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ふりがな文庫
“
白洲
(
しらす
)” の例文
誰
(
たれ
)
も爲る
者
(
もの
)
有
(
あ
)
るまじと思ひ
頻
(
しきり
)
に
悲
(
かな
)
しく心は後へ
引
(
ひか
)
れながら既に
奉行所
(
ぶぎやうしよ
)
へ來り
白洲
(
しらす
)
へ
引居
(
ひきすゑ
)
られたり此日伊勢屋三郎兵衞方にては彼旅僧を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
所詮町奉行所の
白洲
(
しらす
)
で、表向の口供を聞いたり、役所の机の上で、
口書
(
くちがき
)
を讀んだりする役人の夢にも窺ふことの出來ぬ境遇である。
高瀬舟
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その頃、彼は初めて
白洲
(
しらす
)
に引きすえられていた盗賊の
木鼠長吉
(
きねずみちょうきち
)
を見たのである。彼は、
仲間
(
ちゅうげん
)
で木鼠ともむささびとも
仇名
(
あだな
)
をとっていた。
奉行と人相学
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
八五郎に縄尻を
掴
(
つか
)
ませて、平次は二人の前へ立ちました。町奉行のお
白洲
(
しらす
)
は型ばかりで、下調べは大抵こうして
埒
(
らち
)
を明けたのです。
銭形平次捕物控:049 招く骸骨
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「では、明日中に、その実をおれの眼に見せろ。その上で汝の広言に耳をかそう。しからずんば、引っくくって、汝を
白洲
(
しらす
)
にすえるぞ」
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
橘
(
たちばな
)
と
榊
(
さかき
)
の
植
(
うわ
)
った庭園の
白洲
(
しらす
)
を包んで、
篝火
(
かがりび
)
が赤々と燃え上ると、不弥の宮人たちは各々手に数枚の
柏
(
かしわ
)
の葉を持って白洲の中へ集って来た。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
と与八は、
白洲
(
しらす
)
にかかって白状でもさせられるように、多少苦しがって申しわけをしようとする。お婆さんはそれをなだめて
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
さて、……
町奉行
(
まちぶぎょう
)
が
白洲
(
しらす
)
を立てて驚いた。
召捕
(
めしと
)
つた屑屋を送るには、槍、鉄砲で列をなしたが、奉行
役宅
(
やくたく
)
で
突放
(
つっぱな
)
すと
蟇
(
ひきがえる
)
ほどの働きもない男だ。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その時の福島方の立ち合いは、
白洲
(
しらす
)
新五左衛門と原佐平太とで、騎馬組一列、
小頭
(
こがしら
)
足軽一統、持ち運びの
中間小者
(
ちゅうげんこもの
)
など数十人で関所を引き払った。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
独立な屋根をもった舞台の三方を廻廊のような聴衆観客席が取り囲んで、それと舞台との間に
溝渠
(
こうきょ
)
のような
白洲
(
しらす
)
が、これもやはり客席になっている。
雑記(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
意外な結果なので、松蔵たちは言葉もなかったが、
白洲
(
しらす
)
をさがるときに、与力の一人がおくにのことづけを伝えた。
赤ひげ診療譚:02 駈込み訴え
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そのなかで、あしたの
白洲
(
しらす
)
へ呼出して吟味する筈の事件が二つ三つあるが、秋山はその下調べをあと廻しにして、他の一件書類を机の上に置きならべた。
真鬼偽鬼
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「万々、仕損じました節は、お名を汚しませぬ。また、首尾よく仕遂げましたなら、天下の
白洲
(
しらす
)
にて、いささか学びました、大義大道を説くことに致します」
三人の相馬大作
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
この頃のお
触書
(
ふれがき
)
。士農工商ある中に、両替仲間相場立ち、
大銭
(
おおぜに
)
小銭
(
こぜに
)
を打並べ出しゃ、お
白洲
(
しらす
)
でしかりゃせぬ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
吟味中
(
ぎんみちゅう
)
入牢
(
じゅろう
)
仰付
(
おおせつく
)
といい渡された時には歌麿は余りのことに、
危
(
あやう
)
く
白洲
(
しらす
)
へ
卒倒
(
そっとう
)
しようとしたくらいだった。
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
と露骨な
卑
(
いや
)
しい愚痴を言うものもあり、とにかく女房を連れておそるおそるお
白洲
(
しらす
)
に出ると、板倉殿は笑いながら十人の者に
鬮
(
くじ
)
引きをさせて、一、二の順番をきめ
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
お
白洲
(
しらす
)
ごっこだ。道理で、地面に
茣蓙
(
ござ
)
を
敷
(
し
)
いて、あれが
科人
(
