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あしもと
ふりがな文庫
“
脚下
(
あしもと
)” の例文
客の応対ぶりだって、立派なもんだし、
宅
(
うち
)
もキチンキチンとする方だし……どうしてお前なんざ、とても
脚下
(
あしもと
)
へも追っ着きゃしねえ。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
小学校の教師か巡査かとでも云う物ごしであった。彼はその
脚下
(
あしもと
)
に置いてある魚籃を覗いて見た。そこには五六尾の沙魚が入っていた。
蟇の血
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
やがて後に
蜀
(
しょく
)
の天子となるべき洪福と天性の瑞兆であったことは、趙雲の
翔
(
か
)
ける馬の
脚下
(
あしもと
)
から紫の霧が流れたということを見てもわかる
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三合五勺を
出外
(
ではず
)
れると、定規でも当てがってブチきったように、森林が
脚下
(
あしもと
)
に落ち込んで、眼の前には黒砂の焼山が大斜行する。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
遊佐は気が小いから
可
(
い
)
かない。ああ云ふ風だから
益
(
ますま
)
す
脚下
(
あしもと
)
を見られて好い事を為れるのだ。高が
金銭
(
かね
)
の
貸借
(
かしかり
)
だ、命に別条は有りはしないさ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
千手はきっぱりと云い切って、
脚下
(
あしもと
)
に展けて居る琵琶湖の水面の、暁の霧の中を滑るように昇って行く日輪を眺めながら
二人の稚児
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
脚下
(
あしもと
)
の
生物
(
いきもの
)
を
殺
(
ころ
)
すのを
恐
(
おそ
)
れて
其甕
(
そのかめ
)
を
放
(
はふ
)
り
出
(
だ
)
さうとはせず、
其處
(
そこ
)
を
通
(
とほ
)
りがけに
蠅帳
(
はへちやう
)
の
一
(
ひと
)
つに
其
(
そ
)
れを
藏
(
しま
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
こう言いながら
件
(
くだん
)
の男はよろけるように部屋の中へはいってきて、深尾みな子と称する女の
脚下
(
あしもと
)
にばったりつくばった。
秘密
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
身体
(
からだ
)
を横にしなければ通られないような道は、三四間続くと、その先には恐ろしく急な階段が、奈落の底まで続くように、
脚下
(
あしもと
)
に口を開いて居ります。
古銭の謎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼女は光りと風を浴びた自分の姿に吾から恍惚としてゐるかの夢見顔で、
脚下
(
あしもと
)
の奇天烈な大騒動を視守つてゐた。
まぼろし
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
そして
遥
(
はるか
)
に遠く武蔵一国が我が
脚下
(
あしもと
)
に開けているのを見ながら、
蓬々
(
ほうほう
)
と吹く
天
(
そら
)
の風が
頬被
(
ほおかぶ
)
りした手拭に当るのを味った時は、
躍
(
おど
)
り
上
(
あが
)
り躍り上って悦んだ。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「人のことを気に病むより、自分の
脚下
(
あしもと
)
にお気をつけなさい、いったい、あなたは誰とどこへ行っていたのです」
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
わたくしは
脚下
(
あしもと
)
の暗くなるまで石の上に腰をかけていたが、土手下の窓々にも灯がついて、むさくるしい二階の
内
(
なか
)
がすっかり見下されるようになったので
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
雲
(
くも
)
脚下
(
あしもと
)
に
起
(
おこ
)
るかとみれば、
忽
(
たちまち
)
晴
(
はれ
)
て
日光
(
ひのひかり
)
眼
(
め
)
を
射
(
ゐ
)
る、身は天外に在が如し。
是
(
この
)
絶頂は
周
(
めぐり
)
一里といふ。
莽々
(
まう/\
)
たる
平蕪
(
へいぶ
)
高低
(
たかひく
)
の所を
不見
(
みず
)
、山の名によぶ
苗場
(
なへば
)
といふ所こゝかしこにあり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
脚下
(
あしもと
)
に芦の葉が少し描き添えてあるのみなのが、枯淡な老和尚の面目にふさわしかった。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
我々はそれらの砕片が竪坑の岩壁に衝突するガラガラ………ガラガラという凄い反響を耳にした。そしてそれから全く長い間を隔てて、最後にドドーンというような深い地響きが
脚下
(
あしもと
)
に轟いた。
臨時急行列車の紛失
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
虎蔵は自分でも気付かないうちに身を
屈
(
かが
)
めていた。床の上の
