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著
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しる
ふりがな文庫
“
著
(
しる
)” の例文
時鳥
(
ほととぎす
)
啼くや五尺の
菖蒲
(
あやめ
)
草を一杯に
刺繍
(
ぬいと
)
った振り袖に夜目にも
著
(
しる
)
き錦の帯をふっくりと結んだその姿は、気高く美しく
﨟
(
ろう
)
たけて見える。
紅白縮緬組
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
母屋
(
もや
)
の几帳のかたびらひきあげて、いとやをら入り給ふとすれど、みな静まれる夜の
御衣
(
おんぞ
)
のけはひ、柔らかなるしもいと
著
(
しる
)
かりけり。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
船室に
在
(
あ
)
りて
憂目
(
うきめ
)
に
遭
(
あ
)
いし
盲翁
(
めくらおやじ
)
の、この
極楽浄土
(
ごくらくじょうど
)
に
仏性
(
ほとけしょう
)
の恩人と
半座
(
はんざ
)
を分つ
歓喜
(
よろこび
)
のほどは、
著
(
しる
)
くもその
面貌
(
おももち
)
と挙動とに
露
(
あらわ
)
れたり。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もっとも、この語は古事記にも、「
阿佐士怒波良
(
アサジヌハラ
)
」とある。併しそれよりも感心するのは、一首の中味である、「
妾
(
わ
)
が思ふ君が声の
著
(
しる
)
けく」
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
そういうことでくさ/\するのはまだ自分を纏めて行き度い
我
(
が
)
という一筋の
著
(
しる
)
きものがあるうちのことでもございましょう。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
入りにし人の跡もやと、
此處彼處
(
こゝかしこ
)
彷徨
(
さまよ
)
へば、とある
岸邊
(
きしべ
)
の大なる松の幹を
削
(
けづ
)
りて、
夜目
(
よめ
)
にも
著
(
しる
)
き數行の文字。月の光に立寄り見れば、南無三寶。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
二人の送って来てくれたところは、
村境
(
むらざかい
)
とみえて、そこには夕暗にも
著
(
しる
)
く、大きな自然石を並べた橋が架かって、橋の向うはもう
坦々
(
たんたん
)
たる村道になっているのです。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
夏の夜、この橋の上に立つて、
夜目
(
よめ
)
にも
著
(
しる
)
き橋下の波の泡を
瞰下
(
みおろ
)
し、裾も袂も涼しい風にはらめかせて、數知れぬ
囁
(
さゝや
)
きの樣な水音に耳を澄した心地は長く/\忘られぬであらう。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
世界に
著
(
しる
)
き
澎湃
(
ほうはい
)
たる怒濤が死ぬに死なれない多感の詩人の熱悶苦吟に和して悲壮なる死のマーチを奏する間に、あたかも
夕陽
(
いりひ
)
に
反映
(
てりか
)
えされて天も水も
金色
(
こんじき
)
に
彩
(
いろ
)
どられた午後五時十五分
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「キング、リヤア」の悲劇は馬琴の作に似て勸懲の旨意いと
著
(
しる
)
く見えたれども、作者みづからが評論の詞、絶えて篇中になきゆゑ、見るものゝ理想次第にて
強
(
あなが
)
ち勸懲の作と見做すを要せず
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
其一人の
外被
(
うわぎ
)
に
青白赤
(
せいはくせき
)
三色の線ある
徽章
(
しるし
)
を
佩
(
おび
)
たるは
問
(
とう
)
でも
著
(
しる
)
き警察官にして今一人は予審判事ならん、判事より少し離れたる所に、
卓子
(
ていぶる
)
に向い何事をか
書認
(
かきしたゝ
)
めつゝ有るは
確
(
たしか
)
に判事の書記生なり
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
家どころも
索
(
もと
)
むるによしなく、途に逢ふ人々の怪しむさまは
著
(
しる
)
きに、はじめておのが姿をみとめつつ、白髪の地に曳くばかりなるを撫し、かばかり老いさびたりしを
駭
(
おどろ
)
くに堪へざりしも、
理
(
ことわり
)
なり
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
その
故
(
ゆゑ
)
とも覚えず
余
(
あまり
)
に
著
(
しる
)
き
面羸
(
おもやつれ
)
は、唯一目に母が心を
驚
(
おどろか
)
せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
椴松
(
とどまつ
)
の霧たちかくす日の
在処
(
ありど
)
気流の冷えがとみにし
著
(
しる
)
し
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
烈しき風をうち凌ぐ
羽
(
はね
)
は
著
(
しる
)
くもあらはれて
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
中にも
著
(
しる
)
き二勇將、共にアレース軍神に
