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切
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しき
ふりがな文庫
“
切
(
しき
)” の例文
小堀平治も、娘のあまりの美しさに、少し心配になったのでしょう、
切
(
しき
)
りに英山公を促し立てて、一刻も早く
埓
(
らち
)
を明けようとします。
新奇談クラブ:05 第五夜 悪魔の反魂香
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ぽん太はそのころ天下の
名妓
(
めいぎ
)
として名が高く、それから鹿島屋清兵衛さんに引かされるということで
切
(
しき
)
りに
噂
(
うわさ
)
に上った頃の話である。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
彼女の耳にはウィリアムが床をばたばたさせながら、
切
(
しき
)
りに喚いている声や、エフィの途切れ途切れに言う言葉が遠慮なく聞えて来た。
目撃者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ハハハ……何も苦労ツてエ程のことぢやありやアしない、……別に……苦労なんて……」彼は鷹揚な手つきで
切
(
しき
)
りに盃を口に運んだ。
熱海へ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
女房はそわそわと落ち付かぬ容子をして、亭主と同じように
切
(
しき
)
りに思い出そうとしていたが、出し抜けに、囁くような声でこう云った。
親ごころ
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
▼ もっと見る
一も二もなく自分は歩み寄つて言葉をかけた。彼はもう誰だか少しも覺えが無い。見えない眼を
切
(
しき
)
りに働かせて見定めようとする。
古い村
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
娘が居たからつて、格別嬉しい
想
(
おもひ
)
をさせられた訳ではなかつたが、居なくなつて見ると、
切
(
しき
)
りに淋しい。また
一人法師
(
ひとりぼつち
)
になつて了つた。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
再び峠の頂きに来る。振り返ってまた来たい心が
切
(
しき
)
りに
湧
(
わ
)
く。私は近いうちにそれを果したいと今も思っている。 昭和六年五月二十六日
日田の皿山
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
だから私はその下駄で差支ないということを
切
(
しき
)
りに主張したが、どうも文部省の当局が分らないから、それでやむをえずああいう貼出しをした。
模倣と独立
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ことに書物をよみに
他所
(
よそ
)
まで出かけてゆくなどゝ、家持ち子持ちのする事ではないと云ふ激しい反感が
切
(
しき
)
りに起された。
乞食の名誉
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
『それは
舞踏
(
ぶたう
)
の
第一
(
だいいち
)
の
姿勢
(
しせい
)
だわ』と
云
(
い
)
つたものゝ
愛
(
あい
)
ちやんは、
全
(
まつた
)
く
當惑
(
たうわく
)
したので、
切
(
しき
)
りに
話頭
(
はなし
)
を
更
(
か
)
へやうとしました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
セント・アントワヌ郊外の一労働者が、一切の憎悪は悪であると云う事を
切
(
しき
)
りに説いて聞かせた一講演者に云った。
新しき世界の為めの新しき芸術
(新字新仮名)
/
大杉栄
(著)
医者に
診
(
み
)
せてごらんと
切
(
しき
)
りに勧めた。然し彼女はそれに従わなかった。診て貰っても無駄だと頑張った。二度目に食物を吐いた時、順造は叱りつけた。
幻の彼方
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
これを後添に直したら宜かろうと村の者等が
切
(
しき
)
りに勧めまするが、角右衞門は中々堅固な人だから容易に承知せず
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ふだんから眼をかけて下さるおかみさんに口説かれて、よんどころなく引き受けてしまったが、ああ悪いことをしたと此の頃じゃあ
切
(
しき
)
りに後悔している。
半七捕物帳:20 向島の寮
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そして別れを告げる前に、シモンはアムブロアジヌお婆あさんと、
切
(
しき
)
りにきのこの料理の話をしてゐました。それ程シモンはきのこが大好きなのでした。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
学校時代の私は、銀子さん、貴女
能
(
よ
)
く
御存
(
ごぞんじ
)
下ださいますわねエ——
彼
(
あ
)
の一時バイロン流行の頃など、貴女を始め
皆様
(
みなさん
)
が
切
(
しき
)
りに恋をお語りなさいましたが
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「朝鮮大虎」「大入々々」「大人一文小児半文」と書いた札を背にして
切
(
しき
)
りに客を呼んでゐる男が一方にゐる。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
切
(
しき
)
りなしに騷ぎ出す胸に、兩手を重ねながら、お定は大きい目を
睜
(
みは
)
