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遊蕩
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ゆうとう
ふりがな文庫
“
遊蕩
(
ゆうとう
)” の例文
甚だしき
遊蕩
(
ゆうとう
)
の沙汰は聞かれざれども、とかく物事の美大を悦び、衣服を美にし、
器什
(
きじゅう
)
を飾り、
出
(
いず
)
るに車馬あり、
居
(
お
)
るに美宅あり。
教育の事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
その大なる
竈
(
かまど
)
のまわりに席を有しない人々も——野心家、利己主義者、空疎な
遊蕩
(
ゆうとう
)
児なども——その色
褪
(
あ
)
せた反映に身を暖めようとする。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
酒は飲めず、
遊蕩
(
ゆうとう
)
の志は備わっているが体力微弱である私は、先ず幸福に対する費用といえば、すこぶる
僅少
(
きんしょう
)
で足りる訳である。
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
又その一部分を子供の死亡に帰した。それから、他の一部分を平岡の
遊蕩
(
ゆうとう
)
に帰した。又他の一部分を会社員としての平岡の失敗に帰した。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのために、庶務課長として、信任があるばかりでなく、彼は今井の
遊蕩
(
ゆうとう
)
生活において取巻であり、お相手であるらしかった。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
女房を迎える暇もないような
忙
(
せわ
)
しい
遊蕩
(
ゆうとう
)
——そんな
出鱈目
(
でたらめ
)
な遊びの揚句は、世間並みな最後の幕へ押し流されて来たのです。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
……その話によると、左馬之助はいちど林数右衛門という物頭の家へ養子にゆき、一子をあげたが、
遊蕩
(
ゆうとう
)
のため離別された。
百足ちがい
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
あの
厳
(
いかめ
)
しい顔に似合わず、(
野暮
(
やぼ
)
を任じていたが、)
粋
(
いき
)
とか渋いとかいう好みにも興味を持っていて相応に
遊蕩
(
ゆうとう
)
もした。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
以前、この氏の虚無思想は、氏の
無頼
(
ぶらい
)
な
遊蕩
(
ゆうとう
)
的生活となって表われ、それに伴って氏はかなり利己的でもありました。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「無駄なことがあるものか。公衆の好奇心を満足させる点において、きみらが
遊蕩
(
ゆうとう
)
に金を使うよりよっぽど有意義だ」
五階の窓:04 合作の四
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
この間内務省の懇談会で、またたびもの、
遊蕩
(
ゆうとう
)
もの、女の生活の放縦を描いたもの(女子学生もこめて)はいけないというおふれが出たばかりです。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
十人衆、五人衆、旦那衆と尊称され、髪の結いかたは
本田髷
(
ほんだまげ
)
細身の
腰刀
(
こしのもの
)
は渋づくりといったふうで、
遊蕩
(
ゆうとう
)
を外交と心得違いをしていた半官半商であった。
旧聞日本橋:10 勝川花菊の一生
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その市十郎を連れて来たのは、従兄の大岡亀次郎で、亀次郎の方が、二つ三つ年上でもあり
遊蕩
(
ゆうとう
)
も先輩だった。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼がこのごろ恐ろしく不安な『
遊蕩
(
ゆうとう
)
』生活に
耽溺
(
たんでき
)
していることも、また
曖昧
(
あいまい
)
な金のことで父親と喧嘩をして、非常にいらいらした気持になっていることも
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
あるいは真実の愛情のない
放埒
(
ほうらつ
)
な
遊蕩
(
ゆうとう
)
生活をしたりして育つと、恋物語をあざわらい、恋愛小説を小説家や詩人の単なる虚構にすぎないと考えるものである。
傷心
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
しかれども、いまだこの日をもって、
放肆
(
ほうし
)
遊蕩
(
ゆうとう
)
すべきを聞かず。しかるに邦人語意を誤解し、はなはだしきに
至
(
いたり
)
ては、
嫖蕩
(
ひょうとう
)
放肆の義となす者また
尠
(
すく
)
なからず。
日曜日之説
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
だが、一般の浮世絵とは異なって
遊蕩
(
ゆうとう
)
の美ではない。そこには町民たちの機智や皮肉がある。大津絵は民画ではあるが、かかる意味で原始的な絵画ではない。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
近代の
遊蕩
(
ゆうとう
)
文学の中には、酒に取持たれ歌に心を動かされて、測らぬ因縁の結ばれた物語は
充
(
み
)
ち
満
(
み
