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庇護
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ひご
ふりがな文庫
“
庇護
(
ひご
)” の例文
私が渡辺七兵衛らと共に、綱宗さま側近の
奸物
(
かんぶつ
)
を斬って御
詮議
(
せんぎ
)
にかけられましたとき、御屋形さまお一人が私どもを
庇護
(
ひご
)
されました。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
母の
庇護
(
ひご
)
があればこそ、これまで化物屋敷に無事でいたお艶! その母の気が変わって、今後どうして栄三郎へ
操
(
みさお
)
を立て通し得よう?
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
まつたくそれは
賤
(
いや
)
しいものではあつた——しかし同時にそれは
庇護
(
ひご
)
されたものだつた。そして私は安全な隱れ場所を欲してゐたのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
后
(
きさき
)
が一人自分から生まれるということに明石の
報
(
しら
)
せが符合することから、
住吉
(
すみよし
)
の神の
庇護
(
ひご
)
によってあの人も后の母になる運命から
源氏物語:14 澪標
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「安西三郎の
庇護
(
ひご
)
の
下
(
もと
)
に、こうして半月の余を過しながら、無断で去っては悪いが、一日遅ければ一日だけ、味方に利という事はない」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
取りあえずこれらの土地が下附されているという。捨て売りするほどの俸禄を
食
(
は
)
む官吏と、それの直接の
庇護
(
ひご
)
のもとにある移民であった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
そこに
些少
(
さしょう
)
の
庇護
(
ひご
)
や作為が加えられたろうけれども、しかし親子の間柄が案外うるわしかったであろうことは、ほゞ想像出来なくはない。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかし、今は前川の、愛情を底深く蔵した
庇護
(
ひご
)
の下に、どうやら息づいている自分の生活を、これ以上美和子に掻き乱されたくなかった。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
わたしは
現在
(
げんざい
)
あらゆる
危険
(
きけん
)
から
庇護
(
ひご
)
されていることはわかっているのに、
恐怖
(
きょうふ
)
がいよいよつのって、もうふるえが出るまでになっている。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
お祖母さんの厳しい
躾
(
しつけ
)
と法外な甘やかしとの妙な入組みの
庇護
(
ひご
)
の下にはじめて気儘に敏く振舞える生立ちをして来た少女でわたしはあった。
美少年
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「一度あの男の話になると、あなた様には血相変えて、弁解したり
庇護
(
ひご
)
なさる! ……これが臭い! ……臭うござる!」
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
又その守護神の
庇護
(
ひご
)
に
依
(
よ
)
ってあなたに言って居るのだというような話をして、結局私の友達は、未来の世界があることをよく知ることが出来たが
あの世から便りをする話:――座談会から――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私の試験の前などには、我事の様に骨折ったり心配したりしてくれた。その様な精神的な
庇護
(
ひご
)
については、今も
猶
(
なお
)
彼の好意を忘れ兼ねる程である。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
叫んだところで、聞いてる者はあるが助けにきてくれる者はないのがわかっている。そこには他を
庇護
(
ひご
)
し得る壁もあり、彼らを救い得る人もいる。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
フィンランドの国民的な音楽家、フィンランド政府の
庇護
(
ひご
)
は至れり尽せりで、レコード吹込み
頒布
(
はんぷ
)
にまで補助していた。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
このヘロデ党というのは、前にも一言したように、ローマ皇帝の
庇護
(
ひご
)
の下に政権を握っていたヘロデ家の一党である。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
奴
(
やつ
)
らをなすままに任して黙っていることがなかったならば——もし彼らがその
庇護
(
ひご
)
と友情とを奴らに利用されるままに任せることがなかったならば
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
その頃は、今のように焦燥の生活をしなくてもよかったので、数代も名工の
後裔
(
こうえい
)
が、殿様の
