「こいつは碌な者にはならん」とその頃から目の敵にされていたので、ぎゅっという目に遭うだろうくらいは暗算して来たのである。
『気の毒ですよ。いくらバラツクで碌な物はないと云つたつて、又焼かれちやあ助かりません。近所でもみんな泣いてゐましたよ。』
差當り奧方は御病死として屆け出たが、殿樣の御怒りは激しく、三千石の碌の半分を失つても、奧方樣の敵は討ちたいと仰つしやる。
彼は、その後は自分の子供たちをもう学校にやらないことに決め、こんなものを読んだり書いたりしても碌なことはない、と言った。
どうせ碌なものに似ているのじゃございますまいと答えたので、およそ人間として何かに似ている以上は、まず動物にきまっている。