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かけおち
ふりがな文庫
“
駈落
(
かけおち
)” の例文
さだめて皆さんは、雪は夜逃げをしたとか、
駈落
(
かけおち
)
をしたとか思っていらっしゃるかも知れませんが、そういうわけではございません。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
年來御恩をきて居りながら、かやうな時に御意見のひと言も申上げることか、却て
駈落
(
かけおち
)
の女を隱まふなどとは、言語道斷、憎い奴。
箕輪の心中
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一番目の
女房
(
かない
)
はその男を捨てて、若い恋人と
駈落
(
かけおち
)
したので、男は涙を流してその女の噂ばかりしてゐたが、程なく二度目の結婚をした。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
家斉の末の娘が鳥取に嫁いで、
仲間
(
ちゅうげん
)
と
駈落
(
かけおち
)
したという有名な秘話は、皆様も何かの機会にお聴きになったことがあると思います。
奇談クラブ〔戦後版〕:06 夢幻の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
早瀬 それでなくッてさえ、
掏賊
(
すり
)
の同類だ、あいずりだと、新聞で
囃
(
はや
)
されて、そこらに、のめのめ居られるものか。長屋は
藻
(
も
)
ぬけて、静岡へ
駈落
(
かけおち
)
だ。
湯島の境内
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
親爺
(
おやじ
)
はその頃
妾
(
めかけ
)
を持っていたようです。いまぼくの愛しているお袋は男に脅迫されて箱根に
駈落
(
かけおち
)
しました。お袋は新子と名を改めて復帰致しました。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
で——どうでせう——その方とジョウジアァナお孃さんとは
駈落
(
かけおち
)
しておしまひになつたのですよ。ですがお二人は見付かつて駄目になつちまひました。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
殺人、盗賊、
駈落
(
かけおち
)
、男女の情死、諸役人の腐敗
沙汰
(
ざた
)
なぞは、この街道でめずらしいことではなくなった。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
昨日までは愛すればこそ、一種の恐れをさえ抱いていたこの人と、今
駈落
(
かけおち
)
をしているのだと思うと、悲壮な様な、甘い様な、
名状
(
めいじょう
)
出来ない感じで胸が痛くなった。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
結局
(
つまり
)
二人で
駈落
(
かけおち
)
などいう
軽卒
(
かるはずみ
)
な事でもしやしないか、困ったものだと云う事が私の耳に入っているが、私も兄弟は無し、心細いから
平常
(
ふだん
)
親切にしておくれのお前と
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「……タ……大将……大変ですぜ。お嬢さんはね。どっかの色男と……今夜、
駈落
(
かけおち
)
の相談を……」
芝居狂冒険
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ようやく三年目に、それでは一緒になってもいいと女が言うようになったので、男は飛びたつばかりに喜び、さっそく、
駈落
(
かけおち
)
することになって二人は都を逃げだしたのです。
文学のふるさと
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
とうとう、男はもう我慢がし切れなくなって、二人で
駈落
(
かけおち
)
しようと言い出した。
変な恋
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
だが、行ってみて驚いたよ。庄左衛門の相手の女というのも、昨夜から姿を見せないというので、向うでも大騒ぎをしているのだ。てっきり二人
諜
(
しめ
)
し合せて
駈落
(
かけおち
)
をしたものに相違ないね。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
「
駈落
(
かけおち
)
三回心中未遂一回」とか、「野心満々、惜しむらくは低能」とか、「彼いつの日にか悔い改めん」とか、「愚鈍なるが如くにして、最も警戒を要す」とか、そういったさまざまの文句が
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
彼
(
あ
)
の女は金之助の病中に、碁の弟子で、町の豪商
某
(
なにがし
)
の弟と怪しい仲になり、金之助の病気は
其
(
その
)
為
(
ため
)
更に重くなったのを気の毒とも思ず、
遂
(
つい
)
に
乳飲児
(
ちのみご
)
を置去りにして
駈落
(
かけおち
)
して
了
(
しま
)
ったのだと話しました。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
何事にも
退嬰
(
たいえい
)
