、惜気もなく発揚し
了
(
おわ
)
った。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
され共東天
漸
(
やうや
)
く白く夜光全く
去
(
さ
)
り、清冷の水は俗界の
塵
(
ちり
)
を去り
黛緑
(
たいりよく
)
の山は
笑
(
えみ
)
を
含
(
ふく
)
んて迎ふるを見れば、
勇気
(
いうき
)
勃然
(
ぼつぜん
)
為めに過去の
辛苦
(
しんく
)
を一
掃
(
そう
)
せしむ。
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
それと同時に、必死の力を極めてはね起きようとするから、田山白雲がまた
勃然
(
ぼつぜん
)
と怒りを発し、おさえつけてブンなぐる。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
帝
勃然
(
ぼつぜん
)
として声を大にして曰く、汝いずくんぞ
能
(
よ
)
く
遽
(
にわか
)
に死するを得んや、たとえ死するとも、独り九族を顧みざるやと。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
神谷は一瞬間ためらっていたが、
勃然
(
ぼつぜん
)
と
湧
(
わ
)
き上がる
憎悪
(
ぞうお
)
にわれをわすれて、庭に飛びおりると、身構えをして、縁の下を覗き込みながら、どなりつけた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
若旦那
(
わかだんな
)
勃然
(
ぼつぜん
)
として
怒
(
おこ
)
るまいか。あと
退
(
じさ
)
りに
跳返
(
はねかへ
)
つた、
中戸口
(
なかどぐち
)
から、
眞暗
(
まつくら
)
に
成
(
な
)
つて
躍込
(
をどりこ
)
んだが、
部屋
(
へや
)
の
扉
(
と
)
の
外
(
そと
)
に
震
(
ふる
)
へる
釘
(
くぎ
)
の
如
(
ごと
)
くに
突立
(
つツた
)
つて、
拳
(
こぶし
)
を
握
(
にぎ
)
りながら
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そして
可愛
(
かわい
)
い初孫の顔を見た瞬間に、
勃然
(
ぼつぜん
)
として心の底に人間の弱さをおぼえた風間老看守の心境も、なんだか、わかるような気がしきりにし始めるのだった。
灯台鬼
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
勃然
(
ぼつぜん
)
として焼くような
嫉妬
(
しっと
)
が葉子の胸の中に堅く
凝
(
こご
)
りついて来た。葉子はすり寄っておどおどしている岡の手を力強く握りしめた。葉子の手は氷のように冷たかった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それからは例の
妄想
(
もうそう
)
が
勃然
(
ぼつぜん
)
と首を
擡
(
もた
)
げて抑えても抑え切れぬようになり、
種々
(
さまざま
)
の
取留
(
とりとめ
)
も無い事が続々胸に浮んで、遂には
総
(
すべ
)
てこの頃の事は皆文三の疑心から出た暗鬼で
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
言う下から、あちらの街々、こちらの街々に、
勃然
(
ぼつぜん
)
として活気づいたその声が揚がりました。
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
こんな奴に、ばかにされてたまるか、という野蛮な、動物的な格闘意識が
勃然
(
ぼつぜん
)
と目ざめ、とかく
怯弱
(
きょうじゃく
)
な私を、そんなにも
敏捷
(
びんしょう
)
に、ほとんど
奇蹟
(
きせき
)
的なくらい頑強に行動させた。
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そして、そのあとから彼の純情が
勃然
(
ぼつぜん
)
として
湧
(
わ
)
き上がってきた。彼女とともに罪に立とう!
