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長刀
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なぎなた
ふりがな文庫
“
長刀
(
なぎなた
)” の例文
(翁と嫗とはうろうろして奥を窺ううちに、奥より蛇は髪をふり乱して走りいず。蟹は赤き
甲
(
よろい
)
をつけ、かの
長刀
(
なぎなた
)
を持ちて追い出ず。)
蟹満寺縁起
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
十日あまり照り續いた往來の
土埃
(
つちほこり
)
を、少々
長刀
(
なぎなた
)
になつた麻裏草履に蹴飛ばして、そのまゝ拭き込んだ上がり
框
(
かまち
)
に飛び上がるのですから
銭形平次捕物控:184 御時計師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
鎧
(
よろい
)
に
長刀
(
なぎなた
)
、大刀をかいこんであっという間もなく延暦寺の額をたたき割って、「うれしや水、鳴るは滝の水、日は照るとも絶えず」
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
源吾の
装束
(
いでたち
)
は華やかだった。
長刀
(
なぎなた
)
かと見えるような大太刀をつかって、黒小袖の下には、燃えるような両面の
紅
(
くれない
)
の袖を重ねていた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
残った者は、めいめいお殿様の馬を囲んで行列を作って歩きました。不思議なことに、どの男もどの男も、弓や
長刀
(
なぎなた
)
やを持っていました。
三人兄弟
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
長刀
(
なぎなた
)
は
朽縁
(
くちえん
)
に倒れた。その刃の
平
(
ひら
)
に、雪の
掌
(
たなそこ
)
を置くばかり、たよたよと
崩折
(
くずお
)
れて、顔に片袖を
蔽
(
おお
)
うて泣いた。身の果と言う……身の果か。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鳶
(
とび
)
いろの眼と、ユウマアのみなぎった、人のいい顔をしてる。この
年齢
(
とし
)
まで、独身を通してきた。
長刀
(
なぎなた
)
の名手なのだ。
渋川流
(
しぶかわりゅう
)
の
柔
(
やわら
)
もやる。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そして虚空から、「天王寺の
妖霊星
(
ようれぼし
)
を見ずや」と歌います。その声が聞えると、高時は正気に返って立上り、小
長刀
(
なぎなた
)
片手に空を
睨
(
にら
)
みます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「某家では、板女が衣類を持って逃げようとするところを知って、
妻女
(
さいじょ
)
が
長刀
(
なぎなた
)
を持って切りかけると、
壁厨
(
おしいれ
)
の戸板へ引附いて消えてしまった」
女賊記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その当時の能楽は全く
長押
(
なげし
)
の
槍
(
やり
)
、
長刀
(
なぎなた
)
以上に無用化してしまって、誰一人として顧みる者がなかったと云っても決して誇張ではないであろう。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
武蔵を
先登
(
せんとう
)
に女ふたり
長刀
(
なぎなた
)
を持ち、百右衛門の屋敷に駈け込み、奥の座敷でお
妾
(
めかけ
)
を相手に酒を飲んでいる百右衛門の痩せた右腕を武蔵まず切り落し
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
側
(
そば
)
にあった人物の置き物を私に
指
(
さ
)
し、「お前、この人を知ってるか」と
訊
(
き
)
かれたので、私はオッカナビックリ見ると、長い
髯
(
ひげ
)
が胸まで
垂
(
た
)
れ、
長刀
(
なぎなた
)
を持っているので
幕末維新懐古談:06 高村東雲の生い立ち
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
その翌る年、不昧公は江戸の
邸
(
やしき
)
へ宗左を招いた。宗左は名高い大名の折角のお招きだといふので、出来るだけ供をたんと連れて、供には
挟
(
はさ
)
み
箱
(
ばこ
)
や
長刀
(
なぎなた
)
などを担がせた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
若い時三井寺で
件
(
くだん
)
の鐘を見たるに𤿎裂筋あり、往昔弁慶、力試しにこれを
提
(
さ
)
げて谷へ
擲
(
な
)
げ下ろすと二つに裂けた、谷に下り
推
(
お
)
し合せ
長刀
(
なぎなた
)
で
担
(
にの
)
うて上り、堂辺へ置いたまま現在した
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
先から冷たいからこれも
温
(
あった
)
かゝったら旨かろうと思います……瓜揉は感心で、少し甘ったるいのは酢が少し足らない……
今日
(
きょう
)
は
小峰
(
こみね
)
さんと云う
芸妓
(
げいしゃ
)
が参りますが、是も昔は
長刀
(
なぎなた
)
の
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
担ぎ出されたのは梯子と竹竿ばかりでなく、
水弾
(
みずはじ
)
きや、槍、
長刀
(
なぎなた
)
まで担ぎ出されるという有様です。米友はよく屋根の上を走りました。或る時はこれ見よがしに直立して走りました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
