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披瀝
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ひれき
ふりがな文庫
“
披瀝
(
ひれき
)” の例文
それはとにかく、ソクラテスの偉大なるところは、徹頭徹尾、思い切って所信を
披瀝
(
ひれき
)
した、その無遠慮な点に存する事を
否
(
いな
)
み
難
(
がた
)
い。
ソクラテス
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
未来の文運を支配する青年の前に
披瀝
(
ひれき
)
するは余の最も光栄とする所なるを以て先づこの問題を選んで学生諸子の批判を仰がんと決意せり。
『文学論』序
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「わたしはこの草の中から、月を見ているのが好きですよ」彼は彼自身のもっている唯一の詩的興趣を
披瀝
(
ひれき
)
するように言った。
蒼白い月
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私は今度朝鮮に対する私の情を
披瀝
(
ひれき
)
するために、一つの音楽会を貴方がたに
献
(
ささ
)
げたく思う。会は五月初旬京城において開かれるはずである。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
率直に皇室に対して親愛の情を
披瀝
(
ひれき
)
する機会の得られることを望み、それを得た場合にそれを実現することを忘れなかった。
建国の事情と万世一系の思想
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
▼ もっと見る
しかしいずれの方面に筆をとられたものとしても、これこそ作者独得の
擅場
(
せんじょう
)
、充分
蘊蓄
(
うんちく
)
を
披瀝
(
ひれき
)
されることを望ましく思う。
「明治のおもかげ」序にかえて
(新字新仮名)
/
喜多村緑郎
(著)
「恐れ入ったもんだろう? まだ沢山あるんだが、
蘊蓄
(
うんちく
)
を一々
披瀝
(
ひれき
)
していると果しがないから、この辺で止めにして置く」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
しかし
放蕩紳士
(
ほうとうしんし
)
が胸中を
披瀝
(
ひれき
)
致候も他日
雅兄
(
がけい
)
小説御執筆の節何かの材料にもなるべきかと昨夜は下らぬ事包まずお
尋
(
たずね
)
のまゝ
懺悔
(
ざんげ
)
致候次第に御座候。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
諸君、祭司長は、
只今
(
ただいま
)
既
(
すで
)
に、無言を
以
(
もっ
)
て百千万言を
披瀝
(
ひれき
)
した。
是
(
こ
)
れ、げにも尊き祭始の宣言である。
然
(
しか
)
しながら、
未
(
いま
)
だ祭司長の云わざる処もある。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
一つはその罪に倍増した善業によってこれを
償
(
つぐな
)
うことである。二つには生命の前に誠を
披瀝
(
ひれき
)
して懺悔することである。
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
問題
(
もんだい
)
は
各自
(
かくじ
)
その
懷抱
(
くわいほう
)
する
所
(
ところ
)
を
遠慮
(
えんりよ
)
なく
披瀝
(
ひれき
)
した
處
(
ところ
)
のものが、
所謂
(
いはゆる
)
建築
(
けんちく
)
の
根本義
(
こんぽんぎ
)
の
解決
(
かいけつ
)
に
對
(
たい
)
して
如何
(
いか
)
なる
暗示
(
あんじ
)
を
與
(
あた
)
へるか、
如何
(
いか
)
なる
貢献
(
こうけん
)
を
致
(
いた
)
すかである。
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
その敬服さ加減を
披瀝
(
ひれき
)
するために、この朴直な
肥後侍
(
ひござむらい
)
は、無理に話頭を一転すると、たちまち内蔵助の忠義に対する、盛な歎賞の辞をならべはじめた。
或日の大石内蔵助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
丁度今回大阪でも近作陶鉢の会を催し、展観することになりましたから、
具
(
つぶ
)
さにご覧を願いましてお心付きの点を
披瀝
(
ひれき
)
して頂きたいと思うのであります。
近作鉢の会に一言
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
クリストフの一言に奥底まで
揺
(
ゆす
)
られた。そして夢中になって心の中を
披瀝
(
ひれき
)
した。彼の理想主義はその隠れたる魂の上に、
閃々
(
せんせん
)
たる詩の光輝を投げかけた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
はたしてどれだけの誠意を
披瀝
(
ひれき
)
して聴かしてくれるものか、それと知りつつ、わざわざ笑われるために行くのも
阿呆
(
あほ
)
らしいようで控えていたが、それでも
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
楊儀は
闕下
(
けっか
)
に伏して、うやうやしく孔明の一書を捧呈した。これなん孔明がふたたび悲壮なる第二次北伐の決意を
披瀝
(
ひれき
)
したいわゆる「
後出師表
(
ごすいしのひょう
)
」であった。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これ予が自ら
揣
(
はか
)
らず、敢てここに憲政の本義に関する愚見を
披瀝
(
ひれき
)
して大方の叱正を乞わんとする
所以
(
ゆえん
)
である。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
