“声高:こわだか” の例文
“声高:こわだか”を含む作品の著者(上位)作品数
芥川竜之介9
中里介山7
泉鏡花6
森鴎外3
伊藤左千夫2
“声高:こわだか”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.4%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆0.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
声高こわだかに叫びざま、足疾あしばや進出すすみいでて、看護員のかたえに接し、そのおもてのぞきつつ、
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
声高こわだかに叫びざま、足疾あしばや進出すすみいでて、看護員のかたえに接し、そのおもてのぞきつつ、
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その夜、阿濃は、夜ふけて、ふと目をさますと、太郎次郎という兄弟のものと、沙金しゃきんとが、何か声高こわだかに争っている。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
田川その人に対してよりもさらに声高こわだかな大歓呼が、桟橋にいてかさを振り帽子を動かす人々の群れから起こった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
その日、監督も雑夫長もいないので、皆は気楽に仕事をした。うたをうたったり、機械越しに声高こわだかに話し合った。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
丁度純一が上がって来たとき、あがくちに近い一群ひとむれの中で、たれやらが声高こわだかにこう云うのが聞えた。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「どうして私が伯爵を知っているなんてお思いですか?」と、教師は低い声でいい、フランス語で声高こわだかにつけたした。
(新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
声高こわだかな言語は行く人を立ち止らせるが、趣意を汲み取らぬうちに、さっさと行き過ぎる者を制止することができない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「千寿どの安堵あんどめされい。藤十郎、このたびの狂言の工夫が悉く成り申したわ」と云いながら、声高こわだかに笑って見せた。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
わしは一足退すさったが、いかに深山だといってもこれを一人で置くという法はあるまい、と足を爪立つまだてて少し声高こわだかに、
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
門の垣根の外には近所の子供が二、三人集まって、声高こわだかに何か云っているが、その声が遠くのように聞える。
枯菊の影 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そうして眼をつぶったまま、何やら怪しげな陀羅尼だらにのようなものを、声高こわだかし始めました。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
若い娘たちは、下駄の歯をならして、おなじように厚いショールを前に垂らして、声高こわだかに話合ってゆく。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
緑の葉の間に白い羅紗らしゃの夏服がちらちらしたり、おりおり声高こわだかく快活に笑う声がしたりする。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
それ皆の衆——。反閇あしぶみぞ。もっと声高こわだかに——。あっし、あっし、それ、あっしあっし……。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
王子がさましたのを見て、老人ろうじんはハハハと声高こわだかわらいました。王子はおそれもしないでたずねました。
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
となりきゃくつとめて声高こわだか物語ものがたりするに打驚うちおどろきてめぬ。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ばア様は私の室の前を、steal, stole, stolen と声高こわだかに言つて通つて行く。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
土耳其帽トルコぼうは俊助の賛成を求める心算つもりか、わざとらしく声高こわだかに笑って見せた。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
というような野卑な言葉が、ボーイらしい軽薄な調子で声高こわだかに取りかわされるのを葉子は聞いた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
そこで声高こわだかにマドロスが手風琴をあやなしながら唄い出したが、歌句は一向何だかわからない。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それ皆の衆——。反閇あしぶみぞ。それ、もつと声高こわだかに——。 あつし、あつし、あつし。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
閑山は声高こわだかにたった一人の下男を呼んだ。出て来た久七、酒好きだが愚鈍実直な男、閑山には無二の忠義者だ。その耳へ口を寄せて、閑山がささやく。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
この声高こわだかな、表街道の風流人の会話に、しばし聞き耳を立てていた美濃の女が、それより、月ともほととぎすとも言うもののないのにごうを煮やし、
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
自暴やけをまる出しに、娘の調子が少しずつ声高こわだかになって行くのに狼狽したマドロスは、
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
文三は黙然もくねんとして暫らく昇の顔を凝視みつめていたが、やがて些し声高こわだかに、
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