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
今すこし
著
(
しる
)
く み姿
顕
(
あらわ
)
したまえ——。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
振舞ひ
著
(
しる
)
し
蜻蛉
(
あきつ
)
のむれ。
詩集夏花
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
薄墨ながらいと
著
(
しる
)
し。
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
前駆
(
ぜんく
)
の人々とみえる七、八名の影が、大股にまず門を出て行った。つづいて、夜目にも
著
(
しる
)
き白と黒のまだら牛が、車おもげに曳いて通る——。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
天
(
あま
)
ざかる
鄙
(
ひな
)
とも
著
(
しる
)
く
許多
(
ここだ
)
くもしげき恋かも
和
(
な
)
ぐる日もなく」(巻十七・四〇一九)等の例に見るごとく、加行上二段に活用する動詞である。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
社を離れて三町余り、闇にも
著
(
しる
)
く
鬱蒼
(
うっそう
)
と茂った杉の林まできた時に、二人は精根を使い果たし転がるように腰を下ろした。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
地
(
つち
)
の下の、
仄白
(
ほのじろ
)
い寂しい
亡霊
(
もうれい
)
の道が、草がくれ
木
(
こ
)
の葉がくれに、
暗夜
(
やみ
)
には
著
(
しる
)
く、月には
幽
(
かす
)
けく、
冥々
(
めいめい
)
として
顕
(
あら
)
われる。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さすがにこの瞬間穏やかな言葉の背後に死の予感を感じたのであろう。夜目にも
著
(
しる
)
くベナビデスの面は真っ青であった。挙げている両手も脚も烈しく
顫
(
ふる
)
え出してきた。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
夏の夜、この橋の上に立つて、夜目にも
著
(
しる
)
き橋下の波の泡を
瞰下
(
みおろ
)
し、裾も袂も涼しい風にハラめかせて、数知れぬ
耳語
(
ささやき
)
の様な水音に耳を澄した
心境
(
ここち
)
は長く/\忘られぬであらう。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
さくら咲くあかるき
外
(
と
)
には立ちにけりわが
衣
(
きぬ
)
の
皺
(
しわ
)
にはかに
著
(
しる
)
し
桜
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
今すこし
著
(
しる
)
くみ姿示したまへ。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
かかるけはひの、いと
香
(
かう
)
ばしくうち匂ふに、顔もたげたるに、
単衣
(
ひとへ
)
うち掛けたる几帳のすきまに、暗けれど、うち身じろぎ寄る気はひ、いと
著
(
しる
)
し。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしその涙は、さっき、父親や、自分の家の不幸のために泣いた涙とは違い、歓喜と希望と愛情とに充ちた涙であった。栞の頬は夜眼にも
著
(
しる
)
く赤味
注
(
さ
)
していた。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
良人の衰弱は日に
著
(
しる
)
けきに、こは皆おのが一念よりぞと、深更四隣静まりて、天地沈々、病者のために
洋燈
(
ランプ
)
を廃して
行燈
(
あんどん
)
にかえたる影暗く、
隙間
(
すきま
)
もる風もあらざるにぞ
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
神南備
(
かむなび
)
の
浅小竹原
(
あさしぬはら
)
のうるはしみ
妾
(
わ
)
が
思
(
も
)
ふ
君
(
きみ
)
が
声
(
こゑ
)
の
著
(
しる
)
けく 〔巻十一・二七七四〕 作者不詳
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
と
飛退
(
とびの
)
く
隙
(
ひま
)
に雀の子は、
荒鷲
(
あらわし
)
の
翼
(
つばさ
)
を
潜
(
くぐ
)
りて土間へ飛下り素足のまま、一散に
遁出
(
にげい
)
だすを、
遁
(
のが
)
さじと
追縋
(
おいすが
)
り、裏手の空地の
中央
(
なかば
)
にて、
暗夜
(
やみ
)
にも
著
(
しる
)
き玉の
顔
(
かんばせ
)
、
目的
(
めあて
)
に三吉
衝
(
つ
)
と寄りて
曳戻
(
ひきもど
)
すを振切らんと
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
船頭の頬には夜目にも
著
(
しる
)
く古い太刀傷が印されている。
三甚内
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“著”の意味
《名詞》
(チョ)書物を書くこと。また、その書物。
(チョ)明らかなこと。
(出典:Wiktionary)
著
常用漢字
小6
部首:⾋
11画
“著”を含む語句
著名
執著
頓著
落著
顕著
無頓著
愛著
著書
撞著
著作
貪著
著物
著者
著述
瞞著
著手
逢著
巾著
新著聞集
下著
...