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牢獄
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ろうごく
ふりがな文庫
“
牢獄
(
ろうごく
)” の例文
あるいはカルカッタの
牢獄
(
ろうごく
)
における百二十三人の
俘虜
(
ふりょ
)
の窒息死
(5)
などの記事を読むとき、もっとも強烈な「快苦感」に
戦慄
(
せんりつ
)
する。
早すぎる埋葬
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
その日の夕飯はさびしかった、酒を飲んで
喧嘩
(
けんか
)
をするのは困るが、さてその人が
牢獄
(
ろうごく
)
にあると思えばさびしさが
一層
(
いっそう
)
しみじみと身に
迫
(
せま
)
る。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
しかし、殻から出た
蛹
(
さなぎ
)
は、新らしい外皮の中に喜んで手足を伸して、自分の新しい
牢獄
(
ろうごく
)
の境界をまだ認めるの
隙
(
ひま
)
がなかった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
自分の
牢獄
(
ろうごく
)
を出ることを拒む、その中で生まれた子供のようであった。彼らは船以外に絶対に、パンを得られないほど、船に同化されていた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
呼出された者は取調中は縁側に両手をついて居べき規定であるのに、弘庵は
膝
(
ひざ
)
の上に片手を置いたので、役人らの怒に触れ
牢獄
(
ろうごく
)
に投ぜられた。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
長官は、自分が使っていた女中が強盗を働いていたのを謝罪する意味もあったのであろう。白昼に、
牢獄
(
ろうごく
)
へ護送した。たいへんな見物であった。
女強盗
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
窓から
射
(
さ
)
して来ている灰色な光線は、どうかすると暗い部屋の
内部
(
なか
)
を
牢獄
(
ろうごく
)
のように見せた。周囲が冷い石で
繞
(
かこ
)
われていることもその一つである。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一九三×年、この東洋第一の大工業都市にほど近い
牢獄
(
ろうごく
)
の独房は、太田と同じような罪名の下に収容されている人間によって満たされていたのだ。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
たとえ
鳥
(
とり
)
に
対
(
たい
)
してすら、
人間
(
にんげん
)
にはそんな
権利
(
けんり
)
がないのを、
同
(
おな
)
じ、
人間
(
にんげん
)
の
自由
(
じゆう
)
を
束縛
(
そくばく
)
したり、または
牢獄
(
ろうごく
)
にいれたりする。
自由
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
拷問の後にほうり込まれた
牢獄
(
ろうごく
)
の中で眼前に迫る生死の境に臨んでいながらばかげた油虫の競走をやらせたりするのでも決してむだな
插話
(
そうわ
)
でなくて
映画雑感(Ⅳ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
あなたは
牢獄
(
ろうごく
)
から逃げてきたんではないって判断できますけれど——そんな犯罪をおやりになるはずはありませんわ
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
小さなカンテラがついているばかりで、よく分らぬけれど、柱も何もないコンクリートの壁、赤茶けた
薄縁
(
うすべり
)
、どうやら地底の
牢獄
(
ろうごく
)
といった感じである。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
がついに消えうせてしまって、九つの塔を持った陰惨な
牢獄
(
ろうごく
)
の
城砦
(
じょうさい
)
の跡に立った、煙筒のついた大きなストーブみたいな記念碑を、平和にそびえさした。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
いかにつまらない事務用の通信でも、交通
遮断
(
しゃだん
)
の孤島か、障壁で高く囲まれた美しい
牢獄
(
ろうごく
)
に閉じこもっていたような二人に取っては予想以上の
気散
(
きさん
)
じだった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
このあいだ、わたしは
牢獄
(
ろうごく
)
の建物を見おろしました。窓をしめた一台の馬車が、その前でとまりました。ひとりの
囚人
(
しゅうじん
)
が連れだされることになっていたのです。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
その春(昭和八年)日本が国際連盟を
脱退
(
だったい
)
して、世界の仲間はずれになったということにどんな意味があるか、近くの町の学校の先生が
牢獄
(
ろうごく
)
につながれたことと
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
土のお
団子
(
だんご
)
などをこしらえている時に、坊ちゃんの一人が
目附
(
めっ
)
けだされて、連れかえられようものなら、その子は
家
(
うち
)
へかえるのを
牢獄
(
ろうごく
)
にでもおくられるように号泣した。
