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らせん
ふりがな文庫
“
螺旋
(
らせん
)” の例文
さか
鱗
(
うろこ
)
を立てて、
螺旋
(
らせん
)
に
蜿
(
うね
)
り、
却
(
かえ
)
つて石垣の穴へ引かうとする、
抓
(
つか
)
んで飛ばうとする。
揉
(
も
)
んだ、揉んだ。——いや、
夥
(
おびただ
)
しい
人群集
(
ひとだかり
)
だ。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
今日か
明日
(
あす
)
に運命が迫っているのに……など思い思い
手捜
(
てさぐ
)
りをして行くうちに、又一つの階段にぶつかった。
螺旋
(
らせん
)
型になっているようだ。
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
黒びろうどの大垂幕を二枚背景としてつかって、その前に工事場の足場を意味する大きい半円形の
螺旋
(
らせん
)
の段々がこしらえてある。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
と、
蒼蠅
(
あおばえ
)
だ、
緑金
(
りょくこん
)
の点々々が真向から目を
撲
(
う
)
ち、頬を撲ち、鼻を撲ち、口を撲ち、たちどころにまた紫の
螺旋
(
らせん
)
の柱となって襲いかかった。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
雲、空、風、雪、うす
碧
(
あお
)
い氷、
紅藻
(
べにも
)
の揺れ、夜水中でこまかくきらめく
珪藻
(
けいそう
)
類の光、
鸚鵡貝
(
おうむがい
)
の
螺旋
(
らせん
)
、
紫水晶
(
むらさきすいしょう
)
の結晶、
柘榴石
(
ざくろいし
)
の紅、
螢石
(
ほたるいし
)
の青。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
▼ もっと見る
ピカピカ光る鋼鉄の
螺旋
(
らせん
)
が、その上でグルグル渦巻いている。小さい木口が載せられた。ギリギリと音がした。見る見る木口がえぐられた。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「それでよろしい。ではやろう。」教師はバケツの中のものを、ズック管の端の
漏斗
(
じょうご
)
に移して、それから変な
螺旋
(
らせん
)
を使い食物を豚の胃に送る。
フランドン農学校の豚
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
筒の中にはセレニウムの
紐
(
ひも
)
を
螺旋
(
らせん
)
形に巻いたものがあって、これから出た針金が電池と目的地の受信機とに接続している。
写真電送の新法
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
と言いながら、火箸を取り直そうとする途端、薄目になめした白樺の皮が、
螺旋
(
らせん
)
を画いたように、ころころとお雪の
足許
(
あしもと
)
に転がって行きました。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして今や少しずつ、一歩一歩、しかも確実に防寨に迫ってきて、あたかも
螺旋
(
らせん
)
が圧搾器をしめつけるようなものだった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
米良は柩車のように
螺旋
(
らせん
)
をえがいて踊りながら、彼は絶えず東支那海の電信夫がもたらす秘密結社の女シイ・ファン・ユウの恋の便りを受取った。
地図に出てくる男女
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
ガ氏また古画に蛇
螺旋
(
らせん
)
状に木を登るところ多きを全く不実だといったが、これは螺旋状ならでも描きようがあると思う。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
すると円板ロケットの中から、三人の人影があらわれ、やや横に吹き流れた
螺旋
(
らせん
)
はしごの中を上へのぼっていった。
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
緩
(
ゆる
)
い
螺旋
(
らせん
)
状を成した階段を登って来る信徒等はいずれも改まった顔付で捨吉等の前をチャペルの方へと通り過ぎた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
穴から水を出して見玉え、その水はきっとねじれて出るよ。これも螺線サ。矢は螺線になッて飛ぶから真直に行くのだよ。鉄砲の玉も
螺旋
(
らせん
)
して飛ぶのサ。
ねじくり博士
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼女が一歩ずつ最後の
破綻
(
はたん
)
に近づいて行ったのか、病気が
螺旋
(
らせん
)
のようにぎりぎりと間違なく押し進んで来たのか
智恵子の半生
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
クルクルと
螺旋
(
らせん
)
に
舞
(
ま
)
って、それが、空の
藍
(
あい
)
へとけ
入
(
い
)
ったかと思うと、高いところで、かッ、という音がひびいた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それには一面に青い
蔦
(
つた
)
が這い、その間をこれは又鉄の蔦の様な
螺旋
(
らせん
)
階が、ネジネジと頂上まで続いているのですが、その螺旋階をよじ昇ることもありました。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これと同様の働きを二個の