庇護
(
ひご
)
の
下
(
もと
)
で研究を続けて、一つのかまを完成したのである。
九谷焼
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
文藝復興期の藝術がメディチ王侯の
庇護
(
ひご
)
に依った如く、「茶」も「能」も足利義政の守護によるところが大きい。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
ただ、
兄
(
にい
)
さん、僕あ、君の
庇護
(
ひご
)
に対して、それから、
姉
(
ねえ
)
さん、君の手厚い
心尽
(
こころづく
)
しに対して、僕あお礼をいうよ
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
これはどういうわけでか修道院と僧侶団の
庇護
(
ひご
)
を受けている神学校卒業生で、未来の神学者なのであった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
それから家族以外の彼女には、動機と目すべきものが何一つなく、しかも法水の同情と
庇護
(
ひご
)
を一身に集めていた伸子が、どうして犯人だったと信ぜられようか。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「
威張
(
えば
)
らツる
理由
(
わけ
)
ぢやねえが、
俺
(
お
)
ら
俺
(
お
)
れでやんべと
思
(
おも
)
つてんだから」
卯平
(
うへい
)
は
自分
(
じぶん
)
を
庇護
(
ひご
)
するやうにいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
彼等の多数は愛のない所にその
形骸
(
けいがい
)
だけを続ける。男性はこの習慣に依頼して自己の強権を保護され、女性はまたこの制度の
庇護
(
ひご
)
によってその生存を保障される。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
然るに子之助の継母三村氏すみは、義理ある子之助を廃嫡の否運に逢わせては、自分の
庇護
(
ひご
)
が至らぬように世間の目から見られようと云って、手代等の議を拒んだ。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
研究室の小使いの
庇護
(
ひご
)
のもとにいるだけで、ああいう女性の行き届いた心づかいなどを受けたことはかつて一度もないんだから、それが仕事の邪魔になるかどうか
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ぼくをいつも
庇護
(
ひご
)
してくれる黒井さんが、そういうとき、「うまい」と一言、
褒
(
ほ
)
めてくれるのが、ふだんクルウの先輩達が、ぼくをまるで、運動神経の
零
(
ゼロ
)
なように
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
その手紙は、いかにも無学らしい文章に加えるに
汚
(
きた
)
ならしい
筆跡
(
ひっせき
)
をもって書いてあって、要するに
公爵夫人
(
こうしゃくふじん
)
がわたしの母に
庇護
(
ひご
)
してもらいたい
旨
(
むね
)
を願い出たものだった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
まず屍体をずたずたに斬ったのち、彼はどこへ行って手や
兇器
(
きょうき
)
を洗うか。いかにしてその血だらけの着衣を始末するか。
何人
(
なんぴと
)
が彼を
庇護
(
ひご
)
してそれらの
便宜
(
べんぎ
)
を提供しているか。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
硯友社に投じて紅葉の
庇護
(
ひご
)
の下に『新著百種』の一冊として『石倉新五左衛門』を発表した。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
妾の
幸福
(
さいわい
)
は、
何処
(
どこ
)
の獄にありても必ず両三人の同情者を得て
陰
(
いん
)
に
陽
(
よう
)
に
庇護
(
ひご
)
せられしことなり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
家の神様に向い「この花嫁は某から貰い受けて今日より我が家の人となりました。ついては村の神様ならびに家の神様は今日以後この花嫁の
庇護
(
ひご
)
者とならんことを
希
(
こいねが
)
います」
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
桃井
播磨守
(
はりまのかみ
)
の末の
幸若丸
(
こうわかまる
)
が幸若舞をはじめる。二条良基の
庇護
(
ひご
)
を受けた
連歌師救済
(
れんがしきゅうせい
)
の手で、『
筑波集
(
つくばしゅう
)
』や『
応安新式
(
おうあんしんしき
)
』やが作られてから、連歌はいよいよ京都での流行を増した。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
道衍
豈
(
あに
)
孝孺が濂の
愛重
(
あいちょう
)
するところの
弟子
(
ていし
)
たるを以て深く知るところありて
庇護
(
ひご
)
するか、
或
(
あるい
)
は又孝孺の文章学術、一世の
仰慕
(
げいぼ
)
するところたるを以て、
之
(
これ
)
を殺すは燕王の盛徳を
傷
(
やぶ
)
り
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
