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畏
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かしこま
ふりがな文庫
“
畏
(
かしこま
)” の例文
其
(
その
)
馬
(
うま
)
がさ、
私
(
わし
)
も
別
(
べつ
)
に
馬
(
うま
)
は
珍
(
めづ
)
らしうもないが、
白痴殿
(
ばかどの
)
の
背後
(
うしろ
)
に
畏
(
かしこま
)
つて
手持不沙汰
(
てもちぶさた
)
ぢやから
今
(
いま
)
引
(
ひ
)
いて
行
(
ゆ
)
かうとする
時
(
とき
)
椽側
(
えんがは
)
へひらりと
出
(
で
)
て
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お百姓さんはきちんと
畏
(
かしこま
)
って坐っていたので
痺
(
しびれ
)
をきらしたらしく、一寸足を崩して私を見て笑った。とても邪気のない笑いだった。
遁走
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
日吉は、板縁に
畏
(
かしこま
)
って、声をかけた。——返辞はなかったが、主人の捨次郎も、御寮人も、そこに起きて坐っている気配がする。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鍋
(
なべ
)
から鍋へと
往
(
い
)
ったり来たりして、味をみ、意見を述べ、確信ある調子で料理の法を説明していた。
普通
(
なみ
)
の料理女はそれを
畏
(
かしこま
)
って聞いていた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それほど声はきびしく
圧
(
おさ
)
えつけるものがあった。われ知らず頭がさがって、心より先に身体が平たく
畏
(
かしこま
)
ったように見えた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
▼ もっと見る
ハイ
御免
(
ごめん
)
なさい。主人「へい
是
(
これ
)
はいらつしやい。客「
此
(
こ
)
の
両掛
(
りやうがけ
)
を
其方
(
そつち
)
へお
預
(
あづ
)
かり下さい。主人「へい/\
畏
(
かしこま
)
りました。客「お
湯
(
ゆ
)
が
沸
(
わ
)
いて
居
(
を
)
りますかな。 ...
(和)茗荷
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
火はこうして と
懇
(
ねんごろ
)
に教えながら昼飯の支度をして、やがて飯ができたのでちょこなんと
畏
(
かしこま
)
って給仕をしてくれる。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
何しろ折からの水が
温
(
ぬる
)
んで、桜の花も流れようと云う加茂川へ、大太刀を
佩
(
は
)
いて
畏
(
かしこま
)
った侍と、あの十文字の護符を捧げている
異形
(
いぎょう
)
な沙門とが影を落して
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
畏
(
かしこま
)
りました、奥さま!」とフェチニヤは、羽根蒲団の上に敷布をかけ終ると、枕をそこにおきながら、言った。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
書面
(
しよめん
)
にし訴へ
出
(
いで
)
町奉行所にては是ぞ大坂に
噂
(
うはさ
)
の有者
併
(
しか
)
し
理不盡
(
りふじん
)
の振舞なりとて早速役人を出張せしめ速かに
召連
(
めしつれ
)
參
(
まゐ
)
るべし仰せ
畏
(
かしこま
)
り候とて
手附
(
てつき
)
の與力兩人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
後へ続いて板の間に
畏
(
かしこま
)
りながらも、
理由
(
わけ
)
を知らない丁稚は、芝居をしているようで今にも吹き出しそうだった。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それとは別に、首領らしい男が一人離れて立っていたが、色白く
小柄
(
こがら
)
な男であるがこの男の前に皆
畏
(
かしこま
)
っていた。
外
(
ほか
)
に、手下らしい下人が二、三十人ばかりいた。
女強盗
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そこで交換局では
畏
(
かしこま
)
って早速接続すると女皇陛下は御満足で、ものの小半時間もゆるゆる後対話があった。
話の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
叩きおりしがお登和嬢
振返
(
ふりかえ
)
りて思わず言葉をかけ「大原さん、それでは叩き
潰
(
つぶ
)
すのです、叩くだけにして下さい」大原「ハイハイ
畏
(
かしこま
)
りました」とお登和嬢に口を
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「ハイ、
畏
(
かしこま
)
りました。どうぞ此方へいらしって下さい」男は先に立って、とある部屋の前まで来ると
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
「ええ。
畏
(
かしこま
)
りました。だが、この
寒空
(
さむぞら
)
にこの土地で梨の実を手に入れる事は出来ません。
併
(
しか
)
し、わたくしは今梨の実の沢山になっているところを知っています。それは」
梨の実
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
「はあ」と
畏
(
かしこま
)
って玄竜はばつ悪そうにもじもじするのだ。「それはもうよく分っているんです」
天馬
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
濡縁に足跡をつけながら座敷にあがってくると、青年は
縁端
(
えんはな
)
に近いところに
畏
(
かしこま
)
ってすわった。
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
矮小な正木博士が、大きな椅子の中一パイにハダカッているのに対して、
巨大
(
おおき
)
な若林博士が、小さな椅子の中に恭しく
畏
(
かしこま
)
っている光景は、いよいよ絶好の漫画材料で御座います。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しまはみんなが
競
(
せ
)
りをやっている十二畳と自分の部屋との間の敷居近く膝を乗り出して、
畏
(
かしこま
)
ってはいるが、うつゝを抜かした人のように口を開けて若旦那たちの所作を眺めていました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
がらがらがらと挽き込だる、
人力車
(
くるま
)
は旦那か、南無三と、恠我の振りして
畏
(
かしこま
)
る。吉蔵よりもお園が当惑。ちやうどよいとこ、悪いとこ、奥様ならば、よいものを、旦那様とは、情けなや。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
そういう時は、徳蔵おじは、いつも
畏
(
かしこま
)
って奥様の
仰事
(
おおせごと
)
を
承
(
うけたまわ
)
っているようでした。
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
誰に
斯
(
こ
)
う伝言せよと命ずるからヘイ/\と
畏
