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ふかがわ
ふりがな文庫
“
深川
(
ふかがわ
)” の例文
しかし
中洲
(
なかず
)
の河沿いの二階からでも下を
見下
(
みおろ
)
したなら大概の
下
(
くだ
)
り船は反対にこの度は左側なる
深川
(
ふかがわ
)
本所
(
ほんじょ
)
の岸に近く動いて行く。
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
雷門
(
かみなりもん
)
を中心とし、
下谷
(
したや
)
、
浅草
(
あさくさ
)
、
本所
(
ほんじょ
)
、
深川
(
ふかがわ
)
の方面では、同志が三万人から出来た。貴方たちも、加盟して
戴
(
いただ
)
きたい。どうです!
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
脱獄以来二ヶ月の間、彼は
深川
(
ふかがわ
)
のある同類の家に身を隠していました。——その同類の名前もちゃんとわかっています——。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
勘定奉行
平川半治
(
ひらかわはんじ
)
はこの議に
与
(
あずか
)
らなかった。平川は後に藩士が
悉
(
ことごと
)
く津軽に
遷
(
うつ
)
るに及んで、独り
永
(
なが
)
の
暇
(
いとま
)
を願って、
深川
(
ふかがわ
)
に
米店
(
こめみせ
)
を開いた人である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
第一に、鼠色は「
深川
(
ふかがわ
)
ねずみ
辰巳
(
たつみ
)
ふう」といわれるように「いき」なものである。鼠色、すなわち灰色は白から黒に推移する無色感覚の段階である。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
▼ もっと見る
随って手洗い
所
(
しょ
)
が一番群集するので、喜兵衛は思附いて浅草の観音を初め
深川
(
ふかがわ
)
の不動や
神田
(
かんだ
)
の明神や柳島の妙見や
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
深川
(
ふかがわ
)
、浅草、
日本橋
(
にほんばし
)
、
京橋
(
きょうばし
)
の全部と、
麹町
(
こうじまち
)
、神田、
下谷
(
したや
)
のほとんど全部、
本郷
(
ほんごう
)
、
小石川
(
こいしかわ
)
、
赤坂
(
あかさか
)
、
芝
(
しば
)
の一部分(つまり東京の商工業区域のほとんどすっかり)
大震火災記
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
本多西雲君は
深川
(
ふかがわ
)
木場
(
きば
)
の人。鹿島岩蔵氏の番頭さんの
悴
(
せがれ
)
で、鹿島氏の援助で私の
許
(
もと
)
へ来て稽古し一家を
為
(
な
)
した。
幕末維新懐古談:79 その後の弟子の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
深川
(
ふかがわ
)
方面を描いたものは武家、町家いちめんの火で、煙につつまれた
火見櫓
(
ひのみやぐら
)
も物すごい。目もくらむばかりだ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
深川
(
ふかがわ
)
のこの
木場
(
きば
)
の材木に葉が繁ったら、
夫婦
(
いっしょ
)
になって
遣
(
や
)
るッておっしゃったのね。
何
(
ど
)
うしたって出来そうもないことが出来たのは、私の念が届いたんですよ。
木精(三尺角拾遺)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三毛の死後数日たって後のある朝、研究所を出て
深川
(
ふかがわ
)
へ向かう途中の電車で、ふいと三毛の事を考えた。そして自然にこんな童謡のようなものが口ずさまれた。
備忘録
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
女の子にかっぽれや
深川
(
ふかがわ
)
などを踊らせていると、ホテルの外人達がよってたかって見物し、一踊り済むと、女の子が持って廻る帽子に銀貨を投げ入れてやる趣きは
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
三月十日の未明、
本所
(
ほんじょ
)
深川
(
ふかがわ
)
を焼いたあの帝都空襲の余波を受けて、
盛岡
(
もりおか
)