華麗
(
はなやか
)
な
露西亜
(
ロシア
)
絨氈
(
じゅうたん
)
の上に
腹匍
(
はらば
)
いになって、ソロソロとその寝台の
脚下
(
あしもと
)
に忍び寄って行った。
何故
(
なぜ
)
ともわからない焦燥を感じながら……。
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と土蔵から下りて来た人の会話らしい声がすぐ自分の
脚下
(
あしもと
)
に聞える。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
玄白斎は、
脚下
(
あしもと
)
の岩角を、たどたど踏みつつ、和田に注意した。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
六 山頂の西の端なる鳥居崎十三州は
脚下
(
あしもと
)
にして
鹿野山
(旧字旧仮名)
/
大町桂月
(著)
脚下
(
あしもと
)
に踏みにじるほどの高い身分となりました。
融和問題に関する歴史的考察
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
脚下
(
あしもと
)
の簪君に拾はせぬ窗には海の燐光の照る
晶子鑑賞
(新字旧仮名)
/
平野万里
(著)
わが
脚下
(
あしもと
)
なる
巌
(
いわお
)
の重くすわれる如く
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
役人の一人は
鉄杖
(
てつじょう
)
を持ち直して、
脚下
(
あしもと
)
に転がった
人俵
(
ひとだわら
)
の一つの
胴中
(
どうなか
)
をびしゃりとやった。その人俵からは老人の
白髪
(
しらが
)
頭が出ていた。
切支丹転び
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
脚下
(
あしもと
)
に落ちていた
畳
(
たた
)
み手拭を拾って
懐中
(
ふところ
)
に入れると、
間
(
ま
)
の悪そうな顔を
反向
(
そむ
)
けて、小梅村の家の方へ一目散に帰って行った。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼らの頭上には、偶然にあたりくじをひいた人気作家がひかえていて、到底わりこむ余地がないし、彼らの
脚下
(
あしもと
)
には、新鋭の新進作家が
犇々
(
ひしひし
)
とつめかけている。
昭和四年の文壇の概観
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
雲
(
くも
)
脚下
(
あしもと
)
に
起
(
おこ
)
るかとみれば、
忽
(
たちまち
)
晴
(
はれ
)
て
日光
(
ひのひかり
)
眼
(
め
)
を
射
(
ゐ
)
る、身は天外に在が如し。
是
(
この
)
絶頂は
周
(
めぐり
)
一里といふ。
莽々
(
まう/\
)
たる
平蕪
(
へいぶ
)
高低
(
たかひく
)
の所を
不見
(
みず
)
、山の名によぶ
苗場
(
なへば
)
といふ所こゝかしこにあり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
満枝は荒尾の立てる
脚下
(
あしもと
)
に
褥
(
しとね
)
を
推付
(
おしつ
)
けて、
実
(
げ
)
に還さじと
主
(
あるじ
)
にも劣らず
最惜
(
いとをし
)
む様なり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
巌がぐるりと
刳
(
えぐ
)
れて地の底深く
陥窪
(
おちくぼ
)
んだ処が
脚下
(
あしもと
)
に見えた。李張は
躊躇
(
ちゅうちょ
)
せずにその
巌窟
(
いわあな
)
へはいった。人の
背丈
(
せた
)
け位の穴が
斜
(
ななめ
)
にできていた。
悪僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
五人ほどの部下は、その
脚下
(
あしもと
)
にうずくまって、折敷きの構えと云うのか、小銃の筒口を、こっちへ向けたまま、ギ、ギ、ギ、ギ……と
舳
(
みよし
)
を突き当てるように寄ってきた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、おまけにたった今図々しくも彼女の手を握ろうとさえしたのだ! 私は、どんなことがあっても、ここで彼女の
脚下
(
あしもと
)
にひざまずいて、すっかり
懺悔
(
ざんげ
)
すべきだったのだ。
秘密
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
何でも
昨日
(
きのふ
)
医者が湯治が良いと言うて
切
(
しきり
)
に勧めたらしいのだ。いや、もう急の
思着
(
おもひつき
)
で、
脚下
(
あしもと
)
から鳥の
起
(
た
)
つやうな騒をして、十二時三十分の
滊車
(
きしや
)
で。ああ、
独
(
ひとり
)
で寂いところ、まあ茶でも
淹
(
い
)
れやう
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
章一のすぐ
後
(
うしろ
)
を歩いていた一人の
遊人
(
あそびにん
)
は、章一の倒れた時その
脚下
(
あしもと
)
から一
疋
(
ぴき
)
の猫のような小さな
獣
(
けもの
)
の飛びだして走ったのを見た。
一握の髪の毛
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「お早いのには驚き入ります。御不自由なお
脚下
(
あしもと
)
で、お
怪我
(
けが
)
をあそばすといけません」
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
