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零落
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おちぶ
ふりがな文庫
“
零落
(
おちぶ
)” の例文
自分はどうせ捨てる身だけれども、一人で捨てるより
道伴
(
みちづれ
)
があって
欲
(
ほし
)
い。一人で
零落
(
おちぶ
)
れるのは二人で零落れるのよりも淋しいもんだ。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今
仰
(
おっ
)
しゃった事がほんとうなら
飛立
(
とびた
)
つ程嬉しいが、只今も申す通り、
私
(
わし
)
は今じゃア
零落
(
おちぶ
)
れて
裏家住
(
うらやずま
)
いして、人力を
挽
(
ひ
)
く
賤
(
いや
)
しい身の上
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
若いし——
縹緻
(
きりょう
)
は優れているし——それに世間
摺
(
ず
)
れていないので、
零落
(
おちぶ
)
れてもまだ多分に、五百石取の若奥様だった香いが
仄
(
ほの
)
かである。
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日に日に悲しいことばかり、とうとう人外の夜鷹とまで
零落
(
おちぶ
)
れましてござりますが、いまだに海賊の名も知らず残念に存じて居りまする
赤格子九郎右衛門の娘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「私はな、いくら
零落
(
おちぶ
)
れても、遊び場所などへ出かけて行って、
吝々
(
けちけち
)
するのは大嫌いだ。浅井さん、私は大体そういった性分だ。」
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
人々は気の毒に思った、何事もなし得ないで
零落
(
おちぶ
)
れて帰ったのを。そして笑った、そして泣いた、そして言葉を尽くして慰めた。
河霧
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
これが町奉行の大岡越前守とは知る由もない栄三郎、よし
零落
(
おちぶ
)
れて
粗服
(
そふく
)
をまとうとも、面識のない武士には対等に出る。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
政吉 こういっては失礼だが、いくら
零落
(
おちぶ
)
れてても、門付にまで成らずとも。いやこれは飛んだ出過ぎた云い方。怒らないでください、あやまります。
中山七里 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
零落
(
おちぶ
)
れても
気位
(
きぐらい
)
をおとさなかった彼女は、渋沢家では夫人がコレラでなくなって困っているからというので、後の事を引受けることになって連れてゆかれた。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
わたしの一家はその頃
零落
(
おちぶ
)
れたどん底にゐたらしいが、父も母も、またわたしにはただひとりの
同胞
(
きやうだい
)
たる兄も、みな綺麗な事では知合ひの間には評判であつた。
地方主義篇:(散文詩)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
今日
(
こんにち
)
の人才を
滅
(
ほろぼ
)
す者は、
曰
(
いは
)
く色、曰く高利貸ぢやらう。この通り
零落
(
おちぶ
)
れてをる僕が気毒と思ふなら、君の為に
艱
(
なやま
)
されてをる人才の多くを一層
不敏
(
ふびん
)
と思うて遣れ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
その
空隙
(
すき
)
をふさぐ幾億兆の群集。——わたしは「ほとけの畠」の、あの目こぼれを啄む、一羽の禽に、どうやら
肖
(
に
)
てきてゐる。しかも、
零落
(
おちぶ
)
れた一羽のからすに。
雪
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
零落
(
おちぶ
)
れたる今の身の、袖に涙のかかる時は親族知己さへ見離せしに、お静の慕ひ来りし心頼もしく、さまでに父様を慕へるものの、金之介の為悪しからむやうはなし。
野路の菊
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
誰れあらん小松殿の嫡男として、名門の跡を繼ぐべき御身なるに、天が下に此山ならで身を寄せ給ふ處なきまでに
零落
(
おちぶ
)
れさせ給ひしは、
過世
(
すぐせ
)
如何なる因縁あればにや。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
仏蘭西
(
フランス
)
の小説を読むと
零落
(
おちぶ
)
れた貴族の
家
(
いえ
)
に生れたものが、
僅少
(
わずか
)
の遺産に自分の身だけはどうやらこうやら日常の衣食には事欠かぬ代り、浮世の
楽
(
たのしみ
)
を
余所
(
よそ
)
に
人交
(
ひとまじわ
)
りもできず
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
如何にも
零落
(
おちぶ
)
れた武士にあるような、やさしみと品位とを持った男が一生懸命な心持で、駆け付けて来たありさまが、何とも云えず、美しく勇しく私の胸に映ったのです。
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
加賀藩の
零落
(
おちぶ
)
れた士族の多く住んだ町で、ちょうど彼女の家は前庭のある平屋で、それも古い朽ちはてた屋根石のあいまあいまには、まだ去年の落葉を葺き換えない貧しい家であった。
性に眼覚める頃
