“余裕:よゆう” の例文
“余裕:よゆう”を含む作品の著者(上位)作品数
芥川竜之介5
海野十三5
中里介山3
吉川英治3
夏目漱石3
“余裕:よゆう”を含む作品のジャンル比率
哲学 > 倫理学・道徳 > 人生訓・教訓12.5%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.7%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)0.5%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
けれども事が余り意外なので、すぐ挨拶あいさつをする余裕よゆうも出ず少しはあっけに取られた気味で、ぼんやりしていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかしまだ一カ月も余裕よゆうがあるから、その間にどうかなるだろうと思って、よろしゅうございますとまたご返事を致しました。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
だんだん露がってしもになる時節なので、余裕よゆうのあるものは、もう今時分から手廻しをするのだと気がついた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼に転宿する余裕よゆうありしゆえ、心の独立を失わなかったが、この余力なき人はますます根性こんじょう卑屈ひくつとなる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
なかでも忍剣にんけんは、疲れたさまもなく、なお、綽々しゃくしゃくたる余裕よゆう禅杖ぜんじょうに見せながら、
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は、痛々しい自分の頭の包帯ほうたいにびっくりしてしまって、とうとう自分の顔から自分の若さを読みとる余裕よゆうがなかった。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
だが、息づまるような今までの気持からいくらか余裕よゆうをつけようとして、小初はもう一度放水路の方を見やった。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
政治問題を検討したり実践したりする余裕よゆうも関心も少ないし、支配や行政に必要な特別の能力も訓練も持たない。
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)
さう云ふことに苦労するのは勿論もちろんかく意味を正確に伝へる文章を作る余裕よゆうさへない。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
美奈子の声は、恥かしさに打ちふるえていたけれども、青年は可なり落着いていた。余裕よゆうのある声だった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
青年はスックと立ち上った。もう美奈子を隔てゝ、話をするほどの余裕よゆうもなくなったのであろう、彼は、激しく瑠璃子の前に詰めよった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
三七日とは、三七二十一日である。その位の日数は、余裕よゆうはあったので、氏長はこの家に逗留することにした。
大力物語 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
百姓はほんの自分の片手間仕事だが、それでもそこにあのがりがり妄者もうじゃどもの知らぬ余裕よゆうがある。
猫八 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
そうしてこう小ぢんまり片づいて暮している須永を軽蔑けいべつすると同時に、閑静ながら余裕よゆうのあるこの友の生活をうらやみもした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すっかり疲れてしまって、今は何を考える余裕よゆうもない。カビ博士が最後に僕にいった「深い事情」の謎も、気にはなるが、まだ解いてはいない。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「やつぱり金だ。すこしでも生活せいくわつ余裕よゆうのつけられるやうな金がしいな。」
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
その上ふところに多少余裕よゆうでもあると、これで一つ豪遊でもしてみようかと考える事もある。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この牡牛のうき彫りが、単なる装飾そうしょくであるのか、それとも何か外に意味があるのか、そのとき八木君には答を出している余裕よゆうがなかった。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
戦場で負傷ふしょうしたきずに手当てをする余裕よゆうがなくてっちゃらかしておくと、化膿かのうしてそれにうじ繁殖はんしょくする。
蛆の効用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
一夜あるよ、清三は石川に手紙を書いた。初めはまじめに書いてみたが、あまり余裕よゆうがないのを自分で感じて、わざと律語りつごに書き直してみた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
十貫を利用して資本力が十五貫にましたなら、その時に十二貫出すと、つねに余裕よゆうたくわえておいてこれをたねとして進みたいと思うのである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
果し合いを明朝に控えて、ともかくも眠っていられるだけの余裕よゆうが竜之助にはあるのです。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
もうまるようにかんじて、そんなことをもかんがえる余裕よゆうもなく、ふたたび野原のはらほうしてんできました。
