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けんろう
ふりがな文庫
“
堅牢
(
けんろう
)” の例文
三根夫が撮影録音してきたフィルムによって、天蓋の
堅牢
(
けんろう
)
さが、想像していたいじょうにすごいものであることがわかったのだ。
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
だが、機嫌をよくさせれば、それこそ話しあいで彼のポケットにある金を根こそぎまきあげることもできるのだ。彼は
堅牢
(
けんろう
)
な船に似ている。
ジョン・ブル
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
玄関には
磨硝子
(
すりガラス
)
の格子戸が引いてあるが、これは後から取付けたものらしく、家はさながら古寺の
庫裏
(
くり
)
かと思われるほどいかにも
堅牢
(
けんろう
)
に見える。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それで見るべきものはむしろ在来の安ものの椀や「ひあげ」や木皿等である。ただ安ものであるため、塗りが落ちて
堅牢
(
けんろう
)
を欠くのは
如何
(
いか
)
にも惜しい。
陸中雑記
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
その
時
(
とき
)
の
私達
(
わたくしたち
)
の
人数
(
にんず
)
はいつもよりも
小勢
(
こぜい
)
で、かれこれ四五十
名
(
めい
)
も
居
(
お
)
ったでございましょうか。
仕立
(
した
)
てた
船
(
ふね
)
は二
艘
(
そう
)
、どちらも
堅牢
(
けんろう
)
な
新船
(
あらふね
)
でございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
▼ もっと見る
リモオジュあたりで見て来た地方的なものが
堅牢
(
けんろう
)
な都会風の意匠となり、二層三層の高さが五層にも六層にもなり
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼は、
堅牢
(
けんろう
)
な唐竹を伐って、それに
蔓
(
つる
)
を張って弓にした。矢は、細身の唐竹を用い、矢尻は鋭い魚骨を用いた。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
驚くべき
堅牢
(
けんろう
)
さを持っていることなどから考えると、明らかになにかある鉱化作用——たぶん塩化第二水銀の鉱化作用——をほどこされているのであった。
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
この再建補修も決して
堅牢
(
けんろう
)
なものでなく、伽藍の配置だけを往時に復して、他はすべて小ぢんまりと
安普請
(
やすぶしん
)
したことはいまの法輪寺をみれば明らかであろう。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
この方面からいえば時間距離なんていう考はありません。飛行機——飛行機のような早いものの必要もなく、
堅牢
(
けんろう
)
なものの必要もなく、数でこなす必要もない。
無題
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
日露戦争の
出征
(
しゅっせい
)
軍歌を、くりかえしくりかえし歌っては、庭を
巡回
(
じゅんかい
)
して
居
(
い
)
ました、その一回の起点が
丁度
(
ちょうど
)
私達の立って見て居る
廊下
(
ろうか
)
の
堅牢
(
けんろう
)
な
硝子
(
ガラス
)
扉
(
とびら
)
の前なのです。
病房にたわむ花
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
同じ琺瑯鍋でも産地と製造所の相違によって大層持ちが違いますから買入れる時によくその店へ責任を負わせて
堅牢
(
けんろう
)
な品物をよこしてもらわなければなりませんが
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
四、
屋内
(
おくない
)
の
一時避難所
(
いちじひなんじよ
)
としては
堅牢
(
けんろう
)
な
家屋
(
かおく
)
の
傍
(
そば
)
がよい。
教場内
(
きようじようない
)
に
於
(
おい
)
ては
机
(
つくゑ
)
の
下
(
した
)
が
最
(
もつと
)
も
安全
(
あんぜん
)
である。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
しかもなお、勝家以下、北ノ庄一門の首脳者は、
悉
(
ことごと
)
く天守の一閣に
拠
(
よ
)
って、あらゆる防禦戦を策した。この天守は、九層造りの、
鉄扉
(
てっぴ
)
石柱で、
堅牢
(
けんろう
)
無比なものだった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
