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ふいちょう
ふりがな文庫
“
吹聴
(
ふいちょう
)” の例文
旧字:
吹聽
甚吉は人違いであるということを世間へ
吹聴
(
ふいちょう
)
すれば、それが自然に
上
(
かみ
)
の耳にもはいると思って、偽幽霊の狂言をかいたらしいのです。
真鬼偽鬼
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その後ハンター先生はジェンナーのこの考えを他人にも
吹聴
(
ふいちょう
)
してきかせました。そうして、おりあるごとに、ジェンナーに向かって
ジェンナー伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
あまつさえ下婢に向って妾はレデーの資格なきものなりなど余計な事を
吹聴
(
ふいちょう
)
せられ候由、元来右はいかなる御主意に御座候や伺度候。
倫敦消息
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
門人が
名主
(
なぬし
)
をしていて、枳園を江戸の大先生として
吹聴
(
ふいちょう
)
し、ここに開業の
運
(
はこび
)
に至ったのである。幾ばくもなくして病家の
数
(
かず
)
が
殖
(
ふ
)
えた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
でなきゃ、用もねえのに、わざわざあんないやがらせを
吹聴
(
ふいちょう
)
に来るはずはねえんだ。人を見そこなうにもほどがあるじゃござんせんか。
右門捕物帖:21 妻恋坂の怪
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
▼ もっと見る
かつこれに加えて広告に巧みな民友社が商略上
大袈裟
(
おおげさ
)
に
吹聴
(
ふいちょう
)
したから、自然この附録に載ったものは大家を公認される形があって
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「とにかくわたしは満足しています。しかしこれもあなたの前だけに、——河童でないあなたの前だけに手放しで
吹聴
(
ふいちょう
)
できるのです。」
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
又親里の事を誇りて讃め語る可らずとは念入りたる注意なり。
徒
(
いたずら
)
に我
身中
(
みうち
)
の美を
吹聴
(
ふいちょう
)
するは、婦人に限らず誰れも慎しむ可きことなり。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
これで漸く合点が行ったが、それよりも
爰
(
ここ
)
に
一寸
(
ちょっと
)
吹聴
(
ふいちょう
)
して置かなきゃならん事がある。私は是より先
春色梅暦
(
しゅんしょくうめごよみ
)
という書物を読んだ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
実際情婦も持っており、実際それを
吹聴
(
ふいちょう
)
しもしたが、しかしその話し方が下等だった。彼のあらゆる長所もそれぞれ欠点を持っていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「
金魚
(
きんぎょ
)
よりか、あいきょうがあるし、
踊
(
おど
)
りもするし、ずっとおもしろいや。」と、
子供
(
こども
)
は、びんを
持
(
も
)
ち
歩
(
ある
)
いて、
友
(
とも
)
だちに
吹聴
(
ふいちょう
)
したのです。
どじょうと金魚
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
きっと
手柄顔
(
てがらがお
)
に
吹聴
(
ふいちょう
)
するに違いない。そうして俺が蜜柑の袋を投げたと分りゃ、皆の頭がそっちへ向かうというもんじゃねえか。
指環
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
木村大膳が
吹聴
(
ふいちょう
)
したものとみえる。虎之助の沈着と
胆気
(
たんき
)
は城内でも評判になった。いや城下の街ではそれ以上のうわさだという。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小平太は一丁ばかり来て、始めて吾に返ったように息を
吐
(
つ
)
いた。別段取りたてて
吹聴
(
ふいちょう
)
するようなこともないが、使命だけは無事に果した。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
金内は、おのれの
手柄
(
てがら
)
を
矢鱈
(
やたら
)
に
吹聴
(
ふいちょう
)
するような軽薄な武士でない。黙って
微笑
(
ほほえ
)
み、また前のように腕組みして舷によりかかって
坐
(
すわ
)
っている。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼は彼女があまり世に知られていないことを憤慨し、グラン・ジュールナルの友人らの力をかりて世に
吹聴
(
ふいちょう
)
させようと、彼女に言い出した。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
目の
敵
(
かたき
)
にやっきとなることか! 彼等が毎週繰返して、俺には勢力が無いと
吹聴
(
ふいちょう
)
せねばならぬ程、俺は勢力を
有
(
も
)
っている訳だ。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
そうそう近着の外国雑誌にストロボダインという新受信機が大分おおげさに
吹聴
(
ふいちょう
)
してあったようですね。しかし私は余り感心しないのですよ。
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼らは相互に警戒して口を
緘
(
かん
)
し、
吹聴
(
ふいちょう
)
本能の禁欲につとめた。実に彼らこそ訓練の行届いた模範的な百貨店員と云うべきだ!
