結婚けっこん)” の例文
そして、まれには、結婚けっこんもうんでくるものもありましたけれど、四にんは、けっして、それらのひとたちには、いませんでした。
初夏の空で笑う女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「でもなんですか、ぼくたちは春になったらつばめにたのんで、みんなにも知らせて結婚けっこんしきをあげましょう。どうか約束やくそくしてください」
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
わたしがいまの母さんと結婚けっこんするとき、そのまえからてっきり自分と結婚するものと思っていたあるわかいむすめがもう一人あった。
母親ヴァルヴァーラは三十五さいで初めて結婚けっこんした、気丈きじょうでヒステリックで野性的な、いわば典型的なロシアの女地主でした。
「はつ恋」解説 (新字新仮名) / 神西清(著)
「どうでしょう、侯爵こうしゃく、おいやでなかったら、姫と結婚けっこんしてくださいませんか。あなたは、わたしどもにとっては、申しぶんのない方です。」
さて、この王さまは、まえにいちど結婚けっこんなさったことがあって、そのおきさきに、男の子が六人、女の子がひとり、つごう七人のお子がありました。
間もなく、魚谷と云う男も結婚けっこんしたのであろう、大変楽し気な姿で、細々とした女と歩いているのを私は見た事がある。
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
王さまは、とうとう私に、この島の美しい娘と結婚けっこんをして、この島の人間になってしまうように、とおっしゃいました。
結婚けっこんの相手にこと欠かない身でありながら、どうしてあんな思い切ったまねをしたのだろう——ということであった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
しかし、その時も、ぼくは、結婚けっこんはまだずいぶん先のことだし、ゆっくり考えておきましょうぐらいな、いいかげんな返事をしたにすぎなかったのだ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「あたしですの。あたしは多少美しい娘かも知れないけれども、平凡へいぼんな女よ。いずれ二三年のうちに普通に結婚けっこんして、順当に母になって行くんでしょう」
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
糟谷かすやはまた自分の結婚けっこんするについてもその当時とうじあまりに思慮しりょのなかったことをいまさらのごとくいた。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
でもアルレッキーノと結婚けっこんしたいと思っていました。もしもこの『美女と野獣やじゅう』とが結婚したとすれば、じっさい、あまりにもこっけいなことになったでしょう。
ところが、あくる日から寺田は毎夜一代を目当てに通って来た。置いて行く祝儀チップもすくなく、一代は相手にしなかったが、十日目の夜だしぬけに結婚けっこんしてくれと言う。
競馬 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
それどころか、子どもたちのなかのふたりは、出かけるまえに結婚けっこんしていて、うまれた小さい子どもたちを、おばあさんのところにあずけて、いってしまったのです。
その年、すなわち、三十九さいのとき、ジェンナーは、あるやさしい婦人と結婚けっこんしたのであります。
ジェンナー伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
おんなの一しょう大事だいじはいうまでもなく結婚けっこんでございまして、それが幸不幸こうふこう運不運うんふうんおおきな岐路わかれみちとなるのでございますが、わたくしとてもそのかたからはずれるわけにはまいりませんでした。
遠山のお嬢さんと明日あしたから結婚けっこんさして、一ヶ月ばかり東京へでも遊びにやってやりたい気がした矢先だから、やお湯ですか、さあ、こっちへお懸けなさいと威勢いせいよく席をゆずると
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
二人は早く結婚けっこんしたいのだけれどもたいせつなものがないのでできないのは残念だ。
燕と王子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
来年らいねんあたりはカフカズへ出掛でかけようじゃありませんか、乗馬じょうばもってからにあちこちを駆廻かけまわりましょう。そうしてカフカズからかえったら、こんどは結婚けっこん祝宴しゅくえんでもげるようになりましょう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
とはいへ、このくすりに、なん效力きゝめかったなら? すれば、明日あすあさとなって、結婚けっこんようでな? いや/\。……それは此劍これが(と懷劍を取り上げ)させぬ。……やい、其處そこにさうしてゐい。
そうしたら日本に帰って、あなたと堂々と結婚けっこんできると思う。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
けれど結婚けっこんして子どもができてからは、休みの時間がごくまれになった。なによりもその日その日のパンをもうけなければならなかった。
いま、おくにのほうでは、あなたに結婚けっこんはなしがっています。だが、あなたは、あとではたいへんしあわせになられます。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いままでのところは、このかわったちかいをききますと、お姫さまに結婚けっこんをもうしこもうと思っていた人も、みんなおそれをなしてしまうのでした。
