)” の例文
旧字:
二人のうしろに喰いついて、ひょろ松が渋しぶ立場へ入ると、アコ長ととど助は落着いたもので、芋豆腐いもどうふを肴にいっぱいりだした。
顎十郎捕物帳:23 猫眼の男 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
男も一息に、しかし幾らかゆっくり加減にり、不味まずそうに手の甲でくちを拭いて、何か考え事でもするように、洋酒コップの底をいじくりながら
いや、そうはいけねえ——おいらあさっきから、一人で大分っているんだ。この上呑んだら、それこそ意気地いくじなくうたたねだ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
『とにかく、まだ早いですから、ここで何かって行きましょう。御銘々にお好きなものを御註文下さい——おい、婆さん、おれに黒麦酒ブルウネット!』
ちと黙ったか、と思うと、め組はきょろきょろ四辺あたりを見ながら、帰天斎が扱うように、敏捷すばやく四合罎からさかさまにがぶりとって、呼吸いきかず
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
左様なら御亭主の前で飲んだら宜かろうという訳でまいったと申して、御亭主へも面会して、三人で一緒にろうじゃないか
その日に自分がるだけの務めをしてしまってから、適宜いいほど労働ほねおりをして、湯にはいって、それから晩酌に一盃いっぱいると、同じ酒でも味がちがうようだ。
太郎坊 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
よほど都合のいい日でないと白馬どぶろくもろくろくは飲めない仲間らしい。けれどもせんの三人は、いくらかよかったと見えて、思い思いにっていた。
窮死 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「どうしたんだ豹子頭、会うたび顔いろがよくないぜ。そろそろ秋風に枯葉こようは舞うし、拙僧もなんだか淋しい。ひとつそこらでろうじゃないか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ここで、白人諸君に会おうとはまったく夢のようだ。どうだ、“Shushahシュシャア”という珍しいものをらんかね」
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「オイ新さん、そう銭儲ぜにもうけの話ばかりしていねえで、ちょっとおりよ。」と小野は向う側から高調子で声かけた。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
実際、酒は不可いかんです。僕も酒は何によらず一滴もるまいとは思つて居るんですが、矢張り多少は遺伝ですね。
一月一日 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
わたしのすぐ傍に、一人のユダヤ人が立って、同じようにっていましたが、頻りに話しかけるのです。
『橘さんは余りらん方ですね。』と云つた様な機会きつかけから、日下部君と志田君の間に酒の論が湧いて、寝酒の趣味は飲んでる時よりも、飲んで了つてからに有る
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
……それは僕の葡萄園はたけの奴だ。この罎はナヷリージェの葡萄園はたけのだし、こっちはアハトゥロフのだ。……三つともって見て、ひとつ忌憚のないところをきかしてくれ。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そこで私共の放蕩あくたれ仲間が三四人申合わせてそのナメラを丸のままブツ切りにして味噌汁に打込んで一杯る事にしましたが、それでも最初はヤッパリ生命いのちが惜しいので
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「なに奥様、余り不景気なんだから一寸その景気附けにったんですよ。所で旦那はお家で。」
田原氏の犯罪 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
どうした、相変わらずっておるな。ところで、あの壺はにせのこけざる…にせ猿じゃったよ
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
女は大概占いが好きなものだが、ルイザも面白半分にどうぞと言うと男は、まあ一つこれでもってからと笑って、何か黄色い液体を注いで出した。強烈なにおいがするが、思い切って呑んだ。
生きている戦死者 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
とっつぁんと一杯いっぺえろうと思ってな、酒を二升ばかりさげて来たよ」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「そんなものをつて、後で咽喉が渇くだらう。」
そら見ろ、気持ちが直ったろう。れ、一本で足りなきゃアもう一本れ、わしが引き受けるから。なんでも元気を
窮死 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
いや、しょうのものの膝栗毛ひざくりげで、いささか気分なるものをただよわせ過ぎた形がある。が、此処ここで早速頬張ほおばって、吸子きびしょ手酌てじゃくったところは、我ながら頼母たのもしい。
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
男「エヽコウ潮時がわりいもんだから滅法界めっぽうけえに遅くなった、なにしても寒くって堪らねえから何処かで一ぺいろうか」
ふた口、三口ると、胸につかえていた不快なかたまりもさがったような気がして、今朝のがぽっと目元へ出ます。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小姓の酌で、遠慮もなく、っているところへ、侍が、眼も綾な、錦をかけた三方さんぼうをささげてはいって来た。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