ジャン・クリストフのために選まれた芸術的形式と文体とについて、多少の考慮を私は
披瀝
(
ひれき
)
すべきであろう。
ジャン・クリストフ:13 後記
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
、
ロマン・ロラン
(著)
宿の
涼廊
(
りょうろう
)
で行きあったのをひきとめて、助左衛門を探しまわっている苦心の段を
披瀝
(
ひれき
)
すると、モニカは濡れ濡れした大きな眼で吉之丞の顔を見かえしながら
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
つまり、自分たちは自分たちの真情を
披瀝
(
ひれき
)
するだけで、なにも不穏な行動に出ようとしているのではない。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
誠意を
披瀝
(
ひれき
)
して話せば、わかって頂けると考えとります。それでなくてさえ、食うや食わずで居る沖仲仕が、この上、炭積機でも出来たら、餓死の外はありません。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
思うままの心もちを
披瀝
(
ひれき
)
し、話したい日常の経験についてあからさまな手紙をかくことが許されないことも、そっくりそのままである。そこには、素人に分らない規則があった。
播州平野
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
いくつかの事実
譚
(
たん
)
を
披瀝
(
ひれき
)
して、人間「高橋房次」の断面を、私は語ることにしたい。
生きているコタンの銅像:――アイヌの慈父・高橋房次――
(新字新仮名)
/
知里真志保
(著)
その手前で踏みかためなければならぬさまざまな仕事のうち、その一つにようやく取りかかった。これがもとの家老阿賀妻の説明についで、主君邦夷の
披瀝
(
ひれき
)
した結びの言葉であった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
かれは感情を
披瀝
(
ひれき
)
する詩人としてよりほかに光明を認め得るものはないと思った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
それから楽堂君が持って生まれた快弁熱語を以て
滔々
(
とうとう
)
と法政騒動の真相を
披瀝
(
ひれき
)
すると、黙々として聞いていた翁は、やがて膝の前に拡げられた法政騒動渦中の諸教授の連名に眼を落した。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
誰
(
だれ
)
の助力もない。あんな簡単な紹介状では、たいした効果も期待できない。結局、僕ひとり、誠実を
披瀝
(
ひれき
)
して、僕の希望を述べなければならぬ。ああ心配だ。神さま、僕を守って下さい。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
柳営
(
りゅうえい
)
大奥の秘事にさえ通じているということを、お初の前で
披瀝
(
ひれき
)
して、相手から尊敬を買いたいような
衝動
(
しょうどう
)
に駆られたかのように、今は、つつしみを忘れて、しゃべりつづけるのだった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
先刻からのお話は、結局あの歌を生徒に歌はせては
不可
(
いかん
)
、といふ極く明瞭な一事に帰着するんですね。色々な順序の枝だの細目の葉だのを切つて了つて、肝胆を
披瀝
(
ひれき
)
した所が、さうでせう。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
しかも、蒋委員長は、あくまで重慶に踏み
留
(
とど
)
まって抗戦する決意を
披瀝
(
ひれき
)
した”
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
尾瀬沼保護につき、山人の抱負の一端を
披瀝
(
ひれき
)
するも敢て徒労ではあるまい。
尾瀬沼の四季
(新字新仮名)
/
平野長蔵
(著)
思う存分政見を
披瀝
(
ひれき
)
して降壇したときには、そろそろ聴衆は帰りかけている。次に頼母木が登壇したが頼母木は例の通り言葉少なの方であったから、聴衆の人気は三木ほどには行かなかった。
春宵因縁談
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
玄機は共に修行する女道士中のやや文字ある一人と親しくなって、これと寝食を同じゅうし、これに心胸を
披瀝
(
ひれき
)
した。この女は名を
采蘋
(
さいひん
)
と云った。ある日玄機が采蘋に書いて
遣
(
や
)
った詩がある。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
我れを贖う者が後必ず地の上に立たんとのヨブの大信仰の
披瀝
(
ひれき
)
に対して、天はヨブの罪を顕わし地は興りてヨブを攻めんという(明かにヨブとはいわず、しかし
勿論
(
もちろん
)
ヨブを意味するのである)
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
竹原入道は
直
(
ただ
)
ちに伺候し、一味誠忠の志を
披瀝
(
ひれき
)
し、さらに謹んで言上した。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
池内は酒を飲んで、雄弁に彼の
劇通
(
げきつう
)
を
披瀝
(
ひれき
)
した。彼の議論は誠に雄弁であり、気が利いてもいたが、併し、それはやっぱり、彼の哲学論と同じに、少しばかり
上辷
(
うわすべ
)
りであることを
免
(
まぬか
)
れなかった。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ところで、
猊下
(
げいか
)
、あなた様に向かっては
満腔
(
まんこう
)
の歓喜を
披瀝
(
ひれき
)
いたしまする!
