トップ
>
内々
>
ないない
ふりがな文庫
“
内々
(
ないない
)” の例文
……俺は小さい時から一種の精神異状者に生れ付いているのじゃないか知らん……なぞと
内々
(
ないない
)
で気を付けるようになったものである。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「おッ母さんもね、
内々
(
ないない
)
心配していただよ。ひどいことを言うって、どんなこと言うのかい。それで男親は悪い顔もしないかい」
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「かうなつちや經費が溜らん。」と、父は
零
(
こぼ
)
してゐたが、避病院を島へ建てたことを、祖母などに向つて
内々
(
ないない
)
で後悔してゐた。
避病院
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
朱子
(
しゅし
)
の
註
(
ちゅう
)
に
拠
(
よ
)
って論語を講釈するのを聞いたより外、なんの智識もないのだが、頭の好い人なので、これを読んだ後に
内々
(
ないない
)
自ら
省
(
かえり
)
みて見た。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
しかしお約束を忘れてはならないのですから、腹の中では、今に何か
云
(
い
)
って来られるだろう来られるだろうと思って、
内々
(
ないない
)
は
怖
(
こわ
)
がっていました。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
これは本名を
鳥居圭三
(
とりいけいぞう
)
という三十五にもなる男でカフェ・ネオンの
現業員
(
げんぎょういん
)
の中でも最年長者なのだ。こいつは、
内々
(
ないない
)
春ちゃんに気があるらしい。
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
白妙
唯
(
ただ
)
一人、(でも。)とか申して、
内々
(
ないない
)
思ひをほのめかす、大島守は勝手が違ふ上に、おのれ
容色
(
きりょう
)
自慢だけに、いまだ
無理口説
(
むりくどき
)
をせずに
居
(
お
)
る。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
兄上に見とがめられなくても、
内々
(
ないない
)
、
嫂上
(
あねうえ
)
に相談して力になって頂こうと思い定めていたのに、その前に見つかって早速叱られてしまいましたよ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
今では御本丸へ出仕するような身分になっているのを幸い、是非にもと
縋付
(
すがりつ
)
いて
極
(
ごく
)
内々
(
ないない
)
に面会を請うた次第であった。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
大神
(
おおかみ
)
もこれには
内々
(
ないない
)
びっくりしておしまいになりまして、しかたなくいっしょに
御殿
(
ごてん
)
へおかえりになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「それを聞いてわたしも安心しました。馬籠から中津川の方へ無事に浪士を落としてやることですね、福島の旦那様も
内々
(
ないない
)
はそれを望んでいるんですよ。」
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
おとらが
内々
(
ないない
)
お島の婿にしようと企てているらしい或若い男の兄が、その頃おとらのところへ
入浸
(
いりびた
)
っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
疑っていたのだよ。
内々
(
ないない
)
スリを働いているんじゃないかとね。ハハハハハ滑稽だね、それで遠慮をして、その後逢った時にも、
態
(
わざ
)
とそのことを話さなんだのさ
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
権力の下ではしかたがないと、泣き寝入りにしている人もあるというが、秀吉のわるさや、好奇心では、
内々
(
ないない
)
いろんな噂がある。忠興は、それをよく知っている。
日本名婦伝:細川ガラシヤ夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お登和お登和と女房らしく
呼棄
(
よびすて
)
になさるのは
内々
(
ないない
)
その美人に野心があるのですね。そうに
違
(
ちがい
)
ありません。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
ですから犬が死んだ時には、そりゃ御新造には御気の毒でしたが、こちらは
内々
(
ないない
)
ほっとしたもんです。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
は、御意にござります、万事お申しつけ通りに、極めて
内々
(
ないない
)
に取計らい仕りました、今日、現品を
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
実は、極く
内々
(
ないない
)
の話だが、今でこそ私は腰弁当と人の数にも
算
(
かず
)
まえられぬ
果敢
(
はか
)
ない身の上だが、昔は是れでも何の
某
(
なにがし
)
といや、或るサークルでは
一寸
(
ちょっと
)
名の知れた文士だった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
大方そんなことぢやあないかと
内々
(
ないない
)
あやぶんでゐたんですが、今更どうにも仕様がありません。
赤い杭
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
出抜
(
だしぬ
)
けに蘭学の修業に参りたいと願書を出すと、懇意なその筋の人が
内々
(
ないない
)
知らせて
呉
(
く
)
れるに
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
尋常の人は遺言をしても、
内々
(
ないない
)
は前途にある死を恐れながら書いている。それではいけない。それに書くものは、目で見たり手で
掴
(
つか
)
んだりするようなものを材料にしたくない。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
「そうさ二里位遅れて居るかも知れぬ。」「実はこの間からあなたに
内々
(
ないない
)
申し上げたいと思って居った事ですが、実は彼の二人の荷持はあなたの身にとっては恐ろしい人です。 ...