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
その
所有物
(
もちもの
)
は地に
蔓延
(
ひろが
)
らず……
邪曲
(
よこしま
)
なる者の
宗族
(
やから
)
は
零落
(
おちぶ
)
れ、
賄賂
(
まいない
)
の家は火に
焚
(
や
)
けん
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
「それはそうかも知んねえが、代々、こんなに
零落
(
おちぶ
)
れたこともあんめえから。」
栗の花の咲くころ
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
といってラサに住して居るのも面目ないというところからこういう山家に
零落
(
おちぶ
)
れて、不潔な婦女子などを相手にして居るのだと村人はいいましたが、しかし非常に博学の人でありました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
東京の乞食ならば人の袂にすがって憐みを乞うことも出来ますが、鉱毒のなかった以前を知っており、自分の土地を離れたことのない私共には、
零落
(
おちぶ
)
れても誰にすがろうすべもないのです。
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
「いくら
零落
(
おちぶ
)
れても、まさか
乞食
(
こじき
)
見たいな暮しはしたかありませんよ。」
仮面
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
いくらわたしが
零落
(
おちぶ
)
れたって、そう見下げなくってもいいじゃないか
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
熱い涙は思はず知らず流れ落ちて、
零落
(
おちぶ
)
れた袖を
湿
(
ぬら
)
したのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「この節私もあまり景気はよくないがね、まだお神に
小遣
(
こづかい
)
をせびるほど
零落
(
おちぶ
)
れはしないよ。みんなに
蜜豆
(
みつまめ
)
をおごるくらいの金はあるよ。」
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
これは
私
(
わたくし
)
の
大事
(
だいじ
)
な
品
(
しな
)
でございまして、
当時
(
いま
)
斯
(
か
)
う
零落
(
おちぶ
)
れまして、
値
(
ね
)
を高く
買
(
か
)
はうといふ人がございますけれども、なか/\
手離
(
てばな
)
しませぬで……。
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
嘘
(
うそ
)
だと思うなら、試験して見るがいい。
他人
(
ひと
)
を試験するなんて罪な事をしないで、まず
吾身
(
わがみ
)
で吾身を試験して見るがいい。坑夫にまで
零落
(
おちぶ
)
れないでも分る事だ。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
零落
(
おちぶ
)
れ果てた大男が、この藪原へ参りまして、私の父のもとへなど
繁々
(
しげしげ
)
出入りを致しているうち、いつの間にか父を
騙着
(
たぶらか
)
し、父に代って私の家の
束
(
たば
)
ねをするようになりました。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
かくまでに
零落
(
おちぶ
)
れてその
懐
(
なつ
)
かしい故郷に帰って来ても、なお大声をあげて自分の帰って来たのを言いふらすことができない、大手を振って自分の生まれた土地を歩くことができない、直ちに兄の
家
(
うち
)
河霧
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
病犬
(
やみいぬ
)
のように
蹌々踉々
(
そうそうろうろう
)
として、
僅
(
わず
)
かの
買喰
(
かいぐ
)
いに
餓
(
うえ
)
をしのぐよりせんすべなく、血を絞る苦しみを忍んで、漸くボストンのカリホルニア座に開演して見たものの、
乞食
(
こじき
)
の群れも同様に
零落
(
おちぶ
)
れた
俳優
(
やくしゃ
)
たち
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
どう
零落
(
おちぶ
)
れても、倖せでさえいるならば。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
零落
(
おちぶ
)
れては一介の鴉。
希臘十字
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
聞いたところが、今こそ
斯様
(
こん
)
な
零落
(
おちぶ
)
れているが、昔は侍の娘だと云って大変
溢
(
こぼ
)
していやした、
余
(
あんま
)
り気の毒だから、
私
(
わっちや
)
ア別に百文気張って来ました
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
零落
(
おちぶ
)
れた家の後添えの腹に三男として産れて、
頽廃
(
たいはい
)
した空気のなかに生い立って来た笹村の頭には、家庭とか家族とかいうような観念もおのずから薄かった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
自分は
口惜
(
くやし
)
くなった。なぜこんな猿の真似をするように
零落
(
おちぶ
)
れたのかと思った。倒れそうになる
身体
(
からだ
)
を、できるだけ前の方にのめらして、梯子に
倚
(
もた
)
れるだけ倚れて考えた。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こうまで下がった商売しようぞ! 先の出世、行く末の安楽、何んでましてやそんなことを思って、
私娼
(
