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築地
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ついじ
ふりがな文庫
“
築地
(
ついじ
)” の例文
足利
(
あしかが
)
時代からあったお城は御維新のあとでお
取崩
(
とりくず
)
しになって、今じゃ
塀
(
へい
)
や
築地
(
ついじ
)
の破れを
蔦桂
(
つたかづら
)
が
漸
(
ようや
)
く着物を着せてる位ですけれど
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
築地
(
ついじ
)
の
塀
(
へい
)
だけを
白穂色
(
しらほいろ
)
にうかべる橘の
館
(
やかた
)
に、彼女を呼ばう二人の男の声によって、夕雲は
錦
(
にしき
)
のボロのようにさんらんとして沈んで行った。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
伊勢は
戦
(
いくさ
)
といううわさだが、京都の空はのどかなものだ。
公卿
(
くげ
)
屋敷の
築地
(
ついじ
)
には、
白梅
(
しらうめ
)
の
香
(
か
)
がたかく、
加茂川
(
かもがわ
)
の
堤
(
つつみ
)
には、若草がもえている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
築地
(
ついじ
)
の崩れの陰などでは、
抜身
(
ぬきみ
)
を片手に女どもをなぐさんでおります浅ましい有様が、ちょっと使に出ましても二つや三つは目につきます。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
築地
(
ついじ
)
を
楯
(
たて
)
とし家を
砦
(
とりで
)
とする戦闘はその
樹
(
き
)
の周囲でことに激烈をきわめたという。その時になって長州は実にその正反対を会津に見いだしたのである。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
その裾の辺りへ去年の枯れ草を茂らせ、ところどころ壁土を落とした
築地
(
ついじ
)
。鋲は錆び、瓦は
破損
(
いた
)
み、久しく開けないために、扉に
干割
(
ひわ
)
れの見える大門。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
草も林も茂り合った、千坪に近い屋敷で、ここまでは手が廻らなかったか、塀も
築地
(
ついじ
)
も崩れて、野良犬の真似をすれば人間が
潜
(
くぐ
)
り込めないこともありません。
銭形平次捕物控:012 殺され半蔵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
寺域を囲む
築地
(
ついじ
)
もむろんわずかしか残っていない。松の大樹と雑草につつまれて
蒼然
(
そうぜん
)
たる有様である。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
唐門を入ったつき当りの低い
築地
(
ついじ
)
から枝をさし出した
一叢
(
ひとむら
)
の紅薔薇が、露多い夕闇に美しかった。
長崎の一瞥
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
初めはいかめしい
築地
(
ついじ
)
の邸がつゞいていたのが、だん/\みすぼらしい
網代
(
あじろ
)
の
塀
(
へい
)
や、屋根に石ころを置いた
佗
(
わ
)
びしい低い
板葺
(
いたぶき
)
の家などになったが、それも次第に
疎
(
まば
)
らに
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そこの
築地
(
ついじ
)
を向うにはずれた藪だたみのところに、見るから
風体
(
ふうてい
)
の汚ないいち人の非人が、
午下
(
ひるさが
)
りの陽光を浴びて、うつらうつらとその時迄居眠りをつづけていましたが
旗本退屈男:02 第二話 続旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
築地
(
ついじ
)
の外まで枝を
蔓
(
はびこ
)
らしている三抱えもあるような梅の老木は、昔と少しも変わらなかった。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
十七の時にはもう国司の
宣旨
(
せんじ
)
が下った。ところが筑紫へ赴任する前に、ある日
前栽
(
せんざい
)
で花を見ていると、
内裏
(
だいり
)
を拝みに来た四国の田舎人たちが
築地
(
ついじ
)
の外で議論するのが聞こえた。
埋もれた日本:――キリシタン渡来文化前後における日本の思想的情況――
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
天保元年に、京都に地震があり、ほうぼうの
築地
(
ついじ
)
や
下屋
(
げや
)
が倒壊したが、その修理もまだできていない。公卿の館も堂上の邸も、おどろしいばかりに荒れはて、人間の住居とも思われない。
奥の海
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
女は黙って
戸外
(
そと
)
の方を見ました。薄れかけた夕陽の光が
築地
(
ついじ
)
の上にありました。
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
しかもあの
平太夫
(
へいだゆう
)
が、なぜか堀川の御屋形のものを
仇
(
かたき
)
のように憎みまして、その時も梨の花に、うらうらと
春日
(
はるび
)
が
匀
(
にお
)
っている
築地
(
ついじ
)
の上から
白髪頭
(
しらがあたま
)
を
露
(
あらわ
)
して、
檜皮
(
ひわだ
)
の
狩衣
(
かりぎぬ
)
の袖をまくりながら