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
それでも
神様
(
かみさま
)
の
方
(
ほう
)
では、
格別
(
かくべつ
)
お
怒
(
いか
)
りにもならず、
内々
(
ないない
)
姫
(
ひい
)
さまのところをお
調
(
しら
)
べになって
居
(
お
)
られたものと
見
(
み
)
えまして、
今度
(
こんど
)
いよいよ
時節
(
じせつ
)
が
来
(
き
)
たとなりますと、
御自身
(
ごじしん
)
で
私
(
わたくし
)
を
案内
(
あんない
)
して
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「これから、一人一人に
内々
(
ないない
)
で訊きたい。まずお越だけ、お勝手へ来て貰いたいが」
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこでおれは時々自分の家で飲む時には必らず今の太郎坊と、太郎坊よりは小さかった次郎坊とを二ツならべて、その娘と
相酌
(
あいじゃく
)
でもして飲むような心持で
内々
(
ないない
)
人知らぬ楽みをしていた。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「いいえ。わたくしはほんとに、若松屋惣七から参ったのでございます。ちょっと
内々
(
ないない
)
で、お耳に入れておきたいことがございまして——わたくしは、若松屋惣七の女番頭でございます」
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
岩崎
三井
(
みつい
)
にも少々融通してやるよう相成るべきかと
内々
(
ないない
)
楽しみにいたしおり候
初孫
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
どこへでも二人が並んで顔を出すと、人が皆
囁
(
ささや
)
き合う。男はしっかりして
危
(
あやう
)
げがなく、気力が
溢
(
あふ
)
れて人を
凌
(
しの
)
いで行く。女はすらりとして、
内々
(
ないない
)
少し太り掛けていると云う風の体附きである。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
号外が最う刷れてるんだが、海軍省が沈黙しているから出す事が出来んで
焦
(
じ
)
り焦りしている。尤も今日は多分夕方までには発表するだろうと思うが、近所まで用達しに来たから
内々
(
ないない
)
密
(
そっ
)
と
洩
(
も
)
らしに来た。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
困らぬように
内々
(
ないない
)
面倒は見てやられるのだとも聞いていた。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
支那海まで進出して宜しいという鼻息を、総督から
内々
(
ないない
)
で吹き込まれた……というと実に素晴らしい、堂々たる事業に相違ない。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
先生の細君はこう言ったら、お冬さんはきっと弟の方がいいというに違いないと、
内々
(
ないない
)
心の中ではそう思っていた。
噂ばなし
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ですが、唯今は、ほんのこれは
内々
(
ないない
)
の下見なので。……後に御披露の上、皆さんにおいでを願う筈に成っています。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
徳川幕府あって以来いまだかつて聞いたこともないような、公儀の
御金蔵
(
おかねぐら
)
がすでにからっぽになっているという
内々
(
ないない
)
の取り
沙汰
(
ざた
)
なぞが、その時、胸に浮かんだ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ただ従兄の父親だけは——つまりあたしの
叔父
(
おじ
)
だわね。叔父だけは
嫁
(
よめ
)
に貰いたいのよ。それも表向きには云われないものだから、
内々
(
ないない
)
あたしへ当って見るんでしょう。
文放古
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「遠くて近きは何とやらだよ。この上は隣の
武大
(
ぶだ
)
に知れないよう、頼むは神様仏様、次いでは王婆様々だ。今日だけでなく極く
内々
(
ないない
)
に、この後の首尾もひとつたのむぜ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
祖母も其は然う思わぬでもないから、
内々
(
ないない
)
