トップ
>
得
>
とく
ふりがな文庫
“
得
(
とく
)” の例文
十六日の
口書
(
くちがき
)
、三奉行の
権詐
(
けんさ
)
、
吾
(
われ
)
を
死地
(
しち
)
に
措
(
お
)
かんとするを知り、
因
(
よ
)
ってさらに生を
幸
(
こいねが
)
うの心なし、これまた
平生
(
へいぜい
)
学問の
得
(
とく
)
か
然
(
しか
)
るなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
そりゃ
他人
(
ひと
)
の災難だから、そちら様は痛くも
痒
(
かゆ
)
くもないだろうけれど、芸人が気が腐ったひには慾にも
得
(
とく
)
にも舞台には立てませんよ。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
君がもう
十
(
とを
)
若いか、僕がもう十、年を取つてゐたところで、君が不満なところは不満だらうし、僕が
得
(
とく
)
をするところは得をしてるんだ。
ママ先生とその夫
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「
売
(
う
)
りにくるのを
買
(
か
)
うものでない。これからやはり、
店
(
みせ
)
へいって
買
(
か
)
ったほうが
得
(
とく
)
だ。」と、
女房
(
にょうぼう
)
は、
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
をしながら
家
(
いえ
)
へ
入
(
はい
)
りました。
火を点ず
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「僕も知らないさ。知らないけれども、今の人間が、
得
(
とく
)
にならないと思つて、あんな騒動をやるもんかね。ありや方便だよ、君」
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
そのうちに、あなたもわかってきますよ。いちばん
尊
(
とうと
)
い
御褒美
(
ごほうび
)
っていうのは、
名誉
(
めいよ
)
にだけなって、
別
(
べつ
)
に
得
(
とく
)
にはならないような
御褒美
(
ごほうび
)
です。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
「廣播はやつぱり
得
(
とく
)
なのかね、お父つあん。村を歩いてみると廣播のとこがあり、普通播のところがあり、いろいろだが……」
生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
とても罪を作る程なら少しでも
得
(
とく
)
のあるようにと心がけて下さればよいものを、わたしは現在屍骸の傍へ行って髪を切り取って来たのです
三人法師
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
が、葬式の一条はともかく、自分の
得
(
とく
)
になっても叩頭をする事の大嫌いな馬琴が叩頭に来たというは滅多にない珍らしい事だ。
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「
乃至
(
ないし
)
老死
(
ろうし
)
も無く、また老死の尽くることも無く、
苦集滅道
(
くしゅうめつどう
)
もなく、智も無く、また
得
(
とく
)
も無し、所得無きを以ての故に」
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
眠るまえに、ニールスは、ガンたちといっしょにいくとすれば、どんな
得
(
とく
)
があるだろうかと、もう一ど考えてみました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
「そんなことはきみに聞かなくてもわかっている。その四題か五題をよくやっておいた奴が
得
(
とく
)
をするんだ。ほかのをやっていった奴は損をするんだ」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
いつであつたか、「
好
(
い
)
い男は年を取ると
損
(
そこ
)
ねるから、おれのやうな醜男子の方が
得
(
とく
)
だ」と、
夫
(
をつと
)
の云つたことがある。
半日
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
損
(
そん
)
五も
得
(
とく
)
七もありゃァしません。
当時
(
とうじ
)
名代
(
なだい
)
の
孝行娘
(
こうこうむすめ
)
、たとい
若旦那
(
わかだんな
)
が、百
日
(
にち
)
お
通
(
かよ
)
いなすっても、こればっかりは
失礼
(
しつれい
)
ながら、
及
(
およ
)
ばぬ
鯉
(
こい
)
の
滝登
(
たきのぼ
)
りで。……
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
破談にした方が大きな
得
(
とく
)
であると、例の商売気が勝を占めて、孫十郎は更に根気よく押し問答の末に七十五両というところで相談がようやく折り合った。
半七捕物帳:42 仮面
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
以前は参拝や祭礼にいかに多銭を費やすも、みなその大字民の手に落ちたるに、今は然らず、一文失うも永くこの大字に帰らず、他村他大字の
得
(
とく
)