旧聞日本橋:02 町の構成
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ひとりで
牢獄
(
ろうごく
)
にいて、しかもだれも訪れる人がないことがどんなものか身をもって味わったのだ。彼は一時も母が自分の目の届かぬところに行くのには耐えられなかった。
寡婦とその子
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
一心に迷うて、あくまで小さい自我に固執するならば、現実の世界は、
畢竟
(
ひっきょう
)
苦
(
く
)
の
牢獄
(
ろうごく
)
です。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
廊下はきょうも
不相変
(
あいかわらず
)
牢獄
(
ろうごく
)
のように憂鬱だった。僕は頭を垂れたまま、階段を
上
(
あが
)
ったり下りたりしているうちにいつかコック部屋へはいっていた。コック部屋は存外明るかった。
歯車
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
成経 わしは同志の
安否
(
あんぴ
)
を気づかいました。しかしだめだった。彼らは何ごとをも
隠
(
かく
)
して語らなくなったから、わしは
牢獄
(
ろうごく
)
の中で幾たびも
壁
(
かべ
)
に頭を打ちつけて死のうとしました。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
債権者は日々彼を追求して、
牢獄
(
ろうごく
)
の
扉
(
とびら
)
が巨人の背に迫ることも少なくはなかった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
共にしたとはいうけれど、譬えば一家の
主僕
(
しゅうぼく
)
がその家を、
輿
(
こし
)
を、犬を、三
度
(
ど
)
の食事を、
鞭
(
むち
)
を共にしていると変った事はない。一人のためにはその家は
喜見城
(
きけんじょう
)
で、一人のためには
牢獄
(
ろうごく
)
だ。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
同時にまたその時以来、僕は物質の窮乏などというものが、精神の
牢獄
(
ろうごく
)
から解放された自由の日には、殆んど何の苦にもならないものだということも、自分の生活経験によって
味得
(
みとく
)
した。
老年と人生
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
しかしそれにも拘らず晩年には甚だ不遇であったので、殊に安永八年には図らずも罪を得て十一月二十日に
牢獄
(
ろうごく
)
につながれることとなり、十二月十八日に獄内で死歿したと
云
(
い
)
うことです。
平賀源内
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
そこのホテルは
牢獄
(
ろうごく
)
のように頑丈だった。女中はみんな白い服を着ていた。黒い服を着た下男が幾人もいた。彼女は大勢の手で、ある一室に投げ込まれた。——どこからか夫の声がしてきた。
猟奇の街
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
夫婦
(
ふうふ
)
は
困
(
こま
)
つてしまひました。そして、
鳥屋
(
とりや
)
へもつて
行
(
い
)
つて
賣
(
う
)
りました、けれどそれが
運
(
うん
)
の
盡
(
つ
)
きでした。その
嘴
(
くち
)
からの
言葉
(
ことば
)
で、とうとう
二人
(
ふたり
)
は
捕
(
つかま
)
つて、
暗
(
くら
)
い
暗
(
くら
)
い
牢獄
(
ろうごく
)
のなかへ
投
(
な
)
げこまれました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
その後十二月の或る週に、待ち
焦
(
こが
)
れた
仏蘭西
(
フランス
)
映画「
格子
(
こうし
)
なき
牢獄
(
ろうごく
)
」が懸ったので、二人はそれを見に行ったが、その日から幸子が風邪を引き込んだので、外出歩きは当分見合わすことになった。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
どうかすると全く
辻褄
(
つじつま
)
の合わないことをやり、女一人でいると、時には何か自分の閉じ
籠
(
こ
)
もっている
牢獄
(
ろうごく
)
の窓を
蹴破
(
けやぶ
)
って飛び出し、思う存分手足を伸ばし胸を張り呼吸をしてみたくもなるものと見え
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
若くして身の破戒をば問はれたる法師のありし土の
牢獄
(
ろうごく
)
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
青い
牢獄
(
ろうごく
)
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それからもう彼らは、息苦しい都会の中に閉じこもった。そしてその
牢獄
(
ろうごく
)
みたいな中庭から、悲しげに田野をしのんでいた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それはちょうど
牢獄
(
ろうごく
)
に監禁された囚人が、赤い高い
煉瓦塀
(
れんがべい
)
のかなたには、絶対の自由がある。自分はそこでは自分の好む通りにすることができる。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
私
(
わたし
)
は、十
年
(
ねん
)
、二十
年
(
ねん
)
、
牢獄
(
ろうごく
)
にあった
囚徒
