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花魁
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おいらん
ふりがな文庫
“
花魁
(
おいらん
)” の例文
『上流の方々の亡くなられたのは、ほんとにほんとにお気の毒ですが、こんな吉原の
花魁
(
おいらん
)
なんか、死んでしまった方がよござんすね』
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
麦藁の
花魁
(
おいらん
)
があかい袂を軽くなびかせて、紙細工の蝶の
翅
(
はね
)
がひらひらと白くもつれ合っているのも、のどかな春らしい影を作っていた。
半七捕物帳:08 帯取りの池
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
此の長崎にて切支丹の
御検分
(
おんあらため
)
ことのほか厳しくなり、丸山の妓楼の
花魁
(
おいらん
)
衆にまで御奉行、水尾様御工夫の踏絵の御調べあるべしとなり。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「若旦那が、女遊びに身を打込むとか、
花魁
(
おいらん
)
を
請出
(
うけだ
)
して、内儀にされたといふなら、御主人は、あまりお小言も言はなかつたでせうね」
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その日は丁度大金を所持してゐたので
花魁
(
おいらん
)
も
吃驚
(
びっくり
)
して店の金庫へ蔵してくれたこと、娼妓も三十を過ぎると全てに親切である話、等々
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
「なるほど、なるほど。
花魁
(
おいらん
)
の道中は、わしも一度、江戸の吉原で見ましたっけ。こちらのは、また変った趣向でもありますかな」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
さて、もうここまで事が運べば、それなる
達磨
(
だるま
)
を好いた
花魁
(
おいらん
)
薄雪の来るか来ないかが、右門の解釈と行動の重大なる
分岐点
(
ぶんきてん
)
です。
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
間もなく店員たちの蔭口で知ったが、御しんさんはもと真金町遊廓の神風楼でお職を張っていた全盛の
花魁
(
おいらん
)
だったとの事である。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
花魁
(
おいらん
)
の口上だと云つていい加減なこしらヘごとを客に耳打すると云ふ、そんな人の悪いことは、お糸さんは決してしなかつた。
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
京都、
島原
(
しまばら
)
に
花魁
(
おいらん
)
がようやく余命を保っている。やがて島原が取払われたら花魁はミュゼーのガラス箱へ収められてしまわなければならぬ。
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
僕ののちに聞いたところによれば、曾祖父は奥坊主を勤めていたものの、二人の娘を二人とも
花魁
(
おいらん
)
に売ったという人だった。
追憶
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それに私なんか
恁
(
か
)
う見えても
温順
(
おとな
)
しいんだから、
鉄火
(
てつか
)
な真似なんか
迚
(
とて
)
も柄にないの。ほんとうに温順しい
花魁
(
おいらん
)
だつて、みんなが
然
(
さ
)
う言ふわよ。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
……すえは芸者かネ、
花魁
(
おいらん
)
か、サ、なにも、おやじがあくせくして稼ぐものはねえ、功利的結果が、よってたかって、飯を喰わしてくれらアね。
金狼
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
でげすから、あっしは
浅草
(
おくやま
)
を
出
(
で
)
る
時
(
とき
)
に、そう
申
(
もう
)
したじゃござんせんか。
松
(
まつ
)
の
位
(
くらい
)
の
太夫
(
たゆう
)
でも、
花魁
(
おいらん
)
ならば
売
(
う
)
り
物
(
もの
)
買
(
か
)
い
物
(
もの
)
。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
花魁
(
おいらん
)
の
袿
(
しかけ
)
にも客の小袖にも。新流行の奔放な色と模様とがあつた。
店清掻
(
みせすががき
)
の賑かさ、河東、薗八のしめやかさ。これを今日の吉原に見る事は出来ぬ。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
「もうしもうし
花魁
(
おいらん
)
え、と云われて
八
(
や
)
ツ
橋
(
はし
)
なんざますえとふり返る、
途端
(
とたん
)
に切り込む
刃
(
やいば
)
の光」という変な文句は、私がその時分南麟から
教
(
おす
)
わったのか
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そんなことを言ッてなさッちゃア困りますよ。ちょいとおいでなすッて下さい。
花魁
(
おいらん
)
、困りますよ」と、吉里の後から追い
縋
(
すが
)
ッたのはお
熊
(
くま
)
という
新造
(
しんぞう
)
。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