金太は入口へ釣竿を立てかけて、土室の横へ往って腰をかけ、手にした魚籃を
脚下
(
あしもと
)
へ置いた。老人は金太をじろりと見た。
おいてけ堀
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
満身の毛穴が
呼吸
(
いき
)
をする。ここまで来ると、心臓が口の外へ出てしまうかと思うほど苦しかった。少し登っては、すぐ休む。——そして思わず
攀
(
よ
)
じのぼって来た
脚下
(
あしもと
)
を見おろすのであった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また榻の
脚下
(
あしもと
)
になったほうには、
絨緞
(
じゅうたん
)
の上に
蒲団
(
ふとん
)
を敷いて五六人の男が坐っていたが、これも
俯向
(
うつむ
)
いたり、
後
(
うしろ
)
の壁に寄っかかったりして眠っていた。
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「が、
脚下
(
あしもと
)
をごらんなさい」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
省三は舟のことは女が
精
(
くわ
)
しいから云うとおりに乗ろうと思ってそのまま乗り移った。舟のどこかに脚燈を
点
(
つ
)
けてあるように
脚下
(
あしもと
)
が
黄
(
きい
)
ろく
透
(
すか
)
して見えた。
水郷異聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
夕月が
射
(
さ
)
して虫が鳴いていた。
益雄
(
ますお
)
はその虫の声に耳を傾けながら
跫音
(
あしおと
)
をささないようにと
脚下
(
あしもと
)
に注意して歩いていた。そこには
芒
(
すすき
)
の穂があり
櫟
(
くぬぎ
)
の枝があった。
草藪の中
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
路
(
みち
)
は篠竹と樹の絡みあって谷底のようになった処をあがったりおりたりした。武士は時おり
脚下
(
あしもと
)
に眼をやった。毒だみのような葉をした草が一面に生えていた。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その燈に続いて数人の怪しい人影が見えたが、やがてそれが
脚下
(
あしもと
)
の方で渦を捲いて静まった。李生は
呼吸
(
いき
)
をころしてのぞいた。紅燈の燈はとろとろと燃えていた。
申陽洞記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
道は
爪前
(
つまさき
)
さがりになっていた。杜陽は滑らないように
脚下
(
あしもと
)
に注意していた。と、不意に僕の叫ぶ叫び声がした。それはなんとも形容のできないおそろしい声であった。
陳宝祠
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
焦生は其処の
風陰
(
かざかげ
)
を野宿の場処にしようと思った。彼は
脚下
(
あしもと
)
に注意しながら岩のはなを廻って往った。眼の前に火の光が見えてきた。その火の焔のはしに家の
簷
(
のき
)
が見えた。
虎媛
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
女は狭い
路次
(
ろじ
)
を入った。哲郎は暗い処で転ばないようにと
脚下
(
あしもと
)
に注意しいしい往った。左の方はトタン
塀
(
べい
)
になって、右側に二階建の長屋らしい家の入口が二つ三つ見えた。
青い紐
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
譔の体は釣りあげられたようになって
脚下
(
あしもと
)
が浮いた。譔はどうすることもできなかった。
令狐生冥夢録
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その小径には中程に一
箇処
(
かしょ
)
、あがりきった処に一箇処の街燈があった。務の頭の中は死を追う焦慮と、妻子を
遺
(
のこ
)
して死んで往く悲しみと、
脚下
(
あしもと
)
をすくわれたような恨みで混乱していた。
白っぽい洋服
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
脚下
(
あしもと
)
で黒い小さなものがちょろちょろと動くので、よく見るとそれは鼠であった。
愛卿伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
棺舁の姿が見えなくなると、李夫は
脚下
(
あしもと
)
に置いてあった
鋤
(
すき
)
を把って、今かけたばかりの棺の上の土を除けはじめた。李夫は棺の中へ入れてある首飾などに眼をつけているところであった。
断橋奇聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
女は
襟巻
(
えりまき
)
を机の上へ乗せて、その方を背にして一方の蒲団の上に坐った。哲郎もインバを
脚下
(
あしもと
)
へ置いてから、女と向きあうようにその青い地に何か魚の絵を置いたメリンスの蒲団の上に坐った。
青い紐
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
“脚下”の意味
《名詞》
足元。足の下。
(出典:Wiktionary)
脚
常用漢字
中学
部首:⾁
11画
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“脚下”で始まる語句
脚下灯