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ゆくすえ
ふりがな文庫
“
行末
(
ゆくすえ
)” の例文
天の成せる麗質は
蕾
(
つぼみ
)
のままで外へ匂い透り
行末
(
ゆくすえ
)
希代の名花に咲き誇るだろうと人々に予感を与えている噂を秦王に聞かせるものがあった。
荘子
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その
得意先
(
とくいさき
)
の一軒で
橋場
(
はしば
)
の
妾宅
(
しょうたく
)
にいる
御新造
(
ごしんぞ
)
がお糸の姿を見て是非
娘分
(
むすめぶん
)
にして
行末
(
ゆくすえ
)
は立派な芸者にしたてたいといい出した事からである。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それとなく胸中の
鬱悶
(
うつもん
)
を
漏
(
も
)
らした、未来があるものと
定
(
さだま
)
り、霊魂の
行末
(
ゆくすえ
)
が
極
(
きま
)
ったら、直ぐにあとを追おうと言った、
言
(
ことば
)
の
端
(
はし
)
にも
顕
(
あらわ
)
れていた。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
けい それはね……強い様なことを言っても女ですもの、過ぎて来た日の事や
行末
(
ゆくすえ
)
のことを考えて眠れない事もありますよ。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
かかる
放蕩
(
ほうとう
)
者の
行末
(
ゆくすえ
)
ぞ
覚束
(
おぼつか
)
なき、勘当せんと
敦圉
(
いきま
)
き給えるよし聞きたれば、心ならずも再びかの国に渡航して身を終らんと覚悟せるなりと物語る。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
▼ もっと見る
江戸の高山嘉津間、和歌山の島田幸安等の
行末
(
ゆくすえ
)
はどうであったか。今なら尋ねて見たらまだ消息が知れるかもしれぬ。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
何
(
ど
)
うぞ
私
(
わたくし
)
の
罪
(
つみ
)
をお
恕
(
ゆる
)
し
遊
(
あそ
)
ばして、
元
(
もと
)
のとおりこの
不束
(
ふつつか
)
な
女
(
おんな
)
を
可愛
(
かわい
)
がって、
行末
(
ゆくすえ
)
かけてお
導
(
みちび
)
きくださいますよう……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
惣吉さんは兄弟といった処が元をいえば赤の他人でございますからねえ、考えて見ると
行末
(
ゆくすえ
)
の身が案じられますから
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
七蔵本性をあらわして不足なき身に長半をあらそえば段々悪徒の
食物
(
くいもの
)
となりて
痩
(
や
)
せる身代の
行末
(
ゆくすえ
)
を
気遣
(
きづか
)
い、女房うるさく
異見
(
いけん
)
すれば、何の女の知らぬ事
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
五百
(
いお
)
は矢島
優善
(
やすよし
)
に起請文を書かせた。そしてそれを持って
虎
(
とら
)
の
門
(
もん
)
の金毘羅へ納めに往った。しかし起請文は納めずに、優善が
行末
(
ゆくすえ
)
の事を祈念して帰った。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
説き付け
諒解
(
りょうかい
)
を得るように努めた商人になる目的を
放棄
(
ほうき
)
させる代りには
行末
(
ゆくすえ
)
のことを保証し必ず捨てて置かぬからとそこは言葉を尽したものと察せられる。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
心に誠実がなくて、時には虚偽にも類した行為も交ったので、弱い少女と妻の
行末
(
ゆくすえ
)
とを頼むのに不安だったらしく、ついに離別せられることになりました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
お嫁さんは腰を掛けて
滑稽
(
こっけい
)
雑誌を見ている。お婿さんと立会人とで
球
(
たま
)
を突いているというわけさ。婚礼の晩がこんな風では、
行末
(
ゆくすえ
)
どうなるだろうと思ったの。
一人舞台
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
徳川幕府の創業者の遺訓に曰く、「
越方
(
こしかた
)
行末
(
ゆくすえ
)
を思い新法を立て、家を新しくする
勿
(
なか
)
れ、
無調法
(
ぶちょうほう
)
なりとも、予が立置きたる家法を失い給うべからずと申すべし」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
