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貢
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みつ
ふりがな文庫
“
貢
(
みつ
)” の例文
「若くて綺麗な娘といふと、無暗に肩を持つが、そんなのが飛んだ細工をしやしないか、——
貢
(
みつ
)
がなきやならない相手でもあつて——」
銭形平次捕物控:162 娘と二千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
僕に
貢
(
みつ
)
ぐのだと語ったのが、土地の人々の邪推を引き起し、僕はかの女を使って土地の人々の金をしぼり取ったというように思われた。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
「中央の府に対し、毎年、
貢
(
みつ
)
ぎを献じるというならば」と案外、受けやすい条件を出して答えたので、和睦はたちまちまとまった。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから満枝は益す禿の
寵
(
ちよう
)
を得て、内政を自由にするやうになつたから、定めて
生家
(
さと
)
の方へ
貢
(
みつ
)
ぐと思の外、
極
(
きめ
)
の
給
(
もの
)
の外は
塵葉
(
ちりつぱ
)
一本
饋
(
や
)
らん。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「ひと山当てよう当てようとあがいて……見てて気の毒で、あたしも身を売って
貢
(
みつ
)
いだりしたけど——結局、殺されちゃった」
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
▼ もっと見る
「そうにきまっている、そんならちょうど面白いや、あの女から
貢
(
みつ
)
いだ金をわたしの手で使ってやるのがかえって気持がいい、みんなおよこし」
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
葉子一家は倉地と木村とから
貢
(
みつ
)
がれる金で中流階級にはあり得ないほど余裕のある生活ができたのみならず、葉子は充分の仕送りを定子にして
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それからとやかく姑にわびましてね、しかしそんなわけですからなかなか父を引き取るの
貢
(
みつ
)
ぐのということはできません。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
次郎はそれによって、弥作爺さんが死んだこと、お兼がもう奉公に出て、いくらかの金を
貢
(
みつ
)
ぐこと、お鶴が学校で優等賞を貰ったことなどを知った。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「不良さ。学校時代から不良傾向があった。別段悪いことを
仕出来
(
しでか
)
さないのはお前が小遣を充分
貢
(
みつ
)
いでいるからだ」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「のみならず、栄三郎め、その女に
貢
(
みつ
)
ぐ金に窮して、いたし方もあろうに蔵宿から
騙
(
かた
)
り
盗
(
と
)
った! 用人白木重兵衛がそのあとへ行って調べて参りました」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そして学費の足しにと自分のお給金の中から幾らかの金を
貢
(
みつ
)
ぎながら、ひろ子を赤十字へ入れて勉強さした。
蔦の門
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
縁附
(
えんづ
)
きてより
巳
(
すで
)
に
半年
(
はんとし
)
となるに、
何
(
なに
)
一つわが
方
(
かた
)
に
貢
(
みつ
)
がぬは
不都合
(
ふつがふ
)
なりと
初手
(
しよて
)
云々
(
うん/\
)
の約束にもあらぬものを
仲人
(
なかうど
)
の
宥
(
なだ
)
むれどきかず
達
(
たつ
)
て娘を
引戻
(
ひきもど
)
したる母親
有之候
(
これありそろ
)
。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
丈夫
(
じょうぶ
)
に織りあげる必要もあったくらいで、ただ
朝廷
(
ちょうてい
)
への
貢
(
みつ
)
ぎもの、または領主への年々の
献上品
(
けんじょうひん
)
だけが、
上布
(
じょうふ
)
といって、精巧な布でなければならなかったのだが
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そういうと不思議に思うだろうが、一人は
情婦
(
じょうふ
)
という評判の女・桃枝だ。この女には秘密に大分
貢
(
みつ
)
いだものらしい。金庫の金に手をかけたのも、この女のためだ。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
こう考えた私は、叔父に頼んで、その足りないだけの学費を
貢
(
みつ
)
いでもらうことにきめていたのだった。そしてそれだから私は、一生懸命に受験の準備をしていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