とがにん
)
であろう、ひとりの子供が平伏している。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
月代のしたてに代官から呼び出しがあると、
流石
(
さすが
)
に青々と剃り立ての頭では
白洲
(
しらす
)
へ出られない。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
その晩私は寐間のかくれ家から無理やりに茶の間の
白洲
(
しらす
)
へひきたてられて
威
(
おど
)
しつ
賺
(
すか
)
しつすすめられたけれど心をきめてがんばつてたら兄がいきなり衿くびをつかまへ妙なことを
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
只だ窓々に
鉄網
(
かなあみ
)
が張ってあるだけの事、また屋敷の向う側の土手に添うて
折曲
(
おりまが
)
った腰掛がありまして、丁度
白洲
(
しらす
)
の模様は今の芝居のよう、奉行の
後
(
うしろ
)
には
襖
(
ふすま
)
でなく障子が
箝
(
はま
)
っていまして
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
白洲
(
しらす
)
に臨める縁先の障子は締切られて、障子の内に所司代の席を設け、座右には
茶臼
(
ちゃうす
)
が据えてある。重宗は先ず西方を拝して後ちその座に着き、茶を
碾
(
ひ
)
きながら障子越に
訟
(
うったえ
)
を聴くのであった。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
という話で、少しは私も安心しましたが、最も聞いて悲しみに堪えなかった話はクショ・ロケラがラサ府の
白洲
(
しらす
)
へ何か用事があって行かれた時分に、ツァ・ルンバが呼出されて来て居たという。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
役人達は怪量を不敵な曲者として捕え、翌日
白洲
(
しらす
)
へ引き出した。
轆轤首
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
さ夜千鳥なく声さゆる加茂川の
白洲
(
しらす
)
の霜は月にぞありける
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
お
白洲
(
しらす
)
の砂利の上で、云えるものなら申しあげろい。
中山七里 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
御
呼出
(
よびいだ
)
しに相成
白洲
(
しらす
)
に於て越前守殿其人物を御覽あるに人の
惡
(
あく
)
を
揚
(
あげ
)
意趣遺恨
(
いしゆゐこん
)
などを
含
(
ふく
)
み又有りもせぬ
事柄
(
ことがら
)
を申懸る樣成者に非ざる事を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
知事は“早暁に行われた美人ごろしの事件”と聞いて、さっそく官舎から
庁
(
ちょう
)
へのぼり、閻婆と唐牛児を
白洲
(
しらす
)
にすえて、
吟味
(
ぎんみ
)
をひらいた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そいつは罪になるかならないか、お
白洲
(
しらす
)
で申上げて見るがいゝ、——ところでお神樂の兄哥、何んだつて、この野郎を縛らなかつたんだ」
銭形平次捕物控:102 金蔵の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
奈良井
(
ならい
)
、
宮
(
みや
)
の
越
(
こし
)
、
上松
(
あげまつ
)
、
三留野
(
みどの
)
、都合五か宿の木曾谷の庄屋問屋はいずれも
白洲
(
しらす
)
へ呼び出され、吟味のかどがあるということで退役を申し付けられ
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
奉行所の
白洲
(
しらす
)
の調べもそうですが、わたくし共の調べでも、ぽつりぽつりとしずかに調べて行くのは
禁物
(
きんもつ
)
です。
半七捕物帳:45 三つの声
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
遂に六月二十二日北御番所のお
白洲
(
しらす
)
にて役者海老蔵
事
(
こと
)
身分を
弁
(
わきま
)
えず
奢侈僣上
(
しゃしせんじょう
)
の
趣
(
おもむき
)
不届至極
(
ふとどきしごく
)
とあって、家財家宝お
取壊
(
とりこわし
)
の上江戸十里四方御追放
仰付
(
おおせつけ
)
られましたが
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
表立った
白洲
(
しらす
)
にかかっているわけではなく、どこといってつかまえどころのない、底にうごめいている暗流のようなものであったが、忠相は、そこに、早晩何らかの形で
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
が、
猶
(
なお
)
の事だ。今更ながら、一同の
呆
(
あき
)
れた
処
(
ところ
)
を、
廂
(
ひさし
)
を
跨
(
また
)
いで
倒
(
さかしま
)
に
覗
(
のぞ
)
いて
狙
(
ねら
)
つた愚僧だ。つむじ風を
哄
(
どっ
)
と吹かせ、
白洲
(
しらす
)
の
砂利
(
じゃり
)
をから/\と
掻廻
(
かきまわ
)
いて、パツと一斉に灯を消した。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「玄蕃の裁きはお
白洲
(
しらす
)