苦境に捨てて、後は何うでもなれというお考えでは御座いますまい。口の巧い、
容貌
(
かおだ
)
ちの
美
(
よ
)
い男に限って軽薄なもの。——永い
行末
(
ゆくすえ
)
に、御後悔をなされますなよ
夕顔の門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしていつも同じ心で、年を取るのを嘆きつつ
行末
(
ゆくすえ
)
のことを案じ合うのでした。お互いが死んでしまったら、あとに残るあの可愛いネルロはどうなるでしょう。
フランダースの犬
(新字新仮名)
/
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー
(著)
又始終今も云う通り自分の身の
行末
(
ゆくすえ
)
のみ考えて、
如何
(
どう
)
したらば立身が出来るだろうか、
如何
(
どう
)
したらば金が手に
這入
(
はい
)
るだろうか、立派な家に往むことが出来るだろうか
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
お祖母さんは、次郎の
行末
(
ゆくすえ
)
などには、まるで無頓着だったが、口先だけでは、いつも
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
あなたさまのなすった
苦労
(
くろう
)
にくらべますと、私の苦労なんか、足もとへもよれないほどでございます。あなたは、きっと、
行末
(
ゆくすえ
)
ながく、お仕合せにおくらしになるでございましょう。
アラビヤンナイト:04 四、船乗シンドバッド
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
日ごと夜ごとに一身の
行末
(
ゆくすえ
)
を思いわび、或いは
儚
(
はかな
)
い夢を空だのみにし、或いは善きにつけ
悪
(
あ
)
しきにつけ
瑞祥
(
ずいしょう
)
に胸とどろかせるような、片時の
落居
(
らっきょ
)
のいとまとてない怪しい心のみだれが
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
御承知の
通
(
とおり
)
小夜は五年
前
(
ぜん
)
当地に呼び寄せ候迄、東京にて学校教育を受け候事とて切に転住の
速
(
すみや
)
かなる事を希望致し居候。同人
行末
(
ゆくすえ
)
の義に関しては大略御同意の事と存じ候えば別に
不申述
(
もうしのべず
)
。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いっそ、世界の
涯
(
はて
)
へ行ってしまいたい。こんなこと、こらえきれないわ、とてもやってゆけないわ。……それに、
行末
(
ゆくすえ
)
はどうなるんだろう! ……ああ、つらい。……ほんとに、つらい!」
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
自分の
行末
(
ゆくすえ
)
、自分の書くもの、皆々よく判っているけれども、雨か風でもきびしくあたってこないことには、このなまけものは、なかなか腰をあげそうにもないのだ。今年は何も書きたくない。
生活
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
これは素晴らしい
麒麟児
(
きりんじ
)
だ。まるで鬼神でも
憑
(
つ
)
いていて言語行動させるようだ……ははあ、それで弓之進め、この少年の
行末
(
ゆくすえ
)
を案じ、朋輩先輩の
嫉視
(
しっし
)
を恐れ、
俄
(
にわ
)
か
白痴
(
ばか
)
を気取らせたのであろう。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
娘は、独り波の音を聞きながら、身の
行末
(
ゆくすえ
)
を思うて悲しんでいました。
赤い蝋燭と人魚
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
イヤ、それは僕の申しようが悪かったのです。しかし御心配下すっても最早運命の決した事ですからこの上何ともしようがありません。僕は先日も申上げた通りただ貴嬢の
行末
(
ゆくすえ
)
に幸福の来らん事を
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「ケメトスの
行末
(
ゆくすえ
)
が気になる」とお祖父さんは
眉
(
まゆ
)
をひそめました。
彗星の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
妻のこと子供達の
行末
(
ゆくすえ
)
のことをかんがえ
貧しき信徒
(新字新仮名)
/
八木重吉
(著)
名はいわざるべし、
悔
(
くい
)
ある堕落の
化身
(
けしん
)
を母として、
明
(
あか
)
らさまに世の
耳目
(
じもく
)
を
惹
(
ひ
)
かせんは、子の
行末
(
ゆくすえ
)
のため、決して
好
(
よ
)
き事にはあらざるべきを思うてなり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
諺
(
ことわざ
)
の「ボンネットを一度水車小屋の
磨臼
(
ひきうす
)
に
抛
(
ほう
)
り込んだ以上」は、つまり一度
