飛脚ひきやく)” の例文
「——その上店のこと萬端取仕切つてゐるをひの吉三郎さんが、大阪へ商賣用で行つてゐるとかで、迎ひの飛脚ひきやくを出す騷ぎでしたよ」
なしたり然るに此時江戸へ出訴しゆつその事組頭くみがしら出府致すべき處種々いろ/\取込とりこみのことあるにより飛脚ひきやくを村方より立ると云を九助は聞込何卒わたくしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はらいたか、げつそりとした風采ふうつき。ひよろりとして飛脚ひきやくあたままへにある椅子いすにぐたりとこしけた、が、ほそ身體からだをぶる/\とつた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此時は里人さとひと幾十人をやとひ、かんじきすかりにてみち蹈開ふみひらかあとしたがつゆく也。此ものいり幾緡いくさしの銭をつひやすゆゑとぼしきたび人は人のみちをひらかすをまちむなしく時をうつすもあり。健足けんそく飛脚ひきやくといへども雪みちゆくは一日二三里にすぎず。
振つて押込んだんだぜ。亥刻よつ過ぎに泉屋へ入らうとする者があつたら、出前持でも、飛脚ひきやくでも構はねえ、縛り上げて泥を吐かせることだ
こゝおいかくおほすべきにあらざるをつて、ひざいて、前夫ぜんぷ飛脚ひきやくつて曳出ひきだすとともに、をつと足許あしもとひざまづいて、哀求あいきうす。いは
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
をしまず大工だいく泥工さくわんを雇ひ俄に假玄關かりげんくわんを拵らへ晝夜の別なく急ぎ修復しゆふくを加へ障子しやうじ唐紙からかみたゝみまで出來に及べば此旨このむね飛脚ひきやく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
次第しだいとほさとへ、祭礼さいれいさそはれるやうながして、すこしうと/\として、二本松にほんまついては、其処そこ並木なみきを、飛脚ひきやくかよつてさうな夢心地ゆめごゝちつた。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
して相摸路より甲州へいたり是より所々方々と遊歴いうれきなし種々いろ/\樣々さま/″\たのしみ居たりけるさても翌日所のもの共此ていを見出し大いに驚きて飛脚ひきやく馬士まごの殺されたるおもぶきを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
飛脚ひきやくが飛出しましたね、お下屋敷から。九州熊本の御領地へ、急ぎの手紙でも持つて行くんでせうよ」
曳出ひきだされた飛脚ひきやくは、人間にんげんうして、こんな場合ばあひもたげるとすこしもかはらぬつらもたげて、ト牛頭ごづかほ見合みあはせた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それにお前は、棟梁とうりやうのところで三兩借りて行つたぢやないか。それから、寅五郎を殺して刀を江戸川に投り込み、細川樣の飛脚ひきやくの振りをして、品川まで飛んだ筈だ。
此時このとき選手せんしゆ第一だいいちしやうたのは、いけをめぐること三十幾囘さんじふいくくわい翌日よくじつ發表はつぺうされて、としは六十にあまる、らう神行太保戴宗しんぎやうたいほたいそうは、加州かしう小松こまつ住人ぢうにん、もとの加賀藩かがはん飛脚ひきやくであつた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
飛脚ひきやくが氣をきかしてくれたんですよ。親分の手紙を見ると、早駕籠はやかごで、夜晝おつ通しに飛んで來たが、あんまり急いで、小田原の旅籠屋の目印めじるしを見落すところでしたよ」
、お手車で傳通院へ持込む筈はないし、その邊の飛脚ひきやく屋の小汚い吊臺では間に合はない筈だ
頃日このごろく——當時たうじ唯一ゆいつ交通機關かうつうきくわん江戸えど三度さんどとなへた加賀藩かがはん飛脚ひきやく規定さだめは、高岡たかをか富山とやまとまり親不知おやしらず五智ごち高田たかだ長野ながの碓氷峠うすひたうげえて、松井田まつゐだ高崎たかさき江戸えど板橋いたばしまで下街道しもかいだう
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それより御國許おくにもと飛脚ひきやくとばして、御用ごようこれあり、諸役人しよやくにんども月番つきばんもの一名宛いちめいづゝ殘止のこりとゞまり、其他そのた恩田杢おんだもく同道どうだうにて急々きふ/\出府しゆつぷつかまつるべし、とめいたまひければ、こはそも如何いかなる大事だいじ出來できつらむと
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「何んだえ、八。大變こくから飛脚ひきやくが來たやうぢやないか」