或る嬰児殺しの動機
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
斯
(
かく
)
の如く脩辞の問題盛んなると同時に美術的の文学(即ち狭義の文学)は
勃然
(
ぼつぜん
)
として起り来れり。
蓋
(
けだ
)
し脩辞を以て
直
(
たゞ
)
ちに文学の全躰なりとするものは未だ文学を解せざる者なり。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
勃然
(
ぼつぜん
)
たる眉つきであった。かれにすれば、それでも寧ろ云い足りなかったのである。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
家にある泰軒先生が一日じゅう蒲団をかぶって奇策練想に余念のないごとく、
優
(
ゆう
)
にやさしいべに絵売り栄三郎の胸中にも最近闘気
勃然
(
ぼつぜん
)
としてようやくおさえがたきものが鬱積していた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
石川数正が帰って来て、しきりに秀吉の大気や、大坂築城の
経綸
(
けいりん
)
の大を
称
(
たた
)
えたので、家中の反感は、却って
勃然
(
ぼつぜん
)
たるものを現わし
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
言葉は柔かいが、平次の胸の中には、
勃然
(
ぼつぜん
)
として、命がけの決心が
定
(
きま
)
ったようです。後ろ指をさされるような心持で、そのまま外へ——。
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ここにおいて白雲は
勃然
(
ぼつぜん
)
として怒り、この毛唐味なまねをやる、そんならばひとつ、天真神揚流の奥の手を出して……と本気になってかかりました。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
余りいつまでも打たれている
中
(
うち
)
に
障
(
ささ
)
えることの出来ない
怒
(
いかり
)
が
勃然
(
ぼつぜん
)
として
骨々
(
ほねぼね
)
節々
(
ふしぶし
)
の中から起って来たので、もうこれまでと源三は
抵抗
(
ていこう
)
しようとしかけた時
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
今度は
持前
(
もちまえ
)
の好奇心が
勃然
(
ぼつぜん
)
として湧き上り、河野と共に、私達だけの材料によって、犯人の捜索をやって見ようという、大それた願いをすら起すのでした。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
こんな事は前例が
嘗
(
かつ
)
てない。
勃然
(
ぼつぜん
)
としていきり立つた従者が、づか/\石垣を横に
擦
(
す
)
つて、
脇鞍
(
わきぐら
)
に
踏張
(
ふんば
)
つて
雨ばけ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
まざまざとした
煩悩
(
ぼんのう
)
が
勃然
(
ぼつぜん
)
としてその歯がみした物すごい
鎌首
(
かまくび
)
をきっともたげるのだった。それもよし。近くいても看視のきかないのを利用したくば思うさま利用するがいい。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
其傍に
光輝
(
こうき
)
燦爛
(
さんらん
)
たるものあるを
見
(
み
)
しものありと、此等の
迷霧
(
めいむ
)
を
霽
(
はら
)
さしめんとの
志
(
こころざし
)
は一行の胸中に
勃然
(
ぼつぜん
)
たり、
此挙
(
このきよ
)
や数年前より
県庁内
(
けんちやうない
)
に於て
行
(
おこな
)
はんとの
議
(
ぎ
)
ありしも
常
(
つね
)
に
其機
(
そのき
)
を得ず
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
きくや、退屈男の江戸魂は、公私二つの義憤から
勃然
(
ぼつぜん
)
として燃え上がりました。
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
それを聞くと仮面の城主は、
勃然
(
ぼつぜん
)
怒りの身振るいをしたが
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「彼こそ、この際、断じて死刑に処されなければいかん」とは、彼の大を知る反対側の他宗において、
勃然
(
ぼつぜん
)
と
揚
(
あが
)
っている気勢であった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今度は一言でまた寝返りを打って、あちらを向いてしまいましたから、米友が
勃然
(
ぼつぜん
)
として怒りをなしました。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
猛烈な闘争心が、
武者顫
(
むしゃぶる
)
いになって八五郎の五体を走ると、役目柄の勇気が、
勃然
(
ぼつぜん
)
として奮い起ります。
銭形平次捕物控:126 辻斬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼
(
かの
)
邦
(
くに
)
の制、天子の
屋
(
おく
)
は、
葺
(
ふ
)
くに
黄瓦
(
こうが
)
を以てす、旧瓦は用無し、まさに黄なるに
易
(
かわ
)
るべし、といえる道衍が一語は、時に取っての活人剣、燕王宮中の士気をして、
勃然
(
ぼつぜん
)
凛然
(
りんぜん
)
、
糾々然
(
きゅうきゅうぜん
)
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
無念の情は
勃然
(
ぼつぜん
)
として起これり。
繊弱
(
かよわ
)
き
女子
(
おんな
)
の身なりしことの
口惜
(
くちお
)
しさ!