つて、言葉少なにお八重の言ふ所を聞いた。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
妹は出窓際に鏡を置いて、身仕舞に気をやつして、
切
(
しき
)
りと鏡に見惚れて居る。白いものも幾らか付けたやうだ。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
切
(
しき
)
りに室の中を詮索する様子で有った、余は眼の角から、見ぬ振りで見て居たが到頭叔父は卓子の下に落ちて居る紙切れの様な者を拾い衣嚢の中へ入れた様だ。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
母親は眼も口も一ツにして
大驩
(
おおよろこ
)
び、尋ねぬ人にまで
風聴
(
ふいちょう
)
する娘自慢の手前
味噌
(
みそ
)
、
切
(
しき
)
りに
涎
(
よだれ
)
を垂らしていた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
赤シヤツが露西亜の文学者みたやうだねと洒落て軽蔑し乍ら
然
(
しか
)
も三人で
切
(
しき
)
りに釣つたゴルキといふ魚は坊つちやんの説明によると如何にもこのギドの事らしいが
坊つちやん「遺蹟めぐり」
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
さつきからわれわれ一行の先導をしてゐる恰幅のいゝ老人が、帰りがけに、その住居でもあらうか、ある建物の前へ来ると、
切
(
しき
)
りに寄つて行けといふ身振りをする。
北支物情
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
三友館には電気応用キネオラマの見世物があつて、花の巴里か倫敦か、月がないたかほとゝぎす、古風な西洋館の窓々の灯へはすさまじく大夕立が降り
切
(
しき
)
つてゐた。
異版 浅草灯籠
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
瞬間の
睡眠
(
ねむり
)
から醒めた心地で、ぐるりと後ろの方を向くと家が在り、若い女が
切
(
しき
)
りと
機
(
はた
)
を織っている。
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
一匹の犬は台所の傍で、骨を押へて立つたまま、声を限りに吠え立てた。もう一匹の犬は、遠くから吠えながら、前へ出たり、後へ戻つたりして、
切
(
しき
)
りに尻尾を振つた。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:04 イワン・フョードロヸッチ・シュポーニカとその叔母
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
おなか (徳之助の来たるを
切
(
しき
)
りに待ち)どうしたのだろう。まだ来ない。あなたご免ください。
中山七里 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
利休が
心
(
こころ
)
窃
(
ひそ
)
かに自ら可なりとして居た茶入を氏郷も目が高いので
切
(
しき
)
りに賞美して之を懇望し、遂に利休をして其を与うるを余儀無くせしめたという談も伝えられている。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
降り続く大雪に、
伯母
(
おば
)
に逢ひたる
心地
(
ここち
)
にや、月丸は
雌
(
つま
)
諸共
(
もろとも
)
に、奥なる広庭に戯れゐしが。折から裏の
窠宿
(
とや
)
の
方
(
かた
)
に当りて、鶏の叫ぶ声
切
(
しき
)
りなるに、
哮々
(
こうこう
)
と狐の声さへ聞えければ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
三
月
(
ぐわつ
)
の
末
(
すゑ
)
つ
方
(
かた
)
、
消
(
き
)
えがてなりし
雪
(
ゆき
)
も、
次第
(
しだい
)
に
跡
(
あと
)
なく
融
(
と
)
けた
或夜
(
あるよ
)
、
病院
(
びやうゐん
)
の
庭
(
には
)
には
椋鳥
(
むくどり
)
が
切
(
しき
)
りに
鳴
(
な
)
いてた
折
(
をり
)
しも、
院長
(
ゐんちやう
)
は
親友
(
しんいう
)
の
郵便局長
(
いうびんきよくちやう
)
の
立歸
(
たちか
)
へるのを、
門迄
(
もんまで
)
見送
(
みおく
)
らんと
室
(
しつ
)
を
出
(
で
)
た。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
一人を
追躡
(
ついじょう
)
して
銀明水
(
ぎんめいすい
)
の
側
(
かたわら
)
まで来りしに、吹雪一層烈しく、大に悩み居る折柄、二人は予らに面会を
了
(
おわ
)
りて下るに
遇
(
あ
)
い、
切
(
しき
)
りに危険なる由を
手真似
(
てまね
)
して引返すべきことを
促
(
うなが
)
せしかば
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
人間はどうもそうらしい。相手を求めて交りをする。畜生でもそうだ。犬ころが、何か鳴いては求めている。じゃれ廻っては
切
(
しき
)
りに喜でいる。してみると犬も
慥
(
たし
)
かに社会的に出来てる。
イエスキリストの友誼
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
その時に私は
切
(
しき
)
りにご辞退をしたのである。
平和事業の将来
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
彼は未だ
切
(
しき
)
りに何か呟いてゐたが、不意に電話口に立つた、彼を止めようとした周子は彼に突き飛ばされて、唐紙にドンと当つた。
熱海へ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
