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げじょ
ふりがな文庫
“
下女
(
げじょ
)” の例文
ある
晩
(
ばん
)
のことです。お
嬢
(
じょう
)
さんは、ふと、いままで
本箱
(
ほんばこ
)
の
上
(
うえ
)
に
置
(
お
)
いた、お
人形
(
にんぎょう
)
のことを
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
していました。そして、
下女
(
げじょ
)
を
呼
(
よ
)
んで
風の寒い世の中へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
まだ床を離れない細君は、手を延ばして彼の枕元から取った
袂時計
(
たもとどけい
)
を眺めていた。
下女
(
げじょ
)
が
俎板
(
まないた
)
の上で何か刻む音が台所の方で聞こえた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その家の
下女
(
げじょ
)
に
行逢
(
ゆきあ
)
いて近状を聞き、(万感万嘆この夜
睡
(
ねむ
)
ることかたし)と書いたのは、彼女の青春二十一歳のことであった。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
細君は
下女
(
げじょ
)
をよんで、自分のひよりげたを
駒
(
こま
)
げたにとりかえさして、
縁端
(
えんばた
)
へ
腰
(
こし
)
をかけた。そうしてげたのあとを
消
(
け
)
してくれ、と下女に
命
(
めい
)
じた。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
優善の移った緑町の家は、
渾名
(
あだな
)
を
鳩
(
はと
)
医者と呼ばれた町医
佐久間
(
さくま
)
某の故宅である。優善は妻
鉄
(
てつ
)
を家に迎え取り、
下女
(
げじょ
)
一人
(
いちにん
)
を雇って三人暮しになった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
また
割烹
(
にたき
)
の法とか育児法とか申す事位は、台所で母や
下女
(
げじょ
)
と相談したり、出入の医者に聞いたり、一、二冊の簡便な書物を読んだりしても解る事です。
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
町
(
まち
)
には、
病院
(
びょういん
)
の
新院長
(
しんいんちょう
)
に
就
(
つ
)
いての
種々
(
いろいろ
)
な
噂
(
うわさ
)
が
立
(
た
)
てられていた。
下女
(
げじょ
)
と
云
(
い
)
う
醜婦
(
しゅうふ
)
が
会計
(
かいけい
)
と
喧嘩
(
けんか
)
をしたとか、
会計
(
かいけい
)
はその
女
(
おんな
)
の
前
(
まえ
)
に
膝
(
ひざ
)
を
折
(
お
)
って
謝罪
(
しゃざい
)
したとか、と。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
主人の松本さん夫婦のほかに、
下女
(
げじょ
)
や
下男
(
げなん
)
や馬……そして、一番奥の洋室に、変なふたり……。
金の目銀の目
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
ぜんたい
捨
(
す
)
て
子
(
ご
)
を引き取るというのは、その
養育料
(
よういくりょう
)
をはらってもらうためではない、
働
(
はたら
)
かせるためなのだ。それから金を取り上げこそすれ、
給金
(
きゅうきん
)
なしの
下男
(
げなん
)
下女
(
げじょ
)
に使うのだ。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
と聞いてみると、
末子
(
すえこ
)
のがあり、
下女
(
げじょ
)
のお
徳
(
とく
)
のがある。いつぞや遠く満州の果てから家をあげて帰国した
親戚
(
しんせき
)
の女の子の
背丈
(
せたけ
)
までもそこに残っている。私の娘も大きくなった。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
午後
(
ひるすぎ
)
は大概不在だろうと思って行ったら、果して留守だった。どうせ書生はいるだろうと思っていたが、此奴もいない。
下女
(
げじょ
)
は頻りと洗濯をしていた。乃公は早速薬室へ通った。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
教育するという事がはたしてわれわれの理想であるとすれば、必ずしも役人となるを要しない。家にいて
下女
(
げじょ
)
下男
(
げなん
)
の教育もできる。また自分の
女房
(
にょうぼう
)
子女を教育することもできる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「あアいや。
下女
(
げじょ
)
めの
粗相
(
そそう
)
、呼んで直させまするで、そのままに、そのままに」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
おばあさんは、
仕事
(
しごと
)
の手つだいに、
下男
(
げなん
)
や
下女
(
げじょ
)
をやとうこともできたでしょう。けれども、じぶんの子どもたちが、おばあさんを残していってしまってからは、身ぢかに
他人
(
たにん
)
を見たくなかったのです。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
下女
(
げじょ
)
も奥さんといっしょに出たのでした。だから
家
(
うち
)
に残っているのは、Kとお嬢さんだけだったのです。私はちょっと首を傾けました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
考えにつかれた
糟谷
(
かすや
)
は、われしらずああ、ああと
嘆声
(
たんせい
)
をもらした。
下女
(
げじょ
)
がおきるなと思ってから、糟谷はわずかに眠った。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
下女
(
げじょ
)
は、
無神経
(
むしんけい
)
に、くずかごを
外
(
そと
)
の
大
(
おお
)
きなごみ
箱
(
ばこ
)
のところへ
持
(
も
)
っていって、すっかりその
箱
(
はこ
)
の
中
(
なか
)
へ
捨
(
す
)
ててしまいました。
風の寒い世の中へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
五百なぞも屋敷住いをして、役人に物を献じ、
傍輩
(
ほうばい
)
に
饗応
(
きょうおう
)
し、衣服調度を
調
(
ととの
)
え、
下女
(
げじょ
)
を使って暮すには、父忠兵衛は
年
(
とし
)
に四百両を費したそうである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そしてその翌朝は、そこのとなりの、新らしく