扉は語らず:(又は二直線の延長に就て)
(新字新仮名)
/
小舟勝二
(著)
その折仲人が新郎新婦不参の次第を然るべく
吹聴
(
ふいちょう
)
に及んだ時、連中は妙な披露式もあればあるものだと思ったが、大して失望も感じなかった。
女婿
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
がんりきはひきつづいて手柄話と盗んで来た品物とを、鼻高々と七兵衛の前へ並べて
吹聴
(
ふいちょう
)
しているのを七兵衛は、やはり苦々しく聞いていたが
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
苦心談、立志談は、往々にして、その反対の意味の、自己
吹聴
(
ふいちょう
)
と、陰性の自讃、卑下高慢になるのに気附いたのである。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「随分商人はひどいことをしやがる」もっとも、彼はそれに一円二十銭を夜店で出したということは、あまり
吹聴
(
ふいちょう
)
はしない方が賢いと思っていた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
「決して
吹聴
(
ふいちょう
)
するな」と言われたイエスの御言にそむいて、彼の病の癒されたことを述べ伝えあまねくひろめたので
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
常に春琴を弟子に持っていることを
誇
(
ほこ
)
りとして人に
吹聴
(
ふいちょう
)
し
玄人
(
くろうと
)
筋の門弟たちが大勢集まっている所でお前達は鵙屋のこいさんの芸を手本とせよ〔注
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
従順なる点においては決して彼らに
劣
(
おと
)
らぬと、各自がその特長とするところをいっそう多く
吹聴
(
ふいちょう
)
し、したがって高値に他に売らんとする考えがある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
私
(
わたくし
)
の
任務
(
つとめ
)
というのはごく一と
筋
(
すじ
)
のもので、
従
(
したが
)
って
格別
(
かくべつ
)
取
(
と
)
り
立
(
た
)
てて
吹聴
(
ふいちょう
)
するような
珍
(
めず
)
らしい
話
(
はなし
)
の
種
(
たね
)
とてもありませぬが
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
正味は四丈八尺ですが、
吹聴
(
ふいちょう
)
は五丈八尺という口上、一丈だけさばを読んで奈良の大仏と同格にしてしまいました。
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
自分の手柄を
吹聴
(
ふいちょう
)
し、
褒美
(
ほうび
)
の
一笑
(
いっしょう
)
にありつこうとしたところで、さあ、それが何になる? おまけに、うっかりすると、ひどい目にあうかも知れない。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
かの東方日出でてなお燈を点じ、天下公衆に向かってみずから
蒙昧
(
もうまい
)
の
吹聴
(
ふいちょう
)
をなすものはもとより論ずるに足らず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
が、もし
復讐
(
ふくしゅう
)
のために専務の預金の食い込みを
吹聴
(
ふいちょう
)
するとすると、取付けを食うのは分っていた。だが、
取付
(
とりつけ
)
を食って困るのは、銀行よりも預金者だった。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
儒学
(
じゅがく
)
最盛期
(
さいせいき
)
の
荻生徂徠
(
おぎゅうそらい
)
が
濫
(
みだ
)
りに外来の思想を
生嚼
(
なまかじ
)
りして、それを自己という人間にまで還元することなく、思いあがった態度で
吹聴
(
ふいちょう
)
しているのに比べると
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
パンの
破片
(
かけら
)
、
紙屑
(
かみくず
)
、
牛
(
うし
)
の
骨
(
ほね
)
など、そうして
寒
(
さむさ
)
に
顫
(
ふる
)
えながら、
猶太語
(
エヴレイご
)
で、
早言
(
はやこと
)
に
歌
(
うた
)
うように
喋
(
しゃべ
)
り
出
(
だ
)
す、
大方
(
おおかた
)
開店
(
かいてん
)
でもした
気取
(
きどり
)
で
何
(
なに
)
かを
吹聴
(
ふいちょう
)
しているのであろう。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
あまりの不思議に天水香の亀が水を
噴
(
ふ
)
いたというてえらい評判だした。と彼は常に私に
吹聴
(
ふいちょう
)
するのだった。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