丈
(
たけ
)
が二寸からある、
長刀
(
なぎなた
)
ほおずきは、その時分でも一本一銭五厘から二銭位した。
旧聞日本橋:18 神田附木店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
歿
(
なくな
)
られた
良人
(
つれあひ
)
から
懇々
(
くれぐれ
)
も頼まれた秘蔵の秘蔵の
一人子
(
ひとりつこ
)
、それを瞞しておのれが懲役に遣つたのだ。
此方
(
このほう
)
を女と
侮
(
あなど
)
つてさやうな
不埒
(
ふらち
)
を致したか。
長刀
(
なぎなた
)
の一手も心得てゐるぞよ。恐入つたか
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「——ただいまにてもあれ、鎌倉におん大事あらば、ちぎれたりともこの具足、取って投げかけ、
錆
(
さ
)
びたりとも
長刀
(
なぎなた
)
を持ち、痩せたりともあの馬に乗り、一番にはせ参じ
着到
(
ちゃくとう
)
につき、さて」
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
馬によくのり劔も余程手づよく、
長刀
(
なぎなた
)
も出来、
力
(
チカラ
)
ハなみ/\の男子よりつよく、先たとへバうちにむかしをり候ぎんという女の、力料
斗
(
ばかり
)
も御座候べし。かほかたち平井(加尾)より少しよし。
手紙:012 文久三年八月十四日か 坂本乙女あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
(蛙は蓮の葉を地にしきて坐す。柳のかげより大いなる赤き蟹いず。蟹は武装して、鋏のごとき刃をつけたる
長刀
(
なぎなた
)
を携えたり。)
蟹満寺縁起
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
芬
(
ぷん
)
と、
麝香
(
じゃこう
)
の
薫
(
かおり
)
のする、
金襴
(
きんらん
)
の袋を解いて、
長刀
(
なぎなた
)
を、この乳の下へ、平当てにヒヤリと、また芬と、
丁子
(
ちょうじ
)
の香がしましたのです。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何か、敵味方大声が
谺
(
こだま
)
しあうと、一団また一団、太刀
長刀
(
なぎなた
)
をひっさげた兵が、われがちに
薄暮
(
はくぼ
)
の谷間をのぞんで駈け降りてゆく。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ところが、あの足跡は足袋を
穿
(
は
)
いた新しい
草鞋
(
わらぢ
)
ですが、宗次郎は足袋を穿かないし、
草鞋
(
わらじ
)
もきれかゝつて
長刀
(
なぎなた
)
になつて居たといふことですよ」
銭形平次捕物控:217 歎きの幽沢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
徳川と織田とは、非常に離れて戦っているようであるが、最後には乱戦になったらしく、酒井忠次の払った
長刀
(
なぎなた
)
のほこ先が信長勢の池田勝三郎信輝の股に当った位だ。
姉川合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
長刀
(
なぎなた
)
を持たせると大喜びでノサバリまわって危険この上もないので地謡が皆中腰で謡ったという。
流石
(
さすが
)
の只圓翁もこの人物には
兜
(
かぶと
)
を脱いでいたらしく稽古の時にも決して叱らなかった。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
長刀
(
なぎなた
)
の
一手
(
ひとて
)
ぐらいは知っても居ようが、高の知れた女の痩腕、
汝等
(
うぬら
)
に斬られてたまるものか、今まで上手を使って居たが、こう云い出したからは己も男だ、□□□□□□□□□□□□□
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼女はニヤニヤと笑って、キュッキュッと
長刀
(
なぎなた
)
ほうずきを
噛
(
か
)
みならしながら
旧聞日本橋:06 古屋島七兵衛
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
長刀
(
なぎなた
)
を小脇にした
壮
(
わか
)
い妻女が庭の
潜
(
くぐ
)
りを開けて出て来たところであった。
女賊記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
組子は
突棒
(
つくぼう
)
、
刺叉
(
さすまた
)
、槍、
長刀
(
なぎなた
)
を取って、弁慶に打ってかかるから、弁慶も金剛杖では間に合わず、ついに
太刀
(
たち
)
の
鞘
(
さや
)
を
外
(
はず
)
して、縦横無尽にそれを斬り散らす騒ぎになったから、見物は喜びますけれど
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
上皇は、恐怖にみちたお声の下で
急
(
せ
)
きたてた。あっと、木工助家貞がまず答え、忠盛は、
長刀
(
なぎなた
)
を横にひそめて、そこへ
馳
(
か
)
けた。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とりなりの乱れた
容子
(
ようす
)
が、
長刀
(
なぎなた
)
に使ったか、太刀か、刀か、舞台で立廻りをして、
引込
(
ひっこ
)
んで来たもののように見えた。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
掻いて足から
裾
(
すそ
)
は
埃
(
ほこり
)
だらけぢやないか。良い若い者が、
長刀
(
なぎなた
)
になつた草履なんか
履
(
は
)
いて行くのは、止しちやどうだ
銭形平次捕物控:208 青銭と鍵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
