“誂:あつら” の例文
“誂:あつら”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花33
野村胡堂24
吉川英治16
夢野久作13
三遊亭円朝10
“誂:あつら”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸29.0%
文学 > 日本文学 > 小説 物語5.4%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆0.6%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
下女があつらえた水菓子をはちに盛って、梯子段はしごだんを上って来たので、「あの女」の話はこれで切れてしまった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そして二品ふたしなばかりの料理をあつらえて、申しわけに持って来させたビイルを、めるようにちびちび飲んでいた。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
茂太郎だの、弁信だのというものの五官の機能は、特別あつらえに出来ているということを、日頃から信ぜざるを得ないのです。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
碁は双方ともざるの、追いつ追われつのあつらえ向きだったので、三日遇わずにいるとなんとなく物足りないほどの仲となった。
「わたしもいつか大磯おおいそあつらえてわざわざ東京まで持って帰った事があるが、よっぽど気をつけないと途中でね」
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「気晴しに、御酒を一つ。」と言って食物屋たべものやで飯を食うとき銚子ちょうしあつらえてお庄にも注いでくれた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
仙公も仕方がないからその傍に立って、今こんなところで提灯をあつらえなくてもよかりそうなものをという面をしています。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こうも面白おかしい気分のところへ、あつらえもしないのに音楽の合奏と、頼みもせぬに映画の上演とがあって興を添えてくれる。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
手入をしないかこいなぞの荒れたのを、そのまま押入につかっているのであろう、身を忍ぶのはあつらえたようであるが。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それは好いが、新官制によって定めたとおり、父もにわか大礼服たいれいふくというものをあつらえて一着に及んだ。
彼女は新規にあつらえるまでもなく、松坂屋あたりの店で見つけた出来で間に合わせて、唯寸法だけを少し詰めて貰ったとも言った。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ある、ある、打って付けのおあつらえ向きという女がある。技術はこれから教育しこまにゃならんが、技術は何でもない。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
客はあつらえた酒肴さけさかなのあまりに遅い事を憤り、亭主はそれをばひたあやまりに謝罪あやまっていると覚しい。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その小さな淵の上には、柳のかなりな大木が枝さへ垂らしてゐるといふ、赤蛙にとつてはあつらきの風景なのだ。
赤蛙 (新字旧仮名) / 島木健作(著)
とつぶやくと、思わず躍り上りたくなるのをジッと辛棒して、何喰わぬ顔で同じ型の蓋附桶を十個、大急ぎであつらえた。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
町人は剃刀を持つた儘、魚のやうなおろかな眼つきをして相手の顔を見た。面師は包みからおあつらへの面を取り出した。そして、
そッときいて、……内心恐れた工料の、心づもりよりは五分の一だったのにいきおいを得て、すぐに一体をあつらえたのであった。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ヤタいちでも越前蟹ゑちぜんがに大蟹おほがに)をあつらへる……わづか十年じふねんばかりまへまでは
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ところで海蔵寺の晩鐘が鳴る。「おあつらへ向き」過ぎるとは思つても、向うの山で鳴る鐘をこちらの山できくのはいい。
蜜柑山散策 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ことに自己の快楽を人間の主題にして生活しようとする津田には滅多めったにないあつらきの機会であった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「おあつらえ通り、しわくちゃな赤毛布あかげっとが敷いてあって、水々しい婆さんが居ますね、お茶を飲んで行きましょうよ。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
少しばかり散財ざんざいを仕ようと、味噌吸物みそずいものに菜のひたし物香物こう/\沢山だくさんという酷いあつらえもので
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
翌日親爺の磯貝は、銀子をつれて本所へ出かけて行った。彼は肴屋さかなや蠑螺さざえ一籠ひとかごあつらえ、銀子を促した。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
