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雑魚
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ざこ
ふりがな文庫
“
雑魚
(
ざこ
)” の例文
旧字:
雜魚
求めてみるとなかなか
獲物
(
えもの
)
はかからない、ところへひっかかった君は、案外の
雑魚
(
ざこ
)
だと思ったら、実は意外の掘出し物であったのだ。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
荻生君は熊谷に行っていなかった。二人は引きかえして野を歩いた。小川には青い
藻
(
も
)
が浮いて、小さな
雑魚
(
ざこ
)
がスイスイ泳いでいた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
一網打尽にして、
呑舟
(
どんしゅう
)
の
魚
(
うお
)
も
雑魚
(
ざこ
)
も逃さないようにするには、相当に大きい網が必要さ、花房一郎は今その網を張って居るのだよ
青い眼鏡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
やっと次郎吉は
雑魚
(
ざこ
)
の
魚
(
とと
)
まじりながらに、師匠の描いた絵草紙の下図へ絵の具を施すくらいのことはできるようになってきた。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
谷へ
挟
(
はさ
)
まって、
出端
(
では
)
を失った風が、この底を
掬
(
すく
)
うようにして通り抜ける。黒いものは網の目を
洩
(
も
)
れた
雑魚
(
ざこ
)
のごとく四方にぱっと散って行く。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
やれ
羽
(
は
)
打つ、へへへ、小鳥のように
羽掻
(
はがい
)
を
煽
(
あお
)
つ、
雑魚
(
ざこ
)
のように
刎
(
は
)
ねる、へへ。……さて、騒ぐまい、今がはそで無い。そうでは無いげじゃ。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
垣根の「うつぎ」の芽を摘んでは、
胡桃
(
くるみ
)
あえにして食べたこと、川へ
雑魚
(
ざこ
)
を
掬
(
すく
)
いに行って、下駄や鍋を流してしまったこと。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そこへ、もう一人
雑魚
(
ざこ
)
売りの爺さんが天秤棒を担いでやって来る。魚芳のおとなしい物腰に対して、この爺さんの方は威勢のいい商人であった。
翳
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
川に流れている
柴
(
しば
)
を拾い、それを削って
串
(
くし
)
を作り、川からとった
雑魚
(
ざこ
)
をその串にさして焼いて、一文とか二文とかで売ってもうけたものなんだ。
親友交歓
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
と、孔明の計を奉じて、
土嚢
(
どのう
)
の
堰
(
せき
)
を一斉にきった。さながら洪水のような濁浪は、
闇夜
(
あんや
)
の底を吠えて、曹軍数万の兵を
雑魚
(
ざこ
)
のように呑み消した。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
余の郷里にはホゴ、メバルなどいふ四、五寸ばかりの
雑魚
(
ざこ
)
を
葛
(
くず
)
に
串
(
つらぬ
)
いて売つて居る。さういふのを煮て食ふと実にうまい。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
または関西ものの「ちりめんじゃこ」をいっしょに煮るのもいい。
雑魚
(
ざこ
)
という原料の相違によって、東京のは例え昆布がよくても問題にならない。
塩昆布の茶漬け
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
「二尺の
鯉
(
こい
)
を二
疋
(
ひき
)
獲
(
と
)
ってくれと、二三日前から頼まれて、この広い湖へ
片
(
かた
)
っ
端
(
ぱし
)
から網を入れているが、鯉は
愚
(
おろ
)
か、
雑魚
(
ざこ
)
もろくろくかかりゃしない」
ある神主の話
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
……いかにもおれの親父はどん百姓だったが、おれはというと、この通り白いチョッキを着て、茶色い
短靴
(
たんぐつ
)
なんかはいている。
雑魚
(
ざこ
)
のととまじりさ。
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
また、この
寒
(
さむ
)
いのに、どこから
持
(
も
)
ってきたものか、ふな、なまず、
雑魚
(
ざこ
)
などの
生
(
い
)
きたのを
売
(
う
)
っている
男
(
おとこ
)
がありました。
とびよ鳴け
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それを子供に持たせて
遣
(
や
)
った所が、途中の小川を渡ろうとしてその粉をこぼし、それを川の
雑魚
(
ざこ
)
が浮いて来て食った。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「ところが、
泰山鳴動
(
たいざんめいどう
)
して
鼠
(
ねずみ
)
一匹でね。つかまったのは
雑魚
(
ざこ
)
