“拳固:げんこ” の例文
“拳固:げんこ”を含む作品の著者(上位)作品数
野村胡堂23
ロマン・ロラン9
海野十三7
夢野久作5
ヴィクトル・ユゴー4
“拳固:げんこ”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語40.4%
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.4%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)0.4%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
馬鹿ばかげた冗談が火のように燃え上がり、テーブルに拳固げんこの音がし、荒々しい哄笑こうしょうの声がきたった。
と云ううちに、右の手で岩のような拳固げんこを作って、お神さんの右の横面よこつらをグワーンとなぐりつけました。お神さんは、
豚吉とヒョロ子 (新字新仮名) / 夢野久作三鳥山人(著)
ついに彼は、ある文句にはまり込んで、それから脱することができず、テーブルを拳固げんこで一撃し、そして口をつぐんだ。
ついで拳固げんこを固めて吾輩の横面よこつらを一つ鼻血の出る程らわしたから、トタンに堪忍袋の緒が切れてしまった。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
金博士が、醤に負けないような大きな声を出し、おこった蟷螂かまきりのような恰好かっこうで、拳固げんこで天をつきあげた。
そしクリストフが振り回す拳固げんこをも、また自分にふりかかってくる攻撃をも、ひとしく腹をかかえて笑っていた。
ここかしこに無数の群集がいて、拳固げんこを差し出し、怒鳴って真赤まっかになっていたが、しまいには本気でなぐり合うのだった。
しかし、警官がも一人彼の背中に飛びかかったとき、彼はいのししのように武者震いして、二人の警官を拳固げんこでなぐりつけた。
平次の問ひは益々突つ込みます。小博奕に浮身をやつす、渡り中間が、拳固げんこ一つで世過ぎをして居る筈はありません。
蓬々ぼうぼうと伸びた自分の頭の毛を掻きまわしたり、拳固げんこでコツンコツンと後頭部をなぐり付けたりしいしい、一分間も休まずに
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
クリストフは自分の仕業にぞっとして、椅子いすの上に堅くなり、雨と降ってくる拳固げんこを受けても感じなかった。
彼は拳固げんこをこしらえると自分の頭をごつんと一撃してからそのトランクの口をめて再び店の一隅へ並べた。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼は、右手を、喰い込むようなガラスの割れ目へ威勢よくつっこみ、そして、その血みどろな拳固げんこでヴィオロオヌを威嚇いかくした。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
八五郎は、裏口へ寄り添ったまま、弥蔵の中から取っておきの拳固げんこを出して、そうッと撫でるように、二つ三つ雨戸へ触ってみました。
どうかすると隠居は、おまんや下女たちの見ていないところで、人知れずこの黒猫に拳固げんこを見舞うことがある。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その二つの音楽の移り変わりがあまりに粗暴だったので、クリストフは憤って、歯をきしらせ足を踏み鳴らして、壁に拳固げんこをつきつけた。
——あるときなんかは、自分より首だけ背の高い男の友だちといっしょになって、突然拳固げんこくらわした。
——私は寝台の上に起き上がって、自分が本当に目を覚ましているのかどうかを確かめるため、拳固げんこで、寝台のフチをたたいてみました。
黄色な顔 (新字新仮名) / アーサー・コナン・ドイル(著)
翌る朝、ガラツ八の大變が鳴り込んで來ました。髷節まげぶしが少しゆるんで拳固げんこで額際の汗を撫であげる樣子は尋常ではありません。
壁に向かって拳固げんこや足や頭でぶつかってゆき、わめきたて、痙攣けいれんに襲われ、家具に突き当って怪我しながら下に倒れてしまった。
僕は、胸を張って得意そうに剣を振った。すると女は、いきなり僕の胸を力一杯の拳固げんこで突きとばした。
吊籠と月光と (新字新仮名) / 牧野信一(著)
さあ、思い出せ、思い出せ、さあ、早く思い出せ! 学士は自分の頭を拳固げんこでもってガーンと殴りつけた。
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼は敵をでも取りひしごうとするかのように、自分の喉首をとらえ、拳固げんこで自分の胸を打ちたたいた。
八五郎は、裏口へ寄り沿つたまゝ、彌造の中から取つて置きの拳固げんこを出して、そうツと撫でるやうに、二つ三つ雨戸へさはつて見ました。
若い平次は、日頃の温厚な様子にも似ず、ツイ拳固げんこで膝を叩きながら、縁側の敷居際までにじり寄ります。
翌る朝、ガラッ八の大変が鳴り込んで来ました。髷節まげぶしが少しゆるんで拳固げんこで額際の汗をであげる様子は尋常ではありません。
その眼のふちを何遍も何遍も拳固げんこでコスリまわしたが、こすればこする程ボ——ッとなって行った。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「先生、おたあがおいらをにらみました、帰りに覚えてろといって、拳固げんこをこしらえて見せました」
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それは實に、錢形平次も豫期しない言葉でした。後ろで聽いてゐる八五郎の口が、拳固げんこが一つ丸ごと入るくらゐ、ポカリと大きく開いたほどです。
拳固げんこを固めてポカリと頭をたたき割ったら、鋸屑おがくずの脳味噌がバラバラと崩れ落ちて来た。
微笑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
トクさんは塩辛くて喰べられないというし、ピロちゃんは鮎子さんがいつまでも食卓テーブルにへばりついているといって拳固げんこで背中をこづいた。
平次は、日頃の穩厚な樣子にも似ず、ツイ拳固げんこで膝を叩き乍ら、縁側の敷居際までにじり寄ります。
どおーンと突き当ったのはいいが拳固げんころすところを、ヒラリとわされて、
