日數ひかず)” の例文
新字:日数
日數ひかずのたつに從ひ、靜に考へて見ると、姉の家が居づらいのではなくて、それは別の事から起つて來る感情の爲である事に心づいて來た。
或夜 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
勘次かんじたゞしなにのみこがれてたのであるが、段々だん/\日數ひかずつて不自由ふじいうかんずるとともみゝそばだてゝさういふはなしくやうにつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うばひ酒色にふけいそがぬ道も日數ひかずやうやく江戸へ近づき神奈川宿の龜屋徳右衞門かめやとくゑもんといふ旅籠屋はたごやへ泊りとなり座敷を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
みぎ次第しだいにて大陰暦たいゝんれき春夏秋冬しゆんかしうとうせつかゝはらず、一年の日數ひかずさだむるものなれば去年きよねん何月何日なんぐわつなんにちと、今年ことし其日そのひとはたゞとなへのみ同樣どうやうなれども四季しきせつかなら相違さうゐせり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
奧州あうしうからこゝまで歸るには、道中の日數ひかずがなかなかかゝりますからな。
能因法師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
ネープルスかうづるときにはめるがごとつきひかり鮮明あざやかこの甲板かんぱんてらしてつたが、いま日數ひかず二週ふためぐりあまりをぎてしんやみ——勿論もちろん先刻せんこくまでは新月しんげつかすかなひかりてん奈邊いづくにかみとめられたのであらうが
日數ひかずかさねて、九夜ここのよ十日とおかでございます。
そよそよ風の手枕たまくらに、はや日數ひかずしけふの日や
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
定むるも掛りの男居ずして知れがたし先拂ひにして下されよとの事にそれにて頼みしが此等より東京へ出すには一旦いつたん松本まで持ちかへるゆゑ日數ひかず十四五日は掛るといふ果して東京へは二十日目に屆きたり雨は上りたれど昨日きのふよりのふりに道は惡し宿しゆくの中ほどに橋ありこれを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
しなわづか日數ひかずよこつてたばかりにおとろへたものかやゝまぶしいのをかんじつゝひかり全身ぜんしんびながら二人ふたりのするのをた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
出立なし夫より鰍澤かぢかさわの御關所せきしよへ掛るが路順みちじゆんなり都て甲州は二重ふたへの御關所あり土地は御代官ごだいくわんの支配ゆゑ御關所手形を願ふべきなれども日數ひかずも掛るにより御關所をば拔道ぬけみち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
去年きよねん彼岸ひがんが三月の二十一日なれば今年ことし彼岸ひがん丁度ちやうど其日そのひなり。かつ毎年まいねん日數ひかず同樣どうやうなるゆゑ、一年とさだめて約條やくでうしたること丁度ちやうど一年の日數ひかずにて閏月しゆんげつため一箇月いつかつき損徳そんとくあることなし。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
ながわづか日數ひかずうち渺々べうべうたるはたけをからりとさせて、しばらくすると天候てんこうきはまりない變化へんくわを一ぱいひろげて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
みぎごと大陽暦たいやうれき日輪にちりん地球ちきうとをてらあはせて其互そのたがひ釣合つりあところもつて一年の日數ひかずさだめたるものゆへ、春夏秋冬しゆんかしうとう寒暖かんだん毎年まいとしことなることなく何月何日なんぐわつなんにちといへば丁度ちやうど去年きよねん其日そのひおな時候じこうにて
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
運送はこば引移ひきうつらせけるに日數ひかずたつしたがひお高は熟々つく/″\思ふ樣幸之進殿盜賊の手にかゝはて給ひしはさぞ御無念ごむねんおはすらん殊更ことさら武士に有るまじき事と諸人しよにんわらはれ給ふ事如何にも口惜くちをしき次第なり我も女には生れたれどもかたき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)