の一部にも火災が起きた。丁度その時刻には、私は何も知らずに、連絡船の中でぐっすり寝ていた。
I駅の一夜
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
その一方は
駿河台
(
するがだい
)
へ延びて
神田
(
かんだ
)
を焼きさ、
伝馬町
(
てんまちょう
)
から
小舟町
(
こぶなちょう
)
、
堀留
(
ほりどめ
)
、
小網町
(
こあみちょう
)
、またこっちのやつは大川を
本所
(
ほんじょ
)
に飛んで
回向院
(
えこういん
)
あたりから
深川
(
ふかがわ
)
永代橋
(
えいたいばし
)
まできれえにいかれちゃった
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「ええ、そうです。どうも見たこともねえ人だ。岡釣でも本所、
深川
(
ふかがわ
)
、
真鍋河岸
(
まなべがし
)
や
万年
(
まんねん
)
のあたりでまごまごした人とも思われねえ、あれは
上
(
かみ
)
の方の
向島
(
むこうじま
)
か、もっと上の方の岡釣師ですな。」
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
江戸以来の三大祭りといえば、麹町の
山王
(
さんのう
)
、神田の
明神
(
みょうじん
)
、
深川
(
ふかがわ
)
の八幡として、ほとんど日本国じゅうに知られていたのであるが、その祭礼はむかしの姿をとどめないほどに衰えてしまった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
縁
(
えん
)
の方へ廻れと云うたら、障子をあけてずンずン入って来たから、縁から突落して馬鹿と叱った。もと
谷中村
(
やなかむら
)
の者で、父は今
深川
(
ふかがわ
)
で
石工
(
いしく
)
、自身はボール箱造って、向う
賄
(
まかない
)
で
月
(
つき
)
六円とるそうだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
御承知かも知れませんが、
日錚和尚
(
にっそうおしょう
)
と云う人は、もと
深川
(
ふかがわ
)
の左官だったのが、十九の年に足場から落ちて、一時
正気
(
しょうき
)
を失った
後
(
のち
)
、急に
菩提心
(
ぼだいしん
)
を起したとか云う、でんぼう肌の
畸人
(
きじん
)
だったのです。
捨児
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いつものように
清洲橋
(
きよすばし
)
をわたって
深川
(
ふかがわ
)
の町々を歩み、或時は日の暮れかかるのに驚き、いそいで電車に乗ることもある。
深川の散歩
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
貴隊は
犬吠崎
(
いぬぼうさき
)
附近から陸上を東京に向かい、工業地帯たる
向島
(
むこうじま
)
区、
城東
(
じょうとう
)
区、
本所
(
ほんじょ
)
区、
深川
(
ふかがわ
)
区を空襲せよ。これがため一
瓩
(
キログラム
)
の焼夷弾約四十トンを
撒布
(
さっぷ
)
すべし!
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彫金
(
ほりきん
)
というのがある、
魚政
(
うおまさ
)
というのがある、
屋根安
(
やねやす
)
、
大工鉄
(
だいてつ
)
、
左官金
(
さかんきん
)
。東京の
浅草
(
あさくさ
)
に、
深川
(
ふかがわ
)
に。
周防国
(
すおうのくに
)
、
美濃
(
みの
)
、
近江
(
おうみ
)
、
加賀
(
かが
)
、
能登
(
のと
)
、
越前
(
えちぜん
)
、
肥後
(
ひご
)
の熊本、
阿波
(
あわ
)
の徳島。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
東京で震災前までは
深川
(
ふかがわ
)
へんで見かけたことのあるあの
定斎屋
(
じょさいや
)
と同じようなものであったらしいが、しかし枇杷葉湯のあの朱塗りの荷箱とすがすがしい呼び声とには
物売りの声
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
六十九人もの破戒僧が
珠数
(
じゅず
)
つなぎにされて、江戸の
吉原
(
よしわら
)
や、
深川
(
ふかがわ
)
や、品川
新宿
(
しんじゅく
)
のようなところへ
出入
(
ではい
)
りするというかどで、あの日本橋で
面
(
かお
)
を
晒
(
さら
)
された上に、一か寺の住職は島流しになるし