間諜座事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
新井田氏の玄関によろけこむと、渡瀬は拳固げんこで涙と鼻水とをめちゃくちゃに押しぬぐいながら、
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
と力を入れて新吉の手を逆にってねじり、拳固げんこを振り上げてコツ/\ったから痛いの痛くないのって、眼から火の出るようでございます。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
艇夫長は、そういって、拳固げんこのせなかで、赤い団子鼻だんごばなをごしごしとこすった。
大宇宙遠征隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
老人はしばらく身動きもせず、雷に打たれたようになり、口をきくことも息をすることもできず、あたかも拳固げんこのどをしめつけられてるがようだった。
但し演壇をあちこち歩き廻ったり、拳固げんこを振りまわす労力はこの外であるのは勿論の事だ。
話の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
この、いわゆる真の鬼火を見たという人々の談によると、その大きさは拳固げんこあるいはろうそくの光ほどで、地面より二、三フィート上を徘徊はいかいする。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
八五郎は自分の拳固げんこのやり場に困るやうに鼻を撫で上げたり、額を叩いたりして居ります。
無茶先生は拳固げんこで樽をポカンポカンとたたきながら、すぐに大きな声で歌い出しました。
豚吉とヒョロ子 (新字新仮名) / 夢野久作三鳥山人(著)
その副院長の鼻の先に拳固げんこを突き付けたまま、片膝でジリジリと前の方へニジリ出した。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
一度何のことかと父にいたら、拳固げんこをかためて頭のところへもっていったようなことをしたが、私にはなんのことなのか分ったようでわからなかった。
そういって、虎船長は大きな拳固げんこをかため、自分の幅広いむねを、どんとたたいた。
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彦兵衞は思當ることがあるらしく、拳固げんこで鼻の頭を撫で上げ乍ら、詰め寄りました。
しかしクリストフはたくましい拳固げんこを持っていたし、自分の権利を自覚していた。
人々は一生懸命に骨折ってようやく、彼が拳固げんこでなぐり合おうとするのを止めた。
ガラツ八は胸のあたりで拳固げんこを泳がせて、おこん/\の眞似をして見せます。
八五郎はツイ自分の鼻を拳固げんこで撫で上げて、日頃の武家嫌ひを一席辯ずるのです。
昔は手を切られたはずの親殺し犯人以外は、みな私に拳固げんこをさしつけていた。
死刑囚最後の日 (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
「立てるか、ウム?」そう言って、いきなり横ッ面を拳固げんこでなぐりつけた。
人を殺す犬 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
「もうたくさんだ!」と彼はそばのテーブルを拳固げんこでたたきながら叫んだ。
ガラツ八は本當に、三萬七千石の大名を向うに廻して、一と汗掻く氣で居るのでせう。拳固げんこに息をかけたり、腕をさすつたり、懷の十手を取出したり、一生懸命の姿でした。
長い事、煙草をふかして居た甚五郎は「やっこらさ」と立ちあがって、祖母の居る茶の間の入口に小山の様に大きく膝をついて拳固げんこにした両手の間に頽げて寒そうな頭を落す。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
彼女が、「また一匹いた」というごとに、兄貴のフェリックスはバケツの中で足をじたばたさせながら、にんじんを拳固げんこおどかす。一方は静かに自分の番を待っている。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
起きぬけに木の下で冷たい水蜜桃をもいでがぶりと喰いついたり、朝露に冷え切った水瓜すいかを畑で拳固げんこって食うたり、自然の子が自然に還る快味は言葉に尽せぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
まさに大公爵の鼻面はなづら拳固げんこくらわせようとした。
ワーリャ (涙ごえで)ええ、こうしてやりたい……(拳固げんこでおどす)
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ノソリと立つたガラツ八も、拳固げんこしきりと涙を拭いて居ります。
ガラッ八は胸のあたりで拳固げんこを泳がせて、お狐の真似をして見せます。
「用心棒が拳固げんこ一つといふことはあるまい、遠慮せずに出すが宜い」
続いて第二発目のストキの拳固げんこがボースンの横っ腹へ飛んで来た。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
遊び飽きると、命だけは助けてやる。それからどこかへ行って、尻尾しっぽで輪を作ってその中にすわり、拳固げんこのように格好よく引き締った頭で、余念なく夢想にふける。
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
ノソリと立ったガラッ八も、拳固げんこでしきりと涙を拭いております。
と、うしろから、拳固げんこで、前の円い頭をコツンとたたく真似して、宗吉を流眄ながしめで、ニヤリとして続いたのは、頭毛かみのけ真中まんなかに皿に似た禿はげのある
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ガラツ八が榮螺さゞえのやうな拳固げんこで續け樣に叩きまくると、
と、為が、たじろいで叫んだとき、気早の拳固げんこを突き出して、
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
八五郎は拳固げんこを顎杖にして、納まらない顏をするのでした。