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私どもは彼らが春風に
袂
(
たもと
)
をなぶらせて羅生門の
丹楹
(
たんえい
)
白壁の楼から左右にながく流れる平安城の
築地
(
ついじ
)
のくずれを背にして、または
朱雀大路
(
すざくおおじ
)
の柳と桜とのやわらかな下蔭にたたずむように考える。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
半蔀几帳
(
はじとみきちょう
)
の屋内より出でて、忽ち
築地
(
ついじ
)
、
透垣
(
すいがい
)
の外を
瞥見
(
べっけん
)
する心地する。
『新訳源氏物語』初版の序
(新字新仮名)
/
上田敏
(著)
大納言
師道
(
もろみち
)
卿の
屋形
(
やかた
)
の
築地
(
ついじ
)
の外にも、その柳の葉が白く散っていた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
築地
(
ついじ
)
の根を馬の鈴が下りてゆく。馬を引く女が唄を歌う。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
角
(
かど
)
から角まで、ずっと
築地
(
ついじ
)
塀がつづいている。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
築地
(
ついじ
)
の外の桜並木が、枝もたわむばかり咲き誇ってきた。夜も昼も、そこからチラチラ白いものが
母子
(
おやこ
)
の室へ散り迷って来た。
日本名婦伝:静御前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
築地
(
ついじ
)
の崩れの陰などでは、
抜身
(
ぬきみ
)
を片手に女どもをなぐさんでをります浅ましい有様が、ちよつと使に出ましても二つや三つは目につきます。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
その時、
築地
(
ついじ
)
の外に落葉をふみ分ける音らしいものがしたが、筒井は気にしなかった。しかし音はなおつづいてそれが人の
跫音
(
あしおと
)
であることを知った。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
取り廻された
築地
(
ついじ
)
も崩れ、犬など自由に出入り出来そうであった。旅宿といったような造りではなかった。
弓道中祖伝
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
故郷の海辺も山国の若葉も忘れられないが、春がくるとつい大和へ旅立つようになった。塔と
伽藍
(
がらん
)
と
築地
(
ついじ
)
と、その奥に
佇立
(
ちょりつ
)
する
諸々
(
もろもろ
)
のみ仏が私を
否応
(
いやおう
)
なしに招くのだ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
ひらりと飛びうつると、えっとばかり気合いをころして身をおどらせながら、
築地
(
ついじ
)
づくりの高べいへ片手をかけたかとみるまに、するするとぞうさもなくよじのぼりました。
右門捕物帖:34 首つり五人男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
今頃ふるさとの篠崎はどんな有様になったであろうと、昔の
館
(
やかた
)
の堀のほとりへ立ち寄ってうかゞってみますと、
築地
(
ついじ
)
はあっても屋根は崩れておりますし、門はあっても扉は
外
(
はず
)
れておりますし
三人法師
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
某
(
ある
)
商人
(
あきんど
)
が
深更
(
よふけ
)
に
赤坂
(
あかさか
)
の
紀
(
き
)
の
国
(
くに
)
坂を通りかかった。左は
紀州邸
(
きしゅうてい
)
の
築地
(
ついじ
)
塀、右は
濠
(
ほり
)
。そして、濠の向うは
彦根
(
ひこね
)
藩邸の
森々
(
しんしん
)
たる木立で、深更と言い自分の影法師が
怖
(
こわ
)
くなるくらいな物淋しさであった。
狢
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
南の
簀子
(
すのこ
)
へ出て、すこし爪さき立ち気味にしてみると、
築地
(
ついじ
)
ごしに岡本ノ宮のあたりが、まるで手にとるやうに見渡される。
春泥:『白鳳』第一部
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
砂金
(
かね
)
売りの吉次は、
築地
(
ついじ
)
の外に立った。どこを眺めても、
盲目
(
めくら
)
のように門が閉まっている。雑草が、ほとんど、門の腰を埋めているのである。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一人は西の方の
築地
(
ついじ
)
に
佇
(
たたず
)
み、一人は東寄りの角の築地のかげに立っていた。一人が
山梔子色
(
くちなしいろ
)
の狩衣をつけていれば、一人は同じ
山吹色
(
やまぶきいろ
)
の折目正しい狩衣を着ていた。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
竹にすずめは
仙台
(
せんだい
)
侯、内藤様は下がり
藤
(
ふじ
)
、と俗謡にまでうたわれたその
内藤駿河守
(
ないとうするがのかみ
)
の広大もないお下屋敷が、
街道
(
かいどう
)
ばたに五町ひとつづきの
築地
(
ついじ
)
べいをつらねていたところから
右門捕物帖:22 因縁の女夫雛
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
この道筋には古風な民家が散在し、その破れた
築地
(
ついじ
)
のあいだより、秋の光りをあびて
柿
(
かき
)
の実の赤く熟しているのが
眺
(
なが
)
められた。
燻
(
くす
