“袋(ぶくろ)” の例文
二人(ふたり)の少年(しょうねん)は、すすきの蔭(かげ)から、顔(かお)を出(だ)して往来(おうらい)の方(ほう)をながめていました。同(おな)じ組(くみ)の岡田(おかだ)が、ぞうり袋(ぶくろ)をぶらさげながら、帰(かえ)っていきました。
子供どうし (新字新仮名) / 小川未明(著)
それでもお前(まへ)笹(さゝ)づる錦(にしき)の守(まも)り袋(ぶくろ)といふやうな證據(しようこ)は無(な)いのかえ、何(なに)か手懸(てがゝ)りは有(あ)りさうなものだねとお京(きやう)の言(い)ふを消(け)して
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
と臙脂(えんじ)と匂(にお)い袋(ぶくろ)の強い薫(かお)りが、新九郎の若い血を嵐のように騒がせた。赫(か)っとした熱い顔を伏し眼にして、彼は現(うつつ)な目を絵具皿に吸わせていた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
余はコロボックルの遺物(いぶつ)たる是等の角噐は實(じつ)に浮(う)き袋(ぶくろ)の口として用ゐられしならんと信(しん)ずるなり。圖に示(しめ)す物は余が西ヶ原に於て發見(はつけん)せし所なり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
半月(はんつき)ほどの間(あひだ)には、殆(ほとん)ど放(はな)した數(かず)だけが、戻(もど)つて居(ゐ)て、皆(みな)もみぢ袋(ぶくろ)をはいた娘(むすめ)のやうで可憐(かれん)だつた、との事(こと)であつた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
稽古してもらっていると「守(まも)り袋(ぶくろ)は遺品ぞと」というくだりがどうしても巧(うま)く語れない遣(や)り直し遣り直して何遍(なんべん)繰り返してもよいと云ってくれない師匠団平は蚊帳(かや)を
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
連(つれ)信州(しんしう)の湯治(たうぢ)に參りしが右妻儀は五歳の時人に勾引(かどわか)され江戸へ參(まゐ)りしに肌(はだ)の守り袋(ぶくろ)に生國は越後高田領の由(よし)書付(かきつけ)有しゆゑ親(おや)に對面(たいめん)致させんとて來りし所途中(とちう)にて妻を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
宗助(そうすけ)は不圖(ふと)御米(およね)に此所(こゝ)へ着(つ)いた消息(せうそく)を書(か)かなければならない事(こと)に氣(き)が付(つ)いた。彼(かれ)は俗用(ぞくよう)の生(しやう)じたのを喜(よろ)こぶ如(ごと)くに、すぐ鞄(かばん)の中(なか)から卷紙(まきがみ)と封(ふう)じ袋(ぶくろ)を取(と)り出(だ)して、御米(およね)に遣(や)る手紙(てがみ)を書(か)き始(はじ)めた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「あ、あすこ石炭袋(ぶくろ)だよ。そらの孔(あな)だよ。」カムパネルラが少しそっちを避(さ)けるようにしながら天の川のひととこを指さしました。ジョバンニはそっちを見てまるでぎくっとしてしまいました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
どんな冗談をいうときにも、すまして、さりげない風を装って、それがわざとらしく見えぬように取りつくろうことを瞬時も忘れない、そういう態度を匂(にお)い袋(ぶくろ)のように肌につけている女である。
文子はその人を見た、それはかの女が小学校時代の上級生で染物屋の新ちゃんというのである、新ちゃんは桃色の洋服を着て同じ色の帽子をかぶり、きらきらした手提(てさ)げ袋(ぶくろ)から銀貨を取りだした。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
年(とし)ちゃんは、紅茶(こうちゃ)の空(あ)きかんの中(なか)へ、ガラスのおはじきを入(い)れていましたし、正(しょう)ちゃんは、ほうじ茶(ちゃ)の紙(かみ)の空(あ)き袋(ぶくろ)の中(なか)へ、ガラスのおはじきも入(い)れていれば、また
友だちどうし (新字新仮名) / 小川未明(著)
浮(う)き袋(ぶくろ)に取付(とりつ)いた難破船(なんぱせん)の沖(おき)のやうに、提灯(ちやうちん)一(ひと)つをたよりにして、暗闇(くらやみ)にたゞよふうち、さあ、時(とき)かれこれ、やがて十二時(じふにじ)を過(す)ぎたと思(おも)ふと、氣(き)の所爲(せゐ)か、その中心(ちうしん)が通(とほ)り過(す)ぎたやうに
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
おまえの帯(おび)にはお守(まも)り袋(ぶくろ)がついていて、それに名(な)まえが書(か)いてあるから、迷(まよ)ったならだれか連(つ)れてきてくれるだろうと思(おも)ったが、それぎりついに帰(かえ)ってこなかった。
けしの圃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
大(おほき)な獲(え)もの袋(ぶくろ)と、小革鞄(こかばん)と一所(いつしよ)に、片手掴(かたてづか)みに引下(ひきおろ)したのは革紐(かはひも)の魔法罎(まはふびん)。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
獲(え)もの袋(ぶくろ)が重(おも)さうに、然(しか)も發奮(はず)んで搖(ゆ)れた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)