然も詩趣
饒
(
ゆた
)
かにして、
坐
(
そぞ
)
ろにペラスゴイ、キュクロプスの
城址
(
じようし
)
を忍ばしむる
堅牢
(
けんろう
)
の石壁は、かの繊弱の律に歌はれ、往々俗謡に傾ける当代伝奇の宮殿を
摧
(
くだ
)
かむとすなり。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
燕王の宮殿
堅牢
(
けんろう
)
ならざるにあらざるも、風雨の力大にして、高閣の
簷瓦
(
えんが
)
吹かれて
空
(
くう
)
に
飄
(
ひるがえ
)
り、
砉然
(
かくぜん
)
として地に
堕
(
お
)
ちて粉砕したり。大事を挙げんとするに臨みて、これ何の
兆
(
ちょう
)
ぞ。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
夷船は大的なれば、大砲の百発百中
固
(
もと
)
より疑いなし〔大いに
然
(
しか
)
り〕。あるいは夷舶の
堅牢
(
けんろう
)
破り難きを説く者あれども、夷の船制を
審
(
つまびら
)
かにするに深く
懼
(
おそ
)
るるに足らず〔何故に〕。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
昔物の長持は堅い板の
隅々
(
すみずみ
)
に
鉄板
(
てついた
)
をうちつけた、いやという程
巖乗
(
がんじょう
)
な
代物
(
しろもの
)
だし、金具も同様に
堅牢
(
けんろう
)
に出来ているのだから、病身の格太郎には、
迚
(
とて
)
も
打破
(
うちやぶ
)
ることなど出来
相
(
そう
)
もなかった。
お勢登場
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その
傍
(
そば
)
に甚だ深く造りたる
凭掛
(
よりかかり
)
の
椅子
(
いす
)
あり。凭りかかる
処
(
ところ
)
は
堅牢
(
けんろう
)
に造りありて、
両肱
(
りょうひじ
)
を持たする処を広くなしあり。この椅子に向き合せて、木部を朱色の漆にて塗りたる
籐
(
とう
)
の椅子あり。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
我々の為しうることは、ただ、少しずつ良くなれ、ということで、人間の堕落の限界も、実は案外、その程度でしか有り得ない。人は無限に堕ちきれるほど
堅牢
(
けんろう
)
な精神にめぐまれていない。
堕落論〔続堕落論〕
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
悲愴
(
ひそう
)
な決意が洞のなかにながれた、洞内の戸には
堅牢
(
けんろう
)
なかんぬきがはめられて、戸の内がわには大石が運ばれ、スワといえば、これを積みあげて
胸壁
(
きょうへき
)
に使用する、戸のわきには窓があけられ
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
岩畳な彼を
容
(
い
)
るゝその家は、
基礎
(
どだい
)
を
切石
(
きりいし
)
にし、
柱
(
はしら
)
の数を多くし、屋根をトタンで
包
(
つつ
)
み、
縁
(
えん
)
を
欅
(
けやき
)
で張り、木造の
鬼
(
おに
)
の
窟
(
いわや
)
の如く岩畳である。彼に属する一切のものは、其
堅牢
(
けんろう
)
な意志の
発現
(
はつげん
)
である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
忠臣蔵
(
ちゅうしんぐら
)
といえば
堅牢
(
けんろう
)
な土蔵ぐらいに心得ているのだろう。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
車体は見違えるほど
堅牢
(
けんろう
)
になった。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
しかし
支棒
(
ささえぼう
)
がしっかりはいったり、板が二重三重になり、筏はずっと
堅牢
(
けんろう
)
に、そして浮力もました。大きなかげもできた。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それは
堅牢
(
けんろう
)
な造りで、がっしりした
扉
(
とびら
)
がついていて、「
先生
(
ドミイネ
)
」の留守中にその扉をあけようものなら
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
本陣から上隣りの
石垣
(
いしがき
)
の上に立つ造り酒屋の
堅牢
(
けんろう
)
な
住居
(
すまい
)
が、この伊之助の帰って行くのを待っていた。西は厚い白壁である。東南は街道に面したがっしりした格子である。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
普通
(
ふつう
)
の
住宅
(
じゆうたく
)
ならば
椅子
(
いす
)
、
衣類
(
いるい
)
で
充滿
(
じゆうまん
)
した
箪笥
(
たんす
)
、
火鉢