しかしおれだけは、船を動かす責任もあるし、君等のことも考えて、控え目にったというわけさ
ひょろ松と顎十郎が、踏みこんで行くと、伏鐘重三郎は、松坂木綿まつざかもめんの着物に屑糸織くずいとおり角帯かくおびという、ひどく実直な身なりで長火鉢に鯨鍋をかけ、妾のお沢と一杯っていた。
『酔つて? 然うです、然うです、少しつて来ました。だが女一人で此路は危険けんのんですぜ。』
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
源太胸には苦慮おもいあれども幾らかこれに慰められて、猪口ちょくりさまに二三杯、後一杯をゆるく飲んで、きさまれと与うれば、お吉一口、つけて、置き、焼きかけの海苔のり畳み折って
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あくる朝になってうちの者が気が付く事が多い……そうして帰って来ると、いつもこの上なしの上機嫌で、その獲物をさかなに一パイりながら、メチャメチャに妻君を熱愛するのが又
復讐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
このブラジル焼酎ピンガりながらアマゾン奥地の、「神にして狂うリオ・フォルス・デ・デイオス
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
まだよくの言えば、おんとお孝と対向さしむかいで、一猪口ひとちょこる処をですだ、敷居の外からでもい、見ていたいものですだ。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
踏切の八百屋やおやでは早く店をしまい、主人あるじ長火鉢ながひばちの前で大あぐらをかいて、いつもの四合の薬をぐびりぐびりっている、女房はその手つきを見ている
郊外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「いやいや、十郎左は、あのような優男やさおとこでござるが、酒は、したたかにりまするぞ。伝右殿、お逃がしあるな」
べんがら炬燵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「へへへ、こうして、姐御と、っていると、何か、こう小意気な咽喉のどでもころがしたくなって来るなあ」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
親方どうも大きな声をしてお八釜やかましゅうございます、え、おいおとっさん、己ア此処迄に四度よたび飲んで来たが、直ぐによいが醒めるんだ、醒めるから又居酒屋へ飛び込んでって来たが
近所の酒場では、硝子窓の外のやみをすかしながら、ちびりちびりっている時分だ。
源太胸には苦慮おもひあれども幾干いくらか此に慰められて、猪口把りさまに二三杯、後一杯をゆるく飲んで、きさまれと与ふれば、お吉一口、つけて、置き、焼きかけの海苔畳み折つて、追付三子さんこの来さうなもの
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
引ったくるように徳利を取った新九郎は、グウ……と一息にりかけたが、その時俄かに、物に襲われたような顔をして、ジッと聞き耳ててしまった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
目立たないように一銚子ひとちょうし附いて出ると、見ただけでも一口めそう……梅次の幕を正面へ、仲の町が夜の舞台で、楽屋の中入なかいりといった様子で、下戸げこまでもつい一口る。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「なアに文公が払えない時は、わしがどうにでもする。えッ、文公、だから一ツってみな。」
窮死 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
牛蒡ごぼうで無い処が感心で、斯ういう処が閑静……旦那何しろ旨い、貴方あんた駕籠の上の葡萄酒をおろしましょうか、まア此方こっちって御覧なさい、話の種で丹誠なもので、此の徳利の太さ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「一杯おりよ、碧眼あおめさん。ここがいてるぜ、サア此方こっちへおいで」
碧眼 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
「やあ待ち給え。そいつはちと気が早い。もう一さん、機嫌直しをって、こころよく乾杯した上、お別れしよう」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お供だで少し加減をすれば宜かったが、急いでっつけたで、えら腹がったから、二合出たのを酌飲くんのんじまい、酔ぱらいになって、つい身体が横になったところから不調法をして
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
洞斎兄は沢山たんとは飲まなんだけれど、島田髷の妹は少しるがやぞ。これでもに、古馴染や、遠慮はない。それにどこへ来なされた思うて、そのように堅うして。……花柳界、看板を出した待合や。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「何か一杯おり。そうすると脚に力がつくぞ」
幻想 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
「これ、お蝶さんや、早くここへ来て手でも暖めないか。なに、おかんはわしがここでけながらるとしようよ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下男「いや林藏れんぞう何処へく、なに旦那と一緒えっしょに、うかえ、一盃えっぺいったなア」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)