看護みとり)” の例文
あらぬ口走りや、ふるえを起して、看護みとりや一族をおびやかすので、いよいよ以て、言いなり気なりに、そのわがままをつのらせた。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武器を参らす、郊外に猟などして、みずから励ましたまへ、聞くが如き其の容体ようだいは、薬も看護みとりかいあらずと医師のいへば。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それどころか、こうして幸子さんに看護みとりされて死ぬことが出来るのを、何より嬉しく思って感謝している位だ。
勝敗 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
その部屋になかば無意識のままに、寝ているはずの紋也のことを、チラリと鈴江は考えたが、お粂様が看護みとりをしていてくださる、だから心配はなさそうである。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
只一日の如く甲斐々々かひ/″\しく看護みとり仕つりし其孝行を土地ところの人も聞傳きゝつたへてほめ者にせられしが遂に其甲斐かひなく十四歳のみぎり右母病死びやうし仕つり他にたよるべき處もなきにより夫より節を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
うかけはなれてんでては、看護みとりとどかんでこまるのじゃが……。』めっきり小鬢こびんしろいものがまじるようになったちちは、そんなこともうしてなにやらふか思案しあんれるのでした。
そして、お露どのもごらんのとおり、あの、かゆいところへ手のとどくような左膳の看護みとりじゃ。男を泣かすのは男の友情だということを、わしはこんどはじめて、つくづくと知ったよ
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
娘が看護みとりの椅子に腰かけて頁をきり始めると、父は、いつの間にか寝入つてゐた。
我が愛する詩人の伝記 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
夜の看護みとりにあたる私は、明けやすい夜を、ただ、まじまじとして幾日か過ぎてゐた。カーテンのきから、時折外氣を求めはしたが、露じめりもない乾ききつた夜ばかりつづいてゐたのだつた。
夏の夜 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
ねもごろにわれやまひ看護みとりしてここの海べに幾夜か寝つる
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
かくも真心もて看護みとりの氷嚢など取り返へゐるぞ
さびし (新字旧仮名) / 山口芳光(著)
おまへの看護みとりには過ぎたるものだ。
橋の上の自画像 (新字旧仮名) / 富永太郎(著)
真心の看護みとりは、むしろ溢れるばかりな、幸福感に包まれるものであった。その甲斐があって、新九郎は日ならずして、床を払った。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水一杯といっても聞えない看護みとりけるお絹の身になったらどうであったろう、またこれを知りつつも
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
看護みとりもせず其上家財かざい着類きるゐ金子迄掻集かきあつめ家出なし三年の今日迄行衞ゆくゑ知ず母には實の娘一人ありけるが夫を同伴ともなひて此家を出しは我が家の次第にかたむく身代に見切を付て他へうつおん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「妾がお看護みとりいたします。あなたこそお休みくださりませ」「いえ」と鈴江は押し返した。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そんなことはまるでゆめのようで、くわしいことはすっかりわすれましたが、ただわたくし現世げんせはなれるまえに、香織かおりからこころからのあつ看護みとりけたことだけは、いまでもふかふか頭脳あたまそこきざみつけられてります。
沢庵が代って答えると——それならば今、甥の兵庫と共に、国許くにもとへ行って、石舟斎の看護みとりをしてくれている筈——と宗矩が話し
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いたつひに病氣となりてたうとう床に着きければ家内の心配大方おほかたならず醫者よくすり種々しゆ/″\に手を盡し看護みとりに怠り無りしかども松右衞門は定業ぢやうごふにや四十二歳を一期となし果敢はかなく此世を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かみ使つかひであつたらう、このとりがないと、民子たみこをつとにもへず、看護みとり出來できず、つやがて大尉たいゐ昇進しようしんした少尉せうゐさかえることもならず、與曾平よそべい喜顏よろこびがほにも、再會さいくわいすることが出來できなかつたのである。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「そうしてお看護みとりをなさいました」
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「父の看護みとりにつこうものと、はるばる江夏から急いできた劉琦なるぞ。城門の者、番の者、ここを開けい。通してくれよ」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
看護みとりの方の心づくしも医薬のかいもなく、裏方様には、とうとうお亡くなり遊ばしました。まだご幼少の範意様を残して。——そのお胸のうちを
