こゞ)” の例文
坂路さかみちおほとうさんのむらでは、氷滑こほりすべりの出來でき塲所ばしよさきにありました。むら子供こどもはみな鳶口とびぐちつてこゞつた坂路さかみちすべりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
一年ほど前から此邊をねぐらにして居る三十男、のんびりした江戸の世界には、よく斯う言つた屑のやうな人間がゑもこゞえもせずに存在して居たのです。
まるでつめたい風が窓から追ひ出して了ひはしないかと、こゞえかけた小鳥を引留めて可愛がると云つた樂しみなのだ。
聖地の門をめぐりながら、よるとなく白日ひるとなく、蜜蜂すがるよ。いつか門は十字に閉され、花々は霜にこゞえた。蜜蜂よ。
希臘十字 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
人間にんげんをかうやつといたら、ゑもこゞゑもしやうけれど、けだものでござりますからいまなが御覧ごらうじまし、此奴こいつはもうけつしてひもじいふことはござりませぬから
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
で、身體からだひどこゞえてしまつたので、詮方せんかたなく、夕方ゆふがたになるのをつて、こツそりと自分じぶんへやにはしのたものゝ、夜明よあけまで身動みうごきもせず、へや眞中まんなかつてゐた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
われこれに目をとむれば、夜のこゞえしむる身に力をつくる日のごとくわが目その舌をかろくし 一〇—
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
客は煖炉の側に寄つて、こゞえた指で不細工にシヨオルの結目を解いて、それから帽の革紐を解いた。
捨る覺悟かくごなれども今こゝ阿容々々おめ/\凍死こゞえしなんは殘念なり人家じんかは無事かとこゞえし足をひきながらはるか向ふの方に人家らしきところの有を見付みつけたれば吉兵衞是に力を艱苦かんくしのび其處を目當にゆき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
表街おもてまちの人道にてこそすなをもけ、すきをも揮へ、クロステル街のあたりは凸凹とつあふ坎坷かんかの処は見ゆめれど、表のみは一面に氷りて、朝に戸を開けば飢ゑこゞえし雀の落ちて死にたるも哀れなり。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
賊の一人は火をその坐のめぐりに添へて、大母よ、汝はこゞゆるならんといひき。
○かくてそのつまは母もし子どもゝかしたれば、この雪あれにをつとはさこそこゞえ玉ふらめ、ゆきむかへてつれかへらんと、みのにみの帽子ばうしをかふり、松明たいまつをてらし、ほかに二本を用意よういしてこしにさし
あまりにはやく冷えてこゞれば霰の玉しら玉のごともころげたりけり
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
深夜の雪道にこゞえてや、婦人の声の打ちふるひて聞えぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
開けば飢ゑこゞえし雀の落ちて死にたるも哀れなり云々
舞姫 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
あんたこゞえ死ぬところだつたのよ
こゞえてしば/\筆の落んとす
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
つもつたゆきこゞつたつちうへあつめて、それを下駄げたでこするうちには、しろいタヽキのやうなみち出來上できあがります。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「サア、こゞえ死ぬほど寒くはないし、餓死がししたにしてはよく肥つて居るし、——矢つ張り急病でせうな」
顔を剥き出しにして一分間この寒い空気に当つてゐると、頬か鼻かがこゞえてしまふ危険がある。犬も、蹄の音の聞える方角へ向いて吠え続けながら、己に付いて降りて来た。
そしてまたこゞえて死んで行くことは人間として迚も默つて服從することが出來ない運命であるからだ。おゝ神さま! どうか私をもう暫くまもり給へ! 助け給へ! 導き給へ!
これを見るよりむねせまり、たいまつこゝにやけおちてつなをやきゝり、たなおちてをつと深淵ふかきふちしづみたるにうたがひなし、いかにおよぎをしり給ふとも闇夜くらきよ早瀬はやせにおちて手足てあしこゞたすかり玉ふべき便よすがはあらじ。
なさけで、ゑず、こゞえず、しか安心あんしんして寢床ねどこはひることが出來できた。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
感冒かぜなひきそよ朝はつめたき鼻のさきひとりこゞえて春を待つ間に
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さういふたび子供同志こどもどうしげるわらごゑくのもたのしみでした。自分じぶん着物きものについたゆきをはらつてまたすべりにくのもたのしみでした。どうかするとこゞつてかゞみのやうにひかつてます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
總髮そうはつに汚ない袷、尻が拔けて膝が拔けて、それを晴着にも寢卷にもしようといふ徹底振り、江戸といふ時代には、こんなにまで落ち果て乍ら、ゑもこゞえもせずに、店賃たなちんを三年も溜めて
きつとあなたのお手は寒いのでこゞえてゐらつしやるにきまつてをりますもの。リアや、熱いニィガスを少しこしらへて、サンドヰッチを一きれか二きれ切つて來て下さい。貯藏室の鍵はこゝにあります。
路次の霜に桃色うすき鼠子のこゞえし尻尾つまみつればあはれ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
はしこゞる鶴の一羽は見上げたり雪霙らふ空の暗みを
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)