殊に或る夜は何か声高こわだかに論じ合っているようであったが、暫くしてひっそりと鎮まった。
戸沢の側に坐っていた父は声高こわだかに母へそう云ってから、彼にちょいと目くばせをした。
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
気のせいか、今夜の辻番はいつもと変って、なんとなく穏かでないらしく、相生町四丁目の向う角にある本多の辻番などは、何か声高こわだかに番人の話が聞えます。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
何事をか声高こわだかに話しながらゆく村の者のだみ声、それもいつしか、遠ざかりゆく。
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
呼吸いきいて、見直して、眉をひそめながら、声高こわだかに笑った。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いやだ、厭だ。」と、しやにむに身悶みもだえして、声高こわだかになると、
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
三人づれで、声高こわだかにものを言つて、笑ひながら入つた、うした、などと言ふのが手に取るやうに聞えたが、又笑声わらいごえがして、其から寂然ひっそり
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
——と思ったあとから、突如として、声高こわだかに罵り合う声が伝わりました。
下で何か声高こわだかにしゃべっているのが、ガン、ガ——ンと反響していた。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
かれが、便所に通ずる廊下の角をまがると、一段さがった入り口のたたきの上に立って、何かしきりと声高こわだかにがなりたてている一人の塾生がいた。見ると、飯島好造だった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
くにも飛び廻るにも、この小さい連中が最も声高こわだかで最も活溌であるが、中にも目立って籠の数が多く、賑やかなのは、明るい黄いろな外国だねのカナリア共であった。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
声高こわだかに物をいい交し、あちこちと行違い、それはひどい混雑です。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
いましも『主の祈り』を声高こわだかにとなえているところだったのです。
「ね、馭者ぎょしゃをやって見てもいいでしょう。私、馭者のとこへ行くわ!」とソフィヤ・リヴォヴナが声高こわだかに言った、「馭者さん、待ってよ。私、あんたの隣へ行くから。」
ゆき子は、にぎやかな女達の後から足早やについて行つた。そして、声高こわだかに話してゐる女達から聞く話に、日本も、そんな風に変つてしまつてゐるのかと、妙な気がしてきた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
我が言ふ行きずり人の声高こわだかをひそみゐにけり暑き日なかを
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
——奥山どのお一人で、声高こわだかに云いつのっておられたそうです。
過ぐる日の饗筵きょうえんに、卓上の酒尽きて、居並ぶ人の舌の根のしどろにゆるむ時、首席を占むる隣り合せの二人が、何事か声高こわだかののしる声を聞かぬ者はなかった。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
町の諸門をとじる合図の鐘は二時間も前に鳴ったので、コルソに集って売買に忙がしかった村の人々の声高こわだかな騒ぎも聞こえず、軒なみの店ももう仕舞しまって寝しずまったらしい。
クララの出家 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
そう気づいて、泣き出したくなって立ちつくしていたら、前のお家の西山さんのお嫁さんが垣根の外で、お風呂場が丸焼けだよ、かまどの火の不始末だよ、と声高こわだかに話すのが聞えた。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
二人の車掌が詰め寄るような勢いを示して声高こわだかにものを云っていた。「誤魔化ごまかそうと思ったんですか、そうじゃないですか。サア、どっちですか、ハッキリ云って下さい。」
雑記(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
のみならずその笑い声はだんだん声高こわだかになって来るらしい。
文章 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
今日明日と医師のことに戒めしその今日は夕べとなりて、部屋へや部屋はともしびあまねくきたれど、声高こわだかにもの言う者もなければ、しんしんとして人ありとは思われず。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
この声高こわだかに、しかも双方から ironieイロニイ の調子を以て遣られている議論を、おとなしく真面目に引き受けていた曽根幹事は、已むことを得ず、こういう事を打明けた。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
家の奥の方でこの時、書物を声高こわだかに読む子供の声がします。
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
あのときすでに自分は、お父さんがあの共同の風呂場兼洗濯場の悪い空気のなかに病気のお母さんを放っておき、声高こわだかにしゃべりながら少しも遠慮しようとしないのに驚いたのだった。
(新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
家へ入ろうとしたら、ふだん仲のいい姉妹きょうだい声高こわだかさかいをしていられましたから、福次郎さんも躊躇ちゅうちょして、しばらくそこに、立っていたのだそうです。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
いまはわれにもあらで声高こわだかに、母上、母上と呼びたれど、叫びたれど、ゆり動かし、おしうごかししたりしが、かいなくてなむ、ひた泣きに泣く泣くいつのまにか寝たりとおぼし。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これにはおきなさへ同心と覚えて、「ろおれんぞ」の姿を眺めてからは、怪しい心の騒ぎを隠さうず為か、立ちつ居つ身を悶えて、何やらおろかしい事のみを、声高こわだかわめいて居つた。