結婚けっこんして何日目かに「いったい、君の年はいくつなの」といてみておどろいた事であったが、二十三さいだと云うのに、まだ肩上かたあげをした長閑のどかなところがあった。
魚の序文 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
「ばか、ぼくはシグナレスさんと結婚けっこんして幸福こうふくになって、それからお前にチョークのおよめさんをくれてやるよ」
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
結婚けっこん儀式ぎしきがすむとまもなく、こんどのおかあさんは、さっそくいじわるの本性ほんしょうをさらけ出しました。
もしも王子が、だれかほかの女とでも結婚けっこんしようもんなら、そのつぎの朝には、おまえさんの心臓ははれつして、おまえさんは、水の上のあわとなってしまうんだよ
ほかにこれといった取柄とりえもないとあきらめているかれは、しょっちゅう彼女に結婚けっこんを申込んで、ほかの男の言うことは、要するに空念仏からねんぶつに過ぎないと、ほのめかすのであった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
恭一さんは私と結婚けっこんすることなど夢にも思っていらっしゃらない、それどころか、ご自分と非常にお親しいお友だちで、死ぬほど私のことを思っていてくださる方があるから
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
糟谷はこのあいだに、三里塚りづかの一富農ふのうの長女と結婚けっこんした。いまの細君さいくんがそれである。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
片眼かためをパチパチして。『是非ぜひ一つきみ結婚けっこんさせよう……ねえ、結婚けっこんを。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
おんなかがみいのちのごとく、たっとんだのは、わかっているが、しゅとして結婚けっこんしてからのことで、婚約こんやくかがみをおくったかどうか、よくわからない。
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひめさまがおむこさまをさがしていらっしゃる。だが、お姫さまに結婚けっこんをもうしこもうと思うものは、むずかしい問題もんだい
さもなければ、死ぬことのないたましいを、手に入れることができないのです。いや、それどころか、王子が結婚けっこんしたつぎの朝には、海の上のあわとなってしまうのです。
これは、みんな青ひげが、ひとりひとり、結婚けっこんしたあとで殺してしまった女たちの死がいでした。
青ひげ (新字新仮名) / シャルル・ペロー(著)
犬畜生いぬちくしょう、あんまりだ。犬畜生、ええ、わかさま、わたしだって男ですぜ。こんなにひどくばかにされてだまっているとお考えですか。結婚けっこんだなんてやれるならやってごらんなさい。
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それぞれ父親から縁談えんだんをもち出されると、我々は見る見るおたがいどうし好きになって、一足とびに結婚けっこんしてしまったというわけ。わたしの話は、ほんの二言ふたことで済んでしまいますよ。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
アーサがマチアの妹のクリスチーナをあいしていることはわたしにはわかっていた。そしていつか、それがいますぐというのではなくとも、母がこの結婚けっこん承知しょうちすることはわかっていた。
姉の富佐子ふさこは、結婚けっこんしていたけれど、良人が日華にっか事変の当時出征しゅっせいして戦死してからと云うもの、勝気で男まさりなところから、子供のないままに、野菜荷をかついで東京の町々へ売りに行って
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
しばらく、戸口とぐちって、見送みおくっていたおじいさんは自分じぶんにも、あちらでせがれの結婚けっこんしたよめのあることをおもいました。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それには、この子どもがお城へつきしだい、ただちにおひめさまと結婚けっこんさせるように、と書いておきました。
わたしは結婚けっこんしようと考えているのです。一家をやしなうぐらい、今ではなんでもないのですから。
そこではじめて、天下てんかはれて、王女と結婚けっこんのしだいを、国じゅうに知らせました。そうして、りっぱな儀式ぎしきをととのえて、あらためて、眠る森から、お姫さまをお迎えになりました。
眠る森のお姫さま (新字新仮名) / シャルル・ペロー(著)
 恋人こいびとアルネとの結婚けっこん……夕方。
「そのむすめは、結婚けっこんして、まだもないのであります。それをおっと戦争せんそうにいって、んだのをふかかなしんでいるからでありましょう。」とこたえました。
強い大将の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
地主にはふたりの息子むすこがありましたが、ふたりとも、ものすごくおりこうで、その半分でもたくさんなくらいでした。ふたりは、王さまのおひめさまに結婚けっこんを申しこもうと思いました。
このお姫さまが結婚けっこんしようと思う相手あいての人は、もしもお姫さまがさきにんだばあい、お姫さまといっしょに生きうめにされてもかまわないと約束やくそくできる人でなければだめだという
皇子おうじとおひめさまの、約束やくそく結婚けっこんが、いよいよちかづいてまいりました。おひめさまは、どうしたらいいだろうかと、おとも人々ひとびとにおたずねになりました。
赤い姫と黒い皇子 (新字新仮名) / 小川未明(著)