兩眼りやうがん)” の例文
新字:両眼
是等これらの隆まりにて界されたる中に兩眼りやうがんと鼻と口との存するを見れば、土偶は頭巾づきんの前部より面のあらはれたる形につくられ有るが如し。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
爾時そのときであつた。あの四谷見附よつやみつけやぐらは、まどをはめたやうな兩眼りやうがんみひらいて、てんちうする、素裸すはだかかたちへんじた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
甲板かんぱん其處此處そここゝには水兵すいへい一群いちぐん二群にぐん、ひそ/\とかたるもあり、たのわらふもあり。武村兵曹たけむらへいそう兩眼りやうがんをまんまるにして
過去くわこことおもすものは、兩眼りやうがんくじつてしまひませう。リユバフキン!』と、かれ大聲おほごゑたれかをぶ。郵便局いうびんきよく役員やくゐんも、來合きあはしてゐた人々ひと/″\も、一せい吃驚びつくりする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
刺槐はりゑんじゆよ、い匂がして、ちくちくしてくれるのが愛のたはむれなら、後生ごしやうだ、わたしの兩眼りやうがんりぬいておくれ、さうしたら、おまへの爪の皮肉も見えなくなるだらう。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
からすあらそふとものがるゝことはかなはずすみやかに白状せよとさとされければ大膽無類の長庵も最早もはやかなはじとや思ひけん見る中に髮髯かみひげ逆立さかだち兩眼りやうがんそゝ惡鬼羅刹あくきらせつの如きおもて振上ふりあげ一同の者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
グリフォンはすわみ、兩眼りやうがんこすつて、えなくなるまで女王樣ぢよわうさま見戍みまもり、それから得意とくいげに微笑ほゝゑみました。『なん滑稽こつけいな!』とグリフォンは、なか自分じぶんに、なかあいちやんにひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
はゝかさねて『でもわたしには人形にんぎやうかほえる』うですな、これが眉毛まゆげで、これのしたがあるといのですが』とひつゝ、小揚子こやうじでツヽくと、つちが、ポロリとちて、兩眼りやうがんひらいた。
まぶた、眶、薄うつぶつた眶を突いて、きゆつとぐつて兩眼りやうがんあける。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
是等これら土偶の素面ならざる事は面部輪廓の隆まりと兩眼りやうがん及び口の部の異形いけいとに由つて推知すゐちするを得れど、一
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
ほゝにく引掴ひツつかんで、口惜涙くやしなみだ無念むねんなみだ慚愧ざんきなみだせんずれば、たゞ/\最惜いとをしさのなみだはては、おなじおもひを一所いつしよにしようと、われらこれまたとほり、兩眼りやうがんわれ我手わがて
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
めた、箝めたよ、兩眼りやうがんめた…………
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
感じ悦び夜と共に物語りしてやすみける城富もひるつかれによく寢入ねいりし夢の中に身のたけ六尺ばかりの大のをとこ兩眼りやうがん大きくかみひげ蓬々ぼう/″\と亂れいとあやし氣なる有樣にて悠々のさ/\枕邊まくらべへ來る故夢心に城富は吃驚びつくりしける處に彼の男城富に向ひて若し/\御座頭おざとう樣何の由縁ゆかりもない私しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
兩眼りやうがんの部には恐らく小孔有りて此所ここより外界をうかがふを得る樣に成し有りしならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
まい、まいの逆上うはずつて、もののえるはのあるため、となんとかまをくすりを、まくらをかいもの、仰向あをむけに、かみしばつたなか點滴したゝらして、兩眼りやうがんを、めくらにした、とふのであります。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かほげさした……トが、つぶれました。へい、いえ、をんな兩眼りやうがんで。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)