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竊
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ひそ
ふりがな文庫
“
竊
(
ひそ
)” の例文
新字:
窃
其處で生徒に訊いて見ると、田邊先生は時々しか出席簿を附けないと言つた。甲田は
竊
(
ひそ
)
かに喜んだ。校長も矢張り遣るなと思つた。
葉書
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それで私は心
竊
(
ひそ
)
かに覚悟を
定
(
き
)
めたのでございます。そうして当日は、乗物をも用いず辰の口のお役宅まで、お伺いしたのでございました。
正雪の遺書
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
たとへば母親が何處かへ旅立つた時には、
竊
(
ひそ
)
かに氣遣つてゐながら、歸つて來ても驅け出して抱き付くといふやうな氣持にはなれなかつた。
母と子
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
其
翌年
(
よくとし
)
になり權官は
或
(
ある
)
罪
(
つみ
)
を以て
職
(
しよく
)
を
剥
(
はが
)
れて
了
(
しま
)
い、
尋
(
つい
)
で
死亡
(
しばう
)
したので、
僕
(
ぼく
)
が
竊
(
ひそ
)
かに石を
偸
(
ぬす
)
み出して
賣
(
う
)
りに
出
(
で
)
たのが恰も八月二日の朝であつた。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
その
挙止
(
きょし
)
活溌
(
かっぱつ
)
にして少しも
病後
(
びょうご
)
疲労
(
ひろう
)
の
体
(
てい
)
見えざれば、
予
(
よ
)
、心の内に先生の
健康
(
けんこう
)
全く
旧
(
きゅう
)
に
復
(
ふく
)
したりと
竊
(
ひそ
)
かに喜びたり。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
▼ もっと見る
受け出し長庵方に
差置
(
さしおい
)
て折々通ひ
樂
(
たの
)
しまば此上もなき安心成りと思ふも
若氣
(
わかげ
)
の
無分別
(
むふんべつ
)
迷
(
まよ
)
ふ心の
置所
(
おきどころ
)
露
(
つゆ
)
の命と氣も付かず
不※
(
ふと
)
惡心
(
あくしん
)
や發しけん
竊
(
ひそ
)
かに
店
(
たな
)
の有金の内を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
其後
(
そのゝち
)
一高軍
(
いつかうぐん
)
は
物
(
もの
)
の
見事
(
みごと
)
に
復讎
(
ふくしゆう
)
を
遂
(
と
)
げたであらうが、
若
(
も
)
し
未
(
いま
)
だならば
私
(
わたくし
)
は
竊
(
ひそ
)
かに
希望
(
きぼう
)
して
居
(
を
)
るのである、
他日
(
たじつ
)
我等
(
われら
)
が
此
(
この
)
孤島
(
こたう
)
を
去
(
さ
)
つて
日本
(
につぽん
)
へ
歸
(
かへ
)
つた
後
(
のち
)
、
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
若
(
も
)
し
軍艦
(
ぐんかん
)
に
乘
(
じやう
)
じ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
余は
竊
(
ひそ
)
かに坐を会堂の一隅燈光暗き処に占め、心に衆とともに歌い、心に衆とともに祈らん、異端の巨魁たる余は公然高壇の上に立ち粛然福音を
演
(
の
)
べ伝うるの許可を有せざれば
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
恋愛を自然なる境地に
篏
(
は
)
めて写実したるものゝ上々なる事は、余の
竊
(
ひそ
)
かに自から信ずるところなるが、自然は即ち自然にてあれど、何の生命もなく何の希望もなく、其初めは肉情に起し
「歌念仏」を読みて
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
心
竊
(
ひそ
)
かに再会を期して上京するというは、三吉にも想像し得るように思われた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
この「ガ」の先にはどんな
不了簡
(
ふりょうけん
)
が
竊
(
ひそ
)
まッているかも知れぬと思えば、文三畏ろしい。物にならぬ内に一刻も早く散らしてしまいたい。シカシ散らしてしまいたいと思うほど尚お散り
難
(
かね
)
る。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
私は心
竊
(
ひそ
)
かに沈丁花の高い香りを期待していたのである。しかし今日の暖気の中には、花の香りはなかった。やはりこの花の香は、早春の寒冷な空気の中に、漂い匂うのがふさわしいのか知れない。
落日の光景
(新字新仮名)
/
外村繁
(著)
私はさう思つて
竊
(
ひそ
)
かに快を覚えて居た。
秋の第一日
(新字旧仮名)
/
窪田空穂
(著)
心
竊
(
ひそ
)
かに驚きぬ
草わかば
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