ばかり。大物はみんな逃げてしまったということです」
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
雑魚
(
ざこ
)
の
魚交
(
ととまじ
)
りと申しましょうか、次官さんや局長さんの奥さま方と御一緒ですから、気骨が折れて困りますわ」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
これは
畢竟
(
ひっきょう
)
量を見るに急なために質を見る目がくらむのであり、
雑魚
(
ざこ
)
を数えて
呑舟
(
どんしゅう
)
の魚を取りのがすのである。
量的と質的と統計的と
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
湖水にうつる雲の影はしずかにうごき、
雑魚
(
ざこ
)
の群は吹きかわった新鮮の気を吸うように
滑
(
なめらか
)
な水面に泡をたてる。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
もう夕方のことだったろう、河岸の
道傍
(
みちばた
)
で漁師たちが四五人、
蓆
(
むしろ
)
や
桶
(
おけ
)
を並べて、鯉や
雑魚
(
ざこ
)
や貝類などを売っていた。それは「
日銭
(
ひぜに
)
」を
稼
(
かせ
)
ぐためのものであった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「発破かけだら、
雑魚
(
ざこ
)
撒
(
ま
)
かせ。」三郎が、河原の砂っぱの上で、ぴょんぴょんはねながら、高く叫んだ。
さいかち淵
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「いままで、ずいぶん、いろいろなうまいものも食いましたが、いま考えてみると、あのとき母が煮て
呉
(
く
)
れた
雑魚
(
ざこ
)
の味ほどうまいと思ったものに食い当りません」
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そしておれはまた
掬
(
すく
)
われたなと感じた。ちょうど手網にかかった
雑魚
(
ざこ
)
のようにも思われたからである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
が、今は入江の魚が減って、岩のあたりで釣魚をしたって、
雑魚
(
ざこ
)
一匹針にかかってこないらしい。山や海の景色もあの時分は今よりもよほど美しかったように思われる。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
とうとう
一尾
(
いっぴき
)
も釣れずに家へ帰ると、サア
怒
(
おこ
)
られた怒られた、こん
畜生
(
ちくしょう
)
こん畜生と百ばかりも
怒鳴
(
どな
)
られて、
香魚
(
あゆ
)
や
山鯇
(
やまめ
)
は釣れないにしても
雑魚
(
ざこ
)
位釣れない奴があるものか
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
雑魚
(
ざこ
)
だ雑魚だと馬鹿にしたが、どうしてどうして紋也という男は、雑魚でないばかりか大物だ。気象も武道も素晴らしい。……あやうく俺は切られるところさ。……おや」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
八十之賀には
御垢附御羽折
(
おんあかつきおんはをり
)
雑魚
(
ざこ
)
数品拝領、其外
近比
(
ちかごろ
)
八丈島二反御肴とも被下置候。殊遇特恩身にあまり難有奉存候。
桑楡
(
さうゆ
)
之景もはや可然御奉公も出来かね、只々恐入奉存候。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その頃はメバルはすでに遠のいて、セイゴ、キスゴ、平あじ、ハゼなどの
雑魚
(
ざこ
)
が来ていた。日によってはボラが群をなしてやってくる。よく釣れて餌が足りなくなることもある。
魚の餌
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
または子供を背負った
児娘
(
こむすめ
)
までが
笊
(
ざる
)
や籠や
桶
(
おけ
)
を持って濁流の
中
(
うち
)
に入りつ乱れつ富裕な屋敷の池から流れて来る
雑魚
(
ざこ
)
を捕えようと
急
(
あせ
)
っている有様、通りがかりの橋の上から眺めやると
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「ごらん、馬鹿ッ声をはりあげるもんだから、
雑魚
(
ざこ
)
が寄ってきたじゃないか!」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
釣
(
つり
)
して
雑魚
(
ざこ
)
をかついでかえっても、なりわいの足しにはならないからである。
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
残っているのは
雑魚
(
ざこ
)
ばかり。今夜の会に出て貰おうと思った連中は、『愉快な四人』にしろ何んにしろみんないやしない。それがまた一日違いなんだから、全く
肚
(
はら
)
が立つ話じゃないですか。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
待網を掛けて
雑魚
(
ざこ
)
を捕り
窃
(
ひそ
)
かに寺へ
持帰
(
もちかえ
)
って
賞玩
(
しょうがん
)
するのだ、この事
檀家
(
だんか
)
の告発に
依
(
よ
)
り師の坊も
捨置
(
すておき
)
がたく、十分に
訓誡
(
くんかい
)
して