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
見ると両方の手がもう半分ぐらい拳固げんこの形になっています。
ボロ家の春秋 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
拳固げんこを食わせることも、かなり尊敬さるる方法である。
前へ前へと進むから、始て怖気付おじけづいてげようとするところを、誰家どこのか小男、平生つねなら持合せの黒い拳固げんこ一撃ひとうちでツイらちが明きそうな小男が飛で来て
闇太郎も、法印も、むこうを向くようにして、拳固げんこで、目を引っこすっていた——苦労を積んだ男たちだから、恋に狂い、恋に死ぬおんなの、世にもあわれな気持は十分にわかるに相違なかった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
あるときには、テーブルを拳固げんこでたたいて言った。
再び坐れば、汚ないカフスに半ば隠れた拳固げんこして、
八五郎は拳固げんこで鼻をかなぐり捨てるのです。
胸のところでだらりとした拳固げんこ矢蔵やぞう、片手をぬい、と出し、人のあごをしゃくうような手つきで、銭を強請ねだる、爪の黒いてのひらへ持っていただけの小遣こづかいを載せると
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「メリヤスの新しいシャツが一枚あれば」波田は「どのくらい暖かいだろうなあ」と思いながら油とあかとでガワガワになったズボンのポケットの中で、拳固げんこを力一杯で握り固めたり、延ばしたりした。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
拳固げんこ背中せなかをどやしつけられた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
拳固げんこ……つねもち、……あかいお團子だんご。……それが可厭いやなら蝦蛄しやこ天麩羅てんぷら。」と、ひとツづゝ句切くぎつて憎體にくたらしくふしをつける。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「約束を破れば拳固げんこで一万たたくんです」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
わり拳固げんここと喰らいていがか」
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
八五郎は大きく拳固げんこを振り上げました。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
八五郎は拳固げんこで鼻をであげます。
しかもその犬が世界に二匹と居ない名犬だったのも偶然なら、その犬が肺病の第三期にかかったのも偶然。そこへ羽振医学士が又、偶然に来合わせて、吾輩が振りまわす拳固げんこを高い鼻の頭で受け止めたのも偶然だ。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そうして一つ拳固げんこで頭をこつん。
怪異暗闇祭 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
それはもう、四五丁も歩いた揚句あげくのことだったと思うが、ロッセ氏は、急に両の手を頭の上にのばし、拳固げんこをこしらえて、まるで夜空にいどみかかるような恰好かっこうで、はげしく振り廻しはじめた。
赤い友禅のそでの長いのをていましたが、誰かの黒っぽい羽織を上に引張って手拭てぬぐい頬被ほおかぶりをし、遊び人とでもいうつもりでしょう、拳固げんこふところからのぞかせて歩くのです。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
やあ火の玉の親分か、わけがある、打捨うっちゃっておいてくれ、と力を限り払いけんともが焦燥あせるを、栄螺さざえのごとき拳固げんこ鎮圧しずめ、ええ、じたばたすればり殺すぞ、馬鹿め。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
彼らは敵を間近に引き受け、ピストルやサーベルや拳固げんこで接戦し、遠くから、近くから、上から、下から、至る所から、人家の屋根から、居酒屋の窓から、またある者はあなぐらにすべり込んでその風窓から、戦った。
この先生は、児童たちが何かいたずらでもやっているのを見つけると、その大きな眼をむいて拳固げんこをふりかざしておきながら、すぐその手でやさしく児童たちの頭をなで、「これから気をつけるんだぞ。」と言って、それっきり
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
古風な小さい窓の下におかれた箱の上にかけて泣いている婆さんと、そのわきに絶望的にたっている若い女、二人の前でたけりたって拳固げんこをふりながらおどしつけているルバーシカに長靴ばき、赤髯の強慾そうなつらがまえの中親父。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
尤も、拳固げんこを七三に構へたやうな、間の拔けた彌造を拵へて、メロデーのない鼻唄か何んかをうなりながら、江戸中を驅け廻つて居るからこそ、時々は素晴らしいニユースを嗅ぎ出して來て、平次に溜飮を下げさせてくれる八五郎でもありました。
拳固げんこの一つもくらわせずに済むものならなるべくそんな手荒いことをせずに子供を育てたい、とそう岸本も思っても残酷な本能の力は怒なしに暴れ廻る子供を見ていられなくなる——「父さん、御免なさい、繁ちゃんはもう泣きませんから見てやって下さい」と子供の代りにびるように言う輝子の言葉を聞くまでは
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
与吉もこれにはすっかり往生したが、振り返りでもしようものなら、そのとたんにぽかんと拳固げんこがとんできそうな気がするし、一度などは与吉が道路にしゃがんでわらじを結びなおすと、泰軒は平然とそばに立って待っている始末で、駒形名うてのつづみの与吉、まるで大きな荷物をしょいこんだ形でほとほと閉口へいこうしてしまった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)