春がくる前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もっともその瞬間しゅんかん、わたしはほとんど何ひとつ目に留める余裕よゆうがなかった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
それがために胸がいっぱいで、おのれの身分を考える余裕よゆうもありませんでした。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
注意ちゅういするだけのこころ余裕よゆうとてもなかったのでございます。
次郎は、しかし、それを全くのじょうだんだとして受け取る余裕よゆうがなかった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「なあにかけをしているのだよ。」と、ささやくだけの余裕よゆうがありました。
彼の心にはまだ悠々と湯を楽しむほどな余裕よゆうができていないのである。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
覚え書を覚え書のまま発表するのは時間の余裕よゆうに乏しい為である。
次郎は、考える余裕よゆうもなく、すぐ第五室に行って戸をノックした。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
あなたとの友情も、こんなに巫山戯半分で、皆と共々に笑える余裕よゆうがあったなら、あんなに皆からにくまれず、また、ぼくも苦しいおもいをしなくても、済んだ、と思います。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
行燈の油が尽きたのでも火取虫が来たのでもないようであったが、碁に夢中な二人は燈火あかりの消えた原因などを調べている余裕よゆうはなく、再び燈火がつくとそのまま碁を打ちつづける。
おずおずするだけの余裕よゆうさえかれのこころにはなかった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
勿論彼はN氏の言葉を一笑に付する余裕よゆうを持っている。
文章 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いろいろなひとたちが、そのみちうえをばあるいていましたけれど、少年しょうねんには、そのひとたちにこころをとめてみる余裕よゆうもなかったのであります。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひんすれば、その間に罪悪ざいあくが生じて世が乱れるが、めば、余裕よゆうを生じて人間同士の礼節れいせつあつくなり、風俗も良くなり、国民の幸福を招致しょうちすることになる。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「写真をとる余裕よゆうはなかったようです。」
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
何と思う余裕よゆうもござりませぬ。わたくしは傘を斬られると同時に、思わず右へ飛びすさりました。足駄あしだももうその時にはいで居ったようでございまする。と、太刀たちが参りました。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しかし謙信の面にはなお余裕よゆうが見えた。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてまたこのの主人に対して先輩せんぱいたる情愛と貫禄かんろくとをもって臨んでいる綽々しゃくしゃくとして余裕よゆうある態度は、いかにもここの細君をしてその来訪をもとめさせただけのことは有る。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
黄一郎親子は、仮りの避難所である塵箱ごみばこの中に居たたまらず、一と思いに死ぬつもりで蓋を払ったところを、思いがけなく防毒マスクを被されたので「助かるらしい」と感じた外は他をかえりみ余裕よゆうもなかったのだった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
決勝線突入後、他の三国選手が、余裕よゆうを示して、ボオトをランデングに附け、掛声かけごえ勇ましく、頭上高く差し上げたに引き替え、日本選手は決勝線に入ると同時に、精力全く尽き、クルウ全員ぐッたりとオォルの上に突っし、森整調以下
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
何番が売れているのかと、人気を調べるために窓口へ寄っていた人々は、余裕よゆう綽々しゃくしゃくとした寺田の買い方にふと小憎こにくらしくなった顔を見上げるのだったが、そんな時寺田の眼は苛々いらいらと燃えて急にいどかかるようだった。
競馬 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
そうじゃないよきみ、決してそうじゃない、ところできみ、いまの話はどうする、きみはぼくと一緒に中学へ通わないか、ねえきみ、きみはぼくよりもできるんだからね、ぼくの家はきみに学資がくしをだすくらいの余裕よゆうがあるんだ、決して遠慮することはないよ
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
そのようなものをしらべて居る余裕よゆうはないから、捨ててしまおうとは思ったが、事件のあった附近で発見したものだから、何か手懸りになるようなものが見当るかもしれないと思ったので、ポケットからシガレット・ライターを出して、その光の下に改めてみた。
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
川をへだてて、こちらの岸の方のが妹山、向うの岸の方のが背山、———妹背山いもせやま婦女庭訓おんなていきんの作者は、恐らくここの実景に接してあの構想を得たのだろうが、まだこの辺の川幅かわはばは、芝居で見るよりも余裕よゆうがあって、あれほどせまった渓流ではない。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
浅虫にいでゆあるよしなれど、みちなかなればいらずありき、途中とちゅう帽子ぼうしを失いたれどあがなうべき余裕よゆうなければ、洋服には「うつり」あしけれど手拭てぬぐいにて頬冠ほおかぶりしけるに、犬のゆることはなはだしければ自ら無冠むかん太夫たゆうと洒落ぬ。
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)