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こわだか
ふりがな文庫
“
声高
(
こわだか
)” の例文
旧字:
聲高
飢えた
蒼鷹
(
くまだか
)
が小鳥を
抓
(
つか
)
むのはこんな
塩梅
(
あんばい
)
で有ろうかと思う程に文三が手紙を
引掴
(
ひっつか
)
んで、
封目
(
ふうじめ
)
を押切ッて、
故意
(
わざ
)
と
声高
(
こわだか
)
に読み出したが
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
彼は
枕
(
まくら
)
の上で、そういう不正な仕打にたいして腹だたしくてたまらなかった。他の人たちは
声高
(
こわだか
)
に談笑して、杯を突き合していた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
三人づれで、
声高
(
こわだか
)
にものを言つて、笑ひながら入つた、
何
(
ど
)
うした、などと言ふのが手に取るやうに聞えたが、又
笑声
(
わらいごえ
)
がして、其から
寂然
(
ひっそり
)
。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
のみならずその笑い声はだんだん
声高
(
こわだか
)
になって来るらしい。保吉は内心ぎょっとしながら、藤田大佐の肩越しに向う側の人々を
物色
(
ぶっしょく
)
した。
文章
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
表門の中からとびだして来た(伊達家の)侍たちが十四五人邸内のほうに向って輪をつくり、なにか
声高
(
こわだか
)
に喚いたり、手を振ったりしていた。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
「しっ……あまり
声高
(
こわだか
)
に何か申されぬがよい。番人の耳へでも入って代官の年景に告げ口されたら、これ以上、
酷
(
ひど
)
い所へ移されようも知れぬ」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この
声高
(
こわだか
)
な、表街道の風流人の会話に、しばし聞き耳を立てていた美濃の女が、それより、月ともほととぎすとも言うもののないのに
業
(
ごう
)
を煮やし
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「どうして私が伯爵を知っているなんてお思いですか?」と、教師は低い声でいい、フランス語で
声高
(
こわだか
)
につけたした。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
声高
(
こわだか
)
な言語は行く人を立ち止らせるが、趣意を汲み取らぬうちに、さっさと行き過ぎる者を制止することができない。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
廿四日、
天気
(
てんき
)
好
(
よ
)
し。
隣
(
となり
)
の
客
(
きゃく
)
つとめて
声高
(
こわだか
)
に
物語
(
ものがたり
)
するに
打驚
(
うちおどろ
)
きて
覚
(
さ
)
めぬ。
何事
(
なにごと
)
かと聞けば、
衛生
(
えいせい
)
と
虎列拉
(
これら
)
との事なり。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
閑山は
声高
(
こわだか
)
にたった一人の下男を呼んだ。出て来た久七、酒好きだが愚鈍実直な男、閑山には無二の忠義者だ。その耳へ口を寄せて、閑山がささやく。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「千寿どの
安堵
(
あんど
)
めされい。藤十郎、この
度
(
たび
)
の狂言の工夫が悉く成り申したわ」と云いながら、
声高
(
こわだか
)
に笑って見せた。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
透明な光は天地に充ちてそよとの風もない。門の垣根の外には近所の子供が二、三人集まって、
声高
(
こわだか
)
に何か云っているが、その声が遠くのように聞える。
枯菊の影
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
過ぐる日の
饗筵
(
きょうえん
)
に、卓上の酒尽きて、居並ぶ人の舌の根のしどろに
緩
(
ゆる
)
む時、首席を占むる隣り合せの二人が、何事か
声高
(
こわだか
)
に
罵
(
ののし
)
る声を聞かぬ者はなかった。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
田川その人に対してよりもさらに
声高
(
こわだか
)
な大歓呼が、桟橋にいて
傘
(
かさ
)
を振り帽子を動かす人々の群れから起こった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
下で何か
声高
(
こわだか
)
にしゃべっているのが、ガン、ガ——ンと反響していた。——地下何百尺という地獄のような
竪坑
(
たてこう
)
を初めて下りて行くような無気味さを感じた。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
天秤
(
てんびん
)
の先へ
風呂敷
(
ふろしき
)
ようのものをくくしつけ肩へ掛けてくるもの、軽身に
懐手
(
ふところで
)
してくるもの、
声高
(
こわだか
