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折々
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おりおり
ふりがな文庫
“
折々
(
おりおり
)” の例文
子供に対しての事も
一寸
(
ちょっと
)
お聞きになったようですね。子供とわたくしの間もこれと同じ気もちです。
折々
(
おりおり
)
の歌でそれを表わして置きます。
家庭愛増進術:――型でなしに
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
折々
(
おりおり
)
庭
(
にわ
)
で
遇
(
あ
)
う
会計係
(
かいけいがかり
)
の
小娘
(
こむすめ
)
の、
彼
(
かれ
)
が
愛
(
あい
)
していた
所
(
ところ
)
のマアシャは、この
節
(
せつ
)
は
彼
(
かれ
)
が
微笑
(
びしょう
)
して
頭
(
あたま
)
でも
撫
(
な
)
でようとすると、
急
(
いそ
)
いで
遁出
(
にげだ
)
す。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
喰
(
く
)
いつめた渡り職人、仕事にはなれた土方、
都合
(
つごう
)
次第で乞食になったり
窃盗
(
せっとう
)
になったり
強盗
(
ごうとう
)
になったり
追剥
(
おいはぎ
)
になったりする手合も
折々
(
おりおり
)
来る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そう思って、この痩せ衰えた
盲人
(
めくら
)
を見ると、何となくこの盲人が怖しいように感ぜられた。二人はその後無言であった。私の手は
折々
(
おりおり
)
戦
(
ふる
)
えた。
黄色い晩
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
木の葉の
雫
(
しずく
)
が沢に落ちて、
折々
(
おりおり
)
通う猪鹿の息つぎになる水を、谷底へ行けばどこかに見つけることができるものである。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
夜が
更
(
ふ
)
けるにつれ、
夜伽
(
よとぎ
)
の人々も、
寝気
(
ねむけ
)
を
催
(
もよお
)
したものか、
鉦
(
かね
)
の音も
漸々
(
ようよう
)
に、遠く消えて行くように、
折々
(
おりおり
)
一人二人の叩くのが
聞
(
きこ
)
えるばかりになった。
子供の霊
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
長吉はこの夕陽の光をば何という事なく悲しく感じながら、
折々
(
おりおり
)
吹込む外の風が大きな波を
打
(
うた
)
せる引幕の上を眺めた。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
三味線
(
さみせん
)
弾
(
ひ
)
きて
折々
(
おりおり
)
わが
門
(
かど
)
に
来
(
きた
)
るもの、
溝川
(
みぞかわ
)
に
鰌
(
どじよう
)
を捕ふるもの、
附木
(
つけぎ
)
、
草履
(
ぞうり
)
など
鬻
(
ひさ
)
ぎに来るものだちは、皆この
児
(
こ
)
どもが母なり、父なり、祖母などなり。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
全く教師
等
(
ら
)
の所得にすることが出来たその上に、
折々
(
おりおり
)
私の
財嚢
(
ざいのう
)
から金を出して塾用を弁ずることも出来ました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
思うに自分の家では祖母を始め、姉や妹が
皆
(
みな
)
その検校の弟子であったし、その後も
折々
(
おりおり
)
狐噲の曲を
繰
(
く
)
り
返
(
かえ
)
し
聴
(
き
)
いたことがあるから、始終印象が新たにされていたのであろう。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
どういう有様に在るかというと、僧侶の貧学生は喰ったり喰わなんだりして居ってもとにかく月に
一遍
(
いっぺん
)
ずつ
学録
(
がくろく
)
を貰うことにきまって居るし、また
折々
(
おりおり
)
は
布施物
(
ふせもの
)
もあるです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
それについては、
私
(
わたくし
)
があまりたびたび
訪
(
たず
)
ねるのは、
却
(
かえ
)
って
修行
(
しゅぎょう
)
の
邪魔
(
じゃま
)
になりましょうから、
成
(
な
)
るべく
自分
(
じぶん
)
の
住所
(
じゅうしょ
)
を
離
(
はな
)
れずに、ただ
折々
(
おりおり
)
の
消息
(
たより
)
をきいて
楽
(
たの
)
しむことに
致
(
いた
)
しましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
折々
(
おりおり
)
新聞に伝えられる
某
(
ぼう
)
学者は何千円の
俸給
(
ほうきゅう
)
を取るが、毎日
教場
(
きょうじょう
)
に
臨
(
のぞ
)
み授業するとき、たまたま生徒が何か質問をすると、それはむずかしい、
字引
(
じびき
)
を引いてもちょっと分かるまい
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
駿河の山に大なる男あり。
折々
(
おりおり
)
は見る者もあり。
鹿
(
しか
)
猿
(
さる
)
などを食する由なり。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
◎先代の
坂東秀調
(
ばんどうしゅうちょう
)
壮年の時分、
伊勢
(
いせ
)
の
津
(
つ
)
へ興行に赴き、同所
八幡
(
やはた
)
の娼家
山半楼
(
やまはんろう
)
の
内芸者
(
うちげいしゃ
)
、
八重吉
(
やえきち
)
と関係を結び、
折々
(
おりおり
)
遊びに行きしが、
或
(
ある
)
夜鰻を
誂
(
あつら
)
え八重吉と
一酌中
(
いっしゃくちゅう
)
、彼が
他
(
た
)
の客席へ招かれた
後
(
あと
)
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
榾火
(
ほだび
)
はパッと
一
(
ひと
)
しきり燃え上って、
後
(
うしろ
)
の灰色の壁だの、黒い
老爺
(
おやじ
)
