犧牲ぎせい)” の例文
新字:犠牲
小意氣ではあるが、自分のみにくさを意識して居るお半は、お絹と染五郎の仲を、犧牲ぎせい的な心持で同情してやつて居るのでした。
彼等かれらのやうなひく階級かいきふあひだでも相互さうご交誼かうぎすこしでもやぶらないやうにするのには、其處そこにはかならそれたいして金錢きんせん若干じやくかん犧牲ぎせいきようされねばならぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
が、やがて不意ふい松葉まつばからはなれるとはちはぶんとあがつた。三にんははつとどよめいた。けれども、はち大事だいじ犧牲ぎせい蜘蛛くも死骸しがい警戒けいかいしにつたのだつた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
幸福さひはひにも吾等われらいへは、斷崖だんがい絶頂ぜつてうてられてつたので、このおそ惡魔あくま犧牲ぎせいとなることけはまぬかれた。
その場合ばあひにはかなら今迄いままでむつまじくごしたなが歳月としつきさかのぼつて、自分達じぶんたち如何いか犧牲ぎせいはらつて、結婚けつこんあへてしたかと當時たうじおもさないわけにはかなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
犧牲ぎせいにしてもおまへさまのおこゝろうかゞさききてかへねんはなし父御てゝごさまの今日けふおほ人非人にんぴにん運平うんぺいむすめ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
或學校あるがくかう學生間がくせいかん教頭排斥けうとうはいせきおこつて、すでにストライキをやらうとしたのだが、ストライキでは犧牲ぎせいおそれがあるとふので、ハガキ運動うんどうといふことだれかゞおもひついて
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
もし此手段このしゆだん實行上じつこうじようともな犧牲ぎせいがあるならば、それを考慮こうりよすることも必要ひつようであるけれども、何等なんら犧牲ぎせいがないのみならず、火災防止かさいぼうしといふもつと有利ゆうり條件じようけんともなふのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
進むべき路を進みかねて境遇の犧牲ぎせいとなつた人の、その心に消しがたき不平が有れば有る程、元氣も顏色も人先におとろへて、幸福な人がこれから初めて世の中に打つて出ようといふ歳頃としごろ
歌のいろ/\ (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
その人々ひと/″\それ自身じしんつみであるとはいへ、所謂いはゆる新時代しんじだい最初さいしよ犧牲ぎせいだと思ひます。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
けれど先生せんせい自分じぶん虚榮心きよえいしん犧牲ぎせいになるやうな生活せいくわつません。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
彼等かれらがさういふ苦辛くしんあひだつぎ身體からだつかれを犧牲ぎせいにしてまでもわづか時間じかんあひたいしてながらたがひかほることが出來できないでひくころしたこゑにのみ滿足まんぞくするほか
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
このさい調査ちようさむかつた農商務技師のうしようむぎし三浦宗次郎氏みうらそうじろうし同技手どうぎて西山省吾氏にしやましようごし噴火ふんか犧牲ぎせいになつた。少年讀者しようねんどくしや東京とうきよう上野うへの博物館はくぶつかんをさめてある血染ちぞめの帽子ぼうし上着うはぎとをわすれないようにされたいものである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
道徳の形骸けいがいや、ひられた犧牲ぎせいやらをこばみましたけれども、今わが内心ないしんに新しくき起つて來た道徳的な感情かんじやうをもつて、初めてやみの中にさぐり求めてゐたあるものをつかんだやうな氣がするのです。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
内儀のお豐はまさにその犧牲ぎせいになつたのです。
絶對ぜつたいその犧牲ぎせいをしむものは憎惡ぞうをふにいたらないまでも、相互さうごあひだ疎略そりやくにならねばならぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)