)
に元気な話をして通るもの、いずれも大回転の波動かと思われ
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
それらの間を何か
声高
(
こわだか
)
に叫びながら
疾駆
(
しっく
)
している若い乗馬将校の姿などが、つぎからつぎに
浮
(
う
)
かんで来た。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
声高
(
こわだか
)
に物をいい交し、あちこちと行違い、それはひどい混雑です。毎朝その市場の
人込
(
ひとごみ
)
を分けて、
肋骨
(
ろっこつ
)
の附いた軍服の胸を張って、兄は車でお役所へ通われます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
若い娘たちは、下駄の歯をならして、おなじように厚いショールを前に垂らして、
声高
(
こわだか
)
に話合ってゆく。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
白髪白髯の名探偵は、我れと我が言葉に、段々昂奮しながら、つい知らず
声高
(
こわだか
)
になって行くのであった。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
今日明日と医師のことに戒めしその今日は夕べとなりて、
部屋
(
へや
)
部屋は
燈
(
ともしび
)
あまねく
点
(
つ
)
きたれど、
声高
(
こわだか
)
にもの言う者もなければ、しんしんとして人ありとは思われず。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
緑の葉の間に白い
羅紗
(
らしゃ
)
の夏服がちらちらしたり、おりおり
声高
(
こわだか
)
く快活に笑う声がしたりする。その洋服や笑い声は若い青年にとってこの上もない羨望の種であった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
王子が
眼
(
め
)
を
覚
(
さま
)
したのを見て、
老人
(
ろうじん
)
はハハハと
声高
(
こわだか
)
く
笑
(
わら
)
いました。王子は
恐
(
おそ
)
れもしないで
尋
(
たず
)
ねました。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
林は独身者であるが、近来その部屋のなかで
頻
(
しき
)
りに人声を聞くことがあった。殊に或る夜は何か
声高
(
こわだか
)
に論じ合っているようであったが、暫くしてひっそりと鎮まった。
中国怪奇小説集:10 夷堅志(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「ね、
馭者
(
ぎょしゃ
)
をやって見てもいいでしょう。私、馭者のとこへ行くわ!」とソフィヤ・リヴォヴナが
声高
(
こわだか
)
に言った、「馭者さん、待ってよ。私、あんたの隣へ行くから。」
大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
最初は口早に、いつもより
声高
(
こわだか
)
に言っていたのが、段々末の方になると声が
幽
(
かすか
)
になってしまった。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
ゆき子は、
賑
(
にぎ
)
やかな女達の後から足早やについて行つた。そして、
声高
(
こわだか
)
に話してゐる女達から聞く話に、日本も、そんな風に変つてしまつてゐるのかと、妙な気がしてきた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
うしろに下がって
声高
(
こわだか
)
に呼び上げた退屈男のその合図待ちうけながら、閉められていた御陣屋門がギイギイと真八文字に打ち開かれると、茶坊主お小姓一統を左右に
侍
(
はべら
)
せて
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
私は今まで
随分
(
ずいぶん
)
太平楽を
云
(
いっ
)
たとか、恐ろしい
声高
(
こわだか
)
に話をして居たとか云て、毎度人から
嫌
(
いや
)
がられたこともありましょうが、
併
(
しか
)
し
艶男
(
いろおとこ
)
と
云
(
い
)
われたのは今日が生れてから始めて。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そう気づいて、泣き出したくなって立ちつくしていたら、前のお家の西山さんのお嫁さんが垣根の外で、お風呂場が丸焼けだよ、かまどの火の不始末だよ、と
声高
(
こわだか
)
に話すのが聞えた。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
蹄
(
ひづめ
)
で落葉を
蹶散
(
けち
)
らす音、これは騎兵演習の
斥候
(
せっこう
)
か、さなくば夫婦連れで遠乗りに出かけた外国人である。何事をか
声高
(
こわだか
)
に話しながらゆく村の者のだみ声、それもいつしか、遠ざかりゆく。
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
と調子に乗って
声高
(
こわだか
)
に談判するを、
先刻
(
せんこく
)
より
軒前
(
のきさき
)
に
空合
(
そらあい
)
を眺めて居りました二人の夜店
商人
(
あきんど
)
が、互いに顔を見合わせ、
頷
(
うなず
)
きあい、懐中から
捕縄
(
とりなわ
)
を取出すや否や、格子戸をがらりっと明けて