の顔を、赤く照すのであった、田舎のことでもあるし、こんな晩なので、
宵
(
よい
)
から
四隣
(
あたり
)
もシーンとして、
折々
(
おりおり
)
浜の方で鳴く鳥の声のみが
千ヶ寺詣
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
この道夜ふけに
出
(
い
)
づべからず、
折々
(
おりおり
)
怪しきことありといふ。
小夜の中山夜啼石
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
折々
(
おりおり
)
ぐさ
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ハバトフは
折々
(
おりおり
)
病気
(
びょうき
)
の
同僚
(
どうりょう
)
を
訪問
(
ほうもん
)
するのは、
自分
(
じぶん
)
の
義務
(
ぎむ
)
であるかのように、
彼
(
かれ
)
の
所
(
ところ
)
に
蒼蠅
(
うるさ
)
く
来
(
く
)
る。
彼
(
かれ
)
はハバトフが
嫌
(
いや
)
でならぬ。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
全く口早に何をいうのか分らなくなって
折々
(
おりおり
)
は独りで腹を立てて、独り口の中で何かいって
室
(
へや
)
の中を歩き廻ることがある。
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
長吉は失ったお糸の事以外に
折々
(
おりおり
)
は
唯
(
た
)
だ何という
訳
(
わけ
)
もなく
淋
(
さび
)
しい悲しい気がする。自分にもどういう訳だか少しも分らない。唯だ淋しい、唯だ悲しいのである。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その
折々
(
おりおり
)
にお松が察しているものですから、お松から勧めて、その捨てられたという場所へ地蔵様を立てさせたり、それを最初に見つけたという人の縁故をたどったりして
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
で夜の十二時頃に本堂に出かけて行くところの小僧を
捉
(
つか
)
まえて、泣き
喚
(
わめ
)
く口を
塞
(
ふさ
)
ぎながらどこかへ引張って行くというような事も
折々
(
おりおり
)
ある。それが知れたところで別段罪にならん。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
外国人は
穢
(
けが
)
れた者だ、日本の地には足踏みもさせられぬと云うことが国民全体の気風で、その中に武家は双刀を腰にして気力もあるから、血気の若武者は
折々
(
おりおり
)
外国人を
暗打
(
やみうち
)
にしたこともある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
木も炭も石も何にでも負ひもせず。唯
折々
(
おりおり
)
其小屋へ食事などの時分を考へ来るとなり。飯なども握りて
遣
(
つか
)
はせば悦びて持ち退く。人の見る処にては食せず。
如何
(
いか
)
にも力は有りさう也。物は言はず。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
夜が更けるに従って、雪が
凍
(
こご
)
って堅かったが、各自が
警
(
いまし
)
め合って雪の上を踏んで行くと、
脛
(
すね
)
を切るように抜け落ちるのである。
折々
(
おりおり
)
木枯が激しく吹き荒んだ。
北の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
気候が夏の末から秋に移って行く時と同じよう、春の末から夏の始めにかけては、
折々
(
おりおり
)
大雨
(
おおあめ
)
が
降
(
ふり
)
つづく。
千束町
(
せんぞくまち
)
から
吉原田圃
(
よしわらたんぼ
)
は珍しくもなく例年の通りに水が出た。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
また忍んで
折々
(
おりおり
)
歩いて来る人間があれば、
捕
(
つか
)
まえてじきにニャートンに報知する事になって居る。そのためにここに一軒家があるのです。その家には
婆
(
ばあ
)
さんと
外
(
ほか
)
に一人居りました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
仕事場で
蝋
(
ろう
)
を
溶
(
とか
)
しながら、暗い片隅の方で釜の下の火を掻き廻しては、
折々
(
おりおり
)
その手を止めて町の家根の上を飛んで
彼方
(
あちら
)
に淋しそうに見える杉の
巓
(
いただき
)
を越えて、果ては北となく
蝋人形
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
折々
(
おりおり
)
硝子戸に当る音がした。鼠色の服を着た、肥ったBの体は大理石を
刻
(
ほ
)
った像のように白い床の上に浮き出していた。Kは痩せた手を伸ばしてBの両手を胸の上で組ませた。
扉
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
電信柱は遠くまでつづいた。
折々
(
おりおり
)
冬木立に風が当って、枝が鳴るかと思うと頭の上の電線が呻った。彼方に
沙山
(
すなやま
)
が見える。急いで来ると、やがて沙山へ着いた。沙山を越えると町だ。
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
折々
(
おりおり
)
ぴしりぴしりと生木の
刎返
(
はねかえ
)
る音がして、その
毎
(
たび
)
に赤い火花が散った。
捕われ人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
道行く人の姿は
悄然
(
しょんぼり
)
として、
折々
(
おりおり
)
落葉を巻いて北風が
氷雨
(
ひさめ
)
を落した。
老婆
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
柿村屋は決して
是等
(
これら
)
の人に対しても、親分らしい顔をしたことがなかった。いつも苦み走った顔でじろりと集った人の顔を見廻わして考え深いような眼付に、
折々
(
おりおり
)
、底意味の知れない笑いをたたえた。
凍える女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
折
常用漢字
小4
部首:⼿
7画
々
3画
“折々”で始まる語句
折々遠
折々行人
折々啄木鳥