放逐
(
ほうちく
)
しようと思っていると、当人の方でも
予
(
あらかじ
)
めその
辺
(
あたり
)
の消息を知り
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
七、
雑魚
(
ざこ
)
の
魚交
(
ととまじ
)
り、並びに
生簀
(
いけす
)
の悶着のこと。翌日の出発は午前七時。
ノンシャラン道中記:02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
眼にさぐる
雑魚
(
ざこ
)
の
熬
(
い
)
り
煮
(
に
)
は箸つけて暗きかもやあはれ
霜夜
(
しもよ
)
燈火
(
ともしび
)
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
雑魚
(
ざこ
)
の心を
俟
(
たの
)
みつつ。
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
雑魚
(
ざこ
)
の餌食になろうとも、
我利我利亡者
(
がりがりもうじゃ
)
の手前たちの身代りになって沈めにかかるような、そんなお安いお角さんじゃないよ。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
喜平というのは、村はずれの小屋に住んでいる、五十ばかりの
爺
(
おやじ
)
で、
雑魚
(
ざこ
)
や
鰌
(
どじょう
)
を捕えては、それを売って、その日その日の口をぬらしていた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
そこには
店頭
(
みせさき
)
へ
底曳網
(
そこびきあみ
)
の
雑魚
(
ざこ
)
を並べたり、あさりや
蛤
(
はまぐり
)
の
剥身
(
むきみ
)
を並べている処があって、その
附近
(
まわり
)
のお
媽
(
かみ
)
さんが、番傘などをさしてちらほらしていた。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
まるで
雑魚
(
ざこ
)
の踊りを
掻
(
か
)
い
潜
(
くぐ
)
っているようなものでしかない。——ところへ、事の次第を聞いて彼方から飛んで来た六尺ゆたかな色白な壮漢があった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おっ母さんの客間には、よく天下のお歴々がずらり顔をならべたもんです——役者とか、文士とかね。そのなかで僕一人だけが、名も何もない
雑魚
(
ざこ
)
なんだ。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
大きな網を張って、
雑魚
(
ざこ
)
は後から棄てれば宜い。何のことやあると僕は益〻手を拡げた。相場表の送り先も今まで五百軒内外だったのを二千軒に改めさせた。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
やあ、小鳥のように羽打つ、
雑魚
(
ざこ
)
のように
刎
(
は
)
ねる。はて、笑止じゃの。
名告
(
なの
)
れ、名告らぬか、さても卑怯な。やいの、殿たち。上﨟たち。へへへ、人間ども。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もう夕方のことだったろう、河岸の
道傍
(
みちばた
)
で漁師たちが四五人、
蓆
(
むしろ
)
や
桶
(
おけ
)
を並べて、鯉や
雑魚
(
ざこ
)
や貝類などを売っていた。それは「
日銭
(
ひぜに
)
」を
稼
(
かせ
)
ぐためのものであった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
発破
(
はっぱ
)
かけだら、
雑魚
(
ざこ
)
撒
(
ま
)
かせ。」
三郎
(
さぶろう
)
が、
河原
(
かわら
)
の
砂
(
すな
)
っぱの上で、ぴょんぴょんはねながら、高く
叫
(
さけ
)
んだ。
さいかち淵
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
来たぜ、銭形の親分。二、三十人は来た様子だ。どうせ
雑魚
(
ざこ
)
だが、あれを相手に立ちまわりを
銭形平次捕物控:227 怪盗系図
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「雨降りあとじゃ、川へいて、
雑魚
(
ざこ
)
なと、取って来なはれ、あんじょ、おいしゅう煮て、食べまひょ」継ものをしていた母親がいった。鼈四郎は
笊
(
ざる
)
を持って堤を越え川へ下りて行く。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
海の小海老 を用ゐるものは小鯛釣、メバル釣、アブラメ、ホゴそのほか沖の
雑魚
(
ざこ
)
釣
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「だって君ゃ大学の教師でも何でもないじゃないか。高がリードルの先生でそんな大家を例に引くのは
雑魚
(
ざこ
)
が
鯨
(
くじら
)
をもって
自
(
みずか
)
ら
喩
(
たと
)
えるようなもんだ、そんな事を云うとなおからかわれるぜ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“雑魚”の意味
《名詞》
雑 魚 (ザツギョ ざこ じゃこ)
種々入り混じった小魚。
(ざこ)取るに足らない人物。
(出典:Wiktionary)
雑
常用漢字
小5
部首:⾫
14画
魚
常用漢字
小2
部首:⿂
11画
“雑魚”で始まる語句
雑魚寝
雑魚場
雑魚女
雑魚掬