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その日
深川
(
ふかがわ
)
の町からここに至るまで、散歩の途上に、やや年を経た樹木を目にしたのはこれが始めてである。
元八まん
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私は過去十何年の間、ほとんど毎週のように金曜日には、
深川
(
ふかがわ
)
の某研究所に
通
(
かよ
)
って来た。
時事雑感
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
と
納戸
(
なんど
)
へ入って、戸棚から持出した
風呂敷包
(
ふろしきづつみ
)
が、その
錦絵
(
にしきえ
)
で、
国貞
(
くにさだ
)
の画が二百余枚、
虫干
(
むしぼし
)
の時、
雛祭
(
ひなまつり
)
、秋の
長夜
(
ながよ
)
のおりおりごとに、
馴染
(
なじみ
)
の
姉様
(
あねさま
)
三千で、
下谷
(
したや
)
の
伊達者
(
だてしゃ
)
、
深川
(
ふかがわ
)
の
婀娜者
(
あだもの
)
が
沢山
(
たんと
)
いる。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
亭主
(
ていしゅ
)
多吉
(
たきち
)
は
深川
(
ふかがわ
)
の米問屋へ帳付けに
通
(
かよ
)
っているような人で、付近には名のある
相撲
(
すもう
)
の
関取
(
せきとり
)
も住むような町中であった。
早速
(
さっそく
)
平助は十一屋のあるところから両国橋を渡って、その家に半蔵を
訪
(
たず
)
ねて来た。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
深川
(
ふかがわ
)
の湿地に生れて
吉原
(
よしわら
)
の水に育ったので、顔の色は生れつき浅黒い。一度髪の毛がすっかり抜けた事があるそうだ。酒を飲み過ぎて血を吐いた事があるそうだ。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一、
酒井雅楽頭
(
さかいうたのかみ
)
様、(
播州
(
ばんしゅう
)
姫路
(
ひめじ
)
藩主)
深川
(
ふかがわ
)
一円。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その大きな高い白帆のかげに折々眺望を
遮
(
さえぎ
)
られる
深川
(
ふかがわ
)
の岸辺には、思切って海の方へ
突出
(
つきだ
)
して建てた
大新地
(
おおしんち
)
小新地
(
こしんち
)
の楼閣に早くも
燦
(
きらめ
)
き
初
(
そ
)
める
燈火
(
ともしび
)
の光と湧起る
絃歌
(
げんか
)
の声。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
本所
(
ほんじょ
)
の
竪川
(
たてかわ
)
、
深川
(
ふかがわ
)
の
小名木川辺
(
おなぎがわへん
)
の川筋には
荷足船
(
にたりぶね
)
で人を渡す小さな渡場が幾個所もある。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
隅田川はいうに及ばず神田のお茶の水
本所
(
ほんじょ
)
の
竪川
(
たてかわ
)
を始め
市中
(
しちゅう
)
の水流は、
最早
(
もは
)
や現代のわれわれには昔の人が
船宿
(
ふなやど
)
の
桟橋
(
さんばし
)
から
猪牙船
(
ちょきぶね
)
に乗って
山谷
(
さんや
)
に通い
柳島
(
やなぎしま
)
に遊び
深川
(
ふかがわ
)
に
戯
(
たわむ
)
れたような風流を許さず
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その
深川
(
ふかがわ
)
と
吉原
(
よしわら
)
なるとを問わず、あるひは
町風
(
まちふう
)
と屋敷風とを論ぜず、天保以後の浮世絵美人は
島田崩
(
しまだくず
)
しに
小紋
(
こもん
)
の
二枚重
(
にまいがさね
)
を着たるあり、じれつた結びに
半纏
(
はんてん
)
を
引
(
ひっ
)
かけたるあり、
絞
(
しぼり
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
を着たるあり
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
深
常用漢字
小3
部首:⽔
11画
川
常用漢字
小1
部首:⼮
3画
“深川”で始まる語句
深川八幡
深川万年橋
深川小名木川
深川亭
深川浦
深川行
深川辺
深川元儁
深川元町
深川扇橋