新宿しんじゆく)” の例文
おこし我等は今宵こよひよんどころなく用事あれば泊る事はならざれどもあつさり遊んで歸らんと夫より新宿しんじゆくの相摸屋へあがりしが其夜九ツ時分品川を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今本郷に現はれた、今神田へたと、それからそれへと電話がかゝつて東京市中大騒ぎである。新宿しんじゆく警察署では秋水一人ひとりため月々つき/″\百円使つかつてゐる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まであんずることはあるまい。交際つきあひのありがちな稼業かげふこと途中とちうともだちにさそはれて、新宿しんじゆくあたりへぐれたのだ、とおもへばむのであるから。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
三日みつかは孫娘を断念し、新宿しんじゆくをひたづねんとす。桜田さくらだより半蔵門はんざうもんに出づるに、新宿もまた焼けたりと聞き、谷中やなか檀那寺だんなでら手頼たよらばやと思ふ。饑渇きかついよいよ甚だし。
其處そこほねひとく』といふ文句もんくそれ自身じしんがふら/\と新宿しんじゆく停車場ていしやぢやういたのは六月二十日の午前ごぜん何時であつたかわすれた。かく一汽車ひときしやおくれたのである。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
鴨橋かもはし(今の結城ゆふき新宿しんじゆく村のかま橋)から急に駈抜かけぬけて注進したため、危くも将門は勝を得てしまつた。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
道よりもあれば新宿しんじゆくまでは腕車くるまがよしといふ、八王子までは汽車の中、をりればやがて馬車にゆられて、小仏こぼとけの峠もほどなく越ゆれば、上野原うへのばら、つる川、野田尻のだじり犬目いぬめ
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
強盜がうとう間違まちがへられた憤慨ふんがいまぎれに、二人ふたりはウン/\あせしぼりながら、一みちさかい停車場ていしやばで、其夜そのよ汽車きしやつて、品川しながはまでかへつたが、新宿しんじゆく乘替のりかへで、陸橋ブリツチ上下じやうげしたときくるしさ。
こはらしくないばアさんだね、新宿しんじゆくばアさんとは大違おほちがひだ。婆「何処どこ貴方あなたじつ立派りつぱりましたよ。岩「向うのかすかに遠いところに赤い煉瓦れんぐわがある、あれはなんだえ。婆「陸軍省りくぐんせうでございます。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
櫻山さくらやま夏鶯なつうぐひすれつゝ、岩殿寺いはとのでら青葉あをば目白めじろく。なつかしや御堂みだう松翠しようすゐ愈々いよ/\ふかく、鳴鶴なきつるさきなみあをくして、新宿しんじゆくはまうすものゆきく。そよ/\とかぜわたところ日盛ひざかりもかはづこゑたからかなり。
松翠深く蒼浪遥けき逗子より (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ところで、蒋才子しやうさいし今日けふまたれいの(喜偶歩ぐうほをよろこぶ。)で、くつ裏皮うらかはチヤラリと出懸でかけて、海岱門かいたいもんふ、づは町盡まちはづれ、新宿しんじゆく大木戸邊おほきどへんを、ぶらり/\と、かの反身そりみで、たぼ突當つきあたつてくれれば
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひとをしへをかないで、銀座ぎんざにも、新宿しんじゆくにも、バーの勝手かつてらないから、たびさきで不自由ふじいうする。もつとも、のち番頭ばんとうちんじたところでは、女中ぢよちうとの詮衡上せんかうじやう花番はなばんとかにあたつたからださうである。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)