しんせつついでだ、酒屋へ寄ってくれ、と云うと、二つ返事で快く引受けたから、図に乗ってもう一つ狐蕎麦きつねそばあつらえた。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なお吐息を続けながら二言三言、先生の故郷のことなど葛岡に訊いていますと、女中があつらえものを運んで来ました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
錦を縫はせるやら、香木かうぼくの車を造らせるやら、象牙の椅子をあつらへるやら、その贅沢を一々書いてゐては
杜子春 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
……柱も天井も丈夫造りで、床の間のあつらえにもいささかの厭味いやみがない、玄関つきとは似もつかない、しっかりした屋台である。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まもなくそこを捜索しておあつらえのびんを持って来て、葡萄酒の方は、まあこれでいいが、その五日後である。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
その目的の為めでもなかつたが、私は偶然少女の茶店の隣の表具店に写経の巻軸かんじくの表装をあつらへに行つて店先に腰かけてゐた。
蔦の門 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
あつらへる女は決して其見本に盲從する事なく、其れを參考として更に自分の創意に成る或物を加へて自分に適した服を作らせるのである。
巴里の旅窓より (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
これも安く売る品でありますが、形がふっくらして大変美しく、茶人でもあつらえた品かと思われるほどであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
「だからお話になりますよ。——それから五日目の昨夜、晝頃からあつらへたやうなシヨボシヨボ雨になつたでせう」
おくにはそれまでのつなぎだ、と彼は思っていた。すると、まるであつらえたように、おみのがあらわれたのである。
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「物は取りようじゃ、この二つの刀の鞘があつらえたようにしっくりと合い、目釘の穴までがピタリと合うのは、あいえんの証拠に違いない」
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
酒、ひたしもの、吸い椀、田楽、それに、茶づけ茶碗まで付いて一人前、あのとおりなおあつらえがまいりました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お前をちょっとためしたところよ。おい、風呂敷ふろしきを解いてくんな、あつらえ物を見てえからの」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
障子しやうじはひつて、やつこちか土間どま床几しやうぎにかけて、……二包ふたつゝみあつらへた。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あり合せの鍋物をあつらえて、手酌てじゃくでちびりちびり飲みだしたが、いつもの小量にも似ず、いくら飲んでも思うように酔わなかった。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
「いけねえ。……それでは、俺の気がすまない。この雪の夜を、こんな、あつらえ向きな晩を、さばさば……と」
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
立って歩行あるく、雑談ぞうだんは始まる、茶をくれい、と呼ぶもあれば、鰻飯うなぎめしあつらえたにこの弁当は違う、とわめく。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「どうしまして、台所やせんたくがなかなか忙しいのに、あれで道具運びの荷ごしらえに手がかかりますさ、力があるからおあつらえむきだが。」
「そうか、出ていったか」彼は手で口のまわりを横撫でにしながら、べそをかくような表情でだらしなく笑った、「そいつあ、おあつらえむきだ」
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「一斤くらいじゃあ、承知が出来ねえんだが、仕方がねえ、いいから取っときゃ、今に食ってやらあ」と自分のためにあつらえたもののごとくいう。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
清三は夕日のさし込んで来る座敷の一隅かたすみで、あつらえの来る間を、大きな男が大釜のふたを取ったりてたりするのを見ていた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
上がげて、土がきれいで、よく見ると、あつらえた祭壇の……そこへ天狗が集りそうで、うそ寂しい。
母親がわが事のように意気込んで、見合いの日室子を美容術師へ連れて行き、特別あつらえの着物を着せた。
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)
雇い婆に、耳打ちして、てん屋へ、何かあつらえにやる様子を、雲霧は、風呂の中で、感じていた。すると、格子先で、女衒ぜげんくめが、
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お近はなか/\雄辨に答へました。四十前後の、出戻りらしい達者さうな女で、少し鐵棒かなぼう引らしいところも、平次にはあつらへ向でした。