男子
(
おとこ
)
にてあらましかばなど、言い
効
(
がい
)
もなき
意気地
(
いくじ
)
なさを
憶
(
おも
)
い出でて、しばしはその恨めしき地を去るに忍びざりき。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
勃然
(
ぼつぜん
)
として道弥がうなだれていた面をあげると、きびしく制して叱った。
老中の眼鏡
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
憤怒
(
いかり
)
が
勃然
(
ぼつぜん
)
と左門の胸へ燃え上がった。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
が、そのまま冷却できるような薄い
血
(
ち
)
の
気
(
け
)
ではない。しばらくするとその沈黙は
勃然
(
ぼつぜん
)
とここ数旬にもなかった危険な形相をおびて爆発した。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次は
勃然
(
ぼつぜん
)
として起き上りました。此間からの行がかりで、何んか變つた事が起らなければ宜いがと思つて居る矢先、お半の自害は聽きのがしにならなかつたのです。
銭形平次捕物控:182 尼が紅
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
勃然
(
ぼつぜん
)
として、宇治山田の米友がタンカを切りにかかると、武士たるものが
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
勃然
(
ぼつぜん
)
と復讐の念が湧いた。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
まわりにいた部将たちは、馬をとび降りて、
曲者
(
くせもの
)
を捕えにどっと駈けたが、かれらよりは、市民たちのほうが
勃然
(
ぼつぜん
)
と一致して
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次は
勃然
(
ぼつぜん
)
として起き上りました。この間からの行がかりで、なんか変った事が起らなければいいがと思っている矢先、お半の自害は聴きのがしにならなかったのです。
銭形平次捕物控:182 尼が紅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
自分がいま沈み入ったところの海の中を見入りながら、あわただしく息をきって、後生大事に浮袋にしがみつき、そうして暫くしてまた
勃然
(
ぼつぜん
)
として、海の中に没入して姿を見せないでいるかと思うと
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
後図
(
こうと
)
をいかにすべきやなど考えているいとまもなかった。身は中国にあるが、
勃然
(
ぼつぜん
)
、心はすでに敵明智光秀へ向き直っていた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
石田清左衞門は
勃然
(
ぼつぜん
)
として立上がりました。何をやり出す氣かわかりませんが、日頃温良な人物だけに、思ひ詰めた氣魄の凄まじさは、却つて近寄り難いものがあります。
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
竜之助は
勃然
(
ぼつぜん
)
として半身を起し、封を切って読むと
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
勃然
(
ぼつぜん
)
たる彼の一声のもとに、武者隠しに
潜
(
ひそ
)
んでいた家士十数名が、いちどに躍り
出
(
い
)
で、うむをいわせず、戴宗をからめ伏せた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
石田清左衛門は
勃然
(
ぼつぜん
)
として立上がりました。何をやり出す気かわかりませんが、日頃温良な人物だけに、思い詰めた気込みの凄まじさは、かえって近寄り難いものがあります。
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
勃然
(
ぼつぜん
)
、手に
唾
(
つば
)
して、小鳥網へかかった物でも捕るように、「今は」とばかり、彼の非情が、
酷
(
むご
)
さをほしいままにしたものとは、うなずかれる。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
勃
常用漢字
中学
部首:⼒
9画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“勃”で始まる語句
勃発
勃興
勃々
勃
勃起
勃気
勃々然
勃士敦
勃興的
勃乎