例の花里
花魁
(
おいらん
)
でございますが、この
混雑
(
ごった
)
かえしている中に一層忙がしい、今日で三日三晩うッとりともしないので、只眠いねむいで
茫然
(
ぼっと
)
して
生体
(
しょうたい
)
がない。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
近所の驢が来て鼻で懸金を揚げ小馬と二匹伴れて遊びに往った
体
(
てい
)
、まるで
花魁
(
おいらん
)
と遊客の
懸落
(
かけおち
)
のようだったと。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
〽吉原
花魁
(
おいらん
)
手紙は出すけど、外へは出られぬぱあ 〽こっちでのろけて向こうじゃ知らない、てけれっつのぱあ 〽くどいて、おどして、なだめて、すかして
随筆 寄席風俗
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
私が
初花
(
はつはな
)
という吉原の
花魁
(
おいらん
)
と近づきになったのも、やはり好奇心のためでした。ところが段々馴染んで行くと、好奇心をとおり越して、一種異
状
(
よう
)
な状態に陥りました。
遺伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
あたしたちが、邪魔をしたようだが、松山の
花魁
(
おいらん
)
はうぶで、
初会
(
しょかい
)
のお客には、すぐには
馴染
(
なじ
)
めない。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
其から歴史を別にしてゐるはずの遊女——
花魁
(
おいらん
)
——かう言ふものゝ中、時代物としての感覚に統べられて立つ世界の立て物なる女は、立役の領分に引き直されて行つた。
街衢の戦死者:――中村魁車を誄す――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
あけてフナフナと笑ひ転けたあの時だ……「へえい、小桜さんの
花魁
(
おいらん
)
、ええ、あの花魁は」と頭を
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「そう聞けば、気のどくだが、親のために
花魁
(
おいらん
)
になる者もある。それとも
許婚
(
いいなずけ
)
でもあるのか」
南北の東海道四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
今紫は
大籬
(
おおまがき
)
の
花魁
(
おいらん
)
、男舞で名をあげ、
吉原太夫
(
よしわらだゆう
)
の最後の
嬌名
(
きょうめい
)
をとどめたが、
娼妓
(
しょうぎ
)
解放令と同時廃業し、その後、薬師
錦織
(
にしごおり
)
某と
同棲
(
どうせい
)
し、壮士芝居
勃興
(
ぼっこう
)
のころ女優となったりして
明治大正美人追憶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「この栄太さんの馴染みってのは、たしか仲の町岩本楼の梅の井
花魁
(
おいらん
)
だったけのう。」
釘抜藤吉捕物覚書:01 のの字の刀痕
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その店は、重畳の浪を
葺
(
ふ
)
き並べた甍。
錆
(
さ
)
びた紋どころに
緑青
(
ろくしょう
)
の噴いている銅板の表羽目、長煙管を持った
花魁
(
おいらん
)
の二の腕までは差出されるが顔は出ない狭間に作られてある
連子格子
(
れんじごうし
)
。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
淡紅色に塊つた
花魁
(
おいらん
)
草の花の一群。絶えず水甕へ落ちる水の音。——私は身體の中から都會の濁りが空の中へ流れ出す疲れをぐつたりと感じていつた。希望はもうここでは何ものも起らない。
榛名
(旧字旧仮名)
/
横光利一
(著)
ガラス張りの戸棚の
中
(
うち
)
には
花魁
(
おいらん
)
の着る
裲襠
(
しかけ
)
が電燈の光を浴びて陳列してあった。そのガラスの廻りにへばりついている人には若い京都風の男もあれば妻君を携帯している東京風の男もあった。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「ねえ御隠居様、たしかこの笄は、
花魁
(
おいらん
)
衆のお
髪
(
ぐし
)
を後光のように取り囲んでいるあれそうそう
立兵庫
(
たてひょうご
)
と申しましたか、たしかそれに使われるもので御座りましょう。けども
真逆
(
まさか
)
の女のお客とは……」
絶景万国博覧会
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
家鴨
(
あひる
)
がおよいでいたり、小舟がうかんでいたりして、その時分の
花魁
(
おいらん
)
は小がいのお
椀
(
わん
)
いっぱいの水で、口をそそぎ顔を洗ってうらの川にすてたところから、そういう名前もできたのだそうであるが
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
假
(
かり
)
の隱れ
簑
(
みの
)
頭巾
(
づきん
)
の上に
網代笠
(
あじろがさ
)
深
(
ふか
)
くも忍ぶ大門口
相※
(
あひづ
)
の
咳
(
せき
)
に重五郎其所へ御座るは
花魁
(
おいらん
)
かと言れて白妙
回顧
(
ふりむき
)
オヽ重さんか安さんはへ其安さんは
最
(
もう
)
疾
(
とく
)
に
鞠子
(
まりこ
)
へ行て待てゞ在ば
暫時
(
ちつと
)
も早くと
打連立
(
うちつれだち
)
彌勒
(
みろく
)
町を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