それから
後
(
のち
)
は宅の父も小山の事を知った人へ
吹聴
(
ふいちょう
)
して我が
婿
(
むこ
)
はこういう人物でござると自慢を申すのです。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
あまりにお気の毒なので御辞退ができなかったのだが、これをまた世間は
大仰
(
おおぎょう
)
に
吹聴
(
ふいちょう
)
をするだろうね。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
それがかなり高級で、わりにピントが合っているから、一々いささかの
吹聴
(
ふいちょう
)
意識をもって答えてやる。
踊る地平線:05 白夜幻想曲
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
稲川先生の母親は、まるで気ちがいのように
息子
(
むすこ
)
をかばい、今では彼が
前非
(
ぜんぴ
)
を
悔
(
く
)
いあらためていると、会う人ごとに
吹聴
(
ふいちょう
)
してまわるのにいそがしいという
噂
(
うわさ
)
を聞いた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
こっちには松山の伯父さんもいられるし、これもうんと
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れているように
吹聴
(
ふいちょう
)
したでしょう
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
早速この珍犬を手に入れた喜びを、親しい友達たちに
吹聴
(
ふいちょう
)
せずにはいられなかったのであろう。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
ロシアの支配下のモンゴリヤ人が来て居るので、本当のロシア人はどこにも見出せないのに、それをラサの
市街
(
まち
)
を
濶歩
(
かっぽ
)
して居るかのようにダージリンへ来て
吹聴
(
ふいちょう
)
して居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
烟草屋のお婆さんは、いかに新吉が真面目で勉強家で身持が正しいかを隣近所に
吹聴
(
ふいちょう
)
して廻った。お婆さんには息子が一人あるのだが、
或
(
ある
)
保険会社の台湾支部に勤めていた。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
今朝ほどまでに二十ぺんも繰りかえしたことをこの瞬間もお客に
吹聴
(
ふいちょう
)
しているかもしれない。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
翌日学校に行くと、その生徒たちはめずらしいことを見て知っているというふうにそれを他の生徒に
吹聴
(
ふいちょう
)
した。「先生、昨日書いてた絵を見せてください!」などと言った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
かような女を召し抱えたは、お館にとって不幸だが、これとてやはり競争から来ておる。一ツ橋家の方でまず最初に、
蝦蟇
(
がま
)
夫人という女方術師を抱え、大仰に
吹聴
(
ふいちょう
)
したからさ。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ここの清雲香は私の常用するところ、誠にいいにおいのする線香であると
吹聴
(
ふいちょう
)
しておく。
新古細句銀座通
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
朝鮮でも盗難の被害者は嫌疑者の家の隣宅に往き、某の品を盗まれたから
不日
(
ふじつ
)
猫を蒸し殺すと
吹聴
(
ふいちょう
)
すると、盗人怖れて盗品を
窃
(
ひそ
)
かに還付す(『人類学雑誌』三十巻一号二四頁)。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
しかし、恥を知らぬ自堕落な連中が、どこまでもただ道楽を道楽として
臆面
(
おくめん
)
もなく下等にばか話を
吹聴
(
ふいちょう
)
し合っている時、
一人
(
ひとり
)
沈黙を守るのは
偽瞞
(
ぎまん
)
でもなければ
衒
(
ぶ
)
ることでもない。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
と彼はそれとなくおしのけて、「七郎丸」に関するゆくたてを熱弁をもって
吹聴
(
ふいちょう
)
した。
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
露月
(
ろげつ
)
が『俳星』に出して居る文章などは一々に読まぬからよくはわからぬが、自分が今始めて元禄の俳書などを読んで今更事珍し気に
吹聴
(
ふいちょう
)
するのはなほ感ずべき点があるとしても
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
吹
常用漢字
中学
部首:⼝
7画
聴
常用漢字
中学
部首:⽿
17画
“吹聴”で始まる語句
吹聴通