的な本家が、女の洋行などと云うことを簡単には許しそうにもないので、又
駈落
(
かけおち
)
でもされたら大変であるから、———と、多少
嚇
(
おど
)
かすような意味合で話して貰う、と云う訳であった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「
駈落
(
かけおち
)
をなさるのなら、いっそ二人でなすったらいいでしょう」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
人もあろうに風呂番をしていた与太郎という馬鹿と
駈落
(
かけおち
)
するなんて、わたしも
呆
(
あき
)
れ返ってしまった、あんな
世話甲斐
(
せわがい
)
のない子というはありやしない
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
此の船中に話したがね、船頭はじめ——
白痴
(
たわけ
)
め、
婦
(
おんな
)
に誘はれて、
駈落
(
かけおち
)
の真似がしたいのか——で、船は人ぐるみ、
然
(
そ
)
うして奈落へ
逆
(
さかさま
)
に
落込
(
おちこ
)
んだんです。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それとも
駈落
(
かけおち
)
でもしたのか、そんなことはいっさい判らないのですが、その小僧の
祖母
(
ばあ
)
さんという人が井戸屋へ押掛けて来て、自分の大事の孫を返してくれという。
経帷子の秘密
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と
直
(
すぐ
)
に墓場から
駈落
(
かけおち
)
をして、其の晩は遅いから
松戸
(
まつど
)
へ泊り、翌日宿屋を立って、あれから
古賀崎
(
こがざき
)
の
堤
(
どて
)
へかゝり、流山から
花輪村
(
はなわむら
)
鰭ヶ崎
(
ひれがさき
)
へ出て、鰭ヶ崎の
渡
(
わたし
)
を越えて
水街道
(
みずかいどう
)
へかゝり
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
僕の家に
居候
(
いそうろう
)
をしていた男が、あいつを盗み出したのです。何の為にか少しも分りませんが、二人は——いや、一人と一匹とは、まるで
駈落
(
かけおち
)
でもする様に、手に手をとって逃出してしまったのです。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「源太の二番目娘、お銀の
方
(
かた
)
の妹のお徳ですよ。親父の子分でお小姓の捨吉と言はれた好い男と出來て、
駈落
(
かけおち
)
までした札付の娘でさ、一時は品川に巣を構へて小唄か鼻唄の師匠をして居たといふ——」
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
此
(
これ
)
の
船中
(
せんちう
)
に
話
(
はな
)
したがね、
船頭
(
せんどう
)
はじめ——
白癡
(
たはけ
)
め、
婦
(
をんな
)
に
誘
(
さそ
)
はれて、
駈落
(
かけおち
)
の
眞似
(
まね
)
がしたいのか——で、
船
(
ふね
)
は
人
(
ひと
)
ぐるみ、
然
(
さ
)
うして
奈落
(
ならく
)
へ
逆
(
さかさま
)
に
落込
(
おちこ
)
んだんです。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「だって先生、先生はお目が御不自由なんでございましょう、それを見捨てて、二人で
駈落
(
かけおち
)
をするなんぞということは、このがんりきにはできませんな」
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
丁度あの鳶頭が来た
翌日
(
あくるひ
)
でした、
吉原
(
なか
)
の
彼女
(
やつ
)
と
駈落
(
かけおち
)
と出懸けやしたがね、一年足らず
野州
(
やしゅう
)
足利
(
あしかゞ
)
で潜んでいるうちに
嚊
(
かゝあ
)
は梅毒がふき出し、それが
原因
(
もと
)
で到頭お
目出度
(
めでたく
)
なっちまったんで
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ならん! この場に及んで分別も
糸瓜
(
へちま
)
もあるかい。こんな馬鹿は、助けて返すと、
婦
(
おんな
)
を連れて
駈落
(
かけおち
)
をしかねない。短兵急に首を
圧
(
おさ
)
えて叩っ斬ってしまうのだ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ただいま、
浴槽
(
ゆぶね
)
で聞いたのだが、昨晩は君の姿が見えないために、総出で探し、どうしてもわからないから、君は
駈落
(
かけおち
)
をしてしまったものときめているらしい」
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
叺
(
かます
)
を卸して
秣
(
まぐさ
)
を
宛
(
あて
)
がってどっさり喰わせ、虫の食わないように
糸経
(
いとだて
)
を懸けまして、二分と一貫の銭を持って居りますゆえ、大概のものなら
駈落
(
かけおち
)
をするのだから路銀に持って
行
(
ゆ
)
きますが
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
何
(
ど
)
う?