貞操
(
ていそう
)
を売物にした以上は、今さら
宿命
(
しゅくめい
)
とか身の
行末
(
ゆくすえ
)
とかそんな
素人
(
しろうと
)
臭い
歎
(
なげ
)
きは無い。
売春婦リゼット
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ソレ
彼
(
あ
)
の色の白い伊香保の
木瓜
(
きうり
)
見たいな人で、彼の人が元はお旗下だてえから、人間の
行末
(
ゆくすえ
)
は分りません……じゃア御新造さん私も種々お話もありますから
翌
(
あす
)
の晩
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
かく申上げ候わば、幕府へ
媚付
(
こびつ
)
き候見識と一概に
罵詈
(
ばり
)
する人これ有るべく候えども、愚論果して朝廷のために申上げ候か、幕府へ
佞
(
ねい
)
し候か、
行末
(
ゆくすえ
)
の所、御明鑑仰ぎ奉り候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
又
初生児
(
しょせいじ
)
の
行末
(
ゆくすえ
)
を
謀
(
はか
)
り、
之
(
これ
)
を坊主にしても名を成さしめんとまでに決心したるその心中の苦しさ、その愛情の深さ、私は毎度この事を思出し、封建の門閥制度を
憤
(
いきどお
)
ると共に
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
同時に
心柄
(
こころがら
)
なる身の末は一体どんなになってしまうものかと、いっそ
放擲
(
ほうてき
)
して自分の身をば他人のようにその
果敢
(
はか
)
ない
行末
(
ゆくすえ
)
に対して皮肉な一種の好奇心を感じる事すらある。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ああ、さらぬだに
覚束
(
おぼつか
)
なきはわが身の
行末
(
ゆくすえ
)
なるに、もし
真
(
まこと
)
なりせばいかにせまし。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
日ごと夜ごとに一身の
行末
(
ゆくすえ
)
を思ひわび、或ひは
儚
(
はかな
)
い夢を空だのみにし、或ひは善きにつけ
悪
(
あ
)
しきにつけ
瑞祥
(
ずいしょう
)
に胸とどろかせるやうな、片時の
落居
(
らっきょ
)
のいとまとてない怪しい心のみだれが
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
一日
(
いちじつ
)
東角門
(
とうかくもん
)
に坐して、
侍読
(
じどく
)
の
太常卿
(
たいじょうけい
)
黄子澄
(
こうしちょう
)
というものに、諸王
驕慢
(
きょうまん
)
の状を告げ、
諸
(
しょ
)
叔父
(
しゅくふ
)
各大封
重兵
(
ちょうへい
)
を擁し、叔父の尊きを
負
(
たの
)
みて
傲然
(
ごうぜん
)
として予に臨む、
行末
(
ゆくすえ
)
の事も
如何
(
いかが
)
あるべきや、これに処し
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
翌日
(
あくるひ
)
眼が
覚
(
さ
)
めるや否や、すぐ例の件を思いだした。いくら当人が承知だって、そんな所へ嫁にやるのは
行末
(
ゆくすえ
)
よくあるまい、まだ子供だからどこへでも行けと云われる所へ行く気になるんだろう。
文鳥
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
行末
(
ゆくすえ
)
久しく
清
(
す
)
むとかや。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この書生輩の
行末
(
ゆくすえ
)
を察するに、専門には
不得手
(
ふえて
)
にしていわゆる事務なるものに長じ、
私
(
し
)
に適せずして官に適し、官に容れざれば
野
(
や
)
に煩悶し、結局は官私不和の
媒
(
なかだち
)
となる者、その大半におるべし。
学者安心論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
水の流れと人の
行末
(
ゆくすえ
)
とは申しますが、あれ程な
御大家
(
ごたいけ
)
が
其様
(
そんな
)
にお成りなさろうとは思わなかった、お
父様
(
とっさま
)
は七年
前
(
あと
)
国を出て、へいどうも、何しろお
母
(
っか
)
さんにお目にかゝり、
委
(
くわ
)
しいお話も
伺
(
うかゞ
)
いますが
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
行末
(
ゆくすえ
)
久
(
ひさ
)
しく
清
(
す
)
むとかや。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“行末”の意味
《名詞1》
文章の行の最後。
《名詞2》
「ゆくすえ」の漢字表記。
(出典:Wiktionary)
行
常用漢字
小2
部首:⾏
6画
末
常用漢字
小4
部首:⽊
5画
“行末”で始まる語句
行末々
行末迄