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
と申し上げて、イエスの神観並びに律法観に対する共鳴を
披瀝
(
ひれき
)
しました。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
が、答へが出来なかつただけに、没論理の反感が、
猶更
(
なほさら
)
むら/\と
湧
(
わ
)
き立つた。Aは実際忠告でなしに、もう明らさまに私を攻撃してゐるのだ。私に対する侮蔑を、忠告の形で
披瀝
(
ひれき
)
してゐるのだ。
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
私が何とかいって
蔑
(
くさ
)
すと、今までと打って変って
反対
(
あべこべ
)
に、「それは君、君は誤解している。紅葉は
开
(
そ
)
んな男じゃない。君、今度は十分肝胆を
披瀝
(
ひれき
)
して話して見給え、」と
俄
(
にわか
)
に紅葉の弁護を
做初
(
しだ
)
した。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
まず
声明
(
しょうみょう
)
の博士に向って
披瀝
(
ひれき
)
しますと、博士はその志を諒なりとして、院主上人に向ってその希望を通じましたところ、院主上人は、また弁信の志を憐んで、これに対面して次のように申しました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私の小さな体験が私に書き取らせるものをここに
披瀝
(
ひれき
)
して見よう。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
自分の平生の
造詣
(
ぞうけい
)
を、十分
披瀝
(
ひれき
)
して見よう。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私は今度朝鮮に対する私の情を
披瀝
(
ひれき
)
するために、一つの音楽会を貴方がたに
献
(
ささ
)
げたく思う。会は五月初旬京城において開かれるはずである。
朝鮮の友に贈る書
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「追って僕が誠意を
披瀝
(
ひれき
)
するから、少しは
香
(
にお
)
わせてもいゝよ。僕だけの考えとしてね。親父には差当り絶対秘密だ」
田園情調あり
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「それには、加藤殿や柴田殿が最前
披瀝
(
ひれき
)
された御意見に、この老人も同意にござりまする。殿には、城を出て決戦すると、動かぬ御意のように存じますが」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
逢
(
あ
)
っている時は口へも出せなかったその時の感想とか、一日の家庭の出来事、自身の処理した事件の報告など純情を
披瀝
(
ひれき
)
して来るので、銀子も顔が熱くなり
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
前の養母にも一度
衷心
(
ちゅうしん
)
感謝を
披瀝
(
ひれき
)
したといふのは、
享和
(
きょうわ
)
元年彼は六十八歳になつたが、この年齢は大阪の歌島稲荷社の神が彼に与へた寿命の尽きる歳であつた。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
思い出したか急に立ち上って「吾輩は年来美学上の見地からこの鼻について研究した事がございますから、その
一斑
(
いっぱん
)
を
披瀝
(
ひれき
)
して、御両君の清聴を
煩
(
わずら
)
わしたいと思います」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すべての者が——偉大な者も愚かな者も——一種感傷的な
慇懃
(
いんぎん
)
さで自分の魂を
披瀝
(
ひれき
)
していた。感動があふれ、高尚な道徳心が
滴
(
したた
)
り、心をこめて夢中に感情が吐露されていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
“披瀝”の意味
《名詞》
披瀝 (ひれき)
本心を包み隠さず話すこと。
(出典:Wiktionary)
披
常用漢字
中学
部首:⼿
8画
瀝
漢検1級
部首:⽔
19画
“披”で始まる語句
披
披露
披見
披露目
披閲
披払
披靡
披講
披露宴
披露式