奉教人の死 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
理窟がましく声高こわだかにすな……というのはそこだて……
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
他の人たちは声高こわだかに談笑して、杯を突き合していた。
少しく声高こわだかになって、ふいと気がついたように、
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
文三はムラムラとした。些し声高こわだかに成ッて、
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
悪魔あくまの子は大層たいそう喜びました。甚兵衛が馬の口を開けてやると、いきなりぴょんと飛び込んで、腹の中にはいってしまいました。それを見て甚兵衛は、あはははと声高こわだかに笑い出しました。
天下一の馬 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
声高こわだかに笑いあって、三人の男が近づく。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「なっぜ?」母はやや声高こわだかになりぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
火長かちょうと見えるものが二三人、手に手を得物提えものひっさげて、声高こわだか狼藉ろうぜきを咎めながら、あの沙門へ走りかかりますと、矢庭に四方から飛びかかって、からめ取ろうと致しました。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
右に依れば、さと落命致し候は、私検脈後一時ひとときの間と相見え、の上刻には、篠既に乱心の体にて、娘死骸を掻き抱き、声高こわだかに何やら、蛮音ばんいんの経文読誦どくじゆ致し居りし由に御座候。
尾形了斎覚え書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
今度は兄が声高こわだかに笑った。
青草 (新字新仮名) / 十一谷義三郎(著)
場長がなにか声高こわだかに近くの人に話すのを聞くと、来月らいげつにはいるとそうそうに、駒場農学校こまばのうがっこう卒業生そつぎょうせいのひとり技手ぎしゅとして当場とうじょうへくるとの話であった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
私は今まで随分ずいぶん太平楽をいったとか、恐ろしい声高こわだかに話をして居たとか云て、毎度人からいやがられたこともありましょうが、しか艶男いろおとこわれたのは今日が生れてから始めて。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
と、声高こわだかに呼んだ。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
声高こわだかになる。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
張札はりふだをして、酒屋、魚屋、八百屋連の御用聞ごようききたちが往来のものに交って声高こわだかののしりちらして、そこにもいたたまれないようにさせたが、やがてその侘住居わびずまいも戸をめてしまった。
芳川鎌子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
もとより隠者はかうあらうと心にして居つたによつて、この間も秘密の真言しんごんを絶えず声高こわだかし奉つたに、見る見る黒雲も薄れれば、桜の花も降らずなつて、あばら家の中には又もとの如く、油火ばかりが残つたと申す。
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
と調子に乗って声高こわだかに談判するを、先刻せんこくより軒前のきさき空合そらあいを眺めて居りました二人の夜店商人あきんどが、互いに顔を見合わせ、うなずきあい、懐中から捕縄とりなわを取出すや否や、格子戸をがらりっと明けて、
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
天秤てんびんの先へ風呂敷ふろしきようのものをくくしつけ肩へ掛けてくるもの、軽身に懐手ふところでしてくるもの、声高こわだかに元気な話をして通るもの、いずれも大回転の波動かと思われ、いよいよ自分の胸の中にも何かがわきかえる思いがするのである。
隣の嫁 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
あしたは早いからと云うので、今夜は五ツ半(午後九時)頃から蚊帳かやにはいったが、あいにくと上州商人あきんどの三人づれが隣り座敷に泊まり合わせて、夜の更けるまで生糸の売り込みの話などを声高こわだかにしゃべっているので、半七らは容易に眠られなかった。
半七捕物帳:59 蟹のお角 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかし私がその努力にやっと成功しそうになると、彼は必ず音を立てて紅茶をすすったり、巻煙草の灰を無造作むぞうさ卓子テエブルの上へ落したり、あるいはまた自分の洒落しゃれ声高こわだかに笑ったり、何かしら不快な事をしでかして、再び私の反感を呼び起してしまうのです。
開化の良人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
昔のすぐカッとする癖、声高こわだかな口争い、非難、怨み言、そしてお互いの憎悪が堰を切ったあげくは、まずきまって妻の外国行きか実家行きとなり、私は私で妻の自尊心をなるべくたびたび傷めつける目的で、金をちびちびとつとめて何度にも送ってやる始末になる——ということももう無くなった。
(新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
うしろに下がって声高こわだかに呼び上げた退屈男のその合図待ちうけながら、閉められていた御陣屋門がギイギイと真八文字に打ち開かれると、茶坊主お小姓一統を左右にはべらせて、あの曲彔きょくろくにいとも気高く腰打ちかけながら、悠然として、その姿をのぞかせたのは、ぐずり松平の御前です。
かれの眼には、宮城をとりまいて所々に配備されている機関銃きかんじゅうや、大砲たいほうや、歩哨ほしょうや、また、総理官邸かんていの付近に、雪を血に染めて横たわっている人間の死体や、それらの間を何か声高こわだかに叫びながら疾駆しっくしている若い乗馬将校の姿などが、つぎからつぎにかんで来た。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)