となる。
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
最も流行したのは久・延・吉・則・貞・利・元・友・充・宗などの好字、国末(季)というのもあれば福・富・
得
(
とく
)
(徳)などという縁喜を祝ったのもある。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
口に出したくも無いことを、気持と全然はなれたことを、嘘ついてペチャペチャやっている。そのほうが
得
(
とく
)
だ、得だと思うからなのだ。いやなことだと思う。
女生徒
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
余り
得
(
とく
)
な方法ではないが、どうにか外国の進歩にくっついて行くことも、努力さえすれば可能である。そして現にそれは
或
(
あ
)
る程度まで可能であったのである。
簪を挿した蛇
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
どんな
得
(
とく
)
がえられるというのだ? 仮りに或る一人の作家が、この舞踏会の光景をありのままに書いてみる気になったとしたらどうだろう? 本に書いても
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
その不公平を
矯正
(
けうせい
)
する為には、女自身が世の中の仕事に
関与
(
くわんよ
)
しなければならぬ。唯、不公平と云ふ意味は、必ずしも、男だけが
得
(
とく
)
をしてゐると云ふ意味ではない。
世の中と女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いづれ參上仕候
而
(
て
)
、
得
(
とく
)
と可
二
申上
一
筈御座候得共、纔
中
(
なか
)
兩日之御滯留に而、
迚
(
とて
)
も罷出候儀不
二
相叶
一
候に付、以
二
書面
一
申上候間、
旁
(
かた/″\
)
御汲取可
レ
被
レ
下候。頓首。
遺牘
(旧字旧仮名)
/
西郷隆盛
(著)
「間違ったとお分りにならなけりゃ、私の方が
得
(
とく
)
することだから黙っといてもいいんですが……。」
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
けれども上さんはそれで
得
(
とく
)
をすると思った。彼女は銀貨をポケットに入れて、ただ恐ろしい目つきを娘の上に投げて言った。「またこんなことをすると承知しないよ。」
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「お前がまた親不孝だから、親が寄せつけないんだ。そう威張ってばかりいても
得
(
とく
)
は取れない。ちっとはお辞儀をして、金を引出す算段でもした方が、
逈
(
はるか
)
に
悧巧
(
りこう
)
なんだ」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
じっと感心している——「あいつあ、
怖
(
こわ
)
いものなしだ。おれがあの
真似
(
まね
)
をしたら、みんなで大笑いをするだろう。ポマードが嫌いじゃないっていうふうに思わせとくほうが
得
(
とく
)
だ」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「
可哀
(
かわい
)
そうな女だ」と口の中で彼は
囁
(
ささや
)
いた、「自分の思うままに生きたように考えながら、実際にはなんの
得
(
とく
)
もせず、たのしいくらしもできなかったろう、生れた土地へ帰っても、 ...
醜聞
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
まず
生
(
なま
)
の
乳汁
(
ちち
)
が飲めるようになり、
家禽
(
かきん
)
が毎日卵を生む、これほどけっこうなことはないのだが、さて一
得
(
とく
)
あれば一
失
(
しつ
)
ありで、乳汁や卵ができると急に砂糖の
需要
(
じゅよう
)
がはげしくなる
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
それは些細なものであり不必要であり、その
得
(
とく
)
よりも代価の方が高くついた。少量のパンと二、三のジャガイモでも結構まに合ったはずであり、手数と不潔とはすくなくて済んだ。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
お松 (少し酔っている)こんな時はのッぽが
得
(
とく
)
だと思ったらそうでもないんだね。
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
新聞記者の目には水死の女が必ず皆美人に見えるという
得
(
とく
)
な事もあるのですから、音楽学校の先生といえば皆芸術の趣味を理解せられたいわゆる「芸術家」と見えぬとも限りません。
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
足腰の達者なうちは取れる金なら取るようにするが
得
(
とく
)
だ、
叔父
(
おじ
)
さんが出る気さえあればきっと周旋する、どうせ隠居仕事のつもりだから十円だって決して恥ずるに足らんと言ったくせに
二老人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
みんなにもほんとうにいいということが
判
(
わか
)