商売に出てゐる間、病身な妹も多かつたので、月々百円から百五十円くらゐは
貢
(
みつ
)
ぎつゞけて来た晴代ではあつたが、たとひ十円でも金の無心は言ひ出しにくかつた。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
事に依れば小野さんの方から幾分か
貢
(
みつ
)
いで貰いたいようにも見える。小野さんは
畏
(
かしこ
)
まって控えている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
人知れず硫酸モルヒネ
猫不入
(
ねこいらず
)
なんぞ飲むものなきにしもあらねど、こは
啻
(
ただ
)
に痴情のなす所のみにあらず、男に
入揚
(
いれあ
)
げ
貢
(
みつ
)
ぎし後ぽんと捨てられなぞしたる
揚句
(
あげく
)
の果にして
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
何でもズット以前から叔父の源次郎氏に学費を
貢
(
みつ
)
いでもらって、東京で勉強していたけれども
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
で両方から金を絞り、誰にも
貢
(
みつ
)
がずに自分だけで使う! こう行かなければ人気が立たない。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
現に今でも栄之丞を
貢
(
みつ
)
いでいた。しかしそれは相手にも因ることで、いかに不実な男に対する面当てでも、彼女は無宿同様の次郎左衛門に付きまとって居ようとは思わなかった。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
全
(
まつた
)
く貧乏なんですよ。市外の会社に勤めて居る弟——
折折
(
をりをり
)
昼中
(
なか
)
に尋ねて来て、
正午
(
ひる
)
の食卓に就くことがあるでせう——あの弟が姉思ひで、月給の
中
(
うち
)
から
貢
(
みつ
)
いで居るんですよ。」
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
始終この京都の土地に居付いているわけじゃないから
委
(
くわ
)
しいことは知らぬが、あんたが私から
貰
(
もら
)
う金をほかの人間に
貢
(
みつ
)
いでいるという噂を、ちらちら耳にしたこともあったけれども
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
また、お
姫
(
ひめ
)
さまは、二ひきの
黒
(
くろ
)
い、みごとな
黒馬
(
くろうま
)
を
皇子
(
おうじ
)
に
貢
(
みつ
)
ぎ
物
(
もの
)
とせられたのです。
赤い姫と黒い皇子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
だが、奥女中姿の
裲褂
(
かいどり
)
で嫁に来た時はうつくしかったと、不便がって
貢
(
みつ
)
いでいた。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
昔アズサを弓に製して信州などの山国からこれを朝廷に
貢
(
みつ
)
ぎした。すなわちこれがいわゆるアズサユミである。今日植物界では一般にこの樹をミズメともヨグソミネバリとも呼んでいる。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
どうも
彼
(
あれ
)
は
質
(
たち
)
がワルいテ。すこしばかり儲けた銭で、女に
貢
(
みつ
)
ぐ位が彼の
身上
(
しんじょう
)
サ。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
此家
(
こゝ
)
の關善さんが日光からお帰りに宇都宮へお泊りで、段々様子をお聞きなすって、気の毒な事と御親切に五十円を
貢
(
みつ
)
いで下すって、關善さんに連れられて参って、お手伝を致して居りますが
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私だって泥坊に
伯父
(
おじ
)
さんがあるのじゃなし、知りもしない人を
捉
(
つかま
)
えて、やたらにお金を
貢
(
みつ
)
いでたまるものかね。私はおまえさんだから貢いでみたいのさ。いくらいやだとお言いでも、私は貢ぐよ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それから、私を
貢
(
みつ
)
いでくれるその男は
銭占屋
(
ぜにうらや
)
というのだ。銭占判断といって、六文銭で吉凶禍福を占うその
次第書
(
しだいがき
)
を、駿河半紙二切り六枚綴の小本に刷って、それを町の盛場で一冊三銭に売るのだ。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
金を
貢
(
みつ
)
いで挙句のはてに欺された旗本の野呂馬息子が歯噛みをする。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
それぞれ何と
夥
(
おびただ
)
しい金銀・香料・海陸の物産を
貢
(
みつ
)
ぎものに捧げて
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
続紀
(
しょくき
)
には、天平二十一年二月、