多分
(
たぶん
)
其
(
そ
)
の
我
(
わが
)
まゝな
駈落
(
かけおち
)
ものの、……
私
(
わたし
)
は
子孫
(
しそん
)
だ、と
思
(
おも
)
ふんだがね。……
御覽
(
ごらん
)
の
通
(
とほ
)
りだからね、」
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
切羽
(
せっぱ
)
つまった末に、とうとう
駈落
(
かけおち
)
と覚悟をきめて、ある夜、しめし合わせ、手に手をとって駈落を決行したが、その時、若い美僧は、重々悪いこととは知りながら
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
情死、
駈落
(
かけおち
)
、
勘当
(
かんだう
)
等、これ皆愛の分弁たり。すなはち其人のために喜び、其人のために祝して、これをめでたしといはむも可なり。但社会のためには歎ずべきのみ。
愛と婚姻
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
なかにはお君がお銀様を
嗾
(
そそのか
)
して、一緒に
駈落
(
かけおち
)
をしたのではないかと言っているものもありました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
雖然
(
けれども
)
、
襦袢
(
じゆばん
)
ばかりに
羽織
(
はおり
)
を
掛
(
か
)
けて
旅
(
たび
)
をすべき
所説
(
いはれ
)
はない。……
駈落
(
かけおち
)
と
思
(
おも
)
ふ、が、
頭巾
(
づきん
)
も
被
(
かぶ
)
らぬ。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
え、それでは
駈落
(
かけおち
)
だとおっしゃるのですか。そうかも知れませんね、でも……
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
もうお夏の、こう隔てのない、打開けた、——、
敵討
(
かたきうち
)
の、
駈落
(
かけおち
)
の相談をさるるような、一の(当てて御覧)がなかったら、火の玉は転がって、格子の外へ飛んだであろう。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二人はこの場の出来心——というよりも、非科学的であることの
甚
(
はなはだ
)
しい弁信法師の頭だけの暗示をたよりとして、一種異様なる
駈落
(
かけおち
)
を試みようということに、相談が一決してしまったのです。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
杜若
(
かきつばた
)
を
一年
(
ひととせ
)
植
(
うゑ
)
たが、あの
紫
(
むらさき
)
のおいらんは、
素人手
(
しろうとで
)
の
明
(
あか
)
り
取
(
とり
)
ぐらゐな
處
(
ところ
)
では
次
(
つぎ
)
の
年
(
とし
)
は
咲
(
さ
)
かうとしない。
葉
(
は
)
ばかり
殘
(
のこ
)
して
駈落
(
かけおち
)
をした、
泥
(
どろ
)
のまゝの
土鉢
(
どばち
)
がある。……
其
(
それ
)
へ
移
(
うつ
)
して、
簀
(
す
)
の
子
(
こ
)
で
蓋
(
ふた
)
をした。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
しめし合わせて
駈落
(
かけおち
)
でもしたように思っているが、以ての外だ、なんらの関係はない、偶然に
出会
(
でっくわ
)
して、偶然の道づれになったまでのことなのだ、情実関係も、利害関係も、一切ありはしないのだよ
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
もともと人間がそういうことを
拵
(
こしら
)
えたのなら、誰だって
同一
(
おんなじ
)
人間だもの、何
密夫
(
まおとこ
)
をしても可い、
駈落
(
かけおち
)
をしても可いと、言出した処で、それが通って、世間がみんなそうなれば、かえって貞女だの
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あいつ無闇に親船を
駈落
(
かけおち
)
して来は来たものの、本来あの兵部の娘にしてからが、そんなに思慮の計算のあるやからではない、人の金を持ち出して、二十日余りに四十両の五十両のと使い果してから
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
上方あたりへ
駈落
(
かけおち
)
をして一生いようと思って、五月二十八日に
股引
(
ももひき
)
をはきてうちを出たが、世間の中は一向知らず、金も七八両盗み出して、腹に巻き附けて、まず品川まで道を聞き聞きして来たが
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
行方も知れず……
一寸
(
ちょいと
)
……
駈落
(
かけおち
)
をして
了
(
しま
)
つたんだわ!
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その浴客らの
噂
(
うわさ
)
は、昨晩、芸者の
駈落
(
かけおち
)
ということで持切りです。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
行方
(
ゆくへ
)
も
知
(
し
)
れず……
一寸
(
ちよいと
)
……
駈落
(
かけおち
)
をして
了
(
しま
)
つたんだわ!
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
近所の人は男と
駈落
(
かけおち
)
をしたものだろうと言っています。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
もう
箱根
(
はこね
)
から
駈落
(
かけおち
)
だ。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
またしても
駈落
(
かけおち
)
かと、読んで神尾が苦笑しました。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「あの子はお前、
駈落
(
かけおち
)
をしてしまいましたよ」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
駈
漢検準1級
部首:⾺
15画
落
常用漢字
小3
部首:⾋
12画
“駈落”で始まる語句
駈落者
駈落事