經過けいくわ)” の例文
新字:経過
かれながら過去くわこ二三時間じかん經過けいくわかんがへて、そのクライマツクスが突如とつじよとして如何いかにも不意ふいおこつたのを不思議ふしぎかんじた。かつかなしくかんじた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれさむさがほねてつするのことを明瞭めいれうあたまうかべて判斷はんだんするのには氣候きこう變化へんくわあまりに急激きふげきであつた。かれあひだ人事不省じんじふせい幾時間いくじかん經過けいくわした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
而も争論そうろんは何時も要領をずにをはつて、何時までも底止とめどなく同じことを繰返くりかへされてゐるのであツた。そしてグヅグヅの間に一ねん二年と經過けいくわして今日こんにちとなツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
それゆゑ濱口内閣はまぐちないかく出來できたときはすで昭和せうわ年度ねんどの四ぶんの一を經過けいくわしてつたにかゝはらず、實行豫算じつかうよさんうへに一ぱん會計くわいけいおよ特別會計とくべつくわいけいあはせて一おく四千七百萬圓程まんゑんほど節約せつやくをなして
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
そうじて他人たにん艱難かんなんたいしては、事務上じむじやう職務上しよくむじやう關係くわんけいつてゐる人々ひと/″\たとへば裁判官さいばんくわん警官けいくわん醫師いし、とかとふものは、年月ねんげつ經過けいくわするとともに、習慣しふくわんつてつひには其相手そのあいて被告ひこく
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その所爲せゐ經過けいくわ至極しごく順當じゆんたうつたが、どうしたわけか、これといふ原因げんいんもないのに、月足つきたらずでうまれて仕舞しまつた。産婆さんばくびかたむけて、一醫者いしやせるやうすゝめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さうしてかれ自分じぶんさだまつたいへもの假令たとひどうであらうとも、こゝろの一には遠慮ゑんりよからはなれた餘裕よゆうしやうじてかれわづかに五六にちおもうちに卅にち以上いじやう經過けいくわしてしまつたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「さうだにかゝんなくつてもなほんべなあ」おつぎは、あぶらきたなくした火傷やけど凝然ぢつると自然しぜんしがめられて、むし自分じぶん瘡痍きず經過けいくわでもくやうに卯平うへいまくらくちをつけていつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
今日こんにちまで經過けいくわからして、すべての創口きずぐち癒合ゆがふするものは時日じじつであるといふ格言かくげんを、かれ自家じか經驗けいけんからして、ふかむねきざけてゐた。それが一昨日をとゝひばんにすつかりくづれたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)