)
ちている。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
徳川というものに反逆させたのが
光圀
(
みつくに
)
でありとすれば、尾張を、徳川家から去勢させたのが
宗春
(
むねはる
)
だ——宗春以後の尾張は、
華奢
(
きゃしゃ
)
と、
遊蕩
(
ゆうとう
)
と、
算盤
(
そろばん
)
との尾張だ
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
吉原
(
きた
)
の
豪奢
(
こうしゃ
)
の春の
驕
(
おご
)
りもうれしいが、この物寂びた
社
(
やしろ
)
の辺りの静かな茶屋も面白い。秋の
遊蕩
(
ゆうとう
)
はとかくあまりケバケバしゅうないのがよい。のう、露月どの」
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
この
憂
(
う
)
さはらしには、
遊蕩
(
ゆうとう
)
紳士殿村啓介に変身して、いまわしい記憶を洗い落とすほかはないと思った。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
嫁入
(
よめいり
)
の時に持って来た
衣服
(
いしょう
)
道具などはいつしかもうこの無情な夫の
遊蕩
(
ゆうとう
)
の
費
(
ひ
)
となって失われておった。
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
女は私の
遊蕩
(
ゆうとう
)
をさのみ
咎
(
とが
)
めないばかりか、うつされてもよいと云って、全治せぬうちに遊ぼうとした。
いずこへ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
……勝手な
極道
(
ごくどう
)
とか、
遊蕩
(
ゆうとう
)
とかで行留りになった男の、名は
体
(
てい
)
のいい心中だが、死んで
行
(
ゆ
)
く道連れにされて
堪
(
たま
)
るものではない。——その上、一人身ではないそうだ。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
街
(
まち
)
へ
赴
(
おもむ
)
くとそれを抵当にしてあっちこっちの茶屋や酒場で
遊蕩
(
ゆうとう
)
に
耽
(
ふけ
)
っては、経川に面目を
潰
(
つぶ
)
すのが例だったが、相変らずさようなことに身を持ち
崩
(
くず
)
していると見える。
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
一人の
遊蕩
(
ゆうとう
)
の子を描写して在るゆえを
以
(
もっ
)
て、その小説を、デカダン小説と呼ぶのは、当るまいと思う。私は何時でも、
謂
(
い
)
わば、理想小説を書いて来たつもりなのである。
デカダン抗議
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
何卒
(
どうか
)
して夫の愛を一身に集めたいと思ったからで……夫の胸に巣くう
可恐
(
おそろ
)
しい病毒、それが果して夫の言うように、精神の過労から発したのか、それとも夫が
遊蕩
(
ゆうとう
)
の
報酬
(
むくい
)
か
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
この上
仇
(
あだ
)
を返そうとすればまず旅に出なければならない。しかし当てもない旅に出るのは現在の伝吉には不可能である。伝吉は烈しい絶望の余り、だんだん
遊蕩
(
ゆうとう
)
に染まり出した。
伝吉の敵打ち
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし、この新体を創始した廷臣たちにとっては、身を以て抒情した「詩」である所の新古今調に寄せてお詠みになった多くのお作は、帝王の風雅であり、
遊蕩
(
ゆうとう
)
であらせられる。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
抽斎が岡西氏
徳
(
とく
)
に
生
(
うま
)
せた三人の子の
中
(
うち
)
、ただ
一人
(
ひとり
)
生き残った次男優善は、
少時
(
しょうじ
)
放恣
(
ほうし
)
佚楽
(
いつらく
)
のために、
頗
(
すこぶ
)
る渋江
一家
(
いっか
)
を
困
(
くるし
)
めたものである。優善には
塩田良三
(
しおだりょうさん
)
という
遊蕩
(
ゆうとう
)
夥伴
(
なかま
)
があった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
先生年
已
(
すで
)
ニ七十。嗣子
遊蕩
(
ゆうとう
)
ニシテ家道
頓
(
とみ
)
ニ衰フ。人アリ
慫慂
(
しょうよう
)
シテ曰ク高齢古ヨリ稀ナリ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
さらに進んで妻と死別した後の
遊蕩
(
ゆうとう
)
時代、それから今の探偵小説家時代までの、ことごとくの時代の中に、彼の奇妙な男の姿を探し求めたけれど、どうもうまく思い出せなかった。
火葬国風景
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
自分の貧に驚かない彼女も実家の没落にはひどく心を
傷
(
いた
)
めた。幾度か実家へ帰つて家計整理をしたやうであつたが結局破産した。二本松町の大火。実父の永眠。相続人の
遊蕩
(
ゆうとう
)
。破滅。
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
自分の
遊蕩
(
ゆうとう
)
は、人の倍もする癖に、主税の嫁さえとってやらずに——厳格な家庭で——家庭と、遊里とで、丸でちがった人になるように、この人の表面と、腹の中とは、全くちがうんだ。
寺坂吉右衛門の逃亡
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
橄欖
(
かんらん
)
の
翠
(
みど
)
りしたたるオリムピアがすでに
昔
(
むかし
)
に過ぎ去ってしまった
証拠
(
しょうこ
)
には、みんなの面に、身体に、帰ってからの
遊蕩
(
ゆうとう
)
、不節制のあとが歴々と刻まれ、
曇
(
くも
)
り空、どんより
濁
(
にご
)
った
隅田川
(
すみだがわ
)
を
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
大方の屋敷まわりを兄に委せかけてあった実家の父親は、兄が
遊蕩
(
ゆうとう
)
を始めてから、また自分で
稼業
(
かぎょう
)
に出ることにしていたので、お島はそうして帰って来ていても滅多に父親と顔を合さなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
むろんおれには切支丹とならない立派な理由があるのだ。そしておれがあの女を『買う』というのも、それにはいやでも応でも金銭が必要とされる不快な事情からで、決していわゆる
遊蕩
(
ゆうとう
)
ではない。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
七年間の
遊蕩
(
ゆうとう
)
に崩れきったらしい安芸人肌——きっとした大次郎の視線を受けても、利七は平気の平左で、がさがさと笹を鳴らして上って来ると、自分から先に中央の三角石の前へ行って、ばらり
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
お金のかからない
遊蕩
(
ゆうとう
)
じゃないですか
女坑主
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
酒は飲めず、
遊蕩
(
ゆうとう
)
の志は備わっているが体力微弱である私は、先ず幸福に対する費用といえば、すこぶる
僅少
(
きんしょう
)
で足りる訳である。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
同時にあれほどの
大酒
(
おおざけ
)
も、喫煙もすっかりやめて、氏の
遊蕩
(
ゆうとう
)
無頼
(
ぶらい
)
な生活は、日夜
祈祷
(
きとう
)
の生活と激変してしまいました。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
遊蕩
(
ゆうとう
)
社会、快楽の獣ども、フランス人でもない奴ら、道楽者や政治家ややくざ者、国民に触れはしなくてその上を飛び過ぐる騒々しい連中ばかりだ。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
やはり桶屋職人で、酒も煙草も賭博も
遊蕩
(
ゆうとう
)
も嫌いであり、食うのと寝る時間のほかは働きどおしに働いた。弥八が四十六で死んだとき、弥六は二十一であった。
ゆうれい貸屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
物穀
(
ぶっこく
)
商人、さては、
扶持
(
ふち
)
取り
禄
(
ろく
)
高とりのお武家衆のみが、
遊蕩
(
ゆうとう
)
の、遊楽のと、のんきでいるのは、天地に済まないこと——広海屋は、幸い、豊作の上方、西国に
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
現に列強は軍備の為に大金を費しているではないか?
若
(
も
)
し「勤倹尚武」と言うことも痴人の談でないとすれば、「勤倹
遊蕩
(
ゆうとう
)
」と言うこともやはり通用すると言わなければならぬ。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
幾年たっても、会えばすぐ
遊蕩
(
ゆうとう
)
を考える。ほかに能はないかのように見える男である。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
清助は
本
(
もと
)
京都の
両替店
(
りょうがえてん
)
銭屋
(
ぜにや
)
の
息子
(
むすこ
)
で、
遊蕩
(
ゆうとう
)
のために親に勘当せられ、江戸に来て渋江氏へ若党に住み込んだ。手跡がなかなか
好
(
い
)
いので、豊芥子の筆耕に
傭
(
やと
)
われることになっていた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
この「うき世を立つる」というのは
遊蕩
(
ゆうとう
)
生活のことで、京ではそれをすら飯の種にしていると、
太鼓持
(
たいこもち
)
か何かのことを言った句であるが、それをこの絵本には
眼鏡
(
めがね
)
の老人が
御産
(
おさん
)
の
枕屏風
(
まくらびょうぶ
)
の外で
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
五十歳を越した
遊蕩
(
ゆうとう
)
夫人で、いかにも女親分のかっぷくである。二宮友子は三十五、六歳に見える遊蕩美人、あのふたりの好青年を捜し出してきた腕まえからも、その日常生活のほどが察しられた。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
金持の旦那衆はそれを眺めて悦に入ってることでしょう。ただそう聴いただけで、平次がいっこうに驚かなかったのも、
遊蕩
(
ゆうとう
)
気分にひたった、グロテスクな旦那衆の遊び、と思ったのかも知れません。
銭形平次捕物控:376 橋の上の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
遊
常用漢字
小3
部首:⾡
12画
蕩
漢検準1級
部首:⾋
15画
“遊蕩”で始まる語句
遊蕩児
遊蕩三昧
遊蕩子
遊蕩客
遊蕩家
遊蕩心
遊蕩費
遊蕩息子