そして、
竊
(
ひそ
)
かに、「女の子にまで高等な學問をさせるやうになつたとすると、家の身代にも大分餘裕が出來たな。」と思つた。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
約束
(
やくそく
)
の
日
(
ひ
)
には、
櫻木大佐
(
さくらぎたいさ
)
は
日出雄少年等
(
ひでをせうねんら
)
と
共
(
とも
)
に、
海底戰鬪艇
(
かいていせんとうてい
)
に
乘
(
じやう
)
じて
朝日島
(
あさひじま
)
を
離
(
はな
)
れ、
竊
(
ひそ
)
かに
橄欖島
(
かんらんたう
)
に
到
(
いた
)
りて、
吾等
(
われら
)
兩人
(
りようにん
)
の
應援
(
おうゑん
)
を、
今日
(
けふ
)
か、
明日
(
あす
)
かと、
待
(
ま
)
ち
暮
(
くら
)
す
事
(
こと
)
であらうが。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
然
(
しか
)
れども先生は
従来
(
じゅうらい
)
他人の書に
序
(
じょ
)
を
賜
(
たま
)
いたること更になし、今
強
(
しい
)
てこれを先生に
煩
(
わずらわ
)
さんこと
然
(
しか
)
るべからずと
拒
(
こば
)
んで許さざりしに、
児
(
じ
)
竊
(
ひそ
)
かにこれを
携
(
たずさ
)
え先生の
許
(
もと
)
に至り
懇願
(
こんがん
)
せしかば
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
然れども
竊
(
ひそ
)
かに居士の高風を
遠羨
(
ゑんせん
)
せしことあるものなり、而して今や居士在らず、
徒
(
いたづ
)
らに半仙半商の中江篤介、
怯懦
(
けふだ
)
にして世を避けたる、驕慢にして世を
擲
(
な
)
げたる中江篤介あるを聞くのみ。
兆民居士安くにかある
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
是は長庵
近來
(
ちかごろ
)
再び
無頼
(
ぶらい
)
の行ひになりし事を知ざればなり
扨
(
さて
)
又長庵は追々
己
(
おのれ
)
が心がらにて
困窮
(
こんきう
)
に及び
何哉
(
なにかに
)
能
(
よき
)
仕事
(
しごと
)
の
有
(
あれ
)
かしと思ひ居ける所故是を見るより
先々
(
まづ/\
)
金
(
かね
)
の
蔓
(
つる
)
に取付たりと
竊
(
ひそ
)
かに悦び直に
返事
(
へんじ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
が、辰男はこんな話に
些
(
すこ
)
しも心を
唆
(
そそ
)
られないで、例の通り默々としてゐたが、只
竊
(
ひそ
)
かにイルミネーシヨンといふ洋語の綴りや譯語を考へ込んだ。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
氣球
(
きゝゆう
)
がいよ/\
大陸
(
たいりく
)
の
都邑
(
とゆう
)
に
降下
(
かうか
)
して
後
(
のち
)
、
秘密藥品
(
ひみつやくひん
)
の
買收
(
ばいしう
)
から、
竊
(
ひそ
)
かに
船
(
ふね
)
に
艤裝
(
ぎさう
)
して、
橄欖島
(
かんらんたう
)
へ
赴
(
おもむ
)
く
迄
(
まで
)
の
間
(
あひだ
)
の
駈引
(
かけひき
)
は
尋常
(
じんじやう
)
な
事
(
こと
)
で
無
(
な
)
い、
私
(
わたくし
)
は
早
(
はや
)
くも
櫻木大佐
(
さくらぎたいさ
)
の
心
(
こゝろ
)
を
讀
(
よ
)
み
得
(
え
)
たので、
自
(
みづか
)
ら
進
(
すゝ
)
み
出
(
で
)
た。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
さして立歸り
頓
(
やが
)
て近所の
湯屋
(
ゆや
)
の二階へ上りて夫となく樣子を
聞糺
(
きゝたゞ
)
し夫より
近邊
(
きんぺん
)
の
割烹店
(
れうりや
)
へ上り
竊
(
ひそ
)
かに千太郎を呼び出し初めて
面會
(
めんくわい
)
に及び
段々
(
だん/\
)
の挨拶も終りければ彼小夜衣よりの
言傳
(
ことづて
)
を
落
(
おち
)
もなく物語りを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
病氣が消滅したのか、
竊
(
ひそ
)
かに放任主義を執ることになつたゝめなのか、避病院といふこの村には
開闢
(
かいびやく
)
以來の一種特別な建物は、年の暮れには不用になつた。
避病院
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
「
明日
(
あす
)
の
中
(
うち
)
に立たう。」と、榮一は急に決めたが、
竊
(
ひそ
)
かにそれを喜んだのは、辰男だつた。明日の晩から、
何時
(
いつ
)
までランプを點けてゐようとも、最早苦情を云ふ者はなくなるのである。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
竊
部首:⽳
22画
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竊盗
剽竊
竊取
心竊
剽竊版
強竊盗
極竊
竊々
竊伺
竊盜
竊鼠々々
鼠竊々々