(
しゅうと
)
が、
放免
(
ほうめん
)
された
暁
(
あかつき
)
、
日光
(
にっこう
)
のさんさんとしてみなぎる
街上
(
がいじょう
)
へ、
突
(
つ
)
き
出
(
だ
)
されたときのことを
想像
(
そうぞう
)
したのであります。
自由
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そうして、
牢獄
(
ろうごく
)
にぶち込むなり、死刑に処するなりにしてしまえば、蘭子ばかりではない、世間全体の安堵である。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ちょうど
牢獄
(
ろうごく
)
にいる死刑を宣告された重罪人が、判決のまだ定まらないあいだは禁じられていた多少の寛大な待遇を許される、といったようなものですね。
メールストロムの旋渦
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
その時の記憶が
復
(
ま
)
た帰って来た。おげんはあの
牢獄
(
ろうごく
)
も同様な場所に身を置くということよりも、
狂人
(
きちがい
)
の多勢居るところへ行って本物のキ印を見ることを恐れた。
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
まるで一年も
牢獄
(
ろうごく
)
にいて、人間らしい人間にあわないでいた人のように葉子には岡がなつかしかった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼がはいってきた鉄格子は偶然にもゆるんでいたが、しかし下水道の他の口がすべて閉ざされてることは明らかである。彼はただ
牢獄
(
ろうごく
)
の中に逃げ込み得たに過ぎなかった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
波浪が
舷側
(
げんそく
)
をどうっとばかり流れてゆき、まさに耳もとで
咆哮
(
ほうこう
)
するのを聞くと、あたかも死神がこの水に浮んでいる
牢獄
(
ろうごく
)
のまわりで怒り狂い、獲物をもとめているような気がした。
船旅
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
深い
井戸
(
いど
)
からか、それとも
溜息
(
ためいき
)
の橋のそばの
牢獄
(
ろうごく
)
からか、一つの溜息が聞えてきます。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
表通りには鉄道馬車の線路のある日本の中央の幹線道路でありながら、
牢獄
(
ろうごく
)
のあった時代からはかなり過ぎているのに、人通りがなくて、道巾の広い通りには野道のように草が生えていた。
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「こう云う
体
(
からだ
)
じゃもう
駄目
(
だめ
)
だよ。とうてい
牢獄
(
ろうごく
)
生活も出来そうもないしね。」
彼
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「ボヘミア人はヴァイオリンさえあれば
牢獄
(
ろうごく
)
もまた楽し」とも言われている。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
伯父は
牢獄
(
ろうごく
)
にあり、わが身はどろにあえぐふなのごときいまの場合に、ただひとり
万斛
(
ばんこく
)
の同情と親愛をよせてくれる人があると思うと、千三の胸に
感激
(
かんげき
)
の血が高波のごとくおどらざるを得ない。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
ローマの哲学者ポエチウスは
牢獄
(
ろうごく
)
のなかで死刑の日を前にして『哲学の慰め』というりっぱな本を書いていますが、これに似た話が中国にもあります。今からちょうど千五百年以前のことです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
その治安維持法という
法律
(
ほうりつ
)
に
違反
(
いはん
)
した行動のために、
牢獄
(
ろうごく
)
につながれ、まもなく出てきてからも
復職
(
ふくしょく
)
はおろか、
正当
(
せいとう
)
なあつかいもうけていないということだけが、その法律とつないで考えられた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
無気力の状態から奮いたってついに
牢獄
(
ろうごく
)
の壁を
覆
(
くつがえ
)
すことを、この美しい
捕虜
(
ほりょ
)
にできさしてやりたい! 彼はおのれの力をも敵の
凡庸
(
ぼんよう
)
さをも知らないのだ。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
『おれはあの犬になりたい』と
奴隷
(
どれい
)
は主人の犬を見て思わなかっただろうか。『おれは
燕
(
つばめ
)
になりたい』と、だれかが残虐な
牢獄
(
ろうごく
)
の窓にすがって思わなかっただろうか。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
ここで、おれは電気計算機のように、冷静に、
緻密
(
ちみつ
)
にならなければいけない。股野が死んだことは、もっけの幸いではないか。あけみは
牢獄
(
ろうごく
)
からのがれて自由の身となるのだ。
月と手袋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
牢
漢検準1級
部首:⽜
7画
獄
常用漢字
中学
部首:⽝
14画
“牢”で始まる語句
牢
牢屋
牢舎
牢固
牢人
牢乎
牢問
牢格子
牢守
牢死