(蟹は
長刀
(
なぎなた
)
をたずさえて悠々と奥に入る。翁と嫗と娘はそのうしろ姿を拝む。
青年
(
わかもの
)
は腕をくみて考える。)
蟹満寺縁起
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
おばあさんは
長刀
(
なぎなた
)
ほおずきを鳴らすのが好きで
旧聞日本橋:18 神田附木店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
だが、後に捨てられてあった
長刀
(
なぎなた
)
をふと拾い上げてみると、
長巻
(
ながまき
)
は青貝、
拵
(
こしら
)
えは
黄金
(
こがね
)
、吉良家の定紋、
梧桐
(
きり
)
の紋どころが散らしてあるではないか。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小親が
軽
(
かろ
)
き身の
働
(
はたらき
)
、躍れば
地
(
つち
)
に
褄
(
つま
)
を着けず、舞の袖の飜るは、
宙
(
そら
)
に羽衣
懸
(
かか
)
ると見ゆ。
長刀
(
なぎなた
)
かつぎてゆらりと出づれば、手に
抗
(
た
)
つ敵の有りとも見えず。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その上、芯のはみ出した帯に、
長刀
(
なぎなた
)
になったキルク草履という有様、全く妙子の姿は見る影もありません。
新奇談クラブ:02 第二夜 匂う踊り子
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私たちは狐や
外道
(
げどう
)
の
仮面
(
めん
)
をかぶって往来をうろうろしていたものです。そのほかには武器に関する玩具が多く、弓、
長刀
(
なぎなた
)
、刀、鉄砲、兜、
軍配
(
ぐんばい
)
団扇
(
うちわ
)
のたぐいが勢力を占めていました。
我楽多玩具
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
弁慶の
長刀
(
なぎなた
)
が
山鉾
(
やまぼこ
)
のように、見える、見える。
御曹子
(
おんぞうし
)
は高足駄、おなじような桃太郎、義士の数が三人ばかり。五人男が七人居て、
雁
(
かり
)
がねが三羽揃った。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
頼朝の
長刀
(
なぎなた
)
は、無意識に縦横の閃光を描いた。その一閃は、敵の馬の鼻づらをかすめたので、馬は
愕
(
おどろ
)
いて
刎
(
は
)
ねた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
娘のころ江戸のお屋敷で
長刀
(
なぎなた
)
のひと手、
柔術
(
やわら
)
から
小太刀
(
こだち
)
まで教わり、
家中
(
かちゅう
)
でも評判の腕前だったってね。
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
螺鈿
(
らでん
)
の鞍を置いた駒は、もうそこへ着いていたが、弾正大弼は、
長刀
(
なぎなた
)
の石突きを敷台に突いて、化石したように、じっと立って、彼をそこに待っていた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
嫁入道具に附いて来た、
藍貝柄
(
あおがいえ
)
の
長刀
(
なぎなた
)
を、
柄払
(
つかばら
)
いして、仁右衛門親仁が担ぎました。
真中
(
まんなか
)
へ、お産婦の釣台を。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
娘の頃江戸のお屋敷で
長刀
(
なぎなた
)
の一と手、
柔術
(
やはら
)
から小太刀まで教はり、家中でも評判の腕前だつたつてね。
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
『ひとの
長刀
(
なぎなた
)
を
蹴
(
け
)
たおしながら、肩そびやかして出て行くは、どこの何者だっ。待ちおろうッ、そこな小男』
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、にょっと出た、お源を見ると、取次に出ないも道理、勝手働きの
玉襷
(
たまだすき
)
、
長刀
(
なぎなた
)
小脇に
掻込
(
かいこ
)
んだりな。
高箒
(
たかぼうき
)
に
手拭
(
てぬぐい
)
を
被
(
かぶ
)
せたのを、柄長に構えて、
逆上
(
のぼ
)
せた
顔色
(
がんしょく
)
。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
平次の見幕の凄まじさに、八五郎は
這々
(
はふ/\
)
の體で飛び出しました。
長刀
(
なぎなた
)
になつた麻裏を懷ろに
捻
(
ね
)
ぢ込んで、四つん這ひになつて逃げ出すのが、まことに精一杯だつたのです。
銭形平次捕物控:184 御時計師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
旗が、
長刀
(
なぎなた
)
が、うねうねと、山伝いに遠のいてゆく。けれど、後から後から続く兵馬は容易に絶えなかった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
揉
(
も
)
みに揉んで、太刀と
長刀
(
なぎなた
)
が左右へ開いて、尺八が馬上に跳返った。そのかわり
横田圃
(
よこたんぼ
)
へ振落された。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“長刀”の意味
《名詞》
(チョウトウ)長い刀。
「なぎなた」の漢字表記。
(出典:Wiktionary)
長
常用漢字
小2
部首:⾧
8画
刀
常用漢字
小2
部首:⼑
2画
“長刀”で始まる語句
長刀草履
長刀形
長刀疵
長刀酸漿