)
んだ黄色い壁と柿のくれないとがよく調和して美しい。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
安貞元年三月にも大地震があって、地が裂け、所所の門扉
築地
(
ついじ
)
が倒れた。
日本天変地異記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
とある古い
築地
(
ついじ
)
のかげに身をひそめ、いかなる張良韓信が来ようともたゞ一と討ちと手に汗を握ってうかゞっていますと、程なくそこへ
塵取
(
ちりとり
)
(註、屋根のなき
輿
(
こし
)
の一種也)が一梃通りかゝって
三人法師
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
月に向かって夢見るような大輪の白い
木蘭
(
もくらん
)
の花は小山田邸の塀越しに咲き下を通る人へ匂いをおくり、
夜眼
(
よめ
)
にも黄色い
連翹
(
れんぎょう
)
の花や雪のように白い梨の花は
諸角
(
もろずみ
)
邸の
築地
(
ついじ
)
の周囲を
靄
(
もや
)
のように
暈
(
ぼか
)
している。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いつのまにか、右衛門尉は
袴
(
はかま
)
をくくり上げていた。武人らしく、さっと雨のなかへ躍り出て、
築地
(
ついじ
)
を越えて出ようとしている
曲者
(
くせもの
)
をひっ捕えた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
くらやみに心を配りながら、どちらも不意にひらめくかも知れない刃がしらの予感に身をかたくまもり、お互の
跫音
(
あしおと
)
をうしろに聞き入って
築地
(
ついじ
)
の
塀
(
へい
)
ぎわを急いで行った。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
燃えながらに宙へ吹き上げられて、お
築地
(
ついじ
)
の
彼方
(
かなた
)
へ舞ってゆく紙帖もございます。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
築地
(
ついじ
)
の高塀したる
甍
(
いらか
)
の色も年古りて床しく、真八文字に打ち開かれた欅造りの御陣屋門に、徳川御連枝の権威を誇る三ツ葉葵の御定紋が、夕陽に映えてくっきりと輝くあたり、加賀、仙台
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
築地
(
ついじ
)
も荒れて崩れていた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「? ……」
礫
(
つぶて
)
をほうって耳をすましている、なんのこたえもない、二つめを投げた、そして、
築地
(
ついじ
)
の下に、
被衣
(
かずき
)
の影をじいっと
佇
(
たたず
)
ませていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
四条
(
しじょう
)
五条の秋色はどんなに華やかなものかも知れない、
築地
(
ついじ
)
の
塀
(
へい
)
をめぐらし、中の島をしつらえた広大な庭に、彼は好む樹木を配して子供の時からの庭が作って見たかった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
燃えながらに宙へ吹き上げられて、お
築地
(
ついじ
)
の
彼方
(
かなた
)
へ舞つてゆく紙帖もございます。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
二、三十間やっていくと、今まで高かった雪駄の音を突然ころして、ぴたりとそこの
築地
(
ついじ
)
べいに平ぐものごとく身をよせてしまいましたので、伝六はいぶかって、首をちぢめながらささやきました。
右門捕物帖:03 血染めの手形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
濠
(
ほり
)
の向こうはなまこ
壁
(
かべ
)
の
築地
(
ついじ
)
、
橋
(
はし
)
のあるところに
巨大
(
きょだい
)
な石門がみえ
土手芝
(
どてしば
)
の上には
巨松
(
きょしょう
)
がおどりわだかまっている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
道はすでに
相国寺
(
しょうこくじ
)
の大路端れに出ていて、半町ほど先には、ひろい
川面
(
かわも
)
の水が
銀鱗
(
ぎんりん
)
を立てて、水に近い
館
(
やかた
)
の
築地
(
ついじ
)
にまでその明るい光をぎらぎら映していた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夜はふけてくるほど、草にも花にも
甘
(
あま
)
い
香
(
か
)
が
蒸
(
む
)
れて、あとはただ
釣
(
つ
)
り
橋
(
ばし
)
の
紅梅
(
こうばい
)
が、
築地
(
ついじ
)
をめぐる水の上へ、ヒラ、ヒラと花びらくろく散りこぼれているばかり。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小石まじりの河原土でも、急に、それを構築し、
築地
(
ついじ
)
した後へすぐ水をかけておけば、一夜にして凍りつき、いちど凍った堅さは、これから春までは解けません。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“築地”の解説
築地(つきじ)は、東京都中央区の地名で、旧京橋区に当たる京橋地域内である。現行の行政地名は築地一丁目から築地七丁目。郵便番号は104-0045。
(出典:Wikipedia)
築
常用漢字
小5
部首:⽵
16画
地
常用漢字
小2
部首:⼟
6画
“築地”で始まる語句
築地塀
築地河岸
築地垣
築地橋
築地明石町
築地藤子
築地采女
築地両国行
築地魚河岸