でつけるべきだ、と私は申しました」と直衛は答えた
改訂御定法
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ここァ
別
(
べつ
)
に
白洲
(
しらす
)
じゃねえから、
隠
(
かく
)
しだてにゃ
及
(
およ
)
ばねえぜ。
知
(
し
)
らねえといったところが、どうでそれじゃァ
通
(
とお
)
らねえんだ。
先
(
さき
)
ァおめえに、
家蔵
(
いえくら
)
売
(
う
)
ってもいとわぬ
程
(
ほど
)
の、
首
(
くび
)
ッたけだというじゃねえか
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
そうして、彼は数人の兵士に守られつつ、月の光りに静まった
萩
(
はぎ
)
と
紫苑
(
しおん
)
の花壇を通り、
紫竹
(
しちく
)
の茂った玉垣の間を
白洲
(
しらす
)
へぬけて、磯まで来ると、兵士たちの嘲笑とともに
鞺
(
ど
)
ッと浜藻の上へ投げ出された。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「そいつは罪になるかならないか、お
白洲
(
しらす
)
で申上げてみるがいい、——ところでお神楽の兄哥、なんだって、この野郎を縛らなかったんだ」
銭形平次捕物控:102 金蔵の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「夜ごと日ごと、問罪所の
白洲
(
しらす
)
で、
拷問
(
ごうもん
)
にかけられておるそうな。——常磐を
匿
(
かく
)
したに違いあるまい。義朝と
生
(
な
)
した子供等の行方を云えと」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
明日
召連
(
めしつれ
)
べく旨忠兵衞并に
差添
(
さしぞへ
)
の町役人へ申渡され
白洲
(
しらす
)
は引けければ忠兵衞は心も空に立戻り
云々
(
しか/″\
)
なりと長庵が
言掛
(
いひかけ
)
し事を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
お
白洲
(
しらす
)
へ呼び込まれたら、それからはめい/\の腕次第で、彦三郎さんは自分の思ふことを存分に云うが好し、權三と助十は自分の見た通りを逐一申立てて
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
むこうを、遊び人風の男につれられた若い女が、町内の
多勢
(
おおぜい
)
にかこまれて何か慰められながら、泣き泣きお
白洲
(
しらす
)
から下がって来た。おもてには、御門番と争う大声がしていた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
降蔵は六番の土蔵にいたが、その時
白洲
(
しらす
)
に引き出されて、五日より十日まで
惣勢
(
そうぜい
)
かわるがわる
訊問
(
じんもん
)
を受けた。浪士らのうち、百三十四人は十五日に、百三人は十六日に打ち首になった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それは二間四方の部屋で、左右がどっしりと重い栗色になった杉戸、うしろが
襖
(
ふすま
)
で、前に縁側があり、その下が
白洲
(
しらす
)
になっている。——律之助が入ってゆくと、もうその娘は白洲に坐っていた。
しじみ河岸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「もう二度と、
白洲
(
しらす
)
の
砂利
(
じゃり
)
は
踏
(
ふ
)
みたくねえ」
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
上方から來て江戸を荒した天滿の七之助一味のお
白洲
(
しらす
)
が明日開く筈で、笹野の旦那が何彼と前
以
(
もつ
)
て打合せて置き度いと仰しやつて居たんだ。
銭形平次捕物控:183 盗まれた十手
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しやがって、ふざけた野郎だ。さッ、お
白洲
(
しらす
)
だぞ、世話をやかせずに、泥を吐かねえと、捕縄の端の
鉛玉
(
なまりだま
)
が横ッ面へ飛んで行くからそう思えッ
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その水出しが奉行所の
白洲
(
しらす
)
へ持ち出されて厳重な吟味の種になろうとは
何人
(
なんぴと
)
も思い設けぬことであった。
半七捕物帳:39 少年少女の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
無礼!
狼藉
(
ろうぜき
)
! この源六郎に不浄の縄をかけるとは何ごと……などとわめきたてるのも構わず奉行所へ引ったてて、左右に
大篝火
(
おおかがりび
)
、正面に忠右衛門が控えて夜の
白洲
(
しらす
)
をひらいた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「それは何うした。一
季
(
き
)
半季
(
はんき
)
の奉公人が、三百兩の大金を溜めたなんて言つたつて、お
白洲
(
しらす
)
ぢや通用しねえよ。太てえ野郎だ」
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
(巧みに虚妄を申し立つるといえども神威のお
白洲
(
しらす
)
いかでかまぬかれん遂に
拷問
(
ごうもん
)
四十三日目に条々伏罪して獄門にかけらる)
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
洲
漢検準1級
部首:⽔
9画
“白洲”で始まる語句
白洲暦
白洲吟味