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
反閇
(
あしぶみ
)
ぞ。もっと
声高
(
こわだか
)
に——。あっし、あっし、それ、あっしあっし……。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
ばア様は私の室の前を、steal, stole, stolen と
声高
(
こわだか
)
に言つて通つて行く。私は無念の唇を噛み
緊
(
し
)
め
乍
(
なが
)
らも、のさばるばア様を
何
(
ど
)
うしようもなく、たゞ/\おど/\した。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
家へ入ろうとしたら、ふだん仲のいい
姉妹
(
きょうだい
)
が
声高
(
こわだか
)
に
諍
(
さか
)
いをしていられましたから、福次郎さんも
躊躇
(
ちゅうちょ
)
して、しばらくそこに、立っていたのだそうです。お姉さんの声は、聞こえませんでしたけれど
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
いましも『主の祈り』を
声高
(
こわだか
)
にとなえているところだったのです。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
我が
家
(
や
)
言ふ行きずり人の
声高
(
こわだか
)
をひそみゐにけり暑き日なかを
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
今度は兄が
声高
(
こわだか
)
に笑った。
青草
(新字新仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
と、
声高
(
こわだか
)
に呼んだ。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
いくらか貸してくんな、おめえが持っていなけりゃお嬢様におねげえして、いくらか貸してくんなと、
声高
(
こわだか
)
になる。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その人々の
声高
(
こわだか
)
にいい
交
(
か
)
わして通る言葉を聞いて、住蓮は、叡山の策動や、この虚に乗じて、素志をとげようとしつつある彼らの肚をまざまざと見た。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私
(
わし
)
は一足
退
(
すさ
)
ったが、いかに深山だといってもこれを一人で置くという法はあるまい、と足を
爪立
(
つまだ
)
てて少し
声高
(
こわだか
)
に
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼は必ず音を立てて紅茶を
啜
(
すす
)
ったり、巻煙草の灰を
無造作
(
むぞうさ
)
に
卓子
(
テエブル
)
の上へ落したり、あるいはまた自分の
洒落
(
しゃれ
)
を
声高
(
こわだか
)
に笑ったり、何かしら不快な事をしでかして
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
啼
(
な
)
くにも飛び廻るにも、この小さい連中が最も
声高
(
こわだか
)
で最も活溌であるが、中にも目立って籠の数が多く、賑やかなのは、明るい黄いろな外国
種
(
だね
)
のカナリア共であった。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
というような野卑な言葉が、ボーイらしい軽薄な調子で
声高
(
こわだか
)
に取りかわされるのを葉子は聞いた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
二人の車掌が詰め寄るような勢いを示して
声高
(
こわだか
)
にものを云っていた。「
誤魔化
(
ごまか
)
そうと思ったんですか、そうじゃないですか。サア、どっちですか、ハッキリ云って下さい。」
雑記(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
かれが、便所に通ずる廊下の角をまがると、一段さがった入り口のたたきの上に立って、何かしきりと
声高
(
こわだか
)
にがなりたてている一人の塾生がいた。見ると、飯島好造だった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
場長がなにか
声高
(
こわだか
)
に近くの人に話すのを聞くと、
来月
(
らいげつ
)
にはいるとそうそうに、
駒場農学校
(
こまばのうがっこう
)
の
卒業生
(
そつぎょうせい
)
のひとり
技手
(
ぎしゅ
)
として
当場
(
とうじょう
)
へくるとの話であった。
糟谷
(
かすや
)
はおぼえずひやりとする。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
と
張札
(
はりふだ
)
をして、酒屋、魚屋、八百屋連の
御用聞
(
ごようきき
)
たちが往来のものに交って
声高
(
こわだか
)
に
罵
(
ののし
)
りちらして、そこにもいたたまれないようにさせたが、やがてその
侘住居
(
わびずまい
)
も戸を
閉
(
し
)
めてしまった。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
声
常用漢字
小2
部首:⼠
7画
高
常用漢字
小2
部首:⾼
10画
“声高”で始まる語句
声高々