じごく
)
夜鷹
(
よたか
)
に
零落
(
おちぶ
)
れよう! ……思っておくれ妾の心を! 好きだからだよ
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
此の重二郎はそれらの為に
斯
(
か
)
くまでに
零落
(
おちぶ
)
れたか、
可愛
(
かわい
)
そうにと、
娘気
(
むすめぎ
)
に
可哀
(
かあい
)
そうと云うのも
可愛
(
かわい
)
そうと云うので、
矢張
(
やはり
)
惚
(
ほ
)
れたのも同じことでございます。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ああすっかり
零落
(
おちぶ
)
れてしまいました。今は京都でお茶の師匠をしているそうですが……」
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
いや
皆
(
みん
)
なそれは約束事でよい人も
零落
(
おちぶ
)
れる事も有れば、また心掛けの善く無い人でも結構な暮しをして、
日々
(
にち/\
)
のことに困らないのは前世の因縁であるから
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼の父親は
賭博
(
とばく
)
や女に
身上
(
しんしょう
)
を
入揚
(
いれあ
)
げて、その頃から弟の厄介ものであったが、或時身寄を頼って、上州の方へ
稼
(
かせ
)
ぎに行っていたおりにその女に引かかって、それから乞食のように
零落
(
おちぶ
)
れて
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
る、
当時
(
いま
)
は
事由
(
ゆゑ
)
あつて
零落
(
おちぶ
)
れてお
出
(
い
)
でなさるが、
以前
(
もと
)
は
立派
(
りつぱ
)
なお
方
(
かた
)
で、
士族
(
しぞく
)
さんだか
何
(
なん
)
だか
知
(
し
)
れないんだよ、
大事
(
だいじ
)
にしてお
上
(
あ
)
げ、
陰徳
(
いんとく
)
になるから。
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
旦那から
少
(
すこし
)
ばかりの手切をもらって、おかなが知合をたよって、着のみ着のままで千葉の方へ落ちて行くことになった頃には、壮太郎もすっかり
零落
(
おちぶ
)
れはてていた。月はもう十二月であった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
なに
彼
(
あれ
)
は東京の
駿河台
(
するがだい
)
あたりの士族で、まだ
若
(
わか
)
え男だが、お瀧が東京の猿若町で芸者を
為
(
し
)
て居た時分に贔屓に成った人で、今
零落
(
おちぶ
)
れて
此地
(
こっち
)
へ来て居ると云うので
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ごらんの通りの
廃屋
(
あばやら
)
で、……私もすっかり
零落
(
おちぶ
)
れてしまいましたよ。」
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私
(
わたくし
)
も元は清水と申して、上州前橋で
御用達
(
ごようたし
)
をいたしました者の娘、
如何
(
いか
)
に
零落
(
おちぶ
)
れ
裏店
(
うらだな
)
に入っていましても、人に身を任せて
売淫
(
じごく
)
同様な真似をして、お金を取るのは
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まア御承知の通りお
上
(
かみ
)
も
亡
(
なく
)
なりまして、私も
此様
(
こん
)
な処で、お茶を売るまでに
零落
(
おちぶ
)
れましたが
貴方
(
あなた
)
はまア大層お立派におなりなすって、見違いますようで……おや由兵衞さん
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
己
(
おれ
)
なんぞは是まで苦労をして来たから何んな貧乏に
零落
(
おちぶ
)
れても困りはしない、又工面が宜く成っても困りはしない、何でも詰らない事をくよ/\思うな、心を広く持ってと
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
多「まア
此処
(
こけ
)
えかけなよ、子供も掛けな、叔母さん
貴方
(
あんた
)
はまア何うして
此様
(
こんな
)
に
零落
(
おちぶ
)
れたよ」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
誠にこれが芸妓をして私は誠にもう面目ない
葭簀張
(
よしずっぱり
)
の茶見世を出して、お茶を売るまでに
零落
(
おちぶ
)
れました、それから見ればお岩様なぞは
此方様
(
こなたさま
)
のお側だから何も御不足はないので
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
町「はい、あなたの御親切はまことに
辱
(
かたじけ
)
のうございますが、
零落
(
おちぶ
)
れ果てたる此の姿、
誰方
(
どなた
)
かは存じませぬが、江戸のお侍に会いますのは心苦しゅうございます、
何卒
(
どうぞ
)
お断り下さいまし」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“零落”の意味
《名詞》
零落(れいらく)
葉が枯れて落ちること。
落ちぶれること。廃れること。
(出典:Wiktionary)
“零落”の解説
『零落』(れいらく)は、浅野いにおによる日本の漫画作品。『ビッグコミックスペリオール』(小学館)にて、2017年7号から同年16号まで連載されたnatalie170310。
(出典:Wikipedia)
零
常用漢字
中学
部首:⾬
13画
落
常用漢字
小3
部首:⾋
12画
“零落”で始まる語句
零落仕
零落果
零落者
零落末裔