螺旋
(
らせん
)
にてはなし得まじく候や。もしなし得るものとせば、その大さは幾何に候や
ファラデーの伝:電気学の泰斗
(新字新仮名)
/
愛知敬一
(著)
階段は、幅が一メートルほどもあり、格納庫のまん中あたりから、
螺旋
(
らせん
)
形に上って行くようになっていた。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
わがさきにいへる處と合し、かの
螺旋
(
らせん
)
即ちそが
日毎
(
ひごと
)
に早く己を現はすその
條
(
すぢ
)
を傳ひてめぐれり 三一—三三
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
ところで支倉君、僕はいま自然の法則なぞと
大袈裟
(
おおげさ
)
に云ったけれども、たかがこの椅子の廻転にすぎないのだよ。
螺旋
(
らせん
)
の方向は、これで見るとおりに、
右捻
(
みぎねじ
)
だ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
後で調べて見ると、大電灯の笠をとめた
螺旋
(
らせん
)
を抜いて、細い針金で細工をして、電灯の紐を下から「
消
(
オッフ
)
」の方へ引くと同時に、落ちて来る仕掛になって居たのでした。
身代りの花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それからまた上には河童の使う、ちょうど
時計
(
とけい
)
のゼンマイに似た
螺旋
(
らせん
)
文字が一面に並べてありました。この螺旋文字を翻訳すると、だいたいこういう意味になるのです。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一団の火煙と化した機は
螺旋
(
らせん
)
をえがいて落下しつつある! としたらどうだ! などと、内心安全を確信していればこそ、とかくこんな場面も空想にのぼるんだろうが
踊る地平線:04 虹を渡る日
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
ハガードはすでに我国でも充分流布されているが、他の一人ウォルチイには、「
紅蘩蔞
(
べにはこべ
)
叢書」があり、ラインハルトには、「七つの星の街」、「
螺旋
(
らせん
)
形の階段」なぞがある。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
螺旋
(
らせん
)
状になった
路
(
みち
)
のついたこの峰のすぐ下に、それもほかの僧坊と同じ
小柴垣
(
こしばがき
)
ではあるが、目だってきれいに
廻
(
めぐ
)
らされていて、よい座敷風の建物と廊とが優美に組み立てられ
源氏物語:05 若紫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
不可思議な観測の器械を提げて、あとから後からと塔の内部の
螺旋
(
らせん
)
階段を昇って行った。
ヤトラカン・サミ博士の椅子
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
ほかの者たちが
将棋
(
チェス
)
に打ち興じている時、伯爵はひそかに室の一隅の
螺旋
(
らせん
)
階段を下って、——この通路が地下でキビラ石むき出しの
隧道
(
トンネル
)
になって、二つ三つの横の通路と
交叉
(
こうさ
)
して
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
それから山の全裸体像として、線や、光や、影や、円味やを研究するのに、富士ぐらい秘密を許してくれる山はあるまい。縦横はもとより、富士ばかりは恐らく
螺旋
(
らせん
)
状にでも上れよう。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
今迄
屏息
(
へいそく
)
して居た高輪田は、
螺旋
(
らせん
)
にでも跳ねられたかの様に飛び上って爾して情ないと云う声で「是が何で浦原嬢の死骸でない事は有りません、無事で居たなら今頃は私の妻ですのに」
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
と風間老人は、わたし達の先に立って、暗い急な
螺旋
(
らせん
)
階段を登りながら言った。その声がまた、長い高い塔内に反響して、なんとも言えない
陰
(
いん
)
にこもった
呟
(
つぶや
)
くような
木霊
(
こだま
)
を伴うのだった。
灯台鬼
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
まっすぐに突きだす途中で腕を内側に半廻転ほどひねったなら更に四倍くらいの効力があるということをも知った。腕が
螺旋
(
らせん
)
のように相手の肉体へきりきり食いいるというわけであった。
ロマネスク
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
流行児の一画家が描いたもので、眼には光がなく、身体は
螺旋
(
らせん
)
状にねじ曲げて、百万長者の魂の世に
稀有
(
けう
)
なことを表現するため、あたかも水なき花のように、
憔悴
(
しょうすい
)
した姿に描かれていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
及
(
およ
)
び
後方
(
こうほう
)
に
設
(
まう
)
けられたる
遞進機
(
ていしんき
)
とを
使用
(
しよう
)
して、
登
(
のぼ
)
る
山道
(
やまみち
)
の
大木
(
たいぼく
)
巨巖等
(
きよがんとう
)
を
力
(
ちから
)
に、
螺旋形
(
らせんけい
)
の
尖端
(
せんたん
)
は
先
(
ま