自分が無理だと思うだけに激する、言葉が荒くなる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その時の一体の事情を申せば、前に申した通り、私は十二、三年間、夜分外出しないと云う時分で、最も
自
(
みず
)
から
警
(
いまし
)
めて、
内々
(
ないない
)
刀にも心を用い、
能
(
よ
)
く
研
(
と
)
がせて
斬
(
き
)
れるようにして居ます。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ほんとうに
神隠
(
かみかく
)
しにでも逢った様な気がします。警察の
方
(
ほう
)
も
内々
(
ないない
)
で捜索を願ってあるんですし、主人を始め出入の方も手分けをして
方々
(
ほうぼう
)
探しているのですけれど、まるで手がかりがありません。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
親分さんに少し
内々
(
ないない
)
で申し上げて置きたいことがございますが……。
半七捕物帳:35 半七先生
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
親戚
(
しんせき
)
の、
幼馴染
(
おさななじみ
)
の
一人
(
ひとり
)
の
若人
(
わこうど
)
……
世間
(
せけん
)
によくあることでございますが、
敦子
(
あつこ
)
さまは
早
(
はや
)
くから
右
(
みぎ
)
の
若人
(
わこうど
)
と
思
(
おも
)
い
思
(
おも
)
われる
仲
(
なか
)
になり、
末
(
すえ
)
は
夫婦
(
めおと
)
と、
内々
(
ないない
)
二人
(
ふたり
)
の
間
(
あいだ
)
に
堅
(
かた
)
い
約束
(
やくそく
)
ができていたのでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「
内々
(
ないない
)
にお願い申上げたいことがございます、お人払いを——」
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
今日は大統領の意向、ならびにかねて申し上げ置き候英国政府の
思惑
(
おもわく
)
、
内々
(
ないない
)
に申し上げ候儀に御座候。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
こちらは
鼻蔵
(
はなくら
)
の
恵印法師
(
えいんほうし
)
で、『三月三日この池より竜昇らんずるなり』の建札が大評判になるにつけ、
内々
(
ないない
)
あの大鼻をうごめかしては、にやにや笑って居りましたが
竜
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
すぐ
河向
(
かわむこう
)
の
須賀町
(
すがちょう
)
なので、
内々
(
ないない
)
様子をききに行ったのだと言うので、「そんなら早くそう言やアいいのに。」とわたしは百円札を並べて見せ、証文は
丸抱
(
まるがかえ
)
の八百円というのだから
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「何、まあね、
何
(
ど
)
うぞこれを打つことのないやうにと、
内々
(
ないない
)
祈つて居るんだよ。」
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
さればこそ、
内々
(
ないない
)
、尊氏から切に、神器のお譲り渡しをおねがい申し出てあるのだ。さる折に、そちが事をこわしては困るではないか。……さっそくに、
御待遇
(
ごたいぐう
)
を、
弛
(
ゆる
)
やかにあらためろ。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何本でもみんな製薬用にして返さぬと云うのだから、酒屋でも少し変に
思
(
おもっ
)
たと見え、
内々
(
ないない
)
塾僕に
聞合
(
ききあわ
)
せると、この
節
(
せつ
)
書生さんは
中実
(
なかみ
)
の酒よりも徳利の方に用があると云うので、酒屋は大に驚き
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
私は
内々
(
ないない
)
其を心待にしていて、来ると急いで部屋を出て椽側を
彷徨
(
うろつ
)
く。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
大きい町人の中には、
内々
(
ないない
)
米の買い占めをやってるものがあるなんて、そんな評判も立ちましたからね。まあ、この一揆を掘って見たら、いろいろなものが出て来ましょう。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
内
常用漢字
小2
部首:⼌
4画
々
3画
“内”で始まる語句
内
内儀
内部
内証
内外
内裏
内證
内密
内輪
内容