蘇民の末は永く神の御
庇護
(
ひご
)
を受けたということになっていて、現に今でも国々の
天王社
(
てんのうしゃ
)
または祇園さんのお社から、授けられる疫病
除
(
よ
)
けの守り札には、
蘇民将来子孫也
(
そみんしょうらいのしそんなり
)
という文字を
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
時のインド総督カーゾン
卿
(
きょう
)
の目に異様の冷光をひらめかせたらしく、豪族タゴール一家の周到な
庇護
(
ひご
)
によってわずかに事なきを得は得たものの、ついに久しくかの国に足をとどめかね
茶の本:01 はしがき
(新字新仮名)
/
岡倉由三郎
(著)
娘の権利と幸福を
庇護
(
ひご
)
しようと試みるほどさばけない人たちではなかった。
手紙
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それは北条時代からこの御維新前まで続いて来たのであって、自然この寺には沢山の女が
庇護
(
ひご
)
されてもいたし、またその女の望みによっては末寺の坊に
落飾
(
らくしょく
)
して住まっていた女も沢山あった。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
ウム、其れは
先
(
ま
)
づ其れとしても、君、山木が早く
取定
(
とりきめ
)
ないのは
不埒
(
ふらち
)
極まる、
今日
(
こんにち
)
まで彼を
庇護
(
ひご
)
して遣つたことは
何程
(
どれほど
)
とも知れたもンぢやない、
彼
(
あ
)
の砂利の牛肉鑵詰事件の時など新聞は
八釜
(
やかま
)
しい……
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
実に三友はヨブの哀切なる懇求に接しても、依然としてヨブを圧する態度を取りて、
庇護
(
ひご
)
同情を少しも現わそうとはしなかった。ヨブは三友のこの心を知りて、悲憤が胸中に渦まき立つを感じた。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
けれども、市川菊松という、この妙に、ごつい芸名の陰に、団長、市川菊之助の無言の
庇護
(
ひご
)
が感ぜられて、その点は、ほのぼのと
嬉
(
うれ
)
しかった。市川菊松。いい名じゃねえなあ。
丁稚
(
でっち
)
さんみたいだ。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
氏は初期の私の歌集以来引きつづいて私を
庇護
(
ひご
)
してくれた人である。
『新新訳源氏物語』あとがき
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
元来
伏木
(
ふしき
)
直江津間の航路の三分の一は、
遙
(
はるか
)
に能登半島の
庇護
(
ひご
)
によりて、
辛
(
から
)
くも
内海
(
うちうみ
)
を
形成
(
かたちつく
)
れども、
泊
(
とまり
)
以東は全く洋々たる
外海
(
そとうみ
)
にて、快晴の日は、佐渡島の
糢糊
(
もこ
)
たるを見るのみなれば、
四面
(
しめん
)
淼茫
(
びょうぼう
)
として
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
仏国が
殊
(
こと
)
に幕府を
庇護
(
ひご
)
するの意なかりし一
証
(
しょう
)
として見るべし。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
大久保家は井伊家がそうであるように、徳川氏譜代の名門であり、この探索には(極秘で)できるだけの
庇護
(
ひご
)
を与えてくれた。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
家臣でもない渋沢を、何で平岡が
庇護
(
ひご
)
したり、藩務の助手同様に使ったりしているのか、怪しむ者もあったが、平岡は主人の慶喜に対しても
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして現在この二人の青年に対する
庇護
(
ひご
)
を拒むことは、かえってそういう未来の近づくのを早めるゆえんではないかと思う
船医の立場
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
左膳は栄三郎を飛来剣から
庇護
(
ひご
)
するがごとく見せかけ、同瞬、左腕の乾雲をひらめかし、続いて飛びきたるであろう二の剣三の剣に備えながら
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
昔ほどではないがその後も
右衛門佐
(
うえもんのすけ
)
は家に属した男として源氏の
庇護
(
ひご
)
を受けることになっていた。
紀伊守
(
きいのかみ
)
といった男も今はわずかな
河内守
(
かわちのかみ
)
であった。
源氏物語:16 関屋
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
啓坊
(
けいぼん
)
の兄が多少の資金を出してやったり、得意先を世話してやったり、いろいろ
庇護
(
ひご
)
を加えてやった縁故があるので、啓坊も
贔屓
(
ひいき
)
にしていたところ
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
庇
漢検準1級
部首:⼴
7画
護
常用漢字
小5
部首:⾔
20画
“庇護”で始まる語句
庇護者