(
ひばち
)
、
碁盤
(
ごばん
)
、
將棊盤
(
しようぎばん
)
など、
總
(
すべ
)
て
堅牢
(
けんろう
)
な
家具
(
かぐ
)
ならば
身
(
み
)
を
寄
(
よ
)
せるに
適
(
てき
)
してゐる。これ
等
(
ら
)
の
適例
(
てきれい
)
は
大地震
(
だいぢしん
)
の
度毎
(
たびごと
)
にいくらも
見出
(
みいだ
)
される。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
入念な技法がこの細工を
堅牢
(
けんろう
)
なものにし、また美しくもする。粗末に扱えば、すぐ皮が浮くか、端がはがれるか、必ずや相応の罰を
蒙
(
こうむ
)
ってしまう。だから手間を食う手仕事の一例である。
樺細工の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
相模
(
さがみ
)
、
上総
(
かずさ
)
、
安房
(
あわ
)
等の海浜にて漁船中の最も
堅牢
(
けんろう
)
快速なるもの五十
艘
(
そう
)
ばかりに
屈竟
(
くっきょう
)
の
舸子
(
かこ
)
を併せ雇い、士卒に各々小銃一個を授けて、毎船十名ばかりを載せ、
就中
(
なかんずく
)
大砲を善くする者を択び
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
私などはこの方面へ向って行く、この方面からいえば時間距離なんていう考はありません、飛行機——飛行機のような早いものの必要もなく、
堅牢
(
けんろう
)
なものの必要もなく、数でこなす必要もない。
おはなし
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
其は街道の近くにある田圃の中の
孤丘
(
こきゅう
)
を
削
(
けず
)
って其上に建てられた別荘で、質素な然し
堅牢
(
けんろう
)
なものであった。西には富士も望まれた。南には九十九里の海——太平洋の一片が
浅黄
(
あさぎ
)
リボンの様に見える。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
わが艦船が、こういう潜水式に改められるまでには、十年の歳月と、多大な費用とを要したが、それが完成すると、わが海運力は、世界一
堅牢
(
けんろう
)
なものとなった。
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
即
(
すなは
)
ち
二階建
(
にかいだて
)
の
二階座敷
(
にかいざしき
)
は
階下座敷
(
かいかざしき
)
の
五倍
(
ごばい
)
に
搖
(
ゆ
)
れるようならば、
不安定
(
ふあんてい
)
な
構造
(
こうぞう
)
と
判斷
(
はんだん
)
しなければならないが、もし
僅々
(
きん/\
)
二倍位
(
にばいぐらゐ
)
にしか
搖
(
ゆ
)
れないならば、
寧
(
むし
)
ろ
堅牢
(
けんろう
)
な
建物
(
たてもの
)
と
見做
(
みな
)
してよいであらう。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
岸本の
眼前
(
めのまえ
)
には、石灰と粘土とで明るく深味のある淡黄色に塗り変えた、
堅牢
(
けんろう
)
で簡素な感じのする壁があった。彼は
早
(
はや
)
三年近くもその自分の部屋の壁を見つめてしまったことに気がついた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
染の材料はいずれも島の草木でありますし、「晴天四十日」などとも申して、それほど
念入
(
ねんいり
)
に日数をかけて染めますから、大変に
堅牢
(
けんろう
)
であります。用いる絹糸も元来は島のものでありました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
堅牢
(
けんろう
)
なコンクリートの壁が、みるみる消えてゆく。そのうちにガラガラと音がして、ぶったおれた。
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「あのとおり
堅牢
(
けんろう
)
なクロクロ島だ。また、あのとおりすばらしい戦闘力をもったクロクロ島だ。そのクロクロ島が、まるで、煙のように消え去るとは、合点がいかない」
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
天蓋は、
堅牢
(
けんろう
)
である。本艇を
繋留塔
(
けいりゅうとう
)
にむすびつけている
繋索
(
けいさく
)
は、ものすごく丈夫である。いったい出航用意をしてどうするというのだ。テッド隊長は、気がちがったのではなかろうか。
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“堅牢”の意味
《名詞》
堅牢(けんろう)
建造物などがしっかりして強いこと。
(出典:Wiktionary)
堅
常用漢字
中学
部首:⼟
12画
牢
漢検準1級
部首:⽜
7画
“堅牢”で始まる語句
堅牢地神