主人峰右衛門の後ろに立って居る、青白い四十女は、それは
後添
(
のちぞい
)
のお皆というのでしょう。何やら眼顔で、
切
(
しき
)
りに主人を牽制して居ります。
銭形平次捕物控:246 万両分限
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その靴を
切
(
しき
)
りに自慢し、めつたに
穿
(
は
)
かないといふことをも云つた。四十を越した
寡婦
(
やもめ
)
の上さんは、その靴を大切にして飾つてゐるのであつた。
南京虫日記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
が、同時に彼女が彼の疑いに気付いて、スラッグに対する話を
切
(
しき
)
りに誤魔化そうとしている様子も彼には感付かれていた。
赤い手
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
之は非常な秀才で哲学科に居たが、大分懇意にして居たので僕の建築科に居るのを見て
切
(
しき
)
りに忠告して
呉
(
く
)
れた。
落第
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
切
(
しき
)
りなしに騒ぎ出す胸に、両手を重ねながら、お定は大きい目を睜つて、言葉少なにお八重の言ふ所を聞いた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
今度のことも
據
(
よんどこ
)
ろなく頼まれたのであると
切
(
しき
)
りに訴えたが、
彼女
(
かれ
)
の涙は名奉行の心を動かすことは
能
(
でき
)
なかった。しかし名奉行にも涙が無いのではなかった。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私
(
わし
)
は決してお前が篠田などと関係があるの何のと
思
(
お
)
もやせぬ、私はお前が
其様
(
そんな
)
馬鹿と思もやせぬから少しも気には留めぬが、
大洞
(
おほほら
)
が
切
(
しき
)
りに其事を言ふので
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
一昨夜手痛く此の身を捕縛して呉れたのが有難かったなどと云い更に「叔父上が
切
(
しき
)
りに貴方をお召しです」
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
文三
初
(
はじめ
)
は何心なく二階の
梯子段
(
はしごだん
)
を二段三段
登
(
あが
)
ッたが、不図立止まり、何か
切
(
しき
)
りに考えながら、一段降りてまた立止まり、また考えてまた降りる……
俄
(
にわ
)
かに気を取直して
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
外国人の男女が、私のそばでこの光景を珍しさうに眺めながら、
切
(
しき
)
りに何か囁き合つてゐる。
北支物情
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
三
月
(
がつ
)
の
末
(
すえ
)
つ
方
(
かた
)
、
消
(
き
)
えがてなりし
雪
(
ゆき
)
も、
次第
(
しだい
)
に
跡
(
あと
)
なく
融
(
と
)
けた
或夜
(
あるよ
)
、
病院
(
びょういん
)
の
庭
(
にわ
)
には
椋鳥
(
むくどり
)
が
切
(
しき
)
りに
鳴
(
な
)
いてた
折
(
おり
)
しも、
院長
(
いんちょう
)
は
親友
(
しんゆう
)
の
郵便局長
(
ゆうびんきょくちょう
)
の
立帰
(
たちか
)
えるのを、
門
(
もん
)
まで
見送
(
みおく
)
らんと
室
(
しつ
)
を
出
(
で
)
た。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
こんなことをして楽しんでいる男だった。或る日
切
(
しき
)
りにエピクテータスが足を引っ張り
捩
(
ね
)
じまわしては喜でいる。でエピクテータスはちと痛いので「そうなさると私の
脚
(
あし
)
は折れますよ」
イエスキリストの友誼
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
切
(
しき
)
りに淋しくなつてゐた所へ以て來て案外なこの兩人の若い女の笑顏を見たので、私は妙に常ならず嬉しかつた。母に隣つてお兼が早速座布團を直して呉れたので、勢よくその上に坐つた。
姉妹
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
でも湯村は、「駄目だ/\、そんな不親切な
兄妹
(
きやうだい
)
の世話になるより、金で傭つた他人の方が幾ら好いか知れない。」と云ひ/\書斎へ引込んだ。妹が
襖越
(
ふすまご
)
しに
切
(
しき
)
りと謝るのに返事も
為
(
し
)
ない。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
斯様
(
かう
)
なつては玄明は維幾に敵することは出来無い。そこで眼も光り口も
利
(
き
)
ける奴だから、将門よりほかに頼む人は無いと、将門の
処
(
ところ
)
へ駈込んで、
何様
(
どう
)
ぞ御助け下さいと、
切
(
しき
)
りに将門を拝み倒した。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
“切”の意味
《名詞》
(きれ)布の一部分。転じて布。
《形容動詞》
(セツ)緊急である、余裕がない。
(セツ) 心を込めて祈るさま。
(セツ) 身にしみて強く感じるさま。
《助詞》
(きり、ぎり)のみ。だけ。
(出典:Wiktionary)
切
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
“切”を含む語句
大切
一切
切々
突切
打切
切断
切歯
思切
切立
切端
引切
息切
掻切
巾着切
半切
仕切
切通
切符
切掛
手切
...