るようになったら、ぼくは同じ塩水で
長根
(
ちょうこん
)
ぜんたいのをやるようにしよう。一
軒
(
けん
)
のうちで三十円ずつ
得
(
とく
)
してもこの
部落全体
(
ぶらくぜんたい
)
では四百五十円になる。
或る農学生の日誌
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
彼はその話をまっこうから事実として、
得
(
とく
)
とくとして物語ったのであった。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
「ああ、もうなんの
欲
(
よく
)
も
得
(
とく
)
もない。源様さえ生きていてくだすったら……」
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
何かこの機会に自分の
得
(
とく
)
になるようなきっかけを
掴
(
つか
)
みたいから、やって来るものであることは疑いないのだが、それがこっちも一口乗っていいことか、悪い無心か、その辺は多少無気味である。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
だからこういう事をお前に知らせるのは私に取って
得
(
とく
)
なことではないけれども、わたしがそれだけの事を
彼処
(
あすこ
)
に対してしてあるのだから、それが解ったらわたしに
其処
(
そこ
)
を譲ってくれても
宜
(
い
)
いだろう。
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
然るにその或るものは、労多くして
得
(
とく
)
少なく、之に加ふるに社会に対するの名もあることなし。斯の如き職業に就くものは、他の優等の職業に従ふこと能はざるが故に、
止
(
や
)
むなく之れを守るものなり。
主のつとめ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
こういう事になって見ると、賭博をして勝ったところで一向
得
(
とく
)
が行かず、かえって汚名を世上に
晒
(
さら
)
す結果となるので、さしも盛んであった
袁彦道
(
えんげんどう
)
の流行も、次第に衰えて、民皆その業を励むに至った。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
わたくしも少し覚えて
得
(
とく
)
をいたしたいと存じます。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
賺
(
すか
)
して置く方が、差引勘定して餘つ程
得
(
とく
)
だよ。
我等の一団と彼
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
生れた
得
(
とく
)
はたのしみだけ、そのほかは無だ!
ルバイヤート
(新字新仮名)
/
オマル・ハイヤーム
(著)
こまる前に 次のことばを知ると
得
(
とく
)
だ
五月のように
(新字新仮名)
/
竹内浩三
(著)
「誰かて損したいものが一人でもあるもんかな。
得
(
とく
)
はしたいぞ。したが得取らうと思やあ、早まつちやならんけんのう。」
続生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
これは今さら自分の主義を改めたところで、ただ人に
軽蔑
(
けいべつ
)
されるだけで、いっこう
得
(
とく
)
にはならないという事をよく承知しているからでもあった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
昔山宅にて父様母様の昼夜御苦労なされた事を話して聞かせても
真
(
まこと
)
とは思わぬほどなれば、この先五十年七十年の事を
得
(
とく
)
と手を組んで案じて見やれ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
いつも、
自分
(
じぶん
)
だけ
得
(
とく
)
をしようとする、
家主
(
やぬし
)
の
量見
(
りょうけん
)
がちがっているから、
銃
(
じゅう
)
を
曲
(
ま
)
げられたのは、
罰
(
ばち
)
があたったのだよ。
春はよみがえる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「お兄様がたの方の家来はみんな点が安い。頭の悪いものは家来の先生の多い学校へゆく方が
得
(
とく
)
だよ」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そうして、この両者の、同盟二十余年間のうち、いずれが
得
(
とく
)
をし、いずれが損をなしたかを、極めて第三者的にながめるならば、それは両方の得であったといい得る。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
医者の薬礼を恐れる彼は、なるべく買い薬で間にあわせて置きたかったのであるが、夜のふけるに連れて
疼痛
(
いたみ
)
はいよいよ強くなって、彼はもう慾にも
得
(
とく
)
にも我慢が出来なくなった。
半七捕物帳:06 半鐘の怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
得
常用漢字
小5
部首:⼻
11画
“得”を含む語句
心得違
生得
彼得
会得
見得
心得
會得
性得
所得
得意
不得
聞得大君
得々
自業自得
拾得
利得
獲得
解得
贏得
納得
...