)
づ
螺釘
(
らてい
)
の
如
(
ごと
)
く
前方
(
ぜんぽう
)
の
大木
(
たいぼく
)
に
捩
(
ねぢ
)
れ
込
(
こ
)
み、
車内
(
しやない
)
の
揚上機
(
やうじやうき
)
の
運轉
(
うんてん
)
と
共
(
とも
)
に、
其
(
その
)
螺旋
(
らせん
)
は
自然
(
しぜん
)
に
收縮
(
しゆうしゆく
)
して
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
階段も
亦
(
また
)
狭い上に踊り場がなくて
螺旋
(
らせん
)
状に曲っているので、担架で階下へおろす際に、小便をするのにさえあんな喚き方をする病人に非常な苦痛を与えるであろうことは明かだからであった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
巻貝の白い
螺旋
(
らせん
)
形の内部の つやつや光ったすべすべしたひやっこい奥深くに ヤドカリのようにもぐりこんで じっと寝ていたい 誰が訪ねてきても
蓋
(
ふた
)
をあけないで眠りつづけ こっそり真珠を
死の淵より
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「先生、あたいも遊んで行かあ——」と塚原義夫は父親と別れ、教師の腕にすがるのであった。うす暗い階段を
螺旋
(
らせん
)
まきに駈けあがり天井を抜けると、ささくれ立ったコンクリートの屋上に出る。
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
そうして、それを
螺旋
(
らせん
)
の
締棒
(
しめぼう
)
の下に押込んで、
把
(
て
)
をぐるぐると廻し始める。油は同時に
搾
(
しぼ
)
られて
床下
(
ゆかした
)
の
溝
(
みぞ
)
にどろどろに流れ込む。豆は全くの
糟
(
かす
)
だけになってしまう。すべてが約二三分の仕事である。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「エレベエタア休止中、
螺旋
(
らせん
)
階にて登りし人——とあるわ。」
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
人生というものは、
螺旋
(
らせん
)
階段を登って行くようなものだ。一つの風景の展望があり、また
一廻
(
ひとまわ
)
り上って行けば再び同じ風景の展望にぶっつかる。
狼疾記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
螺旋
(
らせん
)
形に曲った広い階段で、その真中には赤いジュウタンがしいてあった。そのジュウタンのふちは黒であった。
時計屋敷の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
好奇心に駆られて私の胸は烈しくドキドキと動悸を打つ。私はそっと近寄って行って、穴の上へ首を突き出した。
螺旋
(
らせん
)
階段が垂直に、穴の口から下りている。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一行が案内されて、暗い
螺旋
(
らせん
)
階段をのぼって行くと、明りとりの下窓から中庭が見おろせた。中庭が目にはいった瞬間、伸子は激しく心をつかれ、素子をつついた。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それが、空の光の照明度がある限界値に達すると、多分細胞組織内の水圧の高くなるためであろう、
螺旋
(
らせん
)
状の縮みが伸びて、するすると一度にほごれ拡がるものと見える。
烏瓜の花と蛾
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
時としては
耡
(
すき
)
の柄を杖にたのみながら、底なき夢想の
螺旋
(
らせん
)
を徐々に下ってゆくこともあった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
水は、涯しのない
螺旋
(
らせん
)
のように逆巻いて、その、顔もさだかでない、屍体を弄びはじめた。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
老人は毛皮のスリッパを
穿
(
は
)
き直して、小売部の横から狭い階段を
螺旋
(
らせん
)
なりに登って行った。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
螺旋
(
らせん
)
状に段々と下降しつつ、俯瞰し、また大観しつつ、遥かに、翠緑の丘陵を平野のあなたに発見し得た私たちは、いよいよ、豊原に近づきつつある喜びのために歓声を挙げた。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
シャンデリヤにネオンサインが
螺旋
(
らせん
)
に巻きついた、水灯のような新衣裳のもとで、ロープモンタントをつけた女と
華奢
(
きゃしゃ
)
な男とが、スポットライトの色彩に、心と心を濡らして
跳舞
(
ちょうぶ
)
するのだ。
東京ロマンティック恋愛記
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
“螺旋”の意味
《名詞》
螺旋(らせん)
曲線の形状。巻き貝(螺)の殻のように旋回していること。また、そのようなもの。三次元空間において、回転しながら回転面に垂直成分のある方向へ移動(上昇または下降)する点の軌跡。
曲線の形状。二次元平面における、渦巻の別称。
ねじ。
(出典:Wiktionary)
螺
漢検準1級
部首:⾍
17画
旋
常用漢字
中学
部首:⽅
11画
“螺旋”で始まる語句
螺旋形
螺旋状
螺旋式
螺旋釘
螺旋棒
螺旋鋲
螺旋巻
螺旋溝
螺旋仕掛
螺旋刃