建増
(
たてま
)
した物置きへ椅子や
卓
(
テーブル
)
を運んでいったのであった。つい隣りの台所では
下女
(
げじょ
)
が
焚
(
た
)
きつけはじめていたということである。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
物
(
もの
)
が
食
(
た
)
べたくなった
時
(
とき
)
には、
何時
(
いつ
)
も
躊躇
(
ちゅうちょ
)
しながら
咳払
(
せきばらい
)
して、そうして
下女
(
げじょ
)
に、
茶
(
ちゃ
)
でも
呑
(
の
)
みたいものだとか、
飯
(
めし
)
にしたいものだとか
云
(
い
)
うのが
常
(
つね
)
である、それ
故
(
ゆえ
)
に
会計係
(
かいけいがかり
)
に
向
(
むか
)
っても
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
やがておまんが二人の
下女
(
げじょ
)
を相手に働いている炉ばたの方へ引き返して行った。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そういう極端な事でなくても、
下女
(
げじょ
)
が台所でちょっと間違えて毒な薬を食物に混ぜても男は悲惨な結果になりましょう。男が女と協同し尊敬し合う事を忘れるのは決して名誉でありません。
産屋物語
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「年が若くって
起居
(
たちい
)
に不自由さえなければ丈夫だと思うんだろう。
門構
(
もんがまえ
)
の
宅
(
うち
)
に住んで
下女
(
げじょ
)
さえ使っていれば金でもあると考えるように」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
竈屋
(
かまや
)
の方では、
下女
(
げじょ
)
が火を焚き始めた。
豆殻
(
まめがら
)
をたくのでパチパチパチ盛んに音がする。鶏もいつのまか降りて羽ばたきする。コウコウ
牝鶏
(
めんどり
)
が鳴く。
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
そのうちに、
下女
(
げじょ
)
が、このへやにはいってきて、あたりをそうじしました。そして、
最後
(
さいご
)
に
机
(
つくえ
)
のそばにあったくずかごを
持
(
も
)
って、はしご
段
(
だん
)
を
降
(
お
)
りてゆきました。
風の寒い世の中へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
下女
(
げじょ
)
と
徇
(
ふ
)
れていた
醜女
(
みにくいおんな
)
ばかりを
伴
(
ともな
)
うて
来
(
き
)
たので、そうしてこの
女
(
おんな
)
には
乳呑児
(
ちのみご
)
があった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
やはりこの
幼
(
おさな
)
い
子供
(
こども
)
の
呼
(
よ
)
びかける
言葉
(
ことば
)
は
親
(
した
)
しいものに
限
(
かぎ
)
られていた。もともと
金之助
(
きんのすけ
)
さんを
袖子
(
そでこ
)
の
家
(
いえ
)
へ、
初
(
はじ
)
めて
抱
(
だ
)
いて
来
(
き
)
て
見
(
み
)
せたのは
下女
(
げじょ
)
のお
初
(
はつ
)
で、お
初
(
はつ
)
の
子煩悩
(
こぼんのう
)
ときたら、
袖子
(
そでこ
)
に
劣
(
おと
)
らなかった。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
健三は
下女
(
げじょ
)
を呼んで茶の間にあるのと取り換えさせようとした。しかし島田は生返事をするぎりで、容易に
煤
(
すす
)
で曇った火屋から眼を離さなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
下女
(
げじょ
)
はだいいちに花前さんはえい人だという。
変人
(
へんじん
)
だといってばかにするのはかわいそうだという。ご
飯
(
はん
)
だといわなければ、けっして
食
(
く
)
いにこない。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
私は上さんから、その家には
未亡人
(
びぼうじん
)
と一人娘と
下女
(
げじょ
)
より
外
(
ほか
)
にいないのだという事を確かめました。私は閑静で
至極
(
しごく
)
好かろうと心の
中
(
うち
)
に思いました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もう
生
(
い
)
きがいのないわたし、あなたが殺されなけりゃわたしが殺す……。こうさけんで母は
奥座敷
(
おくざしき
)
へとび
去
(
さ
)
った。……
礼子
(
れいこ
)
と
下女
(
げじょ
)
は
泣
(
な
)
き
声
(
ごえ
)
あげて
外
(
そと
)
へでた。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
飯
(
めし
)
になった時、奥さんは
傍
(
そば
)
に
坐
(
すわ
)
っている
下女
(
げじょ
)
を次へ立たせて、自分で
給仕
(
きゅうじ
)
の役をつとめた。これが表立たない客に対する先生の家の
仕来
(
しきた
)
りらしかった。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ほとんど人のみさかいもないように見えた
細君
(
さいくん
)
も、
礼子
(
れいこ
)
や
下女
(
げじょ
)
や
増山
(
ますやま
)
の
家内
(
かない
)
から、いろいろなぐさめられていうがままに
床
(
とこ
)
についた。やがて
増山夫婦
(
ますやまふうふ
)
も帰った。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
花前は、けさ
民子
(
たみこ
)
をだいてしばらくあるいておった。細君はもちろん、
若衆
(
わかしゅう
)
をはじめ
下女
(
げじょ
)
までいっせいにふしぎがったとの話である。それは
実際
(
じっさい
)
ふしぎに
相違
(
そうい
)
ない。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
畳もようやく四畳しか置けない。それに夫婦のものと児女三人
下女
(
げじょ
)
一人
(
ひとり
)
、都合六人が住んでいる。手も足も動かせない生活じゃ。立てば頭が天井へつかえる。夜になれば蚊がいる。
水籠
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
“下女”の意味
《名詞》
炊事や雑用などを行う女性の使用人。
(出典:Wiktionary)
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
女
常用漢字
小1
部首:⼥
3画
“下女”で始まる語句
下女部屋
下女奴
下女室