一、二度、友人から『
花魁
(
おいらん
)
の道中を見にいかないか』
島原心中
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「
花魁
(
おいらん
)
ももうお見えでござりましょう。まずちっとお重ねなされまし」と、彼女が銚子をとろうとすると、外記は笑いながら
頭
(
かぶり
)
をふった。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
赤い灯の数の一ツ一ツは
花魁
(
おいらん
)
たちの部屋なのであろう、田圃をこえて、
大尽舞
(
だいじんまい
)
の笛や、すががきの三味線や太鼓が、賑やかに流れてくる。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この
廓
(
くるわ
)
でままならぬかごの鳥となっておられまするおかわいそうな
花魁
(
おいらん
)
衆へ、わずかながらでもおこづかい金をもろうていただいたならば
右門捕物帖:15 京人形大尽
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
京都、
島原
(
しまばら
)
に
花魁
(
おいらん
)
がようやく余命を保っている。やがて島原が取払われたら花魁はミュゼーのガラス箱へ収められてしまわなければならぬ。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
その割に
花魁
(
おいらん
)
にはもてず、そこでかえって稼業は繁昌、夫婦別れもないという次第! 結構至極ではありますが、私の薬をお飲みになったら
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「でもね、親分。——犬が女を殺した事だけは本当ですぜ。上根岸の寮で、元
吉原
(
なか
)
で鳴らした、薄雲
花魁
(
おいらん
)
が
害
(
や
)
られたんで」
銭形平次捕物控:061 雪の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
案の定惚れたと見せたは満月の手管らしかった。天下の色男と自任していた銀之丞が、
花魁
(
おいらん
)
に身上げでもさせる事か。
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「それが……、「五人坊主」の
呪咀絵
(
のろいがた
)
なんだ。……知ってるだろう、吉原の
花魁
(
おいらん
)
などが人を呪い殺そうとするときに使うあの「五人坊主」の絵なんだ。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「なあに、そんなに大変な事もないんです。登場の人物は御客と、船頭と、
花魁
(
おいらん
)
と
仲居
(
なかい
)
と
遣手
(
やりて
)
と
見番
(
けんばん
)
だけですから」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
鈴蘭で
雑炊
(
ざふすゐ
)
を食べてから、妓楼へ押し上つたのだつたが、
花魁
(
おいらん
)
の部屋で、身のうへ話をきいてゐるうちにいつか夜が
更
(
ふ
)
けて、晴代は朝方ちかい三時頃に
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
兵馬のここへ来た目的は、この
花魁
(
おいらん
)
を相手に碁を打つことではありません、万事は金助の取計らいであります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「根津へ行って遊んで御覧なさらんか、ちょうど桜時で惣門内を
花魁
(
おいらん
)
の姿で
八文字
(
はちもんじ
)
を踏むのはなか/\品が好く、吉原も
跣足
(
はだし
)
で、美くしいから行って御覧なさい」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかしそれは伝法肌の隠居が、何処かの
花魁
(
おいらん
)
に習つたと云ふ、二三十年以前の
流行唄
(
はやりうた
)
だつた。
庭
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
おれァ、一
度
(
ど
)
、
半蔵松葉
(
はんぞうまつば
)
の
粧
(
よそ
)
おいという
花魁
(
おいらん
)
を、
小梅
(
こうめ
)
の
寮
(
りょう
)
まで
乗
(
の
)
せたことがあったっけが、
入山形
(
いりやまがた
)
に一つ
星
(
ぼし
)
の、
全盛
(
ぜんせい
)
の
太夫
(
たゆう
)
を
乗
(
の
)
せた
時
(
とき
)
だって、こんないい
気持
(
きも
)
はしなかったぜ
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「江戸から来ておる
花魁
(
おいらん
)
あがりが、てっきりばてれんを持って来たにちがいない、すんでのことに、
昨夜
(
ゆうべ
)
はばてれんの蟹の鋏で、この大事の眼を、衝き刺されるところであった」
放生津物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
女は茶碗を置き、
莨盆
(
たばこぼん
)
をひきよせて、いっぷく吸いつけた、「いちど
花魁
(
おいらん
)
をひかせたことがあったけれど、廓づとめをしたその人でさえ、躯がもたないって逃げだしたくらいよ」
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“花魁”の解説
花魁(おいらん)は、吉原遊廓の遊女で位の高い者のことをいう。現代の高級娼婦、高級愛人などにあたる。
(出典:Wikipedia)
花
常用漢字
小1
部首:⾋
7画
魁
漢検準1級
部首:⿁
14画
“花魁”で始まる語句
花魁道中
花魁草
花魁衆
花魁船
花魁太夫