(
かしこま
)
りながら、心の中では舌を出して
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「然れども立ちたる矢をも抜き給はず、流るる血をも拭ひ給はず、敷皮の上に立ちながら
大盃
(
おにさかづき
)
を三度傾けさせ給へば、
木寺相模
(
きでらさがみ
)
、四尺三寸の太刀の
鋒
(
きっさき
)
に敵の首をさし貫いて宮の御前に
畏
(
かしこま
)
り……」
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
もう二人、背広姿の若い男がいて、これは婦人の前に
畏
(
かしこま
)
っていた。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と卓造君は袴を
穿
(
は
)
いて
畏
(
かしこま
)
っていた。
村の成功者
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「はい、
畏
(
かしこま
)
りました。」
蚊帳の釣手
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
「へい、
畏
(
かしこま
)
りました。」
夢の国
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
岸本は彼の前に
畏
(
かしこま
)
った。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「
畏
(
かしこま
)
りました、船長」
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「はい、
畏
(
かしこま
)
りました」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
五ツ紋の
青年
(
わかもの
)
は、
先刻
(
さっき
)
門内から左に見えた、縁側づきの六畳に
畏
(
かしこま
)
って、
件
(
くだん
)
の葭戸を見返るなどの不作法はせず、
恭
(
うやうや
)
しく手を
支
(
つ
)
いて
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
へい
畏
(
かしこま
)
りました、
書生
(
しよせい
)
さんのお
世辞
(
せじ
)
だよ、エヽ
此手
(
このて
)
では
如何
(
いかゞ
)
でげせう。ギイツと機械を
捻
(
ねぢ
)
ると
中
(
なか
)
から
世辞
(
せじ
)
が出た。
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「今夜はまた、旦那さまの客呼びで、おらたちまで、お末に
畏
(
かしこま
)
って、長談義を聞かねばならぬ晩だぞ」
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを見た閻魔大王は、すぐに鬼どもの方を向いて、荒々しく何か言ひつけると、鬼どもは一度に
畏
(
かしこま
)
つて、忽ち杜子春を引き立てながら、森羅殿の空へ舞ひ上りました。
杜子春
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
カワウソ
畏
(
かしこま
)
って、創造神のもとへ戻って来たものの、天の神の言ったことはケロリと忘れて
えぞおばけ列伝
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
と、出羽守の肩に手をかけていた小姓風の若侍が、その手を引いて、背後に
畏
(
かしこま
)
った。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
僕は、お
主婦
(
かみ
)
が何か
畏
(
かしこま
)
っていっているのを聞き流して、梯子段を降りたのです。
島原心中
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
但しソレに
就
(
つい
)
ては母が病気だと
申遣
(
もうしつか
)
わせと云う
御直
(
おじき
)
の厳命が
下
(
くだ
)
ったから、
固
(
もと
)
より
否
(
いな
)
むことは出来ず、
唯
(
ただ
)
畏
(
かしこま
)
りましたと答えて、母にもそのよしを話して、ソレカラ従兄が私に手紙を
寄送
(
よこ
)
して
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
源右衛門『ええ?……………是非もない。仰せ
畏
(
かしこま
)
りましてござります』
取返し物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
畏
(
かしこま
)
りました」と老人は急ぎ足になっていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「はい、
畏
(
かしこま
)
りました」
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
畏
(
かしこま
)
りました」
三十二刻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その馬がさ、私も別に馬は珍しゅうもないが、
白痴殿
(
ばかどの
)
の
背後
(
うしろ
)
に
畏
(
かしこま
)
って
手持不沙汰
(
てもちぶさた
)
じゃから今引いて行こうとする時縁側へひらりと出て
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
亭「へい
畏
(
かしこま
)
りました、貴方
此方
(
こちら
)
へお這入りなさい、そうして旦那、あの御婦人は御番所の前は手形が入りますぜ」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それを見た閻魔大王は、すぐに鬼どもの方を向いて、荒々しく何か言いつけると、鬼どもは一度に
畏
(
かしこま
)
って、
忽
(
たちま
)
ち杜子春を引き立てながら、森羅殿の空へ舞い上りました。
杜子春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
病魔を組み敷くつもりで、無理に
畏
(
かしこま
)
って坐ってみる。——痛い。気が絶え入るほど痛いのだ。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
守るなと
委細
(
ゐさい
)
に申付られしかば次右衞門三五郎の兩人は
主命
(
しゆめい
)
畏
(
かしこま
)
り奉つると早速
先
(
まづ
)
觸
(
ふれ
)
を出し直樣桐棒駕籠に
打乘
(
うちのり
)
白布にて鉢卷と腹卷をなし品川
宿
(
じゆく
)
より道中駕籠一挺に人足廿三人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
成程昨今の
弗
(
ドルラル
)
は安くない、
併
(
しか
)
し三井にはズットその前安い時に買入れた弗もあるだろう、
拙者
(
せっしゃ
)
のこの
一歩銀
(
いちぶぎん
)
はその安い弗と両替して貰いたいと云うと、三井の手代は平伏して、
畏
(
かしこま
)
りました
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
葛岡は判るのか判らないのか
畏
(
かしこま
)
って聴いています。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
畏
常用漢字
中学
部首:⽥
9画
“畏”を含む語句
畏縮
畏怖
畏敬
可畏
畏友
畏懼
無所畏
大畏怖
敬畏
畏多
畏服
畏嚇
怖畏
施無畏
無畏
畏怖心
能以無畏
畏憚
畏慎
畏愛
...