陸奥
(
みちのく
)
始めて黄金を
貢
(
みつ
)
いだことがあり、これは東大寺大仏造営のために役立ち、詔にも、
開闢
(
かいびゃく
)
以来我国には黄金は無く、皆外国からの
貢
(
みつぎ
)
として得たもののみであったのに
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「女に
貢
(
みつ
)
がせている。」
日日の麺麭
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
どうかすると、その
貢
(
みつ
)
ぎの運上すらも、土地土地の地頭や悪党どもに
掠
(
かす
)
められて、満足に朝家へ収まらないような実状である。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お篠お秋姉妹は、父親の代から受けた恩に
酬
(
むく
)
ひるため、水茶屋奉公をし
乍
(
なが
)
ら長い間宗兵衞親子に
貢
(
みつ
)
ぎました。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
おさせ申さないようにして上げますし、そのほか、困っているお方には相当に
貢
(
みつ
)
いでお上げ申すのですけれど
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そのくせ月々
若干
(
なにがし
)
か
貢
(
みつ
)
いで
遣
(
や
)
ってくれる訳には行くまいかという相談をすぐその後から持ち出した。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「鮎ちゃんって、いいとこあるなア。鮎ちゃんに
貢
(
みつ
)
いでもらっているんですよ」
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
そしてその子供が私たちを送り出した弟に向って「おとっちゃん」と呼びかけましたところを見ると、この弟は既に妻子を持ちながら姉に鍼灸師受験準備を
貢
(
みつ
)
いで貰っていたのでしょうか。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
世間体をごまかす為ばかりでなく、まったく
服装
(
なり
)
にも振りにも構わずに働いて、一生懸命に金をためる。色男の伝介には何一つ
貢
(
みつ
)
いでやったことは無かったそうです。つまり
吝嗇
(
けち
)
なんでしょうね
半七捕物帳:13 弁天娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
煙草も吸わず、酒も飲まず、道楽といっては読書のほかには、書生に学資を
貢
(
みつ
)
ぐぐらいのものだった。その関係から白官舎やそのほかの学生たちも今だに心おきなく遊びに来たりするのだった。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
葉子は
笑談
(
じょうだん
)
のように
羨望
(
せんぼう
)
の
口吻
(
こうふん
)
を
洩
(
も
)
らすこともあったが、大枚の生活費を秋本に
貢
(
みつ
)
がせながら、愛だけを独占しようとしている庸三の無理解な利己的態度が、時には腹立たしく思えてならなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お前は
何処
(
どこ
)
の者だか知らんがな、拙者の眼には都の者としか見えぬ、拙者も元は江戸の者だ、難儀なことがあるならば何処までもお
貢
(
みつ
)
ぎ申そう、これ/\女中、そんなに力を出しても……これ門弟
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
神功
(
じんぐう
)
皇后さまが、
三韓
(
さんかん
)
へご渡海なされた折に、八十
艘
(
そう
)
の
貢
(
みつ
)
ぎ
物
(
もの
)
のうちの第一のみつぎ物がこれじゃといういい伝えじゃが」
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
妾のお吉は、買ひ食ひの小遣くらゐ持つてをり、お袖は母親に
貢
(
みつ
)
ぐせゐか、何んにも持つては居りません。
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「そうだ、これによって見ると、たしかに病気だね、何病とも別に書いてねえが、女が勤め奉公に出て、その血の出るような金を
貢
(
みつ
)
いで男の病気を
癒
(
なお
)
そうというんだね」
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
月々金を
貢
(
みつ
)
いでやる? 貢いでくれと誰が頼んだ。小野の世話をしたのは、泣きついて来て
可愛想
(
かわいそう
)
だから、好意ずくでした事だ。何だ物質的の補助をするなんて、失礼千万な。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
は木村に
貢
(
みつ
)
がれているな。白状しっちまえ
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
貢
常用漢字
中学
部首:⾙
10画
“貢”を含む語句
貢物
年貢米
御貢
貢税
御年貢
進貢
入貢
貢進
蘭貢米
貢馬
調貢
年貢
貢献
子貢
西貢
田中貢太郎
貢士
掟年貢
貢進生
貢租
...