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「むむ、半兵衛の看護みとりを頼んだぞ。くれぐれ軽はずみをさすな、気をつこうて帰城をいそぐなと、半兵衛にも伝えおけよ」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
癰瘡ようそうと拝診つかまつりました。おそれながら癰は古来から命とりと申すほど難治の病。ひたすら、看護みとりと療法の最善をつくすしかございません」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水滸のとりでは、このため、一同色をうしなった。さっそく宛子城えんしじょう病房びょうぼうに入れ、金創きんそうの手当やら貴薬きやくせんじて飲ませるなど、日夜の看護みとりに他念もない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、いうのは、いつも彼の枕許に、看護みとりしているこの家の小娘が、彼が泣くと、共々泣いて、果ては、しゅくしゅく、たもとに、嗚咽おえつをつつむからである。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(誰が枕許まくらもとにいるよりは、そなたがいてやるのが病人にとってもうれしかろう。わしが看護みとりしてやりたいが、気をつかっては、却って病気によくあるまい)
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
不治の病と医者にいわれながらもなおったひとの例はいくらでもある。自分の真心と、不断の看護みとりをもって、きっとこの兄を、もういちど健康にしてみせる。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その玉日の最期まで、枕元にかしずいて、看護みとりをしていたこの二人であった。二人はどうしてもこのことを越路こしじの親鸞に親しくお告げしなければならないと思った。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はい。兄の看護みとりをせよと、殿様からお暇を下さいましたので、しばらくここに留まっておりまする」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上杉弾正大弼だんじょうだいひつが病気のため、上野介は、上杉の方へ、看護みとりの者を連れて移っておるとか、又は、近く、米沢藩の警固のもとに、上杉家の本国へ引きこもるであろうとか——
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、真心のありたけを傾けた、看護みとりの世話をしてくれたり、また、心を力づけてくれるのだった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
以来、看護みとり登子とうこが、療治には侍医たちが、有隣のもとに全力をつくしてきた。わけて登子は帯も解かないやつれを病人と共にして、良人の苦熱を自分のなかにもあえいでいた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこへ拙者も留守を頼まれてうれしい看護みとりをしていた時、其女は、この平四郎に何というたか
夏虫行燈 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
している途中、これから勤行ごんぎょうの座にすわり、りょうの日課をすまさねば、自分の体にはなれぬのじゃ。……それをえてから訪ねてゆくほどに、おもとは、弟の看護みとりをして下さるように
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「誰か、看護みとりにのこしおかねば、あの気性、じっと、寝てはおるまい。——又十郎」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、詠み出られた一首を、看護みとり新待賢門院廉子しんたいけんもんいんやすこへお示しになっていたという。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、病身の看護みとりの手に、ぜひその妻を、連れ帰りたいと願い出たのである。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それ以来は藪山やぶやまの家に寝たっきりで——妻のおえつの看護みとりをうけていたが、年暮くれの寒さをこえて、この正月になっては、腹部にうけた槍傷が毎日痛むらしく、苦しげなうめきがのべつ洩れていた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あいにく、この春以来、末の息女が、風邪とも、麻疹はしかともつかぬ御病気。その看護みとりに、お疲れの上に、良人の大難と聞かれて、先頃から夜ごと、水垢離みずごりとって、神信心など、なされたものらしい。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
半兵衛重治の病は急にあついと沙汰された。彼の陣屋の幕は寒々と夕風に揺れ、その宵、丸木組の病屋のうちには、秀吉も枕頭ちんとうに詰め、官兵衛も昨夜以来、詰めきって、あらゆる看護みとりを尽していた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上野介は、父子おやこの情愛で、しげしげ看護みとりに通われているという。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
半兵衛はともかく、かしずいて看護みとりしているおゆうや家臣たちは
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)