その晩はあつらえたように雪、これが今年の名残でしょう。朝までに降り止んで、二寸ぐらいは積りました。
その次に本当のプロレタリアットたる秀吉が天下を取ると、これは又特別あつらえの一代分限式ブル思想の持ち主で、見る見るうちに亡びてしまった。
この理に由って白馬は王者猛将の標識にあつらえ向きの物ゆえ、いやしくも馬ある国には必ず白馬を尊ぶ。
無紋の黒の着流しに、おあつらい通りの覆面頭巾、何か物でも考えているのか、俯向うつむきかげんに肩を落とし、シトシトとこっちへ歩いて来た。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
祝儀らしい真似もしない悲しさには、やわらかかゆともあつらえかねて、朝立った福井の旅籠はたごで、むれぎわの飯を少しばかり。
栃の実 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
——多分ゐるだらうとは思つてゐたが、かうまで皆が揃つてゐて、しかも自分の来るのを待つてゐたとは、殆んどあつらへて置いたやうなものだつた。
良友悪友 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
「喬之助討取策の協議中に、当の喬之助が顔を出すとは、あまりおあつらえ過ぎて、呆気あっけないワ」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
たれか、出て行って、てん屋物をあつらえ、燈火あかりをつけると、刑部の枕元で、み交わした。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
源護の嫡男、扶から、あつらえられていた一領の鎧を、きのうも、大げさに、催促されていたからだった。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じつは酒ではなく焼酎しょうちゅうなので、一合のそれを天鉄で二合に割ったうえかんをしてもらうのだが、あつらえるてんぷらも変っていた。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
じつは酒ではなく焼酎しょうちゅうなので、一合のそれを天鉄で二合に割ったうえかんをしてもらうのだが、あつらえるてんぷらも変っていた。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
あつらへる女は決してその見本に盲従する事なく、其れを参考として更に自分の創意に成るある物を加へて自分に適した服を作らせるのである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「ここならあつらえ向き、その木と木の間へいまはりをこしらえるから、そこへ着物をかけて乾かしておけば、着物の乾く間、それが屋根にならあ」
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
聞く方では、祝儀のかわりに、なくても我慢の出来る、片手とれた鍋の鋳掛もあつらえるといった寸法。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
で、間もなくおあつらえが来る。男は徳利を取り揚げて、「さあ、熱いのが来たから、一つごう」
深川女房 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
というと、間もなく、げた盆の上におあつらえが乗ってくる。莨入たばこいれの底をさぐって、
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
丁度あつらへたやうな障子の穴があつて其處から見える疊の上に、娘の扱帶しごきらしい紅鹿の子の紐が一本、長々と眼へ燒きつくではありませんか。
藪そばも古い。三十間堀にいた時分、よくここからそばをとると若い衆が「お待遠、藪でござい」と勇みな声を出して、あつらえを置いて行ったものだ。
新古細句銀座通 (新字新仮名) / 岸田劉生(著)
ふるえながら新吉は伯父と同道で七軒町へ帰りまして、れからず早桶をあつら湯灌ゆかんをする事になって、蒲団を上げ様とすると
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
昼飯ひるの支度は、この乳母うばどのにあつらえて、それから浴室へ下りて一浴ひとあみした。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
由「昨夜ゆうべちっとも寝られませんでしたから、此処で昼寝をして顔を洗ってから、何かあつらい物を致しましょう……姉さん何が出来るかい」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そのせっかくの白い衣裳を、一つ流行文様に染めましょうと思って、梟紺屋こうやあつらえたところが、梟は粗忽そこつで真黒々に染めてしまった。
生濕なまじめりの庭にはあつらへたやうに足跡があつて、それがかなり大きいことや、突當りの木戸は外から簡單に輪鍵わかぎの外せることを見極め、
指さした縁側には、あつらへたやうに泥足、のみでこじ開けたらしい雨戸は、印籠いんろうばめが痛んで、敷居には滅茶々々に傷が付いてをります。
逸子は、握り箸の篤を、そのまま斜に背中へほうり上げておぶうと、霰の溝板を下駄で踏み鳴らして東仲通りの酒屋までビールをあつらえに行った。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
お雪が近所であつらえた氷を食べながら、二人で無駄口を利いていると、じきに三時過ぎになった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
あつらえた弓をわざわざ見に来た旗本の次男恩地主馬おんちしゅめは声をはずませてこう訊いた。
日置流系図 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
岡野へ寄ろうと、くらがり坂へかかった時は、別にそこで、というあつらえがあったわけではない。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「お玉ヶ池の桂庵が万事取持って、支度金が三百両、越後屋へ夏冬の物まであつらえたそうですぜ」
「何大丈夫だよ。大した事はないにきまっている。御母さん僕が受け合いますから出かけようじゃありませんか。くるまもすでにあつらえてありますから」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
先日得意先から注文された飾物を其職人にあつらえて置きましたところ、一昨日が其出来あがりの期限ですのに、に入るまで届けて来ませんから
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
月給の中から黒い背広を新規にあつらえて、降っても照ってもそれを着て学校へ通うことにした。
足袋 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
んで、ト引返ひきかへした、鳥打とりうちかぶつたをとこは、高足駄たかあしだで、ステツキいためうあつらへ。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「そのくらいなら、ここに持っているよ。一人で行ってあつらえておいでな。」と紙入を出した。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しかし呉の備えは、この方面にも充分だったので、いわゆるおあつらえ向きな戦態をもってこの好餌をおおい包み、敵の首打つこと無数、投降者約一万を獲た。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
時間も一致すれば、おあつらえ向きに障子がいていたばかりか、鉄瓶さえ覆っていたのだ。
灰神楽 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
(そんな、あつらえたようなお産があるものか、お前さん、頼まれて来たんじゃ無いのかね。)
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ギャルソンに註文をあつらえた後のむす子は画家らしい虚心で、批評的の眼差まなざしで、柱の柱頭に近いところに描いてある新古典派風の絵を見上げていた。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
身なりを立派にする道楽のある末造は、自分だけの為立物したてものをさせる家があるので、そこへ事情を打ち明けて、似附かわしい二人の衣類をあつらえた。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
これは、ざっと十年も後の事で、糸七もいくらか稼げる、東京でいささかながら業を得た家業だから雑誌おあつらえの随筆のようで、一度話した覚えがある。
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と是から屋根船をあつらえて万年町の岡本政七方の桟橋へ船をけまして上り、門口から、
「さう/\その氣で行くことだ。こんな時、お前といふ人間は遠慮がなくて、あつらへ向きだ」
「うん、それはおあつらきだ。では新選組しんせんぐみを百名ばかり貸そうかネ」
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
岩「うん/\……なんぞ上げましょう、烟草盆のあつらえがありますから彼品あれを」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
二、三人の募集員が、汚い折り鞄を抱えて、時々格子戸を出入ではいりした。昼になると、お庄はよく河岸かし鰻屋うなぎやへ、丼をあつらえにやられた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
と喰いません。仕方がないからあつらえにくと間もなくお椀に塩焼とか照焼が来ます。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「おあつらえは何を通しましょうね。早朝はやいんですから、何も出来ゃアしませんよ。桶豆腐おけどうふにでもしましょうかね。それに油卵あぶたまでも」
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
この時の私の表向おもてむきの用事は、靴をあつらへる爲めに寸法をとらせることだつた。
其中そのうちあつらへた御飯ごはん出来できましたから、御飯ごはんべて、過去帳くわこちやうみなうつしてしまつた。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
(——かみさんだと、あとの直槙の話にそのままだが、あつらえ通りそうはゆくまい。——)
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雑兵の鉄甲、かぶと、槍、刀などもあわせてあつらえ、それも日ならずしてできてきた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
出来るかと、女中に訊くと、出来ますという。そこであつらえて、チビリチビリ麦酒を嘗めていると、何時の間にか隣りではひっそりとなった。早や影もないのだ。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)