“頽廃”の読み方と例文
旧字:頽廢
読み方(ふりがな)割合
たいはい100.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
すべてが頽廃たいはいの影であり凋落ちょうらくの色であるうちに、血と肉と歴史とで結び付けられた自分をも併せて考えなければならなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この街にあるものは、ただ、如何にも植民地の場末と云った感じの・頽廃たいはいした・それでいて、妙に虚勢を張った所の目立つ・貧しさばかりである。
ルーレットのモナコ、悪徳の町、三十九の機会チャンスの町、妾の運命、そんなとりとめのない頽廃たいはいした意思が妾を支配していたのです。
バルザックの寝巻姿 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
だのに、江戸はこの頽廃たいはいぶりだ。幕府は無能だ。——誰が、神国のこの危機を救うか。われわれはもう、えた幕府などはとうに見捨てている。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……糜爛びらんした神経、磨ぎ澄まされた感覚、頽廃たいはいした情緒、衰え切った意志、——いわゆる浮世のすたれ者! そういう者にはそういう者だけの
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかし復興期や頽廃たいはい期の年代にあっては、眩暈めまいするような急坂を登り降りする青年らは、前時代の人々を背後に遠く残してゆく。
そんな所へ人の出入りがあろうなどと云うことは考えられない程、寂れ果て、頽廃たいはいし切って、見ただけで、人はかびの臭を感じさせられる位だつた。
淫売婦 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
飛騨の国内にある古社の頽廃たいはいしたのを再興したり、自らも荏野神社というものを建ててその神主となり郷民に敬神の念をよび起こすことに努めたりした。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ふるい小泉の家——その頽廃たいはいと零落との中から、若草のように成長した娘達は、叔父に聞かせようとして一緒に唱歌を歌い出した。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
岸本はそうした頽廃たいはいした心をった人が極度の寂